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2013/6/29 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
民族主義や国家国益などの偏狭な立場には立たないが、グローバル経済の実相は金持ち日本国の主権放棄奴隷化である
社員を奴隷のように働かせている「ブラック企業」はどこか――。今年で2回目となる「ブラック企業大賞」のノミネート企業の発表が27日、行われた。
ブラック企業とは、社員を低賃金で長時間働かせ、残業代も払わず、パワハラが常態化している企業のことだ。ここ数年急増し、20代、30代の「ブラック企業」への怨(えん)嗟(さ)の声がネットに渦巻いている。ブラック企業は、まさに「平成の蟹工船」。従業員は信じがたい過酷な労働を強いられている。
ブラック企業とは、どんな企業なのか。昨年「ブラック企業大賞」に選ばれ、今年もノミネートされたのが居酒屋チェーンの「ワタミ」だ。渡辺美樹会長(53)が創業したワタミは、従業員6000人が働くレッキとした東証1部上場の巨大企業である。しかし、とても上場企業とは思えない。
驚くのは、全社員に配布する会社の理念集に〈365日 24時間 死ぬまで働け〉と記され、渡辺会長も雑誌のインタビューで〈無理というのは、嘘吐きの言葉です。途中でやめてしまうから無理になる。やめさせないんです〉と堂々と答えていることだ。
その結果、長時間労働でウツ状態になった26歳の女性社員が、雨の日、飛び降り自殺する悲劇も起きている。彼女は1カ月当たり141時間も時間外労働をしていたという。彼女が自殺した後も、ワタミ社員の過酷な労働は変わらず、労働基準局から10件の是正勧告を受けている。従業員は生き地獄だろう。
なにも「ブラック企業」は、ワタミのような新興企業に限った話じゃない。日本を代表する名門企業のパナソニックまでが、社員を辞職に追い込む「追い出し部屋」をつくり、株主総会で「昔は“人の松下”といわれたのに、いまやブラック企業だ」と叱責されるありさまだ。
「かつて日本企業は、終身雇用に象徴されるように社員を大事にしていました。しかし、いまは名門企業までが社員を使い捨てにしている。日本中にブラック企業が蔓延している状態です」(経済ジャーナリスト・松崎隆司氏)
◆日本の労働者が稼いだ富はアメリカに奪われている
なぜ、日本は「ブラック企業」がはびこるヒドイことになってしまったのか。すべて「グローバル経済」のためだ。
グローバル経済によって企業は国際競争にさらされ、コスト削減を迫られるようになった。少しでもコストを下げるために、生産拠点を人件費の安いアジアやアフリカに移している。日本の労働者は、アジアやアフリカの労働者と競争しなくてはならなくなり、低賃金と長時間労働を強いられるようになってしまったのだ。
なにより大きいのは、グローバル経済によって、アメリカ資本が日本企業に入り込み、〈会社=株主のモノ〉というアメリカ式の考え方が広がったことだ。
従業員の生活を守るよりも、短期的に利益を上げ、株主への配当を増やす経営者が名経営者と評価されるようになり、この10年、企業はどんどん人件費のカットを進めていった。アメリカ流の「稼ぐが勝ち」という価値観も強まり、経営者は社員を酷使することを当然と考えるようになっている。
しかし、バカみたいなのは、日本の労働者が死に物狂いで働いて稼いだ会社の利益を、外資に巻き上げられていることだ。いまや名だたる企業の株主に外国資本が名を連ねている。日産自動車は72%が外国資本だ。中外製薬は75%、新生銀行55%、花王49%、三井不動産48%、スズキ48%……。奴隷のように働かされているサラリーマンは、外資のために命を削っているようなものだ。
◆日産も花王も日本の企業じゃない
もう、日本はアメリカが主導する「グローバル経済」なんてやめてしまったらどうだ。偏狭な民族主義を訴えるつもりはないが、日本人が稼いだ富を、外国に持っていかれる経済システムはどう考えてもおかしい。
このまま突き進んでも、「ブラック化」した会社で働く日本のサラリーマンは、低賃金と長時間労働で疲弊するばかりだ。
筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)が言う。
「いま政府もメディアも、国際競争に勝つためには日本のグローバル企業を強くするしかないと訴えています。しかし、本当にそれが正しいのか、立ち止まって考えるべきです。日本企業を強くするために、法人税を下げ、原発を再稼働させて電気料金を下げ、国民も低賃金をガマンするしかない――という声が高まっていますが、日産も、花王も、日本で生まれた日本語の会社だけど、もはや日本の企業とは呼べないでしょう。日本のグローバル企業を優遇しても、結局、アメリカ資本が得をするだけです。日本の労働者には果実は回ってきませんよ」
だいたい、日本は世界第3位の経済大国なのに、サラリーマンが朝から晩までヘトヘトになるまで働いても貧しいなんて、グローバル経済は間違っている。
いまやグローバル経済の本家であるアメリカ国内でさえ「反グローバル」の動きが高まっているくらいだ。
◆サラリーマンの賃金を更に下げる狂気
なのに、安倍首相はさらにグローバル化を推し進めるつもりだからどうしようもない。
成長戦略の柱になっているのは、グローバル企業を優遇する政策ばかりだ。極め付きはTPPへの参加である。TPPは、アメリカ企業と日本企業を区別しない究極のグローバル化である。アメリカ資本が、日本市場を席巻するのは間違いない。
ただでさえ、憔(しよう)悴(すい)している日本の労働者は、さらにアメリカ資本のために酷使されることになるだろう。
安倍首相がフザケているのは、グローバル企業がボロ儲けできるように、日本人の人件費をさらに引き下げようとしていることだ。
「安倍政権の成長戦略の一大テーマは“労働市場の流動化”。要するに、正社員のクビを簡単に切れるようにすることです。その手段のひとつが、規制改革会議が答申した“限定正社員”の導入です。限定正社員の賃金は、正社員の2割安、しかも会社の都合で解雇できる。いまでも労働者の4割が非正規雇用なのに、限定正社員制度が導入されたら、日本の雇用は破壊されてしまいますよ」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)
小泉政権から始まった日本経済のグローバル化を、安倍政権は完成させるつもりだ。安倍首相の頭にあるのは、グローバル企業の利益だけだ。国民は眼中にない。労働者をどう思っているかは、「ブラック企業」であるワタミの渡辺美樹会長を自民党の公認候補として参院選に出馬させたことが物語っている。7月21日の参院選に勝利したら、安倍首相は突っ走るつもりだ。国民は絶対に自民党を勝たせてはいけない。
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