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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130603/k10015036531000.html
円安による原材料費の高騰などの影響で、今月から小麦粉やパン、マヨネーズといった身近な食料品が相次いで値上げされる予定です。
専門家は「この夏以降、幅広い品目に値上げの動きが広がり、徐々に消費者に影響が出てくるのではないか」と話しています。
各メーカーによりますと、円安による原材料費の高騰などの影響で、今月から食料品を中心に値上げが予定されていて、今月１日には削り節製造・加工大手「マルトモ」のかつお削り節が、すでに値上げしている大手メーカーに続いて１０％から２０％値上げされました。
今月１日からはいりごまなどのごま製品について５％から１５％の値上げが始まっているほか、今月２０日には業務用の小麦粉の出荷価格が引き上げられ、パンなどの材料になる強力粉では２５キロ当たり１４５円値上げされます。
また、来月１日からはパンが２％から７％、業務用のマーガリンが１キロ当たり１５円から２０円、家庭用の小麦粉が２％から７％程度値上げされるほか、業界最大手の日本ハムがハムやソーセージの内容量を減らし、実質的に平均でおよそ８％、プリマハムが７％から１３％それぞれ値上げします。
さらに、マヨネーズについては来月１日と８月１日に各メーカーがそれぞれ２％から９％程度値上げすることになっています。
原料値上げのパン屋では
東京・新宿区にある手作りのパンが人気のパン屋では、円安などの影響で卸売会社との間で決める多くの原材料の仕入れ価格がすでに値上がりしています。
先月には５リットル入りのオリーブオイルが１２００円近く値上がりしたほか、チーズやツナの缶詰も価格が引き上げられました。
さらに、今月１日からはウインナーやベーコン、フルーツなど３４品目が値上げされました。
卸売会社から送られてきた案内文には「価格改定を先送りしてきましたが、これ以上引き延ばすのは厳しい状況です」と記されています。
また、今月２０日には、ほとんどのパンに使っている強力粉の仕入れ価格が２５キロ入りの１袋当たり１５０円値上がりすると連絡を受けたということです。
店長の宮腰進さんは今の時点では値上げをしない方針で「これだけ多くの種類の原材料が値上がりするのは記憶にない。来年、消費税率が引き上げられればその時には値段を上げざるをえないので、今は我慢しています。お客さんが増えているわけではなく、これだけ急激な円安に対応するのは難しい」と話していました。
弁当の値上げに悩む
東京・渋谷区にある弁当店では今後の状況次第では弁当の値上げが避けられない可能性もあると頭を悩ませています。
この弁当店では、ごはんと日替わりのおかず、それにみそ汁のセットが５００円で売られ、平日の昼ごろには周辺の会社員でにぎわうなど人気を集めています。
しかし、円安などの影響ですでに調理に使う油が１０％ほど値上がりしているほか、来月からは冷凍の加工食品が１５％から２０％値上がりすることになっています。
さらに、仕入れ先からは容器の価格も値上がりすると伝えられていて、材料の仕入れ値は少なくとも１０％は増えるということです。
夏以降はそのほかの食品も値上がりするということで、５００円という価格でこれまでと同じ量や中身の弁当を作り続けるのは難しいとして社内では話し合いが続いています。
仕入れを担当する塚本剛さんは「しばらくは値上がりの影響が小さい野菜を中心にしたメニューにするなど企業努力で吸収していくが、夏以降は量を減らすなど値上げしないとやっていけない」と話しています。
また、社長の西川貴子さんは５年間、維持してきた価格を上げると客離れが進むと心配していて「５００円という価格は買いやすい値段なので、値上げすると買ってもらえなくなるかもしれない。価格にはこだわっていきたいが、今後どこまで頑張れるか不安です」などと頭を悩ませています。
「じりじり値上げの夏」
円安による値上げの影響について、家計や消費の動向に詳しい日本総研の小方尚子主任研究員は「円安の局面が始まって半年ほどがたち、消費者の手に渡るものにも値上げの波が押し寄せている。食料品については原材料費の高騰を企業努力で吸収しようとしているが、企業が負担しきれずに値段を上げる動きはこの夏以降、広がってくるのではないか」と話しています。
そのうえで、「冬のボーナスの時期ぐらいには賃金の上昇もありえると期待しているが、それまでの間は賃金は上がらないのに物価だけが上がるという消費者にとっては困った状況が続くだろう。幅広い品目が少しずつ値上がりする『じりじり値上げの夏』になりそうで、デフレに慣れた消費者にとってはボディーブローのように効いてくるのではないか」と分析しています。
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