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ゴールド・プラチナ急落と中国の売り・ファンドの破たん
http://www.asyura2.com/13/hasan80/msg/622.html
投稿者 金剛夜叉 日時 2013 年 6 月 27 日 19:17:05: 6p4GTwa7i4pjA
 


http://blog.livedoor.jp/nevada_report-investment/archives/4484660.html

金・プラチナがニューヨーク市場で急落し、プラチナは1300ドルの大台を割ってきています。

金 
終値 1229.80ドル (−45.30ドル:−3.55%)
引け後の取引では、更に6ドル下落し、1223.80ドルまで売られてきています。

プラチナ
終値 1303.70ドル (−46.80ドル:−3.47%)
引け後には1299.50ドルまで売られ、1300ドル台を割ってきています。

両方とも下落率は3.5%程であり、それほど下がったわけではありませんが、反発らしい反発がない状態になっており、買いが入れば即売られるという状況になっています。

今の市場を見ますと、今後、中国国内で金融危機が進み、資金繰りに困った中国政府が、米国債と金を投げ売りしてくることも考えられます。

また、ファンドの損失も膨らんできており、経営破たんするファンドが続出することになるでしょうが、すでに解約できないファンドも出てきていると噂されています。

金は世界的金融緩和バブルがはじけ、昔の一オンス600ドル台に戻る過程に入っており、高値から下がったとは言え、今後更に半値になることは避けられませんが、長い時間をかけ上げてきた金相場ですが、下落する際には
短期間で一気に調整する筈であり、今年中にこの半値達成となるかも知れません。
まさに暴落が市場を襲うことになります。

金融崩壊は安全資産と言われた金から始まっています。

 

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01. 2013年6月27日 20:03:49 : e9xeV93vFQ
2013年6月27日
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(361KB)
金の下落余地〜急落の真の理由〜

先週からの中国本土株の急落に日本株市場が一喜一憂しているが、中国株と同様に大幅に下げているのが金先物価格である。NY商業取引所での金先物価格(8月限)は1,229ドルと前日から大幅安となった。

過去約2年、金先物価格は、国際商品市況のインデックスであるCRB指数とほぼ連動して価格下落が続いていた。金はいくつかの特性を持つが、この期間は、原油や他の金属と同じあるいはその一部と認識され金価格は動いた。「世界のモノの価格」への期待を反映して金価格は動いていたわけだ。

ところが4月半ばの中国GDP統計発表などをきっかけに、商品市況全般と比べて金先物価格の下落が顕著になった(グラフ参照)。そして、今週中国株の急落で中国経済への懸念が高まり、これが金価格を再び押し下げる格好になっている。中国への思惑が金価格に大きな影響を及ぼすのは、中国やインドなどの新興国が「揺るがない買い手」であるという、金市場独特の需給ストーリーが信じられているからだ。

金相場の専門家ではない筆者は、このような「金の買い手は途絶えない」というストーリーは幻想だろうと常々感じていたが、このユーフォリアがようやく崩れつつあるということなのかもしれない。

一方で、先に示したグラフをみると、今の中国経済や金融市場の混乱が一服すれば、足元で他の商品市況と比べて大きく売られている金には投資妙味がある、という考えもでてくるだろう。中国当局が、金融システムや短期金融市場を制御する政策を実行に移せば、中国株や中国への懸念で下げた金もリバウンドするということだ。

それがいつ起きるかは予想できないが、そうした展開に期待するにしても、その場合の投資対象は金よりも、中国株の方が高いリターンが見込めるのではないかと考えている。というもの、先のグラフの時間軸でみると金価格の下げが目立つが、グラフを2009年から遡ると全く違った姿になるからである(グラフ参照)。

2011年前半まで金先物価格は、CRB指数つまり原油などとほぼ同様のペースで上昇していた。ただ、同年半ばの欧州債務問題再燃や米国債格下げで、先進国通貨(金融システム)への不安を背景に、金が約1,900ドルまで急騰し両者の乖離は大きく広がった。この時、金はインフレへの思惑よりも、「既存通貨からの逃避先」「究極の安全資産」という側面で暴騰したのである。

ただ混乱が落ち着くと、金は、国際商品市況の一部として日々動くようになった。そして、今足元で起きている下落は、中国への警戒が引き金となっているが、2011年半ばに「安全資産」として上がりすぎた分が、打ち消される過程に入ったと見ることができる。

また、「安全資産」としての金価格の下落と今同時に起きているのが、同様に安全資産である「米国債」の価格下落(金利上昇)である。米国金利上昇のきっかけは、米FRBの政策転換への思惑だが、この金利上昇は、世界経済・金融市場が正常化の過程を辿っていることを反映している面もある。

最近の金価格の下落には、最大の買い手である中国の混乱という需給要因だけではなく、リーマンショック後に、米国を中心に世界経済が正常化するプロセスがゆっくりと進んでいる、という大きな流れが背景にある、ということである。

この仮説が正しければ、金先物価格は、2009年以降のグラフでみて、CRBと同等の1,200ドル割れの水準まで下落する余地がある。そしてこのプロセスが続くなら、安全資産の代わりに、リスク資産の本命である株式へ世界のマネーは向かうことになる。

 


 


2013年6月27日
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リスクとの付き合い方 PART1

リスクと不確実性

アメリカの経済学者フランク・ナイトは、確率によって予測できる「リスク」と、確率的事象ではない「不確実性」とを明確に区別した。簡単にいうと、計算やデータによってある程度予想がつくことの不確かさを「リスク」と呼び、計算しても答えの出ないこと、まったくの当てずっぽうで選ぶしかないような問題を本当の「不確実性」としたのである。

イーヴァル・エクランドも『偶然とは何か - 北欧神話で読む現代数学理論全6章』の中で同様のことを述べている。「確率論的なリスク」と「無知のリスク」を区別しようと。確率論的なリスクとは、ふつうの確率計算から出てくるリスク、無知のリスクとは、これから起こることについての情報の欠如からくるリスクである。

エクランドによれば、人は無知のリスクよりも、確率論的なリスクのほうを抵抗なく受け入れる。しかし、実際にはこれらのリスクは渾然一体となっていることが多いという。そこが重要なところだ。ナイトの定義による「リスク」と「不確実性」、エクランドがいう「確率論的なリスク」と「無知のリスク」、それらは本来は別物なのだが、実際に我々が捉え得る感覚では、それらは渾然一体となっているのである。

