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米国の一部大都市、住宅バブルのリスク=ロバート・シラー氏 2013年 06月 28日 10:19 JST [27日 ロイター] - 米S&P/ケース・シラー住宅価格指数の共同開発者ロバート・シラー氏は26日、米国の一部の大都市で住宅価格が大幅に上昇しており、新たなバブル発生のリスクがあるとの認識を示した。ラスベガス、ロサンゼルス、サンフランシスコ、マイアミ、フェニックスで、住宅価格が上昇しており、バブル発生のリスクがあるという。域外から大量の投資資金が流入していることが一因。 同氏はロイターに「こうした都市ではバブルのリスクがある。住宅価格が大幅に上昇している。前回のバブルの初めの頃のようだ」と述べた。 こうした都市では、住宅在庫が低水準で、ウォール街の投資家がキャッシュで住宅を購入しており、今後1年間価格が上昇した後、下落に転じる可能性があるという。 S&P/ケース・シラー住宅価格指数によると、4月の主要20都市圏の住宅価格は前年比12.1%上昇と、7年ぶりの高い伸びとなった。 地域別では、サンフランシスコが24%上昇、ラスベガスが22.3%上昇、フェニックスが21.5%上昇、ロサンゼルスが19%上昇、マイアミが13%上昇だった。
5月鉱工業生産は前月比+2.0%、4カ月連続の上昇 2013年 06月 28日 10:25 JST [東京 28日 ロイター] - 経済産業省が28日発表した5月鉱工業生産指数速報は前月比2.0%上昇の97.8となり、4カ月連続の上昇となった。ロイターの事前予測調査では前月比0.2%上昇と予想されていたが、発表数値は予想を上回った。生産予測指数は6月が前月比2.4%低下、7月が同3.3%の上昇となった。 経済産業省は生産の基調判断を「緩やかな持ち直しの動きがみられる」として据え置いた。 業種別にみると、はん用・生産用・業務用機械工業、電気機械工業、化学工業などが上昇した。 鉱工業出荷指数は前月比0.8%上昇、在庫指数は0.3%低下だった。 生産は今年2月以降上昇に転じ、4月まで毎月1%程度の上昇を続けてきた。自動車生産の回復に伴い、鉄鋼や非鉄など素材産業も緩やかに上昇、電子部品・デバイスなども持ち直していた。 5月は4カ月連続で上昇となり、伸びが拡大した。 一方、6月の生産予測はマイナスとなっている。 鉱工業生産について市場では「季節調整の歪みがあるので、5月のプラス2%というのは割り引いてみるべきだが、生産は上向き方向だ。円安効果に加え、米国を中心に海外景気が底堅く、電子デバイスなど部品の生産が伸びている」(シティグループ証券チーフエコノミストの村嶋帰一氏)と指摘されている。 (ロイターニュース 中川泉;編集 山川薫) 5月CPIは7カ月ぶりマイナスから脱出:識者はこうみる 2013年 06月 28日 10:12 JST [東京 28日 ロイター] - 総務省が28日午前8時30分に発表した5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コア)は前年比0.0%の100.0となり、前年同月と同水準だった。 前年同月比でマイナスから脱したのは7カ月ぶり。ロイターがまとめた民間予測は0.0%だった。 市場関係者の見方は以下の通り。 ●6月プラス浮上も、その後はあまり動かず <みずほ証券・チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏> 想定通りのコースをたどっている。5月に今回下げ止まって、6月にプラス0.2%前後に浮上するという、エネルギー主導の動きがはっきり見えている。 小幅プラスに乗ってくること自体は、フォーキャスト調査結果や各社エコノミストの見通しから織り込んでいるので、きょうの数字に対するマーケットの反応はないだろう。 この先については、個人的にはプラス0.2─0.3%ぐらいであまり動かなくなり、プラス圏には顔は出すものの、プラス幅はあまり拡大しないとみている。 ただ、国際商品市況の変動や為替の影響で、たとえばプラス幅の拡大が2カ月続くようなことが起きてくると、債券市場は敏感に反応しそうだ。