http://www.asyura2.com/13/hasan80/msg/126.html
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レイ・ダリオ:「債券の空売りは最大の投資機会だ」と公言している、世界最大級のヘッジファンドのファウンダー
DOMOTO
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735
目次
■ @ 債券先物主導による国債現物市場の混乱
■ A アベノミクスで日本国債トレーダーが増加
■ 結:日銀と世界最大級のヘッジファンド
自民党安倍政権と黒田日銀は、「世界で最も不安定でリスクの高い金融市場」(モルガン・スタンレー、米CNBC)を作り出した。世界各国の金融緩和が広範囲に広がるなか、世界で最も危険な金融緩和によりマネーがバラ撒かれる日本へ、世界中からいまもヘッジファンドが集っている。
4月4日、黒田日銀の「異次元緩和策」の決定で「世界で最も不安定でリスクの高い国債市場が、日本の政策立案者たちによって作り出された」(米CNBC)。この黒田日銀の「異次元緩和策」の決定により、ヘッジファンドなど海外投機筋や外国金融機関が、日本の国債市場を急速にターゲットとする動きが起こっている。
■ @ 債券先物主導による国債現物市場の混乱
東京証券取引所の4月の「投資部門別 国債先物取引状況」によると、国債先物を売買する海外投資家は全体の37.9%を占める。
投資部門別 国債先物取引状況 (4月1日〜4月26日)
http://www.tse.or.jp/market/data/sector/b7gje6000000jkrj-att/J_jgbf_m1304.pdf
国債先物取引・国債先物オプション取引
http://www.tse.or.jp/market/data/sector/index.html
5月10日、5月13〜15日に日本の国債市場で起こった利回りの乱高下について、金融アナリストの久保田博幸氏はすでに、ヘッジファンドなどの海外投機筋が「債券先物売り、株式先物買い」を仕掛けた可能性を指摘していた。久保田氏は日本国債の市場動向に詳しい。(久保田博幸−Yahoo!ニュース (5月15日)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kubotahiroyuki/20130515-00024959/
また久保田氏は、1143円の株価暴落と国債金利の乱高下が同じ日に起きた5月23日も、「まとまった債先売り・株先買い」とその反対売買が入った可能性があると指摘している。この<先物取引>での「債先売り・株先買い」(債券先物売り・株式先物買い)そしてその反対売買の「債先買い・株先売り」は海外勢がよく使う方法だ。これにより国債市場の乱高下と株式市場の乱高下、そしてそれに為替の変動を組み合わせて仕掛け、国債・株式の両市場から大きな利益を得られる。
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「23日の市場の動きと今後への不安」 (久保田博幸−Yahoo!ニュース 5月25日)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kubotahiroyuki/20130525-00025192/
(引用開始)
5月23日の東京市場の動きは、記録にも記憶にも残るものであったと思われるので、少しまとめておきたい。
異変がまずあったのが債券市場。債券先物は寄付から前日比1円安と急落した。FRBが早ければ6月にも「出口」というか「正常化」に向けた動きをはじめる可能性が出てきたことで、22日に米国の長期金利が2%台に乗せたことがひとつの要因。22日の日銀金融政策決定会合後の黒田総裁の会見で、長期金利の上昇についてはそれほど懸念してはいないと認識され、これも嫌気されての債券売りであったと思われる。
債券先物は141円01銭に買い戻され、その後再び140円90銭まで売られて、8時53分にサーキット・ブレーカー発動し取引が10分間停止した。現物債は10年債主体に売られ、10年328回の利回りは1.000%ちょうどまで上昇した。つまり日本の長期金利が昨年4月5日以来の1%台となったのである。
FRBの出口が意識された外為市場では円安ドル高が進み103円台に。この円安もあって、23日の東京株式市場は買いが先行し、一時前日比300円を超す上昇となり、日経平均は16000円手前まで上昇した。
