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何度も書いてきたが、変動相場制における為替レートは、長期的にはインフレ率の差とりわけ輸出物価指数変動の差に規定される。
だから、短期及び中期は他の要因で振られることがあるが、長期では、デフレ状況にある国家の通貨はインフレ状況にある国家の通貨よりも高くなる。
(固定相場制では、輸出競争力を維持(高める)するために、競合(相手)国よりインフレ率を抑える政策が必要となる)
転載する日経の記事は、この間の株安や円高を5月22日のバーナンキFRB議長の量的緩和策縮小への言及と結びつけている。
しかし、バーナンキFRB議長の量的緩和策縮小への言及は、米国株安・世界商品市況安につながるものだから手持ち金融資産の入れ替えを誘うものではあっても、中期的に円高につながるものではない。
逆に、量的緩和策が縮小されれば、米国債の利回りが上昇し、長期金利全般も上昇することになるから、米国における量的緩和策の縮小は円安の要因となる。
黒田バズーカ砲による異次元緩和策が円安要因とされていることを考えれば、米国の量的緩和策縮小は、ドル高=円安要因であることがすぐわかるはずだ。
90円レベルの“円高”(円安と捉えるのが正しい)であれば、これまでの円安水準が行き過ぎたものであるとの認識から起きた是正の流れと考える方が素直だ。
株価も、円安→輸出企業収益改善という流れで高くなってきたのだから、円安が是正がされれば下がって当然である。
日経編集委員は、「日米経済が回復に向かうなかでリスク回避の円買いを続けることは、逆にリスクが大きい。それほど円買いの余地は限られるわけだ」と説明しているが、米国がディしインフレ基調とは言え、日本はデフレ状況が続いているのだから、長期的には円高傾向であることを忘れてはならない。
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[羅針盤]狭まる円相場の上昇余地
世界的にリスク回避の動きが強まるなかで、円相場と日経平均株価は4月4日に日銀が量的・質的緩和に踏み切った当時の水準にほぼ逆戻りしてしまった。5月22日にバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が量的緩和策の縮小に言及したことを機に始まった円高・株安の巻き戻しはいつまで続くのか。
今回の調整局面の特徴は、値動きが激しいことだ。日経平均株価が5月23日に前日比で1100円以上も下落したほか、円相場も振れ幅が1円を超える日が珍しくない。乱高下の背景にあるのは、短期的な売買を繰り返すヘッジファンドなどの影響が大きくなっていることだ。
ヘッジファンドの影響はどの程度なのか。野村証券の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストが円相場を基に、こんな試算を出した。
アベノミクス相場が本格化した昨年11月半ばの1ドル=82円台から、直近の安値である103円台まで21円程度の円安が進んだ。これを東京時間と欧米時間に分けると、円安分の約7割、15円程度が欧米時間に進んだ計算になるという。この大部分がヘッジファンドの売買だと仮定すると、池田氏は「ヘッジファンドの円売り解消で、90円程度まで円高が進む余地がある」と分析する。
13日には一時、93円台まで円高が進んだ。仮に今後もヘッジファンドが円を買い続けるとすれば、90円を超える段階で過去の円売りの利益確定ではなく、新たに円を買い増す必要が出てくる。ただ実際には、日米経済が回復に向かうなかでリスク回避の円買いを続けることは、逆にリスクが大きい。それほど円買いの余地は限られるわけだ。
米量的緩和の縮小観測に端を発した市場動揺に便乗する形で、値動きの荒い相場を主導したヘッジファンド。ただ一段の円高・株安を仕掛ける余地は確実に狭まっている。
(編集委員 小栗太)
[日経新聞6月16日朝刊P.13]
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