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■ 株は上がったり、下がったりするもの
日本株が上がったとか、下がったとか、はっきり言ってどうでも良い話だと思っています。
株などに投資出来るのは、比較的裕福な方達ですから、それらの方達がキャシュフローを使ってスリルを楽しんでいる分には、何ら問題は無いと思っています。
麻生さんではありませんが、「株は上がったり下がったりするもの」です。
買われる時も「仕掛け人」がいて、売られる時にも「仕掛け人」が居る。
デイトレードなどで、チマチマと稼ごうが、ロング保有でのんびり楽しもうが、相場が崩壊する過程では皆等しく損をします。
現代のHFTを相手に個人が売り抜ける事は不可能で、どこかで利確して手を引く勇気が、いついでも勝利の切り札ですが、これが出来る人は一部の人に限られます。
負けた時に、いろいろと相場が上昇する理由を自分なりに考えて、損を拡大してしまうのは往々にして起きる事ですが、相場が上がるのと同じくらい相場が下がる理由も存在します。
陰謀論的には、海外の投資家が昨年秋以来、日本株に投資した9兆円と言われる資金を無事回収して、さらには儲けを出さない限り、日本株はもう一度持ち直して17000円くらいを目指すのでは無いかと思っています。
薄商いの中で主要銘柄を買上げて、ジリジリと相場を上昇させて行くのでしょうが、買いの中心が日銀や年金資金、信託銀行になってきたら注意が必要でしょう。
だいたい「人力予測」は外れるので、参考にはされない様に・・・・。
■ 国債金利が上昇してきている
株などのリスク市場が上昇する時は、リスクが低いけれども利益も低い国債は売られて金利が上昇します。
上の主要国債の動きを見ても、金利が上昇してリスクオンになっている事が伺えます。
しかし、国債金利がある程度上昇すると、市場は途端に不安になります。
現在がまさにその状況で、バーナンキのどうでも良い発言の裏を勘ぐって、一気に株が売られたのも、過熱気味の市場に危機感を抱く人が増えているからです。これが調整で済むうちは市場は再び上昇し始めます。
現在の様にFRBと日銀がツインターボで資金供給している間は、強気の市場は早々崩れたりはしないのでしょう。
一方、金利が5%を切っていたアメリカのジャンク債市場は、やはり警戒感から金利が5.65%に上昇して来ています。一番リスクの高い債権から金利上昇は始まります。
ジャンク債市場は明らかにバブルでしたから、これで少し調整された方が、市場としても安心できると思います。
■ 株の影に隠れているが日本の不動産REITの下落が止まらない
実は今回の日本株下落の前ぶれとして不動産REITが下落していました。日銀が買い支えてバブルを作っていたREITですが、不動産市場の現状を超える値動きに、市場は正常な判断を下しています。
4月まで個人消費を支えていた、株や不動産REITで泡銭を儲けた人達が、今度は損失を出し始めますから、5月以降の国内消費はマイナスになるでしょう。
■ 日銀緩和は今なら縮小出来る
日銀の異次元緩和の影響は、極端な政策の後に見られる振幅を持った変動期を経て、並行点を模索する状態に入っています。
10年国債の金利が1%弱で落ち着けば日銀の異次元緩和は継続出来ますが、1%を超えてジリジリと上昇する様ならば、日銀の量的緩和は「縮小も停止も難しく」なります。
市場が危機感を持って国債を売却している最中に、最大の買い手の消失は市場にパニックを起させます。
FRBのQEもそうですが、過度の量的緩和は、市場に依存症を生む意味において最悪の金融政策です。それに気付いた時には、既に出口など何処にも存在しないのです。
運よく、経済のイノベーションが起きて景気が自律回復し始めない限り、量的緩和は一時的な痛みは止めても、その後確実に肉体と精神を蝕んでゆくモルヒネを常用するに等しい行為なのです。
長期金利が1%を切っている今ならば、日銀は市場と上手に対話しながら、緩和規模を縮小する事も可能でしょう。しかし、それが出来るのは黒田氏では無く、白川氏です。金利形成プロセスのテクニカルな面を緻密に説明しながら撤退戦を敢行出来る人材は、白川氏しか思い浮びません。市場も白川氏ならば安心して従います。
■ 金融緩和も積極財政も、TPP参加や構造改革のエサでしか無かった
既に日銀は手持ちの政策を出し尽くしています。白川時代はリフレ派から、日銀の緩和が不十分だから景気が拡大しないと責められ続けましたが、今度は政府が財政出動が不十分だから景気が回復しないと責められる番となりました。
財政赤字がGDPの200%を超える日本の財政拡大は、諸外国から見ればクレージーに見えますが、日本国債の受給が安定している時は、常識の範疇であれば、財政拡大の余地が残されていました。
ところが、日本国債の金利が、異次元緩和で不安定になっている以上、政府の「財政の拡大」を声高に主張する訳にはいきません。実際に本年度の予算は昨年よりも緊縮で組まれており、水増しされているのは補正予算分だけです。
これは選挙対策だったと考えると、来年度の補正予算には期待出来ないでしょう。むしろ甘利氏は、第四の矢として、プライマリーバランスの均衡化を挙げています。2015年度までに現在の5割改善と発言しているので、消費税増税を織り込んでも、財政支出は減少するはずです。
これは、安倍氏のサポーターや三橋貴明氏信者らを失望させる事になるでしょう。
一方、第三の矢の規制改革も選挙を意識して、既得権者らの顔色を伺う中途半端な内容です。結局、安倍政権の最大の実績は、株バブルを作った事と、TPP交渉に参加を決定した事だけとも言えます。さらに、日本国債市場から米国債市場に資金流出を演出した事も加える必要があるかも知れません。
■ 羊頭を掛けて狗肉を売る
小泉首相は「改革なくして未来は無い」と非常にストレートに構造改革を推し進めましたが、その弊害が注目されているので、現在の自民党政権は「改革」を前面に押し立てる事は出来ません。
そこで第一、第二の矢の金融緩和と財政出動の拡大を店先に並べる作戦を敢行しています。
そして、本命はTPP参加と構造改革、そして憲法改正ではないでしょうか?
これは明らかに「羊頭を掛けて狗肉を売る」作戦で、不誠実極まりありません。
安倍政権の支持者の多くはネトウヨなどの抑圧される若者達ですが、安倍政権は構造改革派である事を上手に隠蔽して、あたかもケイジアンであるあかの様に振舞ってきました。
民主党政権でも同じ手が使われ、小沢-鳩山ラインで、日本は福祉優先の国家と、中国とアメリカの等距離外交を打ち出しましたが、民主党内のクーデターと執拗な小沢バッシングで、民主党政権は自民党以上にアメリカの言うなりの政権になってしまいました。
日本の民主主義はこういう公約違反や、すり替えに対するチェックが甘いので、国民は何度も同じような手に引っ掛かります。
7月の参議院選挙で自民党が大勝すれば、安倍政権の本質が見えると思いますが、時既に遅しです・・・・。
私は、そろそろ日本は変わらざるを得ないと思っていますから、構造改革派としての安倍氏に期待していますが、今の自民党と官僚に、アメリカに対抗出来るかはイササカ心配に思っています。
★尤も、アメリカの債権バブルが崩壊すれば、それとて瑣末な事となってしまうのでしょう。
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