先般のFOMC後、バーナンキ議長が量的緩和の縮小に言及して以来、世界の金融マーケットは動揺の度合いが増している。ドルに回帰する流れが強まり、新興国市場からの資金流出が鮮明となっている。そこに中国の銀行間市場での資金逼迫懸念、いわゆるシャドーバンキング規制による金融市場の混乱という問題が重なって、グローバルにリスク回避の動きが加速している。

ここでは「リスク」と「不確実性」がごっちゃになっている。FRBの金融緩和の縮小 - それは極めて計画的なイベントであり、その結果マーケットが辿るパス(道筋、展開)は一定の範囲内に収まるだろう。どのパスを辿るかは、無論、現時点ではわからないものの、ある意味、確率論の範疇である。一方、中国の金融市場の混乱は「不確実性」の部類である。これから起こることについての情報の欠如からくるリスク、無知のリスクだ。情報や分析は、いろいろ届く。しかし、わからないことのほうが圧倒的に多い。我々が - 少なくとも僕が - 入手可能な情報は、すべて第三者からの「伝聞」 - 言ってみれば「聞きかじり」に過ぎない。この問題について僕は知見を持ち得ない。

では知見を持ち得ないと投資はできないか、と言えば、そんなことはない。完全に無知の状態から純粋に確率論的な状況まで、不確実さのあらゆる段階を連続的に目盛りに置くことができる。完全に無知のリスクと確率論的なリスクを合算して、統合されたリスク度合いをイメージすればよい。重要なことは、この2つのリスクを渾然一体、ごちゃ混ぜにしないで、区別したうえでトータルな不確実の度合いを自分で認識することである。

リスクオフなのか?

と、ここまでは極めて観念的、抽象的な話であった。レポートのイントロダクション、「前置き」として読んでもらえばよいと思う。「この2つのリスクを渾然一体、ごちゃ混ぜにしないで、区別したうえでトータルな不確実の度合いを自分で認識すること」とは言うものの、具体的にどうするんだ?と聞かれたら答えようがない。では、具体的じゃないからダメ、抽象的なものはわかりにくいからダメかというと、そうではないと僕は思う。ああ、どんどん本論から遠ざかっていくようだ。このままではいつまでたってもマーケットの議論に辿りつかないので、これ以上、抽象的な話をするのはやめにする。どうして具体的な話より抽象的な話のほうが大切か、という点については、森博嗣『人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか』(新潮新書)を一読されることを勧める。


ところで、バーナンキ・ショックにチャイナ・リスクが重なって、「グローバルにリスク回避の動きが加速」と上述した。しかし、果たしてこれは「リスクオフ」なのか。確かに新興国市場の通貨や株式市場は急落している(グラフ1)。しかし、これまでさんざん金融市場の足を引っ張ってきた欧州債務危機を象徴する南欧諸国の国債利回りは、それほど上昇していない(グラフ2)。「恐怖指数」として知られるシカゴのボラティリティ・インデックス(VIX指数)も一時年初来高値をつけたとは言え、水準感としては全然低いままだ(グラフ3)。そして、過去いわゆるリスクオフの局面では代表的な安全資産として逃避資金の受け皿となってきた金、そして米国債が売られている(グラフ4)。


こうした株、債券、商品などほぼすべての資産が売られる状況について「グレート・リクィデーション」(リクィデーションとは流動化とか換金とかの意味)というような言葉まで、囁かれ始めている。

しかし、もう一度、問う。これは「リスクオフ」なのか。そうではないだろう。株、債券、商品などほぼすべての資産が売られる状況といったが、そのなかにあってまったく売られていないマーケットがある。意外と思われるかもしれないが、原油市場である。グラフ5はニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物のチャートだが、ご覧の通りまったく売られてない。ずっとレンジ相場が続いている。25日、75日、200日の移動平均線が収斂しているのが分かるだろう。


一時は荒い値動きの象徴ともされたコモディティの代表選手、WTIの価格がびたっと横ばいで安定し、恐怖指数と呼ばれるVIX指数は17という水準。200日移動平均が15だから、ほとんど過去1年間の平均的なレベルにある。そして、昨日のNYダウ平均の終値は14,910ドル。史上最高値が15,409ドルだから最高値から500ドル下の水準。500ドル下げたとは言え、率にすればわずか3%下げただけである。つまり、米国株はほぼ史上最高値圏にある。これのどこが「リスクオフ」なのだろう。


同じ期間をとってボラティリティ指数を比較しよう。株式のボラティリティ指数であるVIX指数(グラフ6)と米国債のボラティリティ指数であるMOVE指数(Merrill Lynch Option Volatility Estimate Move Index、グラフ7)、それぞれ過去1年の推移である。株は動揺していない。動揺しているのは債券である。


債券については国債だけでなく社債からハイ・イールド債まで軒並み急落している。顕著に売られているのは、これまで資金偏重とも言えるほど資金が流れ込んでいた債券市場である。今起きていることは、リスクオフではなく、無論、「グレート・リクィデーション」でもなく、債券から株式に資金がシフトする、いわゆる「グレート・ローテーション」が本格的に起きる前の、ちょっとした踊り場に過ぎないと考える。


02. 2013年6月27日 20:11:10 : nJF6kGWndY

金超暴落もグレートローテーションも極端なシナリオ

単に、これまで過大だったインフレ期待が剥げ、巻き戻しているだけかもしれない


03. 2013年6月28日 10:26:38 : niiL5nr8dQ

JBpress>海外>Financial Times [Financial Times]
コモディティー・スーパーサイクルの死
商品相場や鉱業株の急落はほんの手始め?
2013年06月28日(Fri) Financial Times
(2013年6月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


この1週間の出来事から、コモディティー業界に不安の波紋が広がった(写真はオーストラリアの鉄鉱石採掘現場)〔AFPBB News〕

 コモディティー(商品)の「スーパーサイクル」は死んだ。中国の急成長を原動力に価格が果てしなく上昇する時代が終わったかどうか、まだ疑問に思っている人がいたとしたら、この1週間の出来事が間違いなく疑いを払拭したはずだ。

 米連邦準備理事会(FRB)が「量的緩和」プログラムの縮小をほのめかした後の米ドル高騰と、中国での流動性逼迫への懸念が相まって、コモディティー業界に不安の波紋が広がった。

 では、投資家はどうすべきなのか? その答えは、見た目ほど明白ではないかもしれない。大半のコモディティーの価格は既に劇的に下げている。2011年に高値をつけてから、銅価格は35%下げ、鉄鉱石の価格は40%、金の価格は36%下落した。

鉱業株の空売りはもう遅い?

