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ユニクロ・柳井会長の「世界同一賃金」導入発言が物議をかもしている。実現には様々なハードルがあるが、これが日本企業で広まった場合、会社員にはどんな影響があるのか? 焦点の1つが「どの国の賃金水準を基準にするのか?」という問題。日本より賃金相場の低い国が基準になると、賃下げになるおそれがある。では、そもそも日本の賃金相場は世界的にみるとどの程度の水準なのか?
UBSの『Prices and Earnings』のレポートによると、2012年の世界主要72都市の平均年収(円建て ※2012年6月の為替レート)1位はスイス・チューリッヒ(533万円)。6位に米・ニューヨーク(407万円)で、東京は376万円で8位。やはり日本の賃金水準はだいぶ高いようだ。
「ただし、日本円に対する為替レートは国によって違いますし、物価水準も違うので、円換算の年収比較では実態はわかりません」
そう説明するのは、『本当は凄い日本経済入門』などの著書がある山口正洋さん。では、物価を加味した場合、日本の賃金水準はどの程度といえるのだろう?
「物価を考える方法のひとつ“ビッグマック指数”を用いて考えてみましょう。各国それぞれの年収で、ビッグマックがいくつ買えるか計算すると、給料の実質的な価値がわかります。1位のチューリッヒが1万389個、6位のニューヨークが1万2005個、東京が1万1750個。購買力という観点では、東京が平均年収1位のチューリッヒを上回ります」
どうやら実質的な賃金水準という意味でも、日本がトップクラスなのは間違いない様子。となると世界同一賃金が導入された場合、日本の賃金相場が“基準”にならない限り、実質的な賃下げになる可能性が高そうだ。円安が進めばまた事情は変わってくるが、ユニクロではどのような制度を模索するのか? 今後の動向から目が離せない。
(齋藤玲奈/清談社)
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