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マンション時限爆弾 老朽化にどう対応する
http://toyokeizai.net/articles/-/14162
2013年06月03日 週刊東洋経済編集部
関東大震災の復興事業で建てられた「同潤会上野下アパート」が今年5月、84年の歴史に幕を下ろした。電気、水道、ガスが完備された鉄筋コンクリート造りのこの集合住宅は、当時の市民にとってはまさに羨望の的だった。
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時代は移り変わり、分譲マンションはすっかり都会での生活に定着し、今では約600万戸に至る。その中で数々の問題も浮上した。目下直面しているのが、建物の老朽化と住民の高齢化という「二つの老い」だ。
約600万戸のうち、すでに5分の1が築30年以上。今後10年でさらに老朽化
は加速し、全体の3分の1を占める見通しだ。同時に築40年超のマンションでは、60歳以上のみの老人世帯が半数に至るなど、住民の高齢化も進んでいる。
多くのマンションで、管理組合の役員のなり手不足が深刻化しているが、引き受けない最大の理由が「高齢のため」である。管理組合が機能不全となると、管理費や修繕積立金の滞納につながりやすい。今も4割のマンションで管理費の滞納が発生している。そんな環境に嫌気が差して、住民が次々と去り、賃貸化、空室化が進んだ果てには、廊下にゴミがあふれて照明もつかない「スラム化」が待ち受ける──。老朽化したマンションはタイマーがオンになった「時限爆弾」のような存在だ。
■「事業者支配」から脱し資産価値守る管理組合も
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とりわけ、十分な耐震性の認められる新耐震基準(1981年)以前に建てられた106万戸の建て替えもしくは大規模修繕は、待ったなしの状況だ。ただ、2年後に建て替えられる上野下アパートのような建て替え可能な物件は、ほとんど残されていない。
となると、適切な大規模修繕を行うことは欠かせないはずだが、この重要事をマンション業者に丸投げしている管理組合も少なくない。分譲当初、デベロッパーや管理会社が作成した長期修繕計画には、事業者にとって都合のよい記載が散見される。そこには、「大規模修繕は専門的な内容で、素人の管理組合にはわからない」という発想がうかがえる。
だが意欲のある管理組合の中には、こうした事業者支配から脱し、主体的に管理に取り組もうとする動きも出ている。国土交通省は専門家へのヒアリングを経て、最新の改修技術についても広く情報提供を行うなど、そうした取り組みを後押しする。全国で1400万人が住む、重要な社会インフラとなったマンション。その資産価値を生かすも殺すも、主役である住民の意識次第だ。
(週刊東洋経済2013年6月8日号)
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