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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130605-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 6月5日(水)4時49分配信
「株は5月に売れ(売り逃げしろ)」という米国ウォール街の格言が今年も生きた。波乱を予測する数々のテクニカルな要素が多かったのだが、証券関係者はこれを無視した。この半年間で日経平均株価は85%も上昇した。スピード調整が必至だったのに、彼らはあえて危険のシグナルを見ようとしなかった。
日経平均は5月22日に年初来の高値、1万5627円をつけた。2007年2月の取引時間中の高値(1万8300円)と08年10月の安値(6994円)を考えると、下げ幅(1万1306円)の77%を戻したことになる。
東証株価指数(TOPIX)と26週移動平均線との乖離率を見ると、過去60年間で3番目に大きい乖離となっていた。日本株は歴史的にもまれな「買われ過ぎ」状態となっており、反動による調整局面が近づいている、と見るべきだった。
調整局面入りのきっかけは、円安修正の動きか米国株の下落。あるいはその両方だろうと見られていたが、これに中国の景気変調の加速と金利上昇(1%)が加わった。
5月の東京株式市場は、4月まで続いた月間ベースでの連続高記録が9カ月で途切れた。1143円安、737円安の2度の暴落を経て、5月の日経平均株価は4月末比で80円安の1万3774円で取引を終えた。
アベノミクス相場の第1幕は終わった。急落の短期的なリバウンドを経て、日経平均はさらに下落するとの見方が強い。5月30日は737円安の1万3589円。日経新聞が盛んに言ってきた「1万4000円の壁」などという壁は簡単に破られ、株価はさらに下げた。直近の高値から2000円(最安値で2500円)近く下げたことになる。5月30日は前週に続き魔の木曜日となってしまった。午後に、先物から売り崩されるパターンが続いている。もちろん、先物を売っているのは外国人である。もう一度、魔の木曜日(6月6日の暴落)がある、ともいわれている。
外国人が、先物ではなく、現物株をどの程度売っているかがポイントになる。先々週の投資主体別売買動向では、海外投資家は3週ぶりに売り越したが、売り越し額は44億円と思いのほか小幅だった。しかし、よくよく考えると、先々週は水曜日まで上昇していたのだから、外国勢が売ってきたのは木曜日だけということになる。海外投資家の現物株の売りがどの程度の規模かの実態は、先週の投資主体別売買動向を見ないとわからない。
先々週は個人投資家が4080億円の大幅な買い越し。出遅れたと焦って買いを入れた個人が高値をつかまされた。いつものパターンの繰り返しだ。一方、信託銀行が4658億円売り越している。急落直前に、個人投資家が大量に現物株を買ったということだ。魔の木曜日の2度の急落で、個人投資家の多くは5月の値上がり分はすべてが吹っ飛んだ。それだけ個人投資家のダメージは大きい。
個人投資家は苦しい立場だ。「円安=株高」のシナリオの下、日本株を買ってきただけに、円安修正(1ドル=100円)は大きな株価下落要因になる。
「6月にまとまる成長戦略が株価反転の手掛かりになる」とメディアでは報じられているが、その成長戦略そのものが期待薄なのだ。株価材料としては「中立」以下。下手をすると再び売られる原因になるかもしれない。“成長戦略ショック”の大幅な株安を予想する向きが増えている。
5月は急落前に、日経平均は1カ月で2つの大台替え(1万4000円台と1万5000円台)を果たした。1カ月の間に2つの大台替えを演じたのは、今から27年前の86年3月だった。この時は、日本レースなどを手掛けていた大物仕手筋、三洋興産が経営破綻した。東洋端子、オートの東証2部銘柄も連鎖破綻し“三洋興産”ショックとなった。
今年も6月が危ない。先物を売っている外国投資家(ヘッジファンド)の経営破綻説が出ている。
これは個人投資家と機関投資家の関係に似ているのかもしれない。5月の買い主体は個人投資家。先行していた米ヘッジファンドは、5月には日本株関連(ETFを含む)の建玉をすべて売り切っている。日本株を買いそびれていた米ヘッジファンドの一部が慌てて日本株やETFを買っていたが、個人投資家同様に窮地に陥っているというのだ。株に注力して、仕手筋のようにバタバタと株を売買した上場企業と海外の中堅の投資ファンドの経営破綻があるかもしれない。
円安によって利益が増えるのは、基本的には一部の上場企業の話であり、非製造業、特に中小企業の利益は大幅な円安でむしろ悪化する。
政府からの要請で上場企業のボーナスは幾分増加する(自動車産業だけは突出して増えるが、これは例外)にせよ、マクロ的な家計所得が増えるわけではない。個人消費に弾みがつくというシナリオは描きにくい。設備投資の回復も、当面、限定的になる。円高に振れたら目も当てられない。輸出関連銘柄は下げる。
●“成長戦略ショック”で株価は下げるのか?
6月14日、成長戦略が閣議決定される。この日は6月物の先物・オプション取引のSQ(特別清算指数)の算出日だ。SQに乗じて、米ヘッジファンドの大規模な売り崩しが入るのではないかと懸念されている。
閣議決定される成長戦略では迫力不足。経済成長率を大きく高めるとは思えない。日本文化を海外に広めるためのクールジャパン戦略も、海外需要開拓機構の設立以外は評価できる内容ではない。日本食の伝道師を育成し、各種イベントで茶道を披露など、行動計画の名前にも値しないという声が出ている。
アベノミクスの第1の矢の金融緩和は、国債の利回りの急上昇(価格の下落)により、黒田・日銀総裁の手法に疑念が生じている。
第2の矢の財政刺激策も、5月27日に「財政制度等審議会」が、財政再建を求める報告書を麻生財務相に提出した。財政規律の重要性が指摘されたわけだ。「骨太の方針」に財政規律が盛り込まれる方向になり、自民党は慌てている。
これ以上、国債市場を混乱させないために、安倍首相は10月に消費税の引き上げを決断せざるを得なくなった。
6月の成長戦略が大したものにならなくても、参議院選で自民党が大勝して、安倍首相のリーダーシップが強まれば、選挙後に本格的な構造改革策を実施するだろうとの期待は残る。この期待まで裏切られると、アベクロ(安倍&黒田)金融緩和は完全に空振りとなる。
日本維新の会の失速で、安倍首相は憲法改正に早期に着手できなくなった。連立与党の公明党も憲法改正には消極的だ。だから、経済政策に本気で注力しなければならなくなる。
経済財政諮問会議は、政権主導で「骨太の方針」の取りまとめに入った。「第4の矢」として、財政健全化に取り組む方針を確認した。「停滞の20年から脱却し、回復の10年へ転換する」が基本概念なのだそうだ。主張は言語明瞭だが、ここでも中身が伴わない。3本の矢と財政再建の両立。言うのは易しいが、行うのは難しい。
米国ウォール街が期待する法人減税、労働市場改革、企業統治の強化、規制緩和のどれにも「第3の矢」はほとんど、かすらないかもしれない。
「第3の矢」の内実は、規制緩和に逆行する政府の介入の強化だという辛辣な見方がある。ベンチャー育成での政府審査、政府系ファンドの活用は、政府による特定産業のテコ入れ策にほかならないとの指摘だ。これでは、経産省を焼け太りさせるだけである。
編集部
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