http://www.asyura2.com/13/hasan80/msg/494.html
Tweet |
海運から見る世界景気 中国の停滞、長期化せず 商船三井社長 武藤光一氏
中国経済が力強さを欠く一方、米国は緩やかに回復し、東南アジアが台頭するなど世界経済が複雑さを増している。商船三井の武藤光一社長に海上輸送から見た世界景気を聞いた。
アジア貨物動く
――中国の景気がなかなか安定しません。
「日本は中国の成長率の鈍化に大騒ぎしているが、日本を上回る経済規模の国が、いまなお7%超の成長を続けている。それだけですごいことだ」
「1〜5月の鉄鉱石の輸入量は前年同期比4.7%増にとどまり、頭打ち感がある。ただ中国の建設投資は今後も続く。鉄鉱石の輸入もいずれ持ち直す。中国は様々な国の経験に学んでおり、日本と違い、バブルが崩壊して長い間停滞することはないだろう」
――消費の不振を懸念する声もあります。
「3月に中国企業を訪ねたとき、社員食堂で食事した。以前なら大きなホテルで食事会が開かれた。習近平政権が出した倹約令の影響だろうが、こうした動きは消費心理に影響しかねない。ただ欧州から輸入する高級車の荷動きには大きな変化は起きていない」
――日中関係がぎくしゃくしていることもあり、東南アジアの成長への期待が高まっています。
「アジア域内の貨物の動きが盛んになっている。日本や中国を含む域内の1〜3月のコンテナ船の輸送量は前年同期比で5.8%増えた。昨年の伸びは4.7%だった。原材料、半製品、製品の各レベルで相互依存が深まっている。2015年には東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済統合も予定されている。経済交流は一段と活発になり、貿易量も増える」
「ただアジアから米国への荷動きを見ると、6割強を中国が占める。中国はそれだけ大きく、日本が中国から他へシフトするのは限界がある。日中が政治面で歩み寄るのは簡単ではないが、日本経済を本当に活性化しようと思ったら中国抜きでは難しい」
欧州消費は低調
――米国の景気動向はどうですか。
「3月の住宅着工件数が4年9カ月ぶりに100万戸を超えたことは大きい。アジアから米国への貨物量は昨年は前年比で横ばいだったが、今年1〜3月は前年同期比で4%強増えた。建材から家具、バーベキューの器具まで米国に向かっている。米国はいまも移民が増えており、彼らは家を持つことがステータス。住宅建設はこれからも安定して伸びるだろう」
「米国に比べると、欧州は勢いがない。アジアからの荷動きは足元もマイナスが続いている。ロッテルダムに最近行ったが、スーパーや百貨店でモノが売れていない。欧州は経済に占める消費の比率が大きく、消費不振はコンテナの荷動きに直接響く」
――安倍晋三政権の経済運営をどう見ますか。
「輸出を大きく伸ばすほどの効果は出ていない。まだ湿った薪に火を付けようとしている段階だ。成長戦略はたくさん出てくるが、5年先や10年先に期待するようなものばかり。2年先に物価上昇率を2%にすることを目標にするのなら、成長戦略も2年後を的に矢を放ってほしい」
(聞き手は編集委員 吉田忠則)
むとう・こういち 「民間が元気に投資できる環境づくりが必要」と話す。59歳
[日経新聞6月17日朝刊P.3]
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。