 クレディ・スイスのコモディティー販売部門を率いるカマル・ナクビ氏は言う。

 「投資家は大抵、原材料需要の減退を見込んだポジションを取ってきた。だが、今はその取引の終わりに近づいている。ここから先、確信を持って金属を売りに回るかどうかについては、顧客は、人々が織り込んできたよりも需要が弱いか、供給が多いか、あるいはその両方だという裏づけを待っている」

 コモディティー生産者の株価は、相場以上に激しい圧力にさらされてきた。アングロ・アメリカンの株価は2011年の高値から64%下落し、ヴァーレは45%、カザフミスは85%下げた。

 ジェフリーズの金属・鉱業専門家、ジェイク・グリーンバーグ氏が言うように、「もし誰かが今の段階でスーパーサイクルの終焉というテーマに基づき投資を行っているのだとすれば、鉱業株の空売りパーティーには少し遅い」ということになる。

 コモディティーの弱気筋としては、どうすべきなのか? 一部のトレーダーとヘッジファンドは今、コモディティーのスーパーサイクルの終焉から利益を得るために、少々難解なチャンスを模索している。

 コモディティーに特化した香港のヘッジファンド、HFZキャピタル・マネジメントのポートフォリオマネジャー、スコット・ホバート氏は、コモディティーブームで儲けてきた産業や経済の中には、まだ金属価格や鉱業株で起きた急落を免れてきたところがあると言う。

 なおかつ、スーパーサイクルの終焉は一部の産業に対し、鉱業企業以上に激しい影響を及ぼす可能性が高い。鉱業会社の利益が落ち込むにつれ、新たな鉱山に対する投資は恐らくもっと早いペースで落ち込む。実際、この1年というもの、鉱業セクターの経営者の発言の多くは、もっぱら設備投資の削減に関するものだった。

 オーストラリアの資源・エネルギ−経済局(BREE)は最近、同国内では過去1年間で1500億豪ドル(1390億米ドル)相当の資源開発プロジェクトが中止ないし延期されたとの試算をまとめた。シティグループは、鉱業分野の世界の設備投資は2015年までに昨年より30%減ると予想している。

鉱業大手の投資削減でサービス会社にダブルパンチ

 こうした投資の減少は、パワーショベルやドリルビットのメーカーからオーストラリアの奥地で仮設住宅を提供する会社に至るまで、鉱業企業にサービスを提供することを生業とする企業にとって悪い前兆だ。

 「鉱業企業は最初にサイクル逆転の痛みを感じたが、我々の見るところ、それはインパクトの第一ラウンドに過ぎない」とホバート氏。「ほかのセクターと経済への波及効果はかなり激しいものになる」

 実際、鉱業サービス業界はちょうど、最初の大きな犠牲者を出したところだ。シドニーに上場しており、鉱業セクターに部品と専門労働者を提供するオールマイン・グループが6月21日に破産申請したのだ。同社株は年初から75%下落していた。

 だが、ホバート氏は、ほかの鉱業サービス企業はまだ過大評価されていると考えている。鉱業企業による支出の削減は、鉱業サービス企業に2通りの打撃を与える。これらの企業の受注を減らすが、各社が提供する装置やサービスの値下げも強いることになるからだ。

 シティグループの金属・鉱業調査部門を率いるヒース・ジャンセン氏は「サービス企業については、業況悪化の2つの側面が見られた。仕事の量が減った一方で、価格決定力が低下しつつある。市場では今、入札競争が激しくなり始めている」と言う。

 鉱業サービス業界大手のアトラスコプコは今年第1四半期の受注が2011年同期比で15%減少したと述べた。同業大手のサンドビックは、受注が18%減少したと話している。また、シティグループが調査を行った鉱業企業の81%は、今年、サプライヤーと価格を再交渉するつもりだと答えている。

 「私の見るところ、この先3〜4年はコモディティーの価格設定が下がる時期に入り、その結果、鉱業サービス業界への依存が急激に下がるだろう」。HFZのホバート氏はこう述べ、「これは鉱業サービス業界が大きな潜在生産能力を抱えている時に起きているため、明らかに非合理な価格設定と利幅の激減のリスクがある」と指摘する。

 ホバート氏は、米国に上場しているオイル・ステーツ・インターナショナルを引き合いに出す。同社の本業は、石油・鉱業プロジェクトの労働者に仮設住宅を提供することだ。苦境に喘ぐクイーンズランドの石炭鉱業で大きな事業を手がけているにもかかわらず、同社株は今年28%上昇してきた。

雇用喪失などの社会的影響は始まったばかり

 だが、コモディティーブーム終焉の影響は、地域・国全体に劇的なインパクトを与える可能性がある。4月半ば以降、豪ドルは既に12%下落し、南アフリカの通貨ランドは14.5%下げている。

 しかし、支出削減の社会的影響はまだ始まったばかりかもしれない。アングロ・アメリカンの最高経営責任者(CEO)、マーク・カティファニ氏は26日、豪州鉱業協会(MCA)で行ったスピーチで次のように述べた。

 「過去12カ月間だけで、ニューサウスウェールズとクイーンズランドで9000人近くの鉱業労働者の雇用が失われた。現在のメディア報道からすると、この数字は今後、急激に大きくなりそうだ」

 マッコーリーのコモディティー調査部門を率いるコリン・ハミルトン氏は「パースの不動産でデフォルト(債務不履行)が生じ始めるだろう」と話している。

By Jack Farchy and Javier Blas


 


 


 


インドネシア:燃料補助金で揺れる経済と政治
2013年06月28日(Fri) The Economist
(英エコノミスト誌 2013年6月22日号)

