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2013/6/8 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
アベクロインチキ景気回復策の危険なこれから
為替が一時1ドル=95円台をつけ、日経平均が1万2877円で引けた7日のマーケット。直近のピークだった5月22日と比べると、為替は7円も円高が進み、株価は3000円近く下落したことになる。この間、両指標は激しく上げ下げを繰り返しているが、定規を当てればトレンドは明らか。乱高下しながらも、奈落に向かっている格好だ。
証券アナリストの黒岩泰氏が言う。
「外国人投資家を中心に、マーケットの期待はすっかりはげ落ち、悲観的な見方が広がっています。半年間かけて天井まで上がった株価は、半年もかけずに元に戻るでしょう。上がるときよりも落ちる方がスピードは速い。いまは、まだ5合目あたり。これから8000円台半ばまで、一気に“下山”することになります。むろん、7月の参院選に向けて、安倍政権が第4の矢を放つ可能性はある。そうなれば2番天井を目指すシナリオも浮上しますが、しょせん付け焼き刃。中身の伴わない期待感は長続きしません」
野田首相が解散を決めた昨年11月14日は、為替が1ドル=79円90銭で、日経平均終値は8664円だった。最低限、この水準までドスンと落ちるわけだ。
野田政権時代は、「日経平均5000円」も現実味を帯びて語られていた。8000円が底になる根拠はゼロだ。7000円、6000円、5000円と壁を突き抜けて落ち続ける恐れも十分ある。
◆根拠なき熱狂を吐き出す「妖怪アベノミクス」
となると、いったい、アベノミクスとは何だったのか。この先、日本経済や国民生活はどうなるのか。マトモな専門筋に聞いてみると、同志社大教授の浜矩子氏(国際経済)は「アベノミクスは『根拠なき熱狂』という毒ガスを吐き出す妖怪」と指摘した。
「妖怪は、しぼんだ風船=デフレ経済をもう一度膨らませる“リフレ派”ではありません。この政策をリフレ派のものだと捉えると術中にはまってしまう。バブルという新たな風船を膨らませて、シワシワのデフレ風船を持ち上げようとしているだけなのです。妖怪アベノミクスはデフレを放置して資産インフレを発生させる化け物。これに激しく拒絶反応を示したのが、今の市場の動きでしょう。安倍政権は、成長だ円安だと使い古されたキャッチフレーズで強い日本を演出しています。でも、3本目の矢について、しゃべればしゃべるほど、株価は下落している。インフラ輸出を30兆円とか、設備投資を70兆円規模とか、数字の乱発はパニックに陥った証しに映るのです。そもそも1人当たりの国民総所得を10年で150万円増やすなど、計算上もあり得ない。妖怪の正体は、すっかりばれています」
安倍首相と黒田日銀総裁の景気回復策はインチキと悟られた。マーケットがソッポを向くのも当然というわけだ。
◆株価下落が招くボーナスダウン
それでも外国人投資家はシメシメだろう。8000円台で参加して、1万5000円で売り抜けていれば、たんまり儲けている。
泣くに泣けないのが日本の個人投資家だ。それまで参加していなかった投資のビギナーも、「妖怪」に踊らされて痛い目に遭っている。
ただ、振り回されるのは市場参加者だけではない。国民も巻き込まれてしまう。
「これほど株が下がると、ボーナスに響いてきます。夏はもう決まっているかも知れませんが、冬は引き締められる公算が大きい。一方で、5月から電気代が引き上げられ、東京都の物価は久しぶりにプラス(0・1%増)に転じています。食料品やガソリン代も値上げ続きで生活コストは増える一方。アベノミクスの弊害はあちこちに出ています。しかも、失態を取り繕おうとして、さらなる混乱を招く悪循環も発生している。長期金利をコントロールしようとして債券を買えば、外国人の債券買いを誘発し、株が売られるという具合。悪あがきが事態をさらに悪くしています」(東海東京証券チーフエコノミスト・斎藤満氏)
経済ジャーナリストの荻原博子氏も、「異次元の副作用」を危惧する。
「患者を集中治療室に入れ、カンフル剤を投与し体力を回復させてから、外科手術で病人を立ち直らせる。これが安倍政権の景気回復シナリオだったはず。ところが、外科手術の技術=成長戦略がなかった。おかげで今もカンフル剤をバンバン使っている。それも、普通では考えられないような異次元の投与です。それでも退院できればいいのですが、日本経済は今も集中治療室に閉じこめられ、カンフル剤がなければ生きられない状態。最近はカンフル剤の費用が問題になり始め、財政規律を守らないと、なんて話が出てきた。思い切りアクセルを踏み、猛スピードで車を走らせながら、急ブレーキも踏もうとし始めているのです。横転するかも知れないし、壁にぶつかるかもしれない。副作用も異次元で未体験。それだけに、お先は真っ暗。どこに向かうか分かりません。ただ、これだけ大盤振る舞いしたのだから、消費増税だけは止められない。そんな状況です」
経済がグチャグチャで国民の暮らしも大混乱しているのに、消費税だけは引き上げられるのだ。
◆「緊縮財政」「預金封鎖」でギリシャの二の舞い
国民生活は大変だが、最悪の場合、さらなる緊縮策が断行されることになる。
前出の浜矩子氏が言う。
「最も怖いのは、安倍=ABE(Asset Bubble Economics〈資産バブルの経済学〉の頭文字)と言っている外国人投資家が、日本に付き合いきれないとなることです。円からの回避、日本国債からの逃避が起きて、円も国債も棒下げとなる。ギリシャやキプロスの二の舞いです。円では何も買えなくなるし、国内はモノがなくなり、すさまじいインフレが発生する。政府は財政再建が最重要課題となり、猛烈な緊縮財政を強いられるでしょう。行財政サービスは低下し、金融の混乱を避けるために個人預金も封鎖されます。安倍首相や黒田総裁が、身から出た錆で勝手に没落するのは構いません。ただ、国民も無理やり付き合わされるのです。まったく冗談ではありませんよ。アベクロ政策の首謀者は、方程式や図式を駆使した理論モデルで、水の上も歩けると思ってしまった。目あれど見えず、耳あれど聞けず。人間の営みとしての経済に対する感受性がなさすぎます」
聖書によると、キリストは嵐の中で水の上を歩き、弟子たちが乗る舟までやってきたという。でも、妖怪は神にはなれない。
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