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株式日記と経済展望
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成長戦略の第一弾で女性重視を打ち出し、第二弾では農家の所得倍増を
アピールしたが、いずれも成長戦略とは関係のない集票目当ての政策である。
2013年6月7日 金曜日
◆アベノミクスの支離滅裂 6月6日 田中良紹
http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakayoshitsugu/20130606-00025498/
第二次安倍政権が誕生した時、「ごった煮のような政権」と書いたことがある。考え方の違う人材をあちこちから集め万全の構えを取ったように見せたが、小泉路線と反小泉路線が入り混じる政権の政策は一貫性を欠く。従って参議院選挙を乗り切るまではそれをごまかしていくしかない。そう思って「三本の矢」が出揃うのを見ていた。
5日に本丸と言われる成長戦略が発表されると、アベノミクスが目指す円安・株高が逆の展開となった。成長戦略は選挙用の「目くらまし」を羅列しただけだと市場から見透かされ、株価は成長戦略発表前と比べて6日には800円以上も下落した。一方で為替も99円台となって円高に振れている。これは一時の調整局面というよりアベノミクスに対する海外の失望局面と言うべきである。
アメリカ型の経済成長は金持ちと貧乏人を作り出し、貧乏人の鼻先にニンジンをぶら下げることで達成される。だから時々貧乏人には金持ちになる機会が与えられる。誰もがやらないニッチな事業で成功するとか、法の目を潜り抜けて一攫千金をものにするとか、アメリカン・ドリームはそうして生まれる。
しかし資本主義は放っておくと強い者がより強くなり、弱い者の機会を奪ってニンジンがニンジンでなくなる。それでは資本主義は自滅する。そこで政治の力が必要になる。政治は競争が公正に行われるよう市場を監視し、大きすぎる資本には独占禁止法を適用して市場の競争化を図る。
そのうえで経済成長に必須なのが労働の生産性向上と賃金の抑制である。労働者を目いっぱい働かせ、意欲のある者にはより高い賃金の職に就く機会を与え、意欲のない者は解雇する。これを「労働力の流動性」と言い、終身雇用に慣れた日本とは真逆の考えに立つ。
賃金を上げればコストが上がり国際競争力を弱めて経済成長を阻害する。しかしアメリカには賃金総体が上がらない仕組みがある。移民国家であるアメリカには常に低賃金労働者が流入する。労働者は低賃金移民との競争にさらされ、それが総体として賃金を押し下げる効果を生む。
賃金が下がっても物価を下げれば問題はないとアメリカは考える。だから発展途上国が作る低価格品をどんどん輸入して消費する。モノづくりをやめたアメリカは外国から製品を輸入しても競合の打撃を受けない。「所得倍増計画」を実施して高賃金を実現した日本は同時にコストも上がり物価高の国となったが、それをバカな事だとアメリカは見ている。
そうしたアメリカ的経済成長論からすれば、安倍政権の成長戦略は本当に経済成長を実現させようとしているようには見えない。競争を激しくし、生き残った企業をどんどん儲けさせ、その一方で労働者の賃金を抑制し、労働者の首切り(流動化)を促進する内容でないからだ。法人税を引き下げて企業をより儲けさせ、労働者の首切りを容易にする政策がなかったために株価は急落した。
それは「ごった煮」の結果である。そもそも小泉氏から抜擢されて総理に就任した安倍氏は小泉氏と同じ考えでなかった。郵政民営化に反対して小泉氏が自民党から追放したメンバーを復党させて小泉氏の逆鱗に触れた。しかも小泉構造改革の負の遺産を引き継いだことが07年の参議院選挙での惨敗になったと安倍氏自身は考えている。そのため小泉構造改革と同じことはやりたくない。
第二次安倍政権を作った最大の功労者は麻生副総理だが、麻生副総理も小泉構造改革の新自由主義路線には反対で、竹中平蔵氏とはそりが合わない。それを安倍総理はあれもこれもと集めて「ごった煮」政権を作った。従って安倍政権にはアメリカ流の経済成長路線と旧来の自民党的バラマキ路線とが同居している。水と油が同居できるのは参議院選挙で勝利し安定政権を作るという共通目標があるからだ。従って成長戦略の中身はアメリカ的経済成長路線より選挙を意識した内容になった。
