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ワタミ会長・わたなべ美樹の名言bot@watamismで、「365日24時間、死ぬまで働け。」という、これだけ取り出すと犯罪的なほどに過酷な、最近有名になった発言が、ツイッターでも出回っていた。Wikipediaでアウシュビッツ収容所を確認すると、その中に「ARBEIT MACHT FREI」という標語の写真があるが、これは、まさしく、この「365日24時間、死ぬまで働け。」に直結するものではないかと、直観した。
アウシュビッツ第一強制収容所の入口看板「ARBEIT MACHT FREI」 (働けば自由になる)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Auschwitz_entrance.JPGRT … RT
「ドイツ資本主義とナチズム」田野慶子(『資本主義はどこに行くのか』東京大学出版 三和良一他編)という論文があり、この類似は、単なる思い付きのレベルにとどまるものではない、なにか、いけない本質に触れるようなものといっていいレベルのものがあるように思う。タガの外れた資本主義が、ナチズムと区別がつかなくなる現象があることを、ヒトの経済現象の病理の明確なパターンの一つとして、しっかりつかんでおく必要があると思う。以下、上記論文から引用した文章に、ちょっとした注をつけたものを書き記しておく。これは、米国が、というよりも米国を中心とした多国籍大企業群が、非民主主義的な手段により強行しているTPPというものの本質が、いったい歴史的にはどのようなものとして考察できるのかについての、一つの材料にもなると思う。
1.「ナチスの政策により、ベンツ社の売上高は急速にのび」「戦時期の生産拡大は、多数の外国人労働者、戦争捕虜、強制収容所収容者による強制労働にささえられていた」
2.「ドイツの銀行がユダヤ人の企業を非ユダヤ人の所有に移し変える際に大きな利益を上げていた」「こうしたドイツ企業のあり方は、ホロコーストに象徴される反ユダヤ主義を、企業経営の面で実践していたとされている」
3.「軍部や、官僚の中には、ナチスに対する抵抗の動きがあったにもかかわらず、企業家や経済界においてそうした動向が一切存在しなかったという点である」
これが非常に大きな歴史的事実である。利潤を目指す経済界の場からは、歴史的に、人道尊重が駆逐される傾向があるということである。今でいえば、TPPがまさにそれだ。TPPは、ホロコーストに象徴される反ユダヤ主義ではなく、グローバリゼーションに象徴される汎アメリカ主義である。TPPの名のもとに虐殺されるのは、人ではないが、ローカルな法秩序や国民の権利、さらに、国家の統合性と尊厳である。
4.「ナチス体制下の加害者としての活動が企業利潤の増大をもたらし、第二次大戦後の各企業は、そうした利潤を基盤として成長していったという事実である」
マルクスなら、こういうのを、現代の原始的蓄積過程というだろう。
5.「ドイツ企業の発展過程において、ナチス経済は追い風の役割をはたしていた」「追い風の中での強蓄積を基盤として、各企業は、戦後成長の軌跡を進んでいった」「ナチス期から現在にいたるまでの資本主義の連続性を示している」
米国・日本でも似たような分析はできるだろう。これをもじれば、「アメリカ企業の発展過程において、TPP経済は追い風の役割を」果たすだろう。特に、保険や製薬、農業において。
6.「企業史研究は、ナチス期の企業蓄積の進展に注目することで、ナチス経済が合理性を持ったシステムであることを明らかにした」
レイシズムによる奴隷労働、分捕り、侵略・軍拡による市場拡大は、企業にとってはきわめて合理的かもしれないが・・・・。その合理性は、人権尊重や、国民主権、国際法理念を、叩き潰して得られる合理性である。
7.「各国は、世界恐慌の中で深刻な不況におちいり、経済停滞から脱出を可能とするような経済政策や経済システムを模索していた。それが、米国のニューディールであり、フランスのブルムの実験であった。だが、ナチス体制ほど、軍事に特化した資本蓄積システムが確立されることはなかった」
さすがのナチスとその裏の企業家たちも、今の米国の軍事、保険、金融に特化した、資本蓄積システムには、驚嘆の念をいだくに違いない。
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