債券市場は2%目標の達成は難しいとみているので、見通しに対する不安が台頭してくれば売りで反応する可能性が高い。 ●想定通り、7─9月輸入物価押し上げ幅に注目 <SMBC日興証券・債券ストラテジスト 岩下 真理氏> 5月全国消費者物価指数(CPI、除く生鮮)は、前年比0.0%と想定していた通りの内容。円債の反応は限定的だろう。 テレビ値下げ幅の縮小の影響が、東京都区部に比べて小さかったことが確認できた。食料・エネルギーを除く指数が同0.4%低下と依然して弱い。 今後は、電力料金などで、円安による物価上昇がじわじわ効いてくる可能性がある。外部環境の変化によって、7─9月期に物価押し上げ幅がどの程度になるのかが重要。また、来週発表の日銀短観で、価格判断DIが現状、および先行きについて注目される。 ●もう一段の押し上げに賃金上昇が不可欠 <マネックス証券 チーフ・エコノミスト 村上 尚己氏> 5月の全国コアCPIはゼロ%まで回復したが、コアコアではマイナス0.4%と、まだデフレ圧力は残っている。徐々にプラスの方向に向かうとみているが、2年で2%は難しいだろう。 足元では円安によるエネルギー価格の上昇がCPIを押し上げているが、持続的にもう一段上げるためには、やはり賃金が上昇してくる必要がある。 EU首脳会議、80億ユーロの若者向け失業対策で合意 2013年 06月 28日 11:00 JST [ブリュッセル 27日 ロイター] - 欧州連合(EU)首脳会議は27日、若者の失業対策に総額80億ユーロを充てることに合意した。若者の失業率は、ギリシャとスペインで60%前後、イタリアとポルトガルでも40%を越えている。15─24歳の失業者は600万人近くに達しており、「失われた世代」とも呼ばれている。 対策予算は2月時点の60億ユーロから80億ユーロに増額された。新卒・失業から4カ月以内の若者に職を斡旋したり、職業訓練や見習いを支援する。期間は来年から7年間。最初の2年間に予算を重点配分する。 エコノミストは、今回の対策について、対外的な宣伝にすぎないと批判。首脳からも、加盟各国が対策を講じなければ、効果は薄いとの声が出ている。 JBpress>海外>Financial Times [Financial Times] 欧米の自由貿易交渉、「バイアメリカ法」が大きなハードルに 2013年06月28日(Fri) Financial Times (2013年6月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
メリーランド州のベテラン議員、ロン・ヤング氏は、同州が今年成立させた「バイアメリカ法案」を推進しようと思ったきっかけは「ユーチューブで見たもの」だったと話す。 ABCのニュース映像は、モンタナ州の住宅建築業者を特集していた。その会社では、米国製の資材を見つけるために、秘書が1年かけて国中に電話したという。この取り組みは成功し、その住宅の建設費は通常より1%高くなっただけだった、とヤング氏は話す。 「私はこう考えたわけですよ。ここで雇用を創出し、雇用を取り戻すためには、我々がもう1度、米国で製品を作る以上に手っ取り早い方法があるものか、とね」。72歳のヤング氏は、ワシントンから北西に車で1時間ほど行ったフレデリックの地元の事務所でこう話す。 各州に広がるバイアメリカ法、EU側が問題視 パリに本部を置く、成長促進に尽力する先進国クラブ、経済協力開発機構(OECD)によると、一般政府調達は米国の経済生産の10%以上を占めるという。 そのため、バイアメリカ法案――可能な場合は外国製品ではなく米国製品を選択することをメリーランド州に義務付ける、ヤング氏が支持したものと同様の法案――の広がりは、欧州連合(EU)の高官らが来月始まる貿易交渉で取り除かれることを望んでいる障壁だ。 「我々が一連の交渉で確立しようとしているのは自由貿易だ。すべての分野でそうすることは不可能だが、それが全体的な目標だ。そして自由貿易とは、欧州の製品・サービスと米国の製品・サービスを差別しないことを意味する」。ワシントンを拠点とするあるEU高官はこう話す。 