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日銀による異次元の量的緩和以降、予想に反して日本の長期金利が上昇を始めています。量的緩和当日こそ金利は急低下したものの、その後は0.6%台まで上昇、さらに5月に入って一気に0.8%台まで急上昇しました(図1)。長期金利の上昇を受け、メガバンク3行は5月より住宅ローンの固定金利の一部を引き上げ、6月もさらに上がる見込みです。後ほど説明するように、金利の上昇は単純に株高を反映したものとみなすこともできますが、日本の財政危機に対する兆候と解釈することも可能です。市場ではその解釈をめぐって激しい議論が起きています。
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現在、日本は日銀による財政ファイナンスの状態にある
日本の財政状況に敏感な投資家は、金利上昇は日本の財政危機の兆候と見なしています。日本の政府債務のGDP比が世界でも突出して高いことは誰もが認識していますが、日銀による国債の大量購入が結果的に日本の財政の信認を低下させ、国債価格下落の引き金を引くと考えているのです。
日銀は今後2年間で年間60兆円から70兆円の資金を市場に供給します。多くの報道では黒田総裁の発言を根拠に、市場で取引される国債の約7割を日銀が購入するとしていますが、それは既発債の借り換え分も含んだ数字です。実際には毎年発行する額を超える国債を日銀が購入しており、事実上、日銀が直接引き受けを行っている状況といえます。
もし今回の金利上昇が日本の財政危機のサインなのだとすると、その結果は歯止めの効かないインフレであり、金利は今後も上昇を続けることになります。
インフレと金利上昇が制御できなくなると、国民の生活に大きな影響を与えることになります。まず現金の価値が減少するので、預金を持っていると大きく損をします。給料の増額が物価に追いつかないので生活も苦しくなるでしょう。また住宅ローンの金利も跳ね上がるため、当初はローンも組みにくくなります。
ただ一方では、物価が値上がりし、借金の実質額が減少するので、うまく固定ローンを組んで不動産を買うことができた人は、最終的には得をするかもしれません。
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