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現在の中国は大きな端境期にあり、その先にある歴史が「先進国」なのか「苦悩し続ける中進国」なのかが見えない状況だと思う。
低迷する経済成長にどのような手を打つかという問題も、中国共産党内部に大きな対立があるようだ。
昨年秋の党大会が1ヶ月遅れたのも、尖閣諸島絡みの日中対立が主要因だとしても、経済状況認識と経済政策をめぐる対立も、それなりのウェイトであったと推測している。
習体制というか昨年春頃からだと思うが、中国共産党は、現状を打破し先進国に突き抜けていく道をなんとか見つけようと躍起になっているようだ。
今回の短期金利を上昇させてまでの金融制度改革や過剰生産力の調整も、そのような模索のなかで打ち出された政策であろう。賃金の大幅引き上げ政策もその一つだが、それらは現状の改善手段でしかなく、それらが先進国への道を造成するわけではない。逆に、下手をすれば、それらの政策は現状を悪化させかねないものでもある。
「和諧」政策を意識しながらの輸出と投資の主導による成長政策で、現在の2倍の一人当たりGDP1万ドルまでは到達できると考えているが、そこを突き抜けて韓国レベルの一人当たり2万ドルレベルまでGDPを大きくするのは並大抵のことではない。
比喩的に言うなら、中国が一人当たりで2万ドルのGDPレベルになるということは、世界全体が先進国になることに匹敵するような話だからである。
様々な現状認識と脱皮策も、理論的にはその通りなのだが、焦りすぎという印象が否めない。
経済政策で対立があるなかで生まれた習体制であることを考えると、経済政策の失敗は、習体制にとって命取りになりかねない。
転載する記事に書かれている「中国製は過去30年に渡り世界で覇を唱え、大国経済の台頭という奇跡を創造した。しかし「世界の工場」という称号の裏側には、資源の消耗、労働力からの搾取、そしてかつてない環境悪化がある。2013年初旬、北京などの各都市が有害物質の含まれる濃霧に包まれたが、これは大自然の我々に対する報復である」という自省は重要だと思うが、大自然の報復を避ける道とお金(所得)が少しでも増える道のどちらを選択するかと問われれば、たぶんだが、お金を選択する人が多数派ではないだろうか。
記事はさらに、「低水準の組立、高排出の生産、粗悪品の氾濫という「中国製」は、すでに終わりを迎えている。盲目的に成長を求めるという心理が、人々の見方を短期的にし、金ばかりを重視させ、手っ取り早い方法ばかりを選択させている。イノベーションに対する投入と重視が不足しており、投入と重視を考えている人も「パクリ文化」により諦めてしまっている。中国のイノベーションは、これにより基盤が脆弱になっている」と書き進めているが、“言うは易く行うは難し”である。
日本も、先進国に到達したのは、明治維新から100年後である。戦争は、人的物理的に大きな損失を招いたが、技術の進歩には貢献するものだから、先進国に到達するのがいかに困難な道であるかがわかる。
先日も書いたが、一人当たりGDPが5千ドルレベルの国家が、思いとして秘めておくのはいいとしても、「盲目的に成長を求めるという心理が、人々の見方を短期的にし、金ばかりを重視させ、手っ取り早い方法ばかりを選択させている」と“高尚”なことを現実の政策にしてしまうと足下をすくわれてしまう気がする。
日本経済史を省みれば、“低水準の組立、高排出の生産、粗悪品の氾濫”という苦しい時代のなかから世界にとどろくブランド企業が飛翔したことがわかる。
19世紀から20世紀初期のアメリカとて同じである。
付加価値の低い生産(経済)活動を意図的に排除するのではなく、高度化を進めるなかで徐々に自然に消え去るものでなければ、足が地についたイノベーション力も育まれず、“中進国の罠”に囚われてしまう可能性がある。
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中国製 イノベーション不足が問題に
iPhoneのバックパネルには、「Designed by Apple in California Assembled in China」(アップルがカリフォルニアでデザイン、中国で組立)と英語で記されている。経済参考報が伝えた。
「デザイン」と「組立」を同列すると、同じく重要なように見えるが、その利益には天地の開きがある。iPhone5を例とすると、16GB版の米国市場での販売価格は649ドルで、アップルが「デザイン」により得る利益は約400ドルに達するが、中国「組立」のコストは20ドル(定価の3%)に過ぎない。
薄利は「中国製」の苦しみを際立たせている。中国製は過去30年に渡り世界で覇を唱え、大国経済の台頭という奇跡を創造した。しかし「世界の工場」という称号の裏側には、資源の消耗、労働力からの搾取、そしてかつてない環境悪化がある。2013年初旬、北京などの各都市が有害物質の含まれる濃霧に包まれたが、これは大自然の我々に対する報復である。
低水準の組立、高排出の生産、粗悪品の氾濫という「中国製」は、すでに終わりを迎えている。盲目的に成長を求めるという心理が、人々の見方を短期的にし、金ばかりを重視させ、手っ取り早い方法ばかりを選択させている。イノベーションに対する投入と重視が不足しており、投入と重視を考えている人も「パクリ文化」により諦めてしまっている。中国のイノベーションは、これにより基盤が脆弱になっている。
「中国のイノベーション」が、「中国製」と同じ名声を獲得するためには、社会全体の共同の努力が必要だ。企業は人々の注目を集める商品、新たな経営理念とモデルを創造しなければならない。政府は人々のイノベーションの雰囲気を盛り上げ、同時に緩和的な社会環境を維持しなければならない。これらのすべてが、体制改革の中で突破口を見出し、「中国のイノベーション」に制度面からの保障を提供する必要がある。
中国のイノベーションはまた、単なる商品の創造だけではなく、文化の革新でなければならない。韓国の「江南スタイル」は世界を風靡し、ハリウッド映画が世界で覇を唱えているが、これは文化イノベーションの重要性を示している。文化イノベーションは経済革新を促し、一国の全体的な実力(ソフトパワー、ハードパワーを含む)を引き上げることができる。中国は5000年の輝かしい歴史を持つ大国であるが、我々は文化伝播の面で先人に顔向けできない。
過去30年間の中国経済の発展は世界を驚嘆させたが、中国のイノベーションの少なさは、中国人を恥じ入らせている。ワシントン・ポスト紙は一面の記事で、「クイズです、中国のブランドを思い出してください。日本にはソニーが、ドイツにはBMWが、韓国にはサムスンがありますが、中国には何がありますか?」と書いたことがあった。
ワシントン・ポストが中国を皮肉るのも無理は無い。世界に出しても恥ずかしくない中国企業は、どれほどあるだろうか。レノボはそのうちの一つだが、その生産高、イノベーション力、国際的な影響力などは、サムスンやアップルに遠く及ばない。レノボでさえそうなのだから、その他の企業は話にならない。しかし中国は世界でなぜ無名であり、世界第2位の経済大国・世界一の輸出大国という地位に相応しくないのだろうか。
英メディアの分析は、中国に警鐘を鳴らしているかもしれない。それはすべてが正しいとは言えないが、事実と異なるとも言えない。「中国企業の役員について分析したところ、彼らが政府関係者に費やす時間は、顧客に費やす時間をはるかに上回っている。前者は中国企業の収益にとって極めて重要だが、後者は国際的な成果を獲得するためのキーポイントだ」(編集YF)
「人民網日本語版」2013年6月28日
http://j.people.com.cn/94476/8303681.html
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