経済的には妥当だが、政治的には難あり。


インドネシアのスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領〔AFPBB News〕

 どこでもそうだが、もしかしたらインドネシアでは特に、政治家はガソリン価格を引き上げる時には身の破滅を覚悟するしかない。

 それゆえ、インドネシアのスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領と議員らが選挙まで1年を切った状況で大幅値上げで合意したことは、燃料補助金が東南アジア最大の経済国にもたらしている痛みの大きさを物語っている。

 6月17日、インドネシア下院は1リットル当たりのガソリン価格が現在より44%高い6500ルピア(66セント)、軽油が22%高い5500ルピアになることを前提とした政府予算案を承認した。野党はこの予算に反対票を投じた。連立与党の一員である福祉正義党(PKS)も反対に回った。

 議会の外では警官隊と抗議者が衝突し、今後も暴力行為が続く可能性が高い。それでもユドヨノ大統領は6月中に燃料値上げに踏み切る見通しだ。

 議会は低所得の1550万世帯に対する9兆3000億ルピアの補償給付金の支給を承認した。4回にわたって月間15万ルピアずつが支給されることになる。

すべての人に苦痛を与える燃料値上げ

 だが、燃料価格の引き上げは、すべての人に苦痛を与える。政府は、燃料値上げが今年の消費者物価上昇率を7.2%に押し上げる一因となると見ている。7.2%のインフレは2006年以来の高さだ。一方、政府は2013年の国内総生産(GDP)の成長率予想を6.8%から6.3%に下方修正した。

 だが、燃料価格を放置した方がひどいことになる。直近で価格が変更されたのは2009年1月、原油1バレルが世界市場で45ドルで売られていた時のことだ。これに対し、現在の原油価格は1バレル100ドル前後だ。また、その間、より多くのインドネシア人が自動車や2輪車を買えるようになり、燃料の消費量が急増した。

 チャティブ・バスリ財務相は、補助金を削減する対策を何も講じなければ、政府の財政赤字が今年、GDP比3.8%まで膨らみかねないと警告していた。燃料価格を引き上げた後でさえ、2012年にGDP比1.8%だった財政赤字は2.4%まで拡大すると見られる。燃料補助金には、199兆9000億ルピア、歳入の13.3%相当のお金がかかる見通しだ。


 それ以上に懸念されるのは、石油輸入が国際収支に与える影響だ(図参照)。

 インドネシアが2000年代半ばに石油の純輸入国に転じて以降、同国の石油輸入費は4倍近くに膨れ上がり、390億ドルに達した。

 輸出が好調だった時でさえ、その負担は大きかったが、今ではインドネシアのコモディティー(商品)輸出は落ち込んでいる。

 昨年、インドネシアは1997年以来の経常赤字に転落した。外貨準備は過去2年間でほぼ200億ドル減少した。また、ルピアの対ドル相場は2011年半ば以降15%下落し、中央銀行は今月、16カ月ぶりに利上げに踏み切ることを余儀なくされた。

来年の選挙に向けて難しい舵取り

 インドネシアは2014年4月に議会選挙を、また同年7月に大統領選を実施する。有権者は補助金削減について政府を罰するかもしれない。ユドヨノ氏率いる民主党は2008年にも燃料価格の値上げに踏み切った。2009年の選挙前に石油価格が下がると、燃料費は再び引き下げられたが、補償給付金の支払いは継続された。そのおかげもあって、ユドヨノ氏は地滑り的な勝利を収めた。

 再びそうした逆転劇を起こすことができなければ、ユドヨノ氏率いる連立政権はもっと早くに手を打たなかったことを後悔するだろう。昨年、ユドヨノ氏は燃料価格を引き上げようとしたが、議会の抵抗に遭うと、尻込みした。

 その後、ユドヨノ政権は値上げを避けるために燃料の消費量を抑える方策に思い巡らし、無駄に時間を費やした(“妙案”の1つが、ジャカルタを走るすべての自動車にマイクロチップを搭載し、1日当たりの燃料購入を3リットルに制限するというものだった)。

 インドネシアの政治家は今でも、過去の燃料価格引き上げの記憶に身を震わせる。32年に及んだスハルト政権が1998年に終わりを迎えたのは、国際通貨基金(IMF)の指示による燃料値上げ後の市民の抗議行動が大きなきっかけだった。

 ユドヨノ氏の6党連立政権は、この問題で完全に二分されている。野党とともに反対票を投じる前、PKSは補助金削減を支持することに同意したとされていた。ユドヨノ氏は今後、自身の内閣からPKS出身の閣僚3人を追放し、連立政権にさらなる対立を生む危険を冒すかどうか決めなければならない。これもまた、来年の選挙を前に避けたかった決断だ。



04. 2013年6月28日 11:11:13 : niiL5nr8dQ

 
米国の一部大都市、住宅バブルのリスク=ロバート・シラー氏
2013年 06月 28日 10:19 JST
[27日 ロイター] - 米S&P/ケース・シラー住宅価格指数の共同開発者ロバート・シラー氏は26日、米国の一部の大都市で住宅価格が大幅に上昇しており、新たなバブル発生のリスクがあるとの認識を示した。

ラスベガス、ロサンゼルス、サンフランシスコ、マイアミ、フェニックスで、住宅価格が上昇しており、バブル発生のリスクがあるという。域外から大量の投資資金が流入していることが一因。

同氏はロイターに「こうした都市ではバブルのリスクがある。住宅価格が大幅に上昇している。前回のバブルの初めの頃のようだ」と述べた。

こうした都市では、住宅在庫が低水準で、ウォール街の投資家がキャッシュで住宅を購入しており、今後1年間価格が上昇した後、下落に転じる可能性があるという。

S&P/ケース・シラー住宅価格指数によると、4月の主要20都市圏の住宅価格は前年比12.1%上昇と、7年ぶりの高い伸びとなった。

地域別では、サンフランシスコが24%上昇、ラスベガスが22.3%上昇、フェニックスが21.5%上昇、ロサンゼルスが19%上昇、マイアミが13%上昇だった。

 


 
 

 
 
5月鉱工業生産は前月比+2.0%、4カ月連続の上昇
2013年 06月 28日 10:25 JST
[東京 28日 ロイター] - 経済産業省が28日発表した5月鉱工業生産指数速報は前月比2.0%上昇の97.8となり、4カ月連続の上昇となった。ロイターの事前予測調査では前月比0.2%上昇と予想されていたが、発表数値は予想を上回った。生産予測指数は6月が前月比2.4%低下、7月が同3.3%の上昇となった。

