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http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1305/30/news004.html
『1リットル=30キロメートル達成、クラス最高の低燃費実現!』……。
テレビや新聞に主要自動車メーカーのエコカーの広告が載るたび、多くの読者はこんな煽りコピーを目にするはず。低燃費がウリのエコカーだが、広告やカタログに載る燃費と、実際にユーザーが走行した際の数値に大きな隔たりがあると感じる向きは少なくないはず。
どの程度の消費者が不満を感じているかという統計はないが、実はこうした事態に対応するため、業界団体が動いていた。だが、その内容は「?」と言わざるを得ないものだった。今回は、クルマの燃費を巡る話に触れてみる。
■日本自動車工業会が“解説冊子”を発行
過日、長年のネタ元である証券会社のアナリストから一通のメールが私に届いた。そこにはこんな主旨の言葉が盛り込まれていた。『悪い冗談かと思ったが、どうやらマジメに作った冊子らしい』……。
このアナリストの担当は自動車と関連部品。クルマ会社や部品メーカーの製品や経営全般を20年以上ウォッチしてきたプロが、なにを感じたのか。
届いたメールには、アドレスが添付されていた。以下がその内容だ。
『気になる乗用車の燃費〜カタログとあなたのクルマの燃費の違いは?〜(参照リンク、PDF)』
詳細は日本自動車工業会のテキストを読んでいただきたいが、要するにカタログに提示されている燃費と、ユーザーが実際に走行した際の数値との乖離が大きいため、これを業界全体で説明せざるを得なくなったという構図。嫌味な私はそう受け止めた。 日本の“燃費”がどうしてカタログとユーザーとの間で隔たりがあるのか、私はこれまで以下のような記事を書いてきた(参照リンク)。
→燃費5キロ、それでも「エコカー」を名乗る不思議(JB PRESS)
→誰も批判しない「実燃費」の内外格差(JB PRESS)
要約すると、日本はメーカー寄りだと疑わざるを得ない基準でカタログ燃費を弾き出しているのでは、という内容だ。私が主張するまでもなく、自動車ユーザーの間ではこんなサイトがクルマ購入時の大事な要素、実燃費のモノサシの1つとなっている.
ただ、全てのユーザーがこのようなサイトを参照しているわけではない。このため、「カタログ燃費と違うじゃないか」と消費者がクルマの営業マンに不満をぶつけているのではないだろうか。ひいてはこれが、業界団体が冊子作成に動いた背景にあるのではないか。
■欧米並みの基準作りが先決
冒頭のメール、アナリストの言葉に戻る。なぜ自動車分析のプロが“悪い冗談かと思った”のか。それには明確な理由がある。話は簡単だ。
メーカー有利と受け止めざるを得ないような現状の燃費基準を、ユーザーが納得できるような基準に改めれば良いだけである。
自工会の冊子でも触れているが、クルマは走行する状況で燃費が変わる。例えば、ストップ&ゴーの多い市街地では往々にして燃費は落ちる。逆に、一定速度で長時間走行する場合は燃費が伸びる。だが、日本の燃費基準の場合、極端な言い方をすればどんぶり勘定的な指標が使われているため、こうした走行状況の違いが反映されにくいのだ。
「日本では、JC08モードというモノサシが1つだけしかない。これがユーザーに誤解を与えやすい下地となっている」(証券会社の自動車担当アナリスト)。以前は「10・15モード」という測定方法で燃費を表示していたが、実際の数値とは差があったので、2011年4月からJC08モードを導入したのだ。
ちなみに米国の場合は「市街地モード」「ハイウエイモード」の2種類がカタログ燃費として提示されている。つまり、これが走行状況に応じて燃費を図るモノサシになっているわけだ。
先の記事を書く際、私は多くのユーザーが弾き出した「e燃費」の数値と、米国で売られている日本製の主要エコカーの数値を比較してみた。すると、日本のJC08基準ではなく、米国基準に近い数値がe燃費のサイト上に載っていて驚いた。
「誇大広告に対する風当たりの強い米国では、JC08の数値をカタログに載せた途端、たちまち集団訴訟が起こるのは確実」(同)とみる専門家は少なくない。
実際問題として、かつては日系メーカーの“エコカー”が、実燃費が悪いとして訴訟の対象となった経緯がある。このほか、つい最近は韓国ヒュンダイの主力車が燃費性能水増しを追及され、ユーザーが多めに払った燃料代を返還する事態に追い込まれたばかり。
**** ここで私からの提言だ。
米国政府が採用しているクルマの燃費基準。優秀な日本の官僚、そしてメーカーならば十分に国内で適用可能なはずだ。多くのユーザーが集めたデータを反映させたe燃費と、米国基準のデータが極めて近いのは、素人目からみても、米国、日本の基準どちらがユーザーに優しいか一目瞭然だ。
ちなみに、先の自工会の冊子には「監修」として経済産業省と国土交通省自動車局が名を連ねている。
日本の消費者は米国と比べて大人しいのかもしれない。だが、e燃費のようなサイトが立ち上げられている以上、ユーザーの監視の目は厳しくなっている。
よもや、官民一体となり、クルマの販売を下支えするために、ユーザーフレンドリーでない基準を使い続け、“過剰なエコ”を演出しているのではないか。いや、冊子を作ってまで消費者をごまかそうとしている……そんなことは絶対にないと信じたい。
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