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円高は一段と進むのか?ディーラー歴20年の達人が読む為替
http://toyokeizai.net/articles/-/14179
2013年06月04日 田代 岳:国際金融コンサルタント、元為替ディーラー :東洋経済オンライン
■日本株安とドル安との「時間差」
ドル円が、3日に1ドル=100円を割り込んだ。
今回の為替の急変も、株安がきっかけとなった。まずは、5月のマーケットを振り返ってみよう。まずは、日本株が一段と上昇、相場を主導した。日経平均株価は、5月7日に1万4000円を上方ブレークして、一気に1万5900円台にまで駆け上がる発射台となった。
為替のドル高円安が進んだのはその後のことだ。2日遅れて、5月9日の深夜にドル円が1ドル=100円を上抜けし、その後の100円〜103円台のレンジ相場の出発点となったのだ。ドル円の動きをみて、東京市場ではJGB(日本国債)の10年物利回りが1%まで上昇し、株→為替→長期金利へという動きとなった。
今回も、為替の変動(円高ドル安)は、株式市場の波乱の後になった。5月23日以降の日本株の下落で、日経平均株価は5月30日に1万4000円を完全に下方ブレークしたが、ドル円は3日の夜まで100円をサポートしていた。
一方、米国株も5月22日のNYダウの最高値1万5542ドルから、日本株同様にやや調整している。米国では比較的堅調な経済指標が相次いでおり、マーケットでは、FRB(米国連邦準備制度理事会)がいよいよ「出口戦略」へ踏み出すのではないかとの思惑が根強かった。米10年国債利回りは2%を完全に上回り、長期金利の上昇の流れがドルをサポートして、ドル高の流れが続いていた。
また、需給面を見ると、1ドル100円〜102円にかけては、ドルが本格上昇する前にファンド勢がドルコール(ドルを買い、円を売る権利)を購入していたこともあり、ドル円の上昇局面では売りがでて、売れた後に下落すれば買戻しが入るオプション特有の影響が100〜102円付近にでていたことも、ドル円の下落が、日本株ほど急速でなかった原因になった。
■日本株そのものと、米国の出口戦略に注目
しかし、日本株が大きく下落、米国株もやや調整し始めると、いわゆるリスクオフ的な円買いが優勢となり、円高ドル安傾向がじわじわと進んだ。そして3日の5月のISM製造業景気指数の発表を迎えたわけである。同指数は、49と、景気の強弱の分岐点の50を半年ぶりに下回ったことで、FRBの出口戦略が遠のくのではとの思惑から、3日はドルが全面安となった。
ここからのドル円相場を占ううえでは、2つの重要ポイントがある。
まず、一つ目は、卵が先か、ニワトリが先か、といった印象を受けるかもしれないが、実は日本株の下落が止まるかどうかにある。日経平均は4日の午後現在、現物では1万3000円がサポートされている。ドル円も98円台まで円が買われたあと、99円台が維持されている。日本株の下落が止まれば、今回の99円割れが、当面のドルの底値になろう。もし、日経平均が一段と下落して1万2000円近辺まで下げるようなら、97〜98円付近まで円高が進む可能性が高い。これが日本株の下落による、リスクオフ的な円高材料になる。
もう一つはFRBが、出口戦略に向けての一歩を踏み出すのかどうかだ。もし、本当に出口戦略に向かうのであればドル高になり、ドル円のサポート材料になる。だが、その場合米国株が下落し、結局、日本株の下落も再び加速するおそれがある。株安が止まらなければ、ドル高の要因よりも、日本株下落によるリスクオフ的な円高材料の要素が勝ってしまい、結局、ドルは下落してしまう(円高になる)だろう。
一方、出口戦略が遠のけば、ドル安にはなるのだが、米国株の下支え要因となり、日本株にとってもサポート材料になる可能性もある。まさに3日は、米国株が出口戦略後退を受けてダウが前週末比で138ドル高になったわけで、結局は、朝方は下落していた日本株も、反発している。
では、米国の当局はどう動くのか。出口戦略を占ううえでは、やはり7日に発表される5月の米雇用統計が重要な指標になる。ただ、出口戦略はどちらかというと長いスパンの中でこなされる材料である。ドル円の行方を見るうえでは、短期的には日本株の行方のほうが、米国の出口戦略よりも重要な材料になるだろう。
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