経済産業省は生産の基調判断を「緩やかな持ち直しの動きがみられる」として据え置いた。   業種別にみると、はん用・生産用・業務用機械工業、電気機械工業、化学工業などが上昇した。  鉱工業出荷指数は前月比0.8%上昇、在庫指数は0.3%低下だった。

生産は今年2月以降上昇に転じ、4月まで毎月1%程度の上昇を続けてきた。自動車生産の回復に伴い、鉄鋼や非鉄など素材産業も緩やかに上昇、電子部品・デバイスなども持ち直していた。

5月は4カ月連続で上昇となり、伸びが拡大した。

一方、6月の生産予測はマイナスとなっている。

鉱工業生産について市場では「季節調整の歪みがあるので、5月のプラス2%というのは割り引いてみるべきだが、生産は上向き方向だ。円安効果に加え、米国を中心に海外景気が底堅く、電子デバイスなど部品の生産が伸びている」(シティグループ証券チーフエコノミストの村嶋帰一氏)と指摘されている。

(ロイターニュース 中川泉;編集 山川薫)

 

5月CPIは7カ月ぶりマイナスから脱出:識者はこうみる
2013年 06月 28日 10:12 JST
[東京 28日 ロイター] - 総務省が28日午前8時30分に発表した5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コア)は前年比0.0%の100.0となり、前年同月と同水準だった。

前年同月比でマイナスから脱したのは7カ月ぶり。ロイターがまとめた民間予測は0.0%だった。

市場関係者の見方は以下の通り。

●6月プラス浮上も、その後はあまり動かず

<みずほ証券・チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏>

想定通りのコースをたどっている。5月に今回下げ止まって、6月にプラス0.2%前後に浮上するという、エネルギー主導の動きがはっきり見えている。

小幅プラスに乗ってくること自体は、フォーキャスト調査結果や各社エコノミストの見通しから織り込んでいるので、きょうの数字に対するマーケットの反応はないだろう。

この先については、個人的にはプラス0.2─0.3%ぐらいであまり動かなくなり、プラス圏には顔は出すものの、プラス幅はあまり拡大しないとみている。

ただ、国際商品市況の変動や為替の影響で、たとえばプラス幅の拡大が2カ月続くようなことが起きてくると、債券市場は敏感に反応しそうだ。債券市場は2%目標の達成は難しいとみているので、見通しに対する不安が台頭してくれば売りで反応する可能性が高い。

●想定通り、7─9月輸入物価押し上げ幅に注目

<SMBC日興証券・債券ストラテジスト 岩下 真理氏>

5月全国消費者物価指数(CPI、除く生鮮)は、前年比0.0%と想定していた通りの内容。円債の反応は限定的だろう。

テレビ値下げ幅の縮小の影響が、東京都区部に比べて小さかったことが確認できた。食料・エネルギーを除く指数が同0.4%低下と依然して弱い。

今後は、電力料金などで、円安による物価上昇がじわじわ効いてくる可能性がある。外部環境の変化によって、7─9月期に物価押し上げ幅がどの程度になるのかが重要。また、来週発表の日銀短観で、価格判断DIが現状、および先行きについて注目される。

●もう一段の押し上げに賃金上昇が不可欠

<マネックス証券 チーフ・エコノミスト 村上 尚己氏>

5月の全国コアCPIはゼロ%まで回復したが、コアコアではマイナス0.4%と、まだデフレ圧力は残っている。徐々にプラスの方向に向かうとみているが、2年で2%は難しいだろう。

足元では円安によるエネルギー価格の上昇がCPIを押し上げているが、持続的にもう一段上げるためには、やはり賃金が上昇してくる必要がある。

 

 

EU首脳会議、80億ユーロの若者向け失業対策で合意
2013年 06月 28日 11:00 JST
[ブリュッセル 27日 ロイター] - 欧州連合(EU)首脳会議は27日、若者の失業対策に総額80億ユーロを充てることに合意した。若者の失業率は、ギリシャとスペインで60%前後、イタリアとポルトガルでも40%を越えている。15─24歳の失業者は600万人近くに達しており、「失われた世代」とも呼ばれている。

対策予算は2月時点の60億ユーロから80億ユーロに増額された。新卒・失業から4カ月以内の若者に職を斡旋したり、職業訓練や見習いを支援する。期間は来年から7年間。最初の2年間に予算を重点配分する。

エコノミストは、今回の対策について、対外的な宣伝にすぎないと批判。首脳からも、加盟各国が対策を講じなければ、効果は薄いとの声が出ている。

 

 


JBpress>海外>Financial Times [Financial Times]
欧米の自由貿易交渉、「バイアメリカ法」が大きなハードルに
2013年06月28日(Fri) Financial Times
(2013年6月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 メリーランド州のベテラン議員、ロン・ヤング氏は、同州が今年成立させた「バイアメリカ法案」を推進しようと思ったきっかけは「ユーチューブで見たもの」だったと話す。

 ABCのニュース映像は、モンタナ州の住宅建築業者を特集していた。その会社では、米国製の資材を見つけるために、秘書が1年かけて国中に電話したという。この取り組みは成功し、その住宅の建設費は通常より1%高くなっただけだった、とヤング氏は話す。

 「私はこう考えたわけですよ。ここで雇用を創出し、雇用を取り戻すためには、我々がもう1度、米国で製品を作る以上に手っ取り早い方法があるものか、とね」。72歳のヤング氏は、ワシントンから北西に車で1時間ほど行ったフレデリックの地元の事務所でこう話す。

各州に広がるバイアメリカ法、EU側が問題視

 パリに本部を置く、成長促進に尽力する先進国クラブ、経済協力開発機構(OECD)によると、一般政府調達は米国の経済生産の10%以上を占めるという。

 そのため、バイアメリカ法案――可能な場合は外国製品ではなく米国製品を選択することをメリーランド州に義務付ける、ヤング氏が支持したものと同様の法案――の広がりは、欧州連合(EU)の高官らが来月始まる貿易交渉で取り除かれることを望んでいる障壁だ。

