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「暗雲が立ち込める中国の経済状況」(EJ第3566号)
http://electronic-journal.seesaa.net/article/366018907.html
2013年06月12日 Electronic Journal
米パームスプリングスでの日米首脳会談──肝心なときにいつ
も新聞休刊日です。今どき百貨店でも休日なしなのに大新聞だけ
は揃って休刊です。まさに談合そのもの、分担を決めて交互に休
んだらどうかといつも思います。これでは、新聞社に「談合」を
批判する資格はありません。
米中会談での注目の尖閣諸島問題では米国はいつもの二枚舌で
対応しています。二枚舌とは次の2つのことをいいます。
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一枚目の舌:米国は他国の領土問題には関わらない
二枚目の舌:米国は尖閣諸島の日本の施政権認める
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一枚目の舌──「米国は他国の領土問題には関わらない」は中
国向けのメッセージです。そして二枚目の舌──「米国は尖閣諸
島の日本の施政権認める」は日本向けのメッセージです。これは
もし尖閣諸島で紛争が起きると、日米安保が発動されるという意
味です。しかしオバマ大統領は一枚目の舌しか使わないのです。
つまり、何もいっていない。ズルイのです。
米国は中国に対して多大の借金をしており、これからもしなけ
ればならないので、負い目があるのです。しかし、日本にも同様
に借金をしているのですが、日本にはあまり感謝の念はなく、当
たり前だと思っているのでしょう。
しかし、中国の経済には現在暗雲が立ち込めており、さまざま
な悪い情報がたくさん出てきています。6月8日のことですが、
中国の短期金利が急上昇したのです。
短期金利とは、償還期間の短い債券など期間の短い金融資産や
負債の金利のことです。短期金融市場は、インターバンク市場と
オープン市場に分かれますが、ここでいう短期金利は金融機関だ
けが参加するインターバンク市場の金利を指しています。資金の
足りない金融機関が資金の余っている金融機関から一時的に資金
を融通し合う市場です。コール市場ともいわれています。
中国の場合、銀行の預金金利と貸出金利は政府が金融政策とし
てコントロールしますが、短期金利は変動幅の制限がなく、銀行
の資金需要に応じて変動します。指標金利としては、上海銀行間
取引金利(SHIBOR/シャイボー)というものがあり、中国
の主要16行が提示する短期金利の平均値が毎日午前11時30
分に発表されるのです。
短期金利と長期金利の区別は1年を境にして、長いものは長期
金利、短いものは短期金利というのです。金融機関の貸し借りは
明日までの1日だけの取引が多いので、「一晩だけ」という意味
で「翌日物」といいます。
6月8日、シャイボー翌日物は9.581 %まで上昇したので
す。5日前の6月3日は4.623 %でしたから、4.958 %
上昇したことになります。異常な急騰で、過去最高です。何が原
因で急騰したのでしょうか。
理由はいくつか上げられると思います。要するに市場に資金不
足感が高まっているのです。それは、投機マネーの流入が減った
からです。その原因として米国の量的緩和縮小の動きがあること
は確かです。これまでは投機マネーが間断なく流入し、市場には
資金余剰感が高まっていたのですが、米国が金融緩和を縮小する
との観測が強くなり、投機マネーの流入が止まったのです。
これに加えて中国の場合は、いわゆる「偽輸出」に対する監視
強化によって、投機マネーが一層入りにくくなったのです。「偽
輸出」とは輸出を装って投資資金を流入させることをいいます。
「偽輸出」については、5月27日のEJで取り上げているので
参照していただきたいと思います。
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◎2013年5月27日/EJ第3554号
http://electronic-journal.seesaa.net/article/363650240.html
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中国の国家外貨管理局は、この6月から全国で企業の貿易取引
を厳しく監視をはじめたのです。金融監督当局も、投機資金を不
正に国内に持ち込んでいる企業への融資停止を銀行に求めている
のです。そのため、5月の輸出額は前年同月比1%増にとどまっ
ています。ちなみに4月実績は、14.7 %増ですから、大幅な
落ち込みです。
問題は、これによって中国経済がどうなるかです。もし短期金
利の上昇が長引くと、銀行が短期金融市場から資金を調達するコ
ストの増加分を企業への貸出金利に転嫁しようとするので、企業
の資金調達コストも上昇するのです。したがって、ただでさえ回
復ピッチが遅れている中国の景気に悪影響を与える可能性が十分
あります。
金利上昇にはもうひとつ情報があります。それは短期金融市場
で、決済できなかった銀行があるという情報が流れ、取引先銀行
の返済能力に不安を強めた銀行の資金繰り担当者が一部の銀行へ
の貸し出しを停止したため、それをきっかけに短期金利が上昇し
たという説もあります。ちなみにこの銀行は中国光大銀行ではな
いかという噂が流れていますが、同行はこれを否定しています。
短期金利は中央銀行によってコントロールできるのです。9日
のシャイボーは翌日物で7.49 %と下落していますが、これは
おそらく中国人民銀行(中央銀行)が1500億元(約2兆40
00億円)を市場に供給して低下させたものと思われます。
このように、中国経済にあちこちに黄色ランプが灯りはじめて
います。既に述べたように、7月に中国経済が崩壊するという説
も出ているのです。もっとも社会主義国ですから、資本主義国で
はできない方法で、切り抜けるでしょうが、不安が拡大している
ことは確かです。
米中両国は、経済関係をより緊密にしようとし、その関係を深
化させつつあります。しかし、近づけば近づくほど、問題が増え
てくると指摘する専門家もいるのです。米国内には、中国企業に
関する強い警戒感もあるのです。中国のTPP加入など、まず考
えられないことと思われます。 ── [新中国論/64]
≪画像および関連情報≫
●経済的相互依存の深化と米中関係/古城佳子東大大学院教授
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この夏、中国産食品・薬品の安全問題が各国でクローズアッ
プされたことにより、皮肉にも中国製品がいかにグローバル
に輸出されているか再認識させられた。中国の輸出は増加し
続け、他国との経済的結びつきはますます増大している。特
に、米中経済関係は急速に相互依存を深化させている。伸び
率が9%台の対日輸出に比べ、対米輸出は20%台であるこ
とから見ても米中経済関係の速い深化が見て取れる。また、
対中直接投資においてもアメリカは依然として重要な位置を
占めている。アメリカでは、米中関係について、従来から、
経済と安全保障は関連づけて考えられてきたが、この急速な
経済関係の深化が米中関係、特に安全保障関係にどのような
影響をもたらすのかはますます興味深い問題となっている。
では、アメリカでは、米中関係において経済と安全保障はど
のように認識されているのであろうか。これを知ることはな
かなか難しい。中国のWTO加盟に道を開いたクリントン政
権以来、ブッシュ政権も経済的関係強化は経済的にも安全保
障的にもメリットがあるとする関与政策を踏襲している。
http://www.rips.or.jp/research/ripseye/2007/rips-eye-no822007105.html
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