成長戦略の第一弾で女性重視を打ち出し、第二弾では農家の所得倍増をアピールしたが、いずれも成長戦略とは関係のない集票目当ての政策である。そして第三弾も「民間活力の爆発」などとキャッチコピーがあるだけで具体的中身はなかった。「国民総所得を10年で150万円増やす」と愚民を騙す魂胆が見え見えの発言まであった。こうなると成長戦略は経済政策と言うより選挙公約と呼ぶべきである。
フランスの経済学者ロベール・ボワイエは「アメリカの経済成長のような金融資本主義を真似できるのはイギリスだけで、ドイツ、フランス、日本の経済成長は付加価値を創造する産業資本主義の論理で行うべきだ。アメリカの成長論を導入すると企業も労働者も不安定化する」と述べている。
しかしアメリカを真似して「大胆な金融緩和」から始まったアベノミクスは、アメリカ的経済成長戦略を志向すると思われながら、重心はあくまでも選挙にあった。日本の国情を考えなければならない選挙を意識した途端、国民に痛みを強いるアメリカ的論理を貫徹することは難しい。一方でアベノミクスは株式市場に命運を握られてしまっている。この板挟みをどう潜り抜けるのか。ごった煮政権のアベノミクスによって日本経済は不安定な道筋をたどることになる。
(私のコメント)
昨日はベーシックインカムについて少し述べましたが、20代から30代の子育て世帯が低所得化で子供が作れない状況が生まれています。対象を限定したベーシックインカム制度を検討したらと思うのですが、景気は金融政策だけではダメで財政でカネをばら撒く必要があります。その為には、今一番問題になっている少子化対策と景気対策を組み合わせたアベノミクス版「子供手当て」を実施すべきでしょう。
20代から30代の女性に限った出産可能な世代を国家的に補助する事で二つの問題を解決できます。少子化の一番の原因は女性の晩婚化にありますが、20代から30代は女性にとっても出産や育児に時間を取られて仕事を続けることが難しくなっています。働きながら子育てをするには、どうしても一人っ子が多くなります。多くても二人が限度でしょう。
昨日は子供一人につき年100万円の手当てを書きましたが、現在は年100万人の出生数ですが、100万人増やすには100万円×100万人=1兆円ですが、国家予算から見れば大した事は無い。景気対策予算では15兆円の予算が組まれたこともある。問題は財務省が財源がないということで、民主党の子供手当ては潰されましたが、扶養控除も潰された。
アベノミクスでも女性重視と打ち出していますが、目標ばかりで具体策が書かれていない。高速道路の無償化や子供手当てなどは民主党のマニフェストでもいいアイデアだと思うのですが官僚に潰された。いずれも財源がないという一言で潰されてしまいますが、無いのは知恵であり規制撤廃も規制の利権を手放したくないところの反対で潰される。規制の撤廃が薬のネット販売を認めるくらいでは規制撤廃のスローガンの意味が無い。
農家の所得倍増も、民主党のマニフェストの農家への個別所得補償と同じように絵に描いた餅だろうし、民主党政権と同じく政権を取っていざ実行しようとすると多くの政策が潰される。野党なら好き勝手な事を言う事も出来ますが、実際に政権を取って実行しようとすると既得権を持った団体に潰される。
「河野談話」「村山談話」見直しはアメリカの圧力で潰されて、「竹島の日」の政府主催も潰れた。これらは外交案件だから妥協も仕方がないのでしょうが、経済政策では大胆な金融緩和ばかりでなく財政出動が無ければ景気の回復は無い。第三の矢のあまりの具体性の無さに株式市場と為替市場が失望してまたもとの道に戻りつつありますが、カネが消費者お手に渡らなければ消費は増えない。
企業のグローバル化で、企業が儲けても従業員の給与は上がらず、社員の非正規化が進んで平均賃金が下がり続けている。公務員の制度改革もまったく手が付けられていない。時間が経つにつれて民主党政権時代とあまり変わりの無い姿に見えてきましたが、当初は円安株高でそちらに注目が行っていた。しかし三本の矢の実態が分かるに連れて再び円高株安の状態に戻ってしまった。
民主党のマニフェストでも子供手当てや高速道路の無償化は「株式日記」でも賛成してきましたが、景気波及効果が出れば税収となって帰ってくると思うのですが、少子化担当大臣は設けても少子化に効果のある政策は実行するつもりは無いようだ。子供一人当たり100万円の手当ても、児童手当の現状を見れば分かるように、少子化の一番の原因は若年夫婦の低所得化に原因がある。
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