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JPタワーの商業施設「KITTE」内覧会。吹き抜けには絵はがきを模したモニュメントが吊るされている
「政治銘柄」日本郵政に買い手はつくか 3度目の経営刷新
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20130608/ecn1306081517000-n1.htm
2013.06.08 夕刊フジ
【ドラマ・企業攻防】
日本郵政グループは曲折の末、三度目の経営陣刷新に踏み切る。20日の株主総会後、坂篤郎社長の後任に郵政民営化委員会委員長の西室泰三氏(東芝相談役)が就任するほか、18人の取締役のうち17人が退任するなど経営陣を大幅に入れ替える。経営体制の一新は、完全民営化に前向きな菅義偉官房長官らの意向ともいわれるが、経営陣を民間主体に変えても、日本郵政グループは新規業務の参入凍結など課題は山積している。しかし、明確な成長戦略を描けておらず、約2年後を見据える株式の上場計画は視界不良だ。
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「トップがこうコロコロ変われば、現場のモチベーションは上がらない」
全国郵便局長会の黒田敏博会長は政治主導による度重なるトップ交代は現場の士気に影響を及ぼすと懸念する。平成19年10月の発足以来、5年半の間に4人とめまぐるしいトップ交代が続いている。
21年に民主党政権に交代した際、三井住友銀行頭取の西川善文社長を退任させ、旧大蔵省(現財務省)出身の斎藤次郎氏を起用。政府は斎藤氏が衆院選後の昨年12月19日、自民党政権発足直前の空白期間に坂副社長を昇格させたことや二代続けて旧大蔵出身者が就くことを問題視。政治介入で経営陣をほぼ全て入れ替える異例の事態となった。
政治主導によるトップ交代劇に疑問の声も少なくない。財界からは、経団連の米倉弘昌会長は5月20日の記者会見で「(日本郵政株式を100%保有する)株主(である政府)の横暴という批判が出る可能性がある」との声もあがる。
西室新体制がスタートするが、日本郵政グループには課題が山積している。一つは郵便事業の不振だ。25年3月期は集配業務の効率化や人件費の削減などリストラにより4期ぶりに黒字に転換した。しかし、電子メールの普及による郵便物の取扱量の減少や宅配業務の競争は激化しており、事業環境に好転の兆しは見えていない。
そこで、日本郵政グループは金融事業の強化で成長シナリオを描くが、頼みの保険や銀行の事業環境は厳しく、保険契約件数や貯金残高は減少傾向が続く。24年度末までの10年間で保険契約数は約46%減、貯金残高は約23%減と激減している。
逆風は事業環境だけにとどまらない。新規業務が参入できないことも郵政グループの先行きに暗雲が立ちこめる。昨年9月、かんぽ生命保険の学資保険の新商品の販売などを申請したが、金融庁は「リスク管理態勢の整備が遅れている」ことなどを理由に認可が出ていない。
さらに、追い打ちをかけているのが環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加だ。麻生太郎金融担当相は、「認可申請があっても、適正な競争関係が確立されたと判断できるまで認可する考えはない」と述べ、政府は米国企業などに配慮するする格好で認可を事実上凍結する考えを示している。
政府が100%出資する日本郵政は27年秋までの株式上場を目指している。4兆円とも見込まれる売却益は、東日本大震災の復興財源に充てる狙いだ。上場に向けては企業価値を高める必要がある。このため、新規業務による事業のてこ入れが喫緊の課題だが、新規業務の参入のメドはたっていない。日本郵政関係者からは「新しい経営体制になっても上場は難しい」(日本郵政幹部)と嘆きの声も聞かれる。
しかも、政治介入による経営陣の総入れ替えは改めて「政治銘柄」としての経営リスクを市場に印象付けた格好だ。このため識者の中には、「このままでは株式を買ってくれる投資家はいない」(石川和男・東京財団上席研究員)と厳しい意見もある。
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「もうすでに老害と言われていますよ」
経営者として評価の高い西室氏もこう認めるように、年齢はすでに77歳と高齢だ。日本郵政の改革はこれまで以上にスピードを上げる必要がある。上場までの2年間が勝負だとも言える。
企業価値の向上に向け不可欠となる新規業務参入のハードルを西室氏がどのように越えていくのか。郵政民営化委員会委員長として日本郵政の問題点をみてきたが、短期間で民間の経営手法を定着させるとともに、社員の士気を向上させることができるか。その成否が日本郵政グループの改革の行方を占うカギとなりそうだ。(松元 洋平)
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