「我々にとってこれが争点になるのは、欧州では、調達を加盟国間の貿易を開放する手段として使ってきたし、そうする際に外国人を差別しなかったからだ」 州レベルのバイアメリカ法を追跡している米国企業のロビー団体「全国貿易協議会(NFTC)」によると、こうした法律は今年4倍に増え、提出された法案が2012年の5本から2013年は20本以上に上っているという。 昨年は、オハイオ州で新たなバイアメリカ法案が成立した。メリーランド州のほかにも、今年は複数の州で同様の法案が承認されそうになっており、来年は前進するかもしれない。 メイン州の州議会上院が今月、独自のバイアメリカ法案を成立させた一方、テキサス州は先月、水道事業に適用される法案を承認した。 オバマ政権にジレンマ 相次ぐバイアメリカ法は、オバマ政権にとって貿易交渉におけるジレンマになっている。 一方では、米国の交渉担当者はこれを利用し、自国映画産業の保護を求めるフランスの要求など、EU側が求める適用除外に対する報復として、米国の調達の切り離しを模索できるかもしれない。他方、バイアメリカ法は、米国政府が欧州での自由化推進を訴えることを難しくし、米国を守勢に立たせる恐れもある。 通常は、州政府の間で貿易協定締結に対する支持を増やすのは米国通商代表部の仕事だが、それが成功するかどうかは不透明だ。 バラク・オバマ大統領の民主党にとって政治基盤の重要な要素になっている労働組合の多くは、バイアメリカ法を支持している。組合は貿易協定に懐疑的で、調達を開放する積極的な試みが見られた場合には、組合の反対が燃え上がり、連邦議会で協定が承認される見通しに問題を突き付けるかもしれない。 憲法上、州の財布の紐を管理する権利は州政府にあると定められていることから、米国の貿易交渉担当者は、説得する以外、州レベルでの変化を強要する力をほとんど持っていない。また、オバマ政権は、輸送インフラのような分野で連邦政府の調達規制を緩和するかどうか決断しなくてはならない。 米国の経済団体はバイアメリカ法案の悪影響を懸念 米国の経済団体は、州レベルの取り組みは貿易交渉の範囲を制限し、米国企業が欧州で政府契約を巡って競争するのを妨げる可能性があると主張し、バイアメリカに反対する独自のキャンペーンを展開している。 NFTCの副会長、ダン・オフラハティ氏は言う。「バイアメリカ法案が広がり続ければ、欧州各国は、『ちょっと待ってくれ、そっちがオハイオ州をくれないなら、こっちもバイエルン州は渡さない』と言うだろう」 多くの州の経済開発担当官たちは、バイアメリカ法案が地元の輸出業者を傷つけるかもしれないと危惧している。 メリーランド州もその1つだ。同州のバイアメリカ法案に署名して成立させたマーティン・オマリー知事(民主党)は、今月のパリ航空ショーを訪れ、防衛分野を中心に、同州に本社を置く企業を宣伝していた。 州政府にも必要な細心の注意 メリーランド州の商務経済開発局のボブ・ウォーカー副局長は、次のように話す。「私の個人的見解では、我々は(国内の供給業者の振興を図る)こうした善意の取り組みと、他国との貿易への悪影響になる可能性のあるものとのバランスを取るよう細心の注意を払わなくてはならない」 一方、フレデリックではヤング氏が、EUと米国が交渉を開始しようとする中で、メリーランド州のバイアメリカ法が確実に生き残るようにしようと躍起になっている。 「世界中で非常の多くの国が、我々が競争するのを妨げる保護主義的な措置を取っている」とヤング氏。「絶対にバランスが必要だと思う」 By James Politi
EU首脳会議、80億ユーロの若者向け失業対策で合意 2013年 06月 28日 11:00 JST [ブリュッセル 27日 ロイター] - 欧州連合(EU)首脳会議は27日、若者の失業対策に総額80億ユーロを充てることに合意した。若者の失業率は、ギリシャとスペインで60%前後、イタリアとポルトガルでも40%を越えている。15─24歳の失業者は600万人近くに達しており、「失われた世代」とも呼ばれている。 対策予算は2月時点の60億ユーロから80億ユーロに増額された。新卒・失業から4カ月以内の若者に職を斡旋したり、職業訓練や見習いを支援する。期間は来年から7年間。最初の2年間に予算を重点配分する。 エコノミストは、今回の対策について、対外的な宣伝にすぎないと批判。首脳からも、加盟各国が対策を講じなければ、効果は薄いとの声が出ている。 