 「我々が一連の交渉で確立しようとしているのは自由貿易だ。すべての分野でそうすることは不可能だが、それが全体的な目標だ。そして自由貿易とは、欧州の製品・サービスと米国の製品・サービスを差別しないことを意味する」。ワシントンを拠点とするあるEU高官はこう話す。

 「我々にとってこれが争点になるのは、欧州では、調達を加盟国間の貿易を開放する手段として使ってきたし、そうする際に外国人を差別しなかったからだ」

 州レベルのバイアメリカ法を追跡している米国企業のロビー団体「全国貿易協議会(NFTC)」によると、こうした法律は今年4倍に増え、提出された法案が2012年の5本から2013年は20本以上に上っているという。

 昨年は、オハイオ州で新たなバイアメリカ法案が成立した。メリーランド州のほかにも、今年は複数の州で同様の法案が承認されそうになっており、来年は前進するかもしれない。

 メイン州の州議会上院が今月、独自のバイアメリカ法案を成立させた一方、テキサス州は先月、水道事業に適用される法案を承認した。

オバマ政権にジレンマ

 相次ぐバイアメリカ法は、オバマ政権にとって貿易交渉におけるジレンマになっている。

 一方では、米国の交渉担当者はこれを利用し、自国映画産業の保護を求めるフランスの要求など、EU側が求める適用除外に対する報復として、米国の調達の切り離しを模索できるかもしれない。他方、バイアメリカ法は、米国政府が欧州での自由化推進を訴えることを難しくし、米国を守勢に立たせる恐れもある。

 通常は、州政府の間で貿易協定締結に対する支持を増やすのは米国通商代表部の仕事だが、それが成功するかどうかは不透明だ。

 バラク・オバマ大統領の民主党にとって政治基盤の重要な要素になっている労働組合の多くは、バイアメリカ法を支持している。組合は貿易協定に懐疑的で、調達を開放する積極的な試みが見られた場合には、組合の反対が燃え上がり、連邦議会で協定が承認される見通しに問題を突き付けるかもしれない。

 憲法上、州の財布の紐を管理する権利は州政府にあると定められていることから、米国の貿易交渉担当者は、説得する以外、州レベルでの変化を強要する力をほとんど持っていない。また、オバマ政権は、輸送インフラのような分野で連邦政府の調達規制を緩和するかどうか決断しなくてはならない。

米国の経済団体はバイアメリカ法案の悪影響を懸念

 米国の経済団体は、州レベルの取り組みは貿易交渉の範囲を制限し、米国企業が欧州で政府契約を巡って競争するのを妨げる可能性があると主張し、バイアメリカに反対する独自のキャンペーンを展開している。

 NFTCの副会長、ダン・オフラハティ氏は言う。「バイアメリカ法案が広がり続ければ、欧州各国は、『ちょっと待ってくれ、そっちがオハイオ州をくれないなら、こっちもバイエルン州は渡さない』と言うだろう」

 多くの州の経済開発担当官たちは、バイアメリカ法案が地元の輸出業者を傷つけるかもしれないと危惧している。

 メリーランド州もその1つだ。同州のバイアメリカ法案に署名して成立させたマーティン・オマリー知事(民主党)は、今月のパリ航空ショーを訪れ、防衛分野を中心に、同州に本社を置く企業を宣伝していた。

州政府にも必要な細心の注意

 メリーランド州の商務経済開発局のボブ・ウォーカー副局長は、次のように話す。「私の個人的見解では、我々は(国内の供給業者の振興を図る)こうした善意の取り組みと、他国との貿易への悪影響になる可能性のあるものとのバランスを取るよう細心の注意を払わなくてはならない」

 一方、フレデリックではヤング氏が、EUと米国が交渉を開始しようとする中で、メリーランド州のバイアメリカ法が確実に生き残るようにしようと躍起になっている。

 「世界中で非常の多くの国が、我々が競争するのを妨げる保護主義的な措置を取っている」とヤング氏。「絶対にバランスが必要だと思う」

By James Politi

 


 


 

EU首脳会議、80億ユーロの若者向け失業対策で合意
2013年 06月 28日 11:00 JST
[ブリュッセル 27日 ロイター] - 欧州連合(EU)首脳会議は27日、若者の失業対策に総額80億ユーロを充てることに合意した。若者の失業率は、ギリシャとスペインで60%前後、イタリアとポルトガルでも40%を越えている。15─24歳の失業者は600万人近くに達しており、「失われた世代」とも呼ばれている。

対策予算は2月時点の60億ユーロから80億ユーロに増額された。新卒・失業から4カ月以内の若者に職を斡旋したり、職業訓練や見習いを支援する。期間は来年から7年間。最初の2年間に予算を重点配分する。

エコノミストは、今回の対策について、対外的な宣伝にすぎないと批判。首脳からも、加盟各国が対策を講じなければ、効果は薄いとの声が出ている。

 

 

 

8時間目 人はみな、「もうける」より「損したくない」

2013年6月28日(金)  小川 仁志

<ゼミのメンバー>
小川先生:42歳、市民との対話をこよなく愛する哲学者。
兼賀大治:56歳、お金が一番大事だと思っている投資が趣味のサラリーマン。
大飯奈弥美:30歳、消費と貯蓄の間で揺れる独身のキャリアウーマン
新実三郎:35歳、知的で現実主義的なビジネスマン。
大飯:株価が乱高下して、どうも落ち着きませんね。

兼賀:5月23日からの下げには焦ったよ。ついに暴落かと思った。

新実:誰もがギャンブルをしているようなものですからね。

小川:確かに、昨年末からの一本調子に近い急上昇は実体の伴わないマネーゲームではないのか、という疑問が露呈したのかもしれません。アメリカのバーナンキFRB(米連邦準備理事会)議長が、お金をジャブジャブ刷る量的緩和の縮小に触れるや否や、みんながさっと手を引こうとしたんですから。

大飯:でも、またすぐに持ち直しましたよね。

新実:だからゲームなんだよ。心理戦さ。「暴落じゃない。行きすぎが是正されただけで健全な値下げが起きたんだ」と考える人は、「もうこれ以上は下がらないだろう」と考える水準で買いを入れるんじゃないかな。

兼賀:げ、嫌だなぁ。まさに私のとった行動だよ。

小川:新実さんの言われるように、経済そのものが人間心理と大きく関係しているんですよね。行動経済学という分野がありますが、あれはまさにその観点から経済をとらえるものです。

新実:経済が人間の営みである以上、納得はいきますよね。

大飯:行動経済学では、どんなふうに考えるんですか?

