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原油が1ドル=150バレルに迫る時代は、もう来ない(写真は2008年の高騰時、撮影:今井 康一)
原油1バレル=150ドル時代は2度と来ない シェール革命がもたらす、「ピークオイル論」の終焉
http://toyokeizai.net/articles/-/14132
2013年05月30日 中原圭介の2013年の世界経済を読む :東洋経済オンライン
原油価格の代表的な指標であるWTIの推移を見ると、2008年1月に初めて1バレルあたり100ドルを超え、同年7月には150ドル近くにまで高騰したことがありました。
■原油が「超高騰」する時代は、もう来ない
しかし、もう二度と150ドルに迫るような場面は訪れないだろうと思われます。シェール革命によって、化石燃料の寿命は少なくとも400〜500年延びたといわれる中で、世界の原油生産量はすでに頂点に達し、その後は減少に向かうという「ピークオイル論」は明確に否定されてしまったからです。
世界の人々が原油の枯渇を心配したピークオイル論の時代は、これまで何度かありました。第2次世界大戦以降では、オイルショックが起こった1970年代、原油が高騰した2005〜2010年がこれに当たります。原油が枯渇するという根拠は、原油を発見・採掘する技術が限界に突き当たるという見解から来ています。
■加速度的に増える世界の原油埋蔵量
しかし現実に起きているのは、絶え間ない技術革新が世界の原油埋蔵量を急加速度的に増やし続けているということです。ピークオイル論の時代には、世界の原油埋蔵量は2兆バレルくらいで、そのうち1兆バレルをすでに人類が消費しているといわれていました。ところが、原油の価格が上昇し、採掘コストが高い海底油田などの非在来型オイルでも採算が合うようになると、推定埋蔵量は3兆バレルくらいに上方修正されたのです。
もちろん、この3兆バレルにシェールオイルは含まれていません。シェールオイルを含めた原油埋蔵量の推定はまだどこの研究機関からも出されていませんが、西シベリアのバジェノフだけで2兆バレルあるとされ、世界全体で見れば10兆バレルと試算されてもおかしくはないのです。より詳細な推定埋蔵量については、ロシアや中国、アルゼンチンなどのシェール開発が大きく進むにつれて明らかになってくるでしょう。
これからは、原油も天然ガスと同じようにシェール型を含む非在来型の比率が高まっていくのは間違いありません。ですから、原油が大幅に値上がりするということは考えられないでしょう。アメリカ国内ではすでに天然ガスと原油の価格が国外に比べて恒常的に安くなっています。長い目で見ると、世界的なシェール開発の進展に伴い、天然ガスと原油がともに世界中に大量供給されるようになり、アメリカ国外でもその価格が右肩下がりで推移していく可能性が高まっているのです。
■イランの核開発問題には注意が必要
ただし、目先の1〜2年くらいの間は、イランの核開発問題の情勢いかんによっては、原油価格が120ドル〜130ドル程度まで高騰するリスクも意識しておかなければなりません。イスラエルがイランに軍事攻撃を仕掛ければ、イランおよび周辺国の原油供給が急激に減少する懸念があるからです。いまのところ、アメリカがイスラエルに自制を促していますが、イランが核開発をやめない限り、遅かれ早かれイスラエルの攻撃を止めることはできないでしょう。
ほんの10年前には、地下2000〜3000メートルの地層にあるシェールガスやシェールオイルを採掘・回収するのは、技術的に極めて困難とされていました。同じく10年前には、海面下3000メートルの海底の、さらに3000〜4000メートル下の地層にある原油を発見・採掘するのも、絶対に不可能といわれていました。
ところがいまや、絶え間ない技術革新によって、どちらもいとも簡単に行われるようになっています。こうした歴史を振り返ると、現時点では開発が困難であるといわれている事例についても、10年後あるいは20年後には新たな技術革新によって解決されている可能性が大きいのです。ですから、再びピークオイル論が台頭し、原油が高騰するような事態は、二度と起こらないと考えられます。
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