8時間目 人はみな、「もうける」より「損したくない」 2013年6月28日(金) 小川 仁志 <ゼミのメンバー> 小川先生:42歳、市民との対話をこよなく愛する哲学者。 兼賀大治:56歳、お金が一番大事だと思っている投資が趣味のサラリーマン。 大飯奈弥美:30歳、消費と貯蓄の間で揺れる独身のキャリアウーマン 新実三郎:35歳、知的で現実主義的なビジネスマン。 大飯:株価が乱高下して、どうも落ち着きませんね。 兼賀:5月23日からの下げには焦ったよ。ついに暴落かと思った。 新実:誰もがギャンブルをしているようなものですからね。 小川:確かに、昨年末からの一本調子に近い急上昇は実体の伴わないマネーゲームではないのか、という疑問が露呈したのかもしれません。アメリカのバーナンキFRB(米連邦準備理事会)議長が、お金をジャブジャブ刷る量的緩和の縮小に触れるや否や、みんながさっと手を引こうとしたんですから。 大飯:でも、またすぐに持ち直しましたよね。 新実:だからゲームなんだよ。心理戦さ。「暴落じゃない。行きすぎが是正されただけで健全な値下げが起きたんだ」と考える人は、「もうこれ以上は下がらないだろう」と考える水準で買いを入れるんじゃないかな。 兼賀:げ、嫌だなぁ。まさに私のとった行動だよ。 小川:新実さんの言われるように、経済そのものが人間心理と大きく関係しているんですよね。行動経済学という分野がありますが、あれはまさにその観点から経済をとらえるものです。 新実:経済が人間の営みである以上、納得はいきますよね。 大飯:行動経済学では、どんなふうに考えるんですか? 小川:一言で言うとこういうことです。伝統的な経済学では、人間は合理的な存在として前提されてきました。ところが、実際にはそうではないということです。時に人間は合理的ではない行動をとる。それを前提に経済を考えるのが行動経済学です。 兼賀:人間は不可解な生き物だからなぁ。 大飯:それじゃあこれまでの経済学がまったく覆されてしまいますね。 小川:その通りです。例えば、これまでの経済学だと、利益を得た時の喜びのほうが、損をした時の悲しみよりも大きいと考えていました。ところが、数値をとってみると、実際にはそうではなかったのです。 となると、国民はここでもっとお金を使うだろうと政府や日銀が予測していても、実は損失を回避するために行動に出ないという結果にもなりかねないのです。 兼賀:それ、分かるような気がするなぁ。私も慎重なほうなので。だから儲かってるんだけど。 新実:『日経マネー』2013年8月号で先生が紹介されてたダニエル・カーネマンが、行動経済学では一番有名なんですか? ダニエル・カーネマン(1934〜)。心理学の知見をもとに、経済活動を分析する行動経済学の第一人者。ノーベル経済学賞受賞。『ダニエル・カーネマン心理と経済を語る』は2011年刊。 小川: そう思います。なにしろこれでノーベル経済学賞を受賞した人ですから。もともとは心理学者なんですよ。すごいことです。ちなみに私が研究員として在籍していたアメリカのプリンストン大学の名誉教授です。講演を聴いたこともありますが、心理学者らしい面白い切り口で話をされる方です。
大飯:カーネマンはどういうことを言っているんですか? 小川:彼の有名な理論としては、「プロスペクト理論」があります。人は利益を得るよりも損失を回避しがちであるということと、物事の発生確率について、客観的な数字よりも主観的な思い込みを重視するという主張です。 兼賀:素人の投資なんてそんなもんですよ。経済指標なんて本当はよくわからないし、新聞読んでて、今景気が上向きなんだとか、これから良くなりそうだとか、そんなレベルでなんとなく判断してる人が多いですよ。私の周囲には。 新実:ただ、みんなが同じように思ってると、客観的な数字がどうであれ、それが現実になるのが経済なんですよね。 大飯:それだと、うまく国民を扇動できる首相がいればうまくいきそうね。アベノミクスってもしかして扇動なのかしら。 兼賀:扇動とは言葉が悪いね。日本経済は「3本の矢」でうまくいきますよといって、国民が再び消費を始める。それによって幸福になるならいいじゃないか。 新実:そうとも言えないんじゃないですか? 