小川:一言で言うとこういうことです。伝統的な経済学では、人間は合理的な存在として前提されてきました。ところが、実際にはそうではないということです。時に人間は合理的ではない行動をとる。それを前提に経済を考えるのが行動経済学です。

兼賀:人間は不可解な生き物だからなぁ。

大飯:それじゃあこれまでの経済学がまったく覆されてしまいますね。

小川:その通りです。例えば、これまでの経済学だと、利益を得た時の喜びのほうが、損をした時の悲しみよりも大きいと考えていました。ところが、数値をとってみると、実際にはそうではなかったのです。

 となると、国民はここでもっとお金を使うだろうと政府や日銀が予測していても、実は損失を回避するために行動に出ないという結果にもなりかねないのです。

兼賀:それ、分かるような気がするなぁ。私も慎重なほうなので。だから儲かってるんだけど。

新実:『日経マネー』2013年8月号で先生が紹介されてたダニエル・カーネマンが、行動経済学では一番有名なんですか?


ダニエル・カーネマン(1934〜)。心理学の知見をもとに、経済活動を分析する行動経済学の第一人者。ノーベル経済学賞受賞。『ダニエル・カーネマン心理と経済を語る』は2011年刊。
小川: そう思います。なにしろこれでノーベル経済学賞を受賞した人ですから。もともとは心理学者なんですよ。すごいことです。ちなみに私が研究員として在籍していたアメリカのプリンストン大学の名誉教授です。講演を聴いたこともありますが、心理学者らしい面白い切り口で話をされる方です。

大飯:カーネマンはどういうことを言っているんですか?

小川:彼の有名な理論としては、「プロスペクト理論」があります。人は利益を得るよりも損失を回避しがちであるということと、物事の発生確率について、客観的な数字よりも主観的な思い込みを重視するという主張です。

兼賀:素人の投資なんてそんなもんですよ。経済指標なんて本当はよくわからないし、新聞読んでて、今景気が上向きなんだとか、これから良くなりそうだとか、そんなレベルでなんとなく判断してる人が多いですよ。私の周囲には。

新実:ただ、みんなが同じように思ってると、客観的な数字がどうであれ、それが現実になるのが経済なんですよね。

大飯:それだと、うまく国民を扇動できる首相がいればうまくいきそうね。アベノミクスってもしかして扇動なのかしら。

兼賀:扇動とは言葉が悪いね。日本経済は「3本の矢」でうまくいきますよといって、国民が再び消費を始める。それによって幸福になるならいいじゃないか。

新実:そうとも言えないんじゃないですか? 小川先生が『日経マネー』で書いていたように、カーネマンの理論によると、もっと社会的接触を増やすほうが幸福になれるみたいですよ。

U指数、アンカーリング

小川:「U指数」の話ですね。つまり、人間が不快に感じる割合は、通勤や仕事で高いのに対して、社会的接触では少ないという理論です。だから私は消費機会を増やすより、社会的接触の機会を増やそうと提案したわけです。

大飯:最近のコミュニティ回帰みたいなものを考えると、それも理屈にかなっているような気がしますね。人間は本当は消費やお金儲けよりも、みんなと楽しく時間を過ごすだけで幸せになれるのかも。

兼賀:もし本当にそうなら、どうして私たちはそれに気づかないのかな。消費より社交のほうが本当は幸福になれるんだったら、皆そうしてるはずだよね。それで牧歌的で幸福な社会が実現しているはずじゃないの? でもそうはなっていない。

小川:これもまたカーネマンに言わせると、人間の不合理さのせいなのです。彼は「アンカーリング」と言っているんですが、要は固定観念のことです。消費のほうが快適に決まっているという思い込みが、本当の幸福を見えなくさせているんですよ。

兼賀:思い込みかー。固定観念ってのはなかなか取り払うのが難しいですからね。年をとるにつれてますますこびりついてきます。

大飯:誰か賢い人が本当に正しいことをお勧めしてくれる世の中がいいわ。

新実:おいおい、なかなか危険なことを言うね。

小川:そのお勧め社会を提案する理論もありますよ。リチャード・セイラーとキャス・サンスティーンの共著で『ナッジ』という本があります。

 ナッジとは、ひじでコツンとつついて、相手にそれとなくわからせることをいいます。つまり、明確に指示して誘導するのではなく、あくまで示唆することによって、相手を間接的に誘導する方法です。この発想を、政治哲学の世界では「リバタリアン・パターナリズム」と言います。

新実:リバタリアンとパターナリズムって、なんだか語義矛盾のような気がしますね。

小川:さすが新実さんらしい鋭い指摘ですね。そうなんですよ。リバタリアンというのは自由至上主義のことで、パターナリズムというのは、後見的に配慮することですから、一見反対の概念なんですよね。ところが、自由にやらせているように見えて、実はそれを誘導しているとしたらどうでしょうか? 

新実:なるほど。ナッジなわけですね。

兼賀:掌の上で踊らされてる孫悟空みたいだな。

「スキポールのハエ」は危険?

小川:そんなに悪い話でもないですよ。『ナッジ』の中に「スキポールのハエ」という話が出てきます。私も行ったことがあるのですが、スキポール空港のトイレには、男性用便器にハエの絵が描いてあるのです。そうすると、どうしてもそこをめがけておしっこをしてしまうのです。

 それでなんのメリットがあるかというと、おしっこが外に飛び出さないのです。あるいは、カフェテリアで健康メニューを前に出すという例があります。前に出ているので、ついつい選んでしまうわけですが、これも自分で選んでいるようで、実は健康になるように誘導されているわけです。

大飯:そういう社会がいいですね。自由にやっている気分でいられるのに、間違いを犯すこともない。

新実:結果オーライかもしれないけど、危険は危険だよ。問題はそれが本当の自由なのかってことと、誘導している人が本当に賢いのかどうかということだと思うな。

小川:自分が誘導されていることを分かっていて、それでも選んでいるなら自由と言えるのでしょう。だからいったん疑ってみることは必要かもしれませんね。本当に賢い人が誘導しているのかどうかについては、なんとも言えませんね。特に経済の話に戻すと、いくら賢くても、万能ではありえませんから。

 今回のアメリカの金融緩和の解除騒動でも分かるように、今や経済はグローバル化してしまっていて、一国だけではどうにもならないということです。地球の裏側の意外なことが原因で、急に振り回されることもありうるのです。

大飯:やっぱり色々情報を集めて、自分でしっかり考えるしかないんですね。

小川:そう、だから…。

大飯:哲学が必要っていつもの決めゼリフですね?