この一連の動きから、海外ヘッジファンドなどは103円台の円安と、それによる日経平均先物買い、同時に債券先物の売りを仕掛けていた可能性がある。22日の日米の中銀トップの発言は債券の売り材料ではあったが、先物のストップ安を誘うほどのものではなかったと思う。先物とともに現物はベンチマークの10年債主導の動きであり、メガバンクなどの動きが主導していたようにも思えず、海外投資家の仕掛け的な動きの可能性が高かったのではなかろうか。
債券は売り一巡後は買い戻され、日経平均は16000円手前で買いは止まり、上値が重くなった。動きがあったのが10時10分で、日銀はシグナルオペと言える1年物共通担保資金供給(全店、固定金利方式)を午後ではなく午前中にオファー、さらに国債入札日(流動性供給入札)にも関わらず国債買い入れ(残存期間1年以下と1年超5年以下)をオファーした。このシグナルオペに債券先物は反応し、債券先物は買い戻しが加速、反対に日経平均先物は戻り売りに押され、中国の5月製造業PMIの低下などもきっかけに下げ幅を拡大させた。
午前中のタイミングで、朝方の債先売り・株先買いのポジションをひっくり返してきた可能性がある。株式市場では次第に売りが売りを呼ぶような動きとなり、反対に債券は先物や10年債主導で、一気に上昇し142円台に。ただし、超長期債は14時以降はほとんど出合いなく、まさにディーリング相場となっていた。
日経平均先物は震災後の2011年3月15日以来のサーキッド・ブレーカーが発動し、結局、前日比1143円安と2000年4月以来の大きな下げ幅となった。
債券先物は142円74銭まで買い戻されて、大引けは61銭高の142円51銭。現物債は10年債が一時の1.000%から0.825%まで戻った。5年債は0.455%から0.355%と0.1%も当日中に利回りが低下した。以上が23日の債券と株の動きであった。
(引用終了)
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■ A アベノミクスで日本国債トレーダーが増加
日本の国債市場では今後、海外ヘッジファンドが、海外投資家比率の高い債券先物市場で取引ウェイトをさらに大きくし、先物主導で不安定化する現物国債市場をさらに大きく混乱させていくことが予想される。現にこの5月の国債市場では、現物国債市場が債券先物市場につられる形で大きく乱高下し、影響を受けている局面が頻繁に起きている。
またヘッジファンド以外でも、先物現物を問わず、日本の国債市場を進出の対象へと乗り出してきている外国金融機関が、日銀の「異次元緩和策」決定以後、先月4月から増加しているようだ。
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世界的な巨大投資銀行を主な顧客とする、人材コンサルティング会社モーガンマッキンリーの熊沢義喜氏によると、外銀は日本国債のトレーディングや商品開発の専門家を募集し始めているという。
アベノミクスで日本国債トレーダー採用増加 (4月30日 フィナンシャル・タイムズ)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGV30001_Q3A430C1000000/
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英フィナンシャル・タイムズ誌では、ヘッジファンド業界に詳しいサム・ジョウンズ氏が4月の記事で、アベノミクスは多くのヘッジファンドを生き返えらせたと言っていた。彼の5月2日の記事では、日本に焦点を当てて多くの利益を上げているヘッジファンドの現在の状況を伝えている。下記はその記事の結びの部分である(括弧内は私が記事文脈から補足)。
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Managers are even starting to look to Japanese government bond markets – which have so far proved resilient – as the next source of potential returns.
“A lot of people had moved out of shorting the yen and into the Nikkei this last month, so that paid off for them,” said Mr Lawler. “There are people who have now started to put on positions shorting JGBs. It’s very possible that could end up being the third big leg of this trade.”