小川先生が『日経マネー』で書いていたように、カーネマンの理論によると、もっと社会的接触を増やすほうが幸福になれるみたいですよ。 U指数、アンカーリング 小川:「U指数」の話ですね。つまり、人間が不快に感じる割合は、通勤や仕事で高いのに対して、社会的接触では少ないという理論です。だから私は消費機会を増やすより、社会的接触の機会を増やそうと提案したわけです。 大飯:最近のコミュニティ回帰みたいなものを考えると、それも理屈にかなっているような気がしますね。人間は本当は消費やお金儲けよりも、みんなと楽しく時間を過ごすだけで幸せになれるのかも。 兼賀:もし本当にそうなら、どうして私たちはそれに気づかないのかな。消費より社交のほうが本当は幸福になれるんだったら、皆そうしてるはずだよね。それで牧歌的で幸福な社会が実現しているはずじゃないの? でもそうはなっていない。 小川:これもまたカーネマンに言わせると、人間の不合理さのせいなのです。彼は「アンカーリング」と言っているんですが、要は固定観念のことです。消費のほうが快適に決まっているという思い込みが、本当の幸福を見えなくさせているんですよ。 兼賀:思い込みかー。固定観念ってのはなかなか取り払うのが難しいですからね。年をとるにつれてますますこびりついてきます。 大飯:誰か賢い人が本当に正しいことをお勧めしてくれる世の中がいいわ。 新実:おいおい、なかなか危険なことを言うね。 小川:そのお勧め社会を提案する理論もありますよ。リチャード・セイラーとキャス・サンスティーンの共著で『ナッジ』という本があります。 ナッジとは、ひじでコツンとつついて、相手にそれとなくわからせることをいいます。つまり、明確に指示して誘導するのではなく、あくまで示唆することによって、相手を間接的に誘導する方法です。この発想を、政治哲学の世界では「リバタリアン・パターナリズム」と言います。 新実:リバタリアンとパターナリズムって、なんだか語義矛盾のような気がしますね。 小川:さすが新実さんらしい鋭い指摘ですね。そうなんですよ。リバタリアンというのは自由至上主義のことで、パターナリズムというのは、後見的に配慮することですから、一見反対の概念なんですよね。ところが、自由にやらせているように見えて、実はそれを誘導しているとしたらどうでしょうか? 新実:なるほど。ナッジなわけですね。 兼賀:掌の上で踊らされてる孫悟空みたいだな。 「スキポールのハエ」は危険? 小川:そんなに悪い話でもないですよ。『ナッジ』の中に「スキポールのハエ」という話が出てきます。私も行ったことがあるのですが、スキポール空港のトイレには、男性用便器にハエの絵が描いてあるのです。そうすると、どうしてもそこをめがけておしっこをしてしまうのです。 それでなんのメリットがあるかというと、おしっこが外に飛び出さないのです。あるいは、カフェテリアで健康メニューを前に出すという例があります。前に出ているので、ついつい選んでしまうわけですが、これも自分で選んでいるようで、実は健康になるように誘導されているわけです。 大飯:そういう社会がいいですね。自由にやっている気分でいられるのに、間違いを犯すこともない。 新実:結果オーライかもしれないけど、危険は危険だよ。問題はそれが本当の自由なのかってことと、誘導している人が本当に賢いのかどうかということだと思うな。 小川:自分が誘導されていることを分かっていて、それでも選んでいるなら自由と言えるのでしょう。だからいったん疑ってみることは必要かもしれませんね。本当に賢い人が誘導しているのかどうかについては、なんとも言えませんね。特に経済の話に戻すと、いくら賢くても、万能ではありえませんから。 今回のアメリカの金融緩和の解除騒動でも分かるように、今や経済はグローバル化してしまっていて、一国だけではどうにもならないということです。地球の裏側の意外なことが原因で、急に振り回されることもありうるのです。 大飯:やっぱり色々情報を集めて、自分でしっかり考えるしかないんですね。 小川:そう、だから…。 大飯:哲学が必要っていつもの決めゼリフですね? 兼賀:ちょっと、先生に言わせてあげてよー。 元フリーター小川仁志の「お金の哲学」熱血ゼミ編
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