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http://www.nikkei.com/money/investment/mandi.aspx?g=DGXZZO5590507006062013000000&n_cid=DSTPCS008
労働組合がつくった投資信託が高い運用成果を背景に、じわじわ人気を集めている。年金や退職金への不安を軽減するため、毎月積み立てによる長期での資産形成を目指す投信だ。ここへきて株式相場は急落しているが、10年先、20年先をにらんでの運用と位置付けており、担当者に動揺はない。
労働組合の投信として話題なのが、セイコーエプソン(長野県諏訪市)の労組が100%出資、設立したユニオン投信だ。運用している「ユニオンファンド」は2008年10月にスタート、既存の投信に投資する「ファンド・オブ・ファンズ」の形式を取る。設定以来の騰落率は67%、アベノミクス相場が始まる前の昨年10月末時点でも27%と運用は好調だ。純資産額も右肩上がりで増えている。
■幹部がFP資格
ユニオンファンドの説明をするセイコーエプソン労組の田中氏(5月28日、東京・新宿)
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ユニオンファンドの説明をするセイコーエプソン労組の田中氏(5月28日、東京・新宿)
なぜ労組が投信なのか。同労組の上條尚史委員長は「もはや賃上げ交渉だけが組合の役割ではないから」と語る。日本経済が低成長期に入り、企業収益も頭打ちの時代。利益が伸びない中、激しい労使交渉をしたところで賃上げ幅はせいぜい数百円だ。
厳しいサラリーマンの家計。入るお金が増えないなら、出るお金を減らすしかない。その手伝いを労組ができないか。無駄な生命保険を見直したり、住宅ローンを借り換えたりして月に数万円、支出を減らすことができれば、数百円の賃上げよりも組合員の可処分所得/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3E5E5E6EBE2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXは増える。
こう考えた同社労組は幹部がファイナンシャルプランナー/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3EAE5E0E2E2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NX(FP)資格を取り、社員を対象にセミナーを始めた。「家計の黒字化や資産形成に役立つことが、これからの労組の役割」(同副委員長の田中喜三男氏)という発想の中から、ユニオン投信は生まれた。
発足当初は投資家数が100人、純資産総額は2800万円だったが、現在は1500人、21億円まで増えている。
■400社に分散投資
運用対象としているファンドは4つで、日本株のさわかみファンド、欧米株のキャピタルファンド、ハリスファンド、新興国株のコムジェストファンドで、資金配分は国際通貨基金(IMF/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3EAE7E4E3E2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NX)の5年先名目国内総生産/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3E5EAEAE4E2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NX(GDP)をもとに決定している。4つのファンドを合わせて、26カ国・地域の約400社に分散投資していることになる。
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現在の配分比率は、さわかみファンドが12%と最も少なく、新興国のコムジェストファンドが41%と高い。この方針を決めた時、日本株はまだ急落前で先高観が強かったが、5年先を考えると、日本株より新興国株の方が魅力があると判断し、日本株の比率を1ポイント下げた。
販売にかかる手数料は無料で、運用期間中にかかる信託報酬も0.8%と低めに設定している。組合に関係ない一般の人でも購入できる。収益を上げることが目的ではないため、今後黒字になれば、利益はすべて社会還元に充てる方針だ。
資本金の2億円はセイコーエプソン労組の予備金を充当した。当初はOBも含めて「素人が投信会社などとんでもない。失敗したら大切な組合員のお金が吹っ飛んでしまう」と反対の声ばかりだったが、押し切った。
趣旨に賛同した他の企業の労組から出資が相次いでいる。これまでに資生堂、ツムラ、丸井グループ、国際航業、京三製作所の労組が出資し、さらに3労組が出資を検討中という。
ユニオンファンドは証券会社や銀行などの販売網がないため、セミナーを開き、コツコツと投資家を増やしていくしかない。出資してくれた労組の企業に出向き、ファンドの説明会を開く。「セミナー参加者の6割程度が、ユニオンファンドの積み立てを始めてくれる」(田中氏)という。
■意識高揚も狙い
5月28日、東京・新宿で18労組の代表が集まり、セミナーが開かれた。田中氏が講師となり、ユニオンファンドの紹介をした。参加したある労組の幹部は「うちはバブル期に投信の運用で大きな損をした。それ以来、投信は縁遠かったが、このファンドは良さそうだ」と語る。
丸井グループは確定給付型の退職金制度を廃止したが、確定拠出年金/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3E5E5E6E5E2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NX(日本版401k/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3E5E7E6E5E2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NX)の加盟者は20%未満にとどまっていた。「若い社員の将来を考えて、これでいいのかと思っていた」(七戸裕一・マルイグループユニオン委員長)ことをきっかけに今年4月、ユニオン投信の株主になった。
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