ヘッジファンドのマネージャーたちは潜在的な次の収益源として、これまで弾力性を示してきた日本の国債市場にさえ目を向け始めている。
(GAMインターナショナルのポートフォリオ・マネージャーである)アンソニー・ローラー氏は次のように述べた。
「多くのヘッジファンド・マネージャーたちは、先月(4月)に、利益を上げるために円売りから離れて日経株の方へと移った。そして、いま、日本国債に売りポジションを置き始めている人たちがいる。日本国債は結局、日本での売買取引での(円、株につづく)第三の大きな足(第3の大きな収益源・市場)となることは非常に起り得ることだ。」
Japan-focused funds reap bumper profits on Nikkei and yen bets (5月2日 フィナンシャル・タイムズ)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/e51e57b0-b348-11e2-95b3-00144feabdc0.html#axzz2SEynwCwD
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5月10日、5月13〜15日に日本の国債市場で起こった利回りの乱高下について、慶応義塾大学准教授の小幡績氏もヘッジファンドの一部が仕掛けた可能性を指摘していた。
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世界的なヘッジファンドの一部に限られた動きである。
(中略)
これが国債市場にとって、一番危険なシナリオだ。この話は、まもなく刊行される拙著「ハイブリッド・バブル」で詳細に分析したが、重要なのは、まともな投資家が国債市場から退出し、乱高下をチャンスととらえるヘッジファンドなどが、国債市場の取引ウェイトを上げていくということが起きていると言うことだ。これは、長期的には、国債市場を日銀だけが買い支える安楽死へと向かわせることになる。
(中略)
危険な流れが金融市場に生まれている。
株価上昇の裏で進む「日本売り」のシナリオ―国債価格の乱高下で明らかになった、危険な兆候−(小幡績 5月16日 東洋経済)
http://toyokeizai.net/articles/-/13983
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■ 結: 日銀と世界最大級のヘッジファンド
久保田氏は前述の5月15日の記事のなかで、「ここで注意したいのは、10日の欧米の債券市場でも国債利回りが上昇していたことである」と指摘している。5月10日の日本の国債市場で利回りが乱高下した同じ日に、米国、ドイツ、フランス、オランダ、オーストリア、英国でも、大幅に国債利回りが上昇していた。
この10日の世界同時(同日)の大幅な利回り上昇があった事実からは、ヘッジファンドの中でも世界的規模で売買を行うグローバル・マクロファンドがすでに日本の<国債市場>に参入している可能性が考えられる。2月のフィナンシャル・タイムズでは、日本の<株式市場>にグローバル・マクロファンドが参加しており、それらのグローバル・マクロファンドが、やがて日本で起こるであろう債券から株式への資金の流れの中で大儲けを狙ってくる可能性が示唆されていた。
安倍トレードで復活するマクロ・ヘッジファンド (2月14日 フィナンシャル・タイムズ)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM14053_U3A210C1FF1000/
日本への参加が予期される(またはすでに参入していると思われる)<国債売り>のグローバル・マクロファンドの代表といえば、レイ・ダリオが率いる世界最大級のブリッジウォーターが筆頭として挙げられるだろう。ブリッジウォーターは2011年の世界のヘッジファンド業界でトップの最高収益を上げている。
レイ・ダリオは2012年12月にニューヨークタイムズが主催した「DEALBOOK」と呼ばれた投資討論会で、「債券の空売りは最大の投資機会だ」と公言し、米国メディアの注目を浴びた。5月16日の米CNBC放送でもキャスターやコメンテーターから「彼は転覆を予測している、グランド(グレート)・ローテーションのことだ」とコメントされている(※ 「グレート・ローテーション」:大循環。債券から株式などへの世界的規模の資金のシフト)。
Biggest Opportunity Will Be Shorting the Bond Market: Dalio (12月12日/2012年 米CNBC)
http://www.cnbc.com/id/100307150
[Video] Dalio Cash & Bonds 'Terrible' Investments (5月16日 CNBC)
http://video.cnbc.com/gallery/?play=1&video=3000169330
Ray Dalio Cash, Bonds 'Terrible' Investments (5月17日 ValueWalk)
http://www.valuewalk.com/2013/05/ray-dalio-cash-bonds-terrible-investments-video/
レイ・ダリオは、2012年には米国債とドイツ国債と日本円に対して売りポジションで高収益を収め、今年初めのアベノミクスの開始とともに大規模な円売りを行って多大な収益を得ている。3月20日の米金融投資サイト・バリューウォークによれば、アベノミクス開始以降、大量の円売りをしている米国の2大マクロファンドとしてフォートレス・インベストメントとダリオのブリッジウォーターが挙げられている。
Fortress Joins Many Other Hedge Funds Shorting The Yen (3月20日 ValueWalk)
http://www.valuewalk.com/2013/03/fortress-begins-shorting-yen-possible-further-weakness/
Ray Dalio's Bridgewater Shorts Japanese Yen (2月13日 ValueWalk)
http://www.valuewalk.com/2013/02/ray-dalios-bridgewater-shorts-japanese-yen/
また、ウォール街で「グレート・ローテーション」の議論が活発に行われた今年1月からは、積極的に世界各国の株式を買い上げている。
日銀は5月23日の国債金利の急騰で、2.8兆円の資金供給を市場へ通知し金利の混乱の応急措置を図ったが、日銀が、金利が上昇するたびに国債買入れオペを増額していけば、それはより多くの海外投機筋を集め、最終的にヘッジファンドなどに収奪され、日銀はヘッジファンドや外資にとって「大量のマネーが噴き上がる収益源」となる。
前述のフィナンシャル・タイムズで、「潜