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2013/6/7 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
安倍首相が「1人当たりの国民総所得を10年後に150万円以上増やす」と宣言した。12年度の384万円に150万円以上となれば、ざっと1・4〜1・5倍ぐらいになる計算だ。
目標が高いのは結構なことだし、実現するのなら文句はない。国民総所得には、企業の儲けも入っている。1人当たりの総所得といっても、個人の収入を示しているわけではない。個人と企業が1年間で国内外で生み出した稼ぎの総額を人口で割っただけだ。安倍首相は「給料を150万円増やす」と言ったわけではないのである。それでも減るよりは増える方がいいだろう。
むろん、一部の人が稼ぐだけで、格差がさらに拡大する恐れもある。儲けるのは企業だけで、家計には恩恵ゼロという可能性も大だ。150万円以上増えたとしても、みんながハッピーになれるとは限らない。
ただ、問題はそれ以前のところにある。150万円という数字が妥当かどうかだ。
似たようなフレーズで思い出されるのが、「所得倍増計画」だ。安倍首相の祖父、岸信介の退陣後に首相となった池田勇人は、1960年に「国民所得を10年間で倍増する」と打ち出した。安倍首相が、当時を意識したのは間違いないだろう。池田の計画は4年で達した。「所得を増やす」というキャッチコピーは、国民に成功の記憶を呼び起こさせる。効果的なメッセージになるという判断だろう。
だが、当時と今とでは経済状況がまるで違う。池田の時代は高度経済成長期だ。1958年に「鍋底不況」が終わり、日本経済がぐんぐんと拡大を始めた時期。東京オリンピックの開催も、景気を刺激した。
一方、今はデフレ経済の真っただ中だ。失われた20年が終わり、失われた30年に突入しようとしている。ちょっとやそっとでは目標の達成は不可能だ。
しかも、目標達成までの道筋もまったく見えてこない。安倍首相は、規制改革を一丁目一番地としている。だが、企業活動の足かせとなっている重大な規制は、いったい、どれだけあるのか。声高に叫びながら、目玉が市販薬のインターネット販売では、肩透かしもいいところだ。
その一方で、雇用や賃金で圧力をかけ、消費増税のセールを規制する。戦前のような発想で企業活動を縛っているのだからメチャクチャだ。
結局、「所得150万円増」は目先の選挙対策に過ぎないということ。「安倍政権に任せていれば実現する」なんて思わない方がいい。
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