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「アベノミクスバブル」が完全に崩壊するとき いまの株価はバブルか?
http://toyokeizai.net/articles/-/14103
2013年05月29日 小幡 績:慶應義塾大学准教授 :東洋経済オンライン
いまの日本の株価はバブルであろうか?
私はバブルであると考える。5月の大型連休終了後、日本の株価はバブルとなったと考える。その理由は以下の通りである。第一に……、という原稿を書いていたのだが、5月23日からの大暴落で、誰の目から見ても、株価はバブルであることが明らかになってしまった。仕方がないので、今後の株価の動向を予測することにしよう。
■今後の株価は下がるに決まっている?
多くの読者は、バブルであったならば、もう崩壊したのだから、今後は下がるに決まっているのではないか、と思うかもしれない。それは非常に正しく、そして間違っている。
第一に、多くの市場関係者は、「今回の下落は一時的な調整で、むしろ健全だ」と主張している。「昨年の11月からほとんど一度も調整がなく、日経平均株価は約8割も上がったのは異常で、一時的な調整はむしろ健全で、このくらいの調整がない方がおかしい」というのである。今後は、健全な調整を経て、改めて年末へ向けて、日経平均1万7000円、2万円を目指していくという。
これこそおかしい。調整が必要なら、それは株価が高すぎると言うことではないか。そして、それが調整されたら、その後上がる理由がないではないか。高すぎるから調整されたのに、なぜ、その後、さらに高くなるのか。
■不健全な「株価コメント」に含まれる真実
この不健全なコメントは、明らかに間違っているのだが、真実も含まれている。
まず、健全な調整というのはあり得ない。株式保有者にとっては、こんな心臓に悪い暴落はやめて欲しい。一日だけならともかく、たとえば三日間以上も続く暴落は、恐怖感に耐えられず、売ってしまうかもしれないから、その後、調整して上がるくらいなら、下がらずに上がって欲しい。もう一つ間違っているのは、今後は、そう簡単に上がり続けることはないだろう、ということだ。
一方、これらのコメントに含まれている真実と言うのは、コメントをしている人々の願望をそのまま表しているということだ。株価はもう一度上がってくれた方が、市場関係者としては商売上、望ましい。もちろん、このくらいは、誰にでも想像がつくだろう。アナリストやストラテジストは願望を述べていること、あるいは、多少のそういうバイアスがあることは良く知られている。しかし、悪質なのは、実際にポジションを持っている投資家達は、このコメントに乗じて、次の売り場を探しているということだ。
今回のような急激な暴落は、一部のヘッジファンドが中心となって仕掛けたものと思われる。そして、そろそろ手仕舞いをしようとしていたセンスの良い投資家、あるいは、仕掛けるヘッジファンドと近い投資家は、うまく売り逃げたかもしれない。しかし、プロであっても、多くの投資家は売り損なっている。少なくとも、まだ売るべきポジションは残っている。そういう投資家が多数派である以上、株価はある程度、戻すものなのだ。
■問題は、むしろ株価が上がった後
しかも、今回のように、上がりすぎたこと、それを狙って仕掛けたこと以外に下落した理由がない場合、そして、世界的なリスクオフの流れではなく、日本市場だけの暴落である今回は、これをきっかけに世界の流れが大きく変わるわけではない。そのような場合は、多くの日本株投資家が、それも、プロ達が、まだ売りたいと思っていれば、その願望は実現するのだ。つまり、もう一度上がるのだ。
なぜなら、ここまで下がってから売るのは悔しい。あるいは、もったいない。ほとんどの投資家がそう思えば、一連の暴落による恐怖感で売ってしまった投資家以外は、もうこんな水準では売らない。誰も売らなければ下がらない。そうなれば、上がるしかない。だから、上がるのだ。
問題は、上がった後だ。そして、その上がり幅と持続力だ。多くの投資家は、ここまで下がってからは売りたくない。だから、今は売らない。しかし、いったんバブルが崩れれば、かなりの投資家は、今回天井で売りそこなったが、次はちゃんと売ろうと思っているはずだ。だから、次に上がったところでは売ることになる。
この願望が強ければ、いわゆる売り場を作るような動きを相場が作る可能性がある。いったんいい水準まで戻す。そして、そこで多くのプロの投資家は売るだろう。彼らが、どこまで強気か、あるいは貪欲かによって、この売り場のタイミングと水準は変わってくる。これは、もはや相場心理であるから、企業の実績などは全く関係ない。
前回の山である1万5900円付近は一つの焦点となる。その近くまで上がってくれば十分だ、と思って売る投資家もいれば、強欲に、待ったのだから、前回の山は越えてから売りたいと思う投資家が錯綜するだろう。前者が強ければ、その手前で相場は止まり、その後は、一定期間、モミ合いが続き、相場的には、その後、ボックス圏の動きという展開になろう。一方、後者が強ければ、1万6000円台を突破し、その後は、彼らの強欲次第ということになろう。
■バブルがもう一山続く条件とは?
そうなると、世界のリスクオンの動きや米国市場の動向に大きく影響されるようになるだろう。ただし、いったん傷が付いたバブルは、そこまでは盛り上がらないから、どこかで、遅かれ早かれヤマ場を迎えることになるだろう。
一方、今回のアベノミクスバブルが幅広いものとなっていれば、すなわち、新しい株式投資家層を増やしていれば、今回の調整を見て、初めて、今回の局面で株を買う人が相当数出てくる展開となれば、バブルはもう一山続くだろう。個人的には、この線は薄いと思うが、可能性は理論的にはゼロではない。
したがって、今後のバブルの動向は、自己実現的に、今、バブル市場に残っている投資家達の期待を反映して決まる。したがって、ただちに暴落が続くわけでもなく、一方、投資家は、バブルがいつまで続くか不安を抱え始めてしまったから、こうなれば、もはやこれまでのように一本調子に上昇は続かない。ただ、バブルが完全に崩壊するとすれば、円安がさらに進行して、ドルベースで考える海外投資家が、完全に利食いに動いたときとなるだろう。
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