兼賀:ちょっと、先生に言わせてあげてよー。


元フリーター小川仁志の「お金の哲学」熱血ゼミ編


05. 2013年6月28日 11:42:39 : niiL5nr8dQ
【通貨コラム】ユーロが「円化」、過去最長の景気後退でも売られず

  6月28日(ブルームバーグ):ユーロ圏が過去最長の景気後退に陥る中で、ユーロは底堅さを見せている。その背景には過去最大に拡大した経常黒字やインフレ率の低下という円高進行時の日本に類似した構造があるとし、ユーロは「円化」しているとの見方が出ている。
先進10カ国の通貨で構成するブルームバーグ相関・加重通貨指数によると、ユーロ は3月末に比べ4.8%上昇。四半期ベースの上昇率としては2008年10−12月期以来の高さで、10カ国の中で最大の上昇通貨となっている。ユーロの対ドル相場は足元で1ユーロ=1.30ドル台で推移しており、ブルームバーグのアナリスト調査で昨年末時点に見込まれていた6月末の予想レートの1.28ドルを上回る。
過去最悪の失業率と緊縮策が内需の重しとなり、ユーロ圏は過去最長の景気後退に見舞われている。1−3月の域内総生産(GDP )は前期比0.2%減少と、6四半期連続のマイナス成長となった。ブルームバーグがまとめた金融機関の予想では、7−9月期まではマイナス成長が続く見通しだ。
ユーロ圏のインフレ率 は、5月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比1.4%上昇と4カ月連続で欧州中央銀行(ECB)が目安とする2%弱を下回った。一方、ユーロ圏の経常収支 は11年末に黒字に転換して以来、黒字額が拡大し、3月には259億ユーロとデータがさかのぼれる1997年以降で最大となった。4月は195億ユーロの黒字。
みずほコーポレート銀行国際為替部の唐鎌大輔マーケット・エコノミストは、「欧州経済が悪いが故にユーロが高くなっているということに理由を付けるには、結局デフレという話にもっていくしかない」と話す。経常収支の黒字も「ユーロ圏からお金が出て行っていないということの証左になる」とし、「『ユーロの円化』を考えなければ、ユーロの底堅さはなかなか説明がつかない」と語る。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 小宮弘子 hkomiya1@bloomberg.net;シンガポール Masaki Kondo mkondo3@bloomberg.net;東京 Mariko Ishikawa mishikawa9@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 yokubo1@bloomberg.net;Rocky Swift rswift5@bloomberg.net
更新日時: 2013/06/28 09:25 JST


円が対ドルで98円後半へ下落、株高で売り優勢-米緩和継続観測

  6月28日(ブルームバーグ):午前の東京外国為替市場では円が下落。前日の米国株に続き、日本株が上昇しており、投資家のリスク許容度が改善するとの見方から円売りが優勢となっている。
ドル・円相場は1ドル=98円台前半から一時98円70銭まで円安が進行。週初に付けた今月11日以来の円安値に並んでいる。ユーロ・円相場も1ユーロ=128円台前半から一時128円67銭まで円売りが進み、3営業日ぶりのユーロ高・円安水準を付けている。
IG証券の石川順一マーケットアナリストは、「欧米株の堅調さに加えて日本株も堅調さを取り戻しつつあるということでドル・円が98円台半ばを超えてきている」と指摘。「円相場に関しては特に日米株式との相関が強まっているので、その動向次第だ」と話す。
28日の東京株式相場は続伸して始まり、TOPIXは前日比2%を超える上げとなっている。
一方、ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.30ドル台前半でもみ合う展開となっており、午前10時35分現在は1.3040ドル前後となっている。
米量的緩和継続観測で株高
27日の米株式相場 は3日続伸。5月の中古住宅販売成約指数が約6年ぶりの高水準になるなど米指標が強めだったことに加え、米金融当局者が緩和維持を示唆したため、買いが続いた。
ニューヨーク連銀のダドリー総裁はニューヨークでの講演で、経済の成長ペースが金融当局の予想を下回った場合に資産購入が「ペースを速めた形でより長期間継続される」可能性があると述べた。また、アトランタ連銀のロックハート総裁は、バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長が年内に金融緩和策を縮小させる可能性があると発言したことに対して、投資家は過剰に反応した可能性があると話した。
石川氏は、流動性相場からファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)、業績相場への過渡期にある中で、「米景気回復期待の強まりと、バーナンキショックを緩和するような米金融当局者の発言という二重のプラス要因が米株式を包みつつある」と指摘。「それは日本株やその他の世界株式市場にもプラスの影響を与える可能性が高く、結果、株式との連動が高まっている円相場にとっては円安圧力が強まりやすい」と話す。
米国ではこの日、6月のシカゴ購買部協会指数とミシガン大学消費者マインド指数確定値が発表されるほか、リッチモンド連銀やサンフランシスコ連銀など地区連銀総裁の講演が予定されている。
一方、朝方発表された日本の経済指標はおおむね予想の範囲内で、為替相場への大きな影響はなかった。5月の全国消費者物価指数(CPI)で生鮮食品を除いたコア指数は予想と同じ前年同月比横ばいとなり、7カ月ぶりにマイナス圏を脱した。
三井住友信託銀行ニューヨークマーケットビジネスユニットマーケットメイクチーム長、海崎康宏氏(ニューヨーク在勤)は、「7月に参院選があるが、日銀も今は特に動きがないので、日本からの材料で円安というのは今は考えづらいところがある」と指摘。このため、ドル・円は今後ドルの動きにつられることになるとし、「米指標が強く、またドルが買われる展開になれば、もう一度上を試すことはある」とみている。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 小宮弘子 hkomiya1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 yokubo1@bloomberg.net;Rocky Swift rswift5@bloomberg.net
更新日時: 2013/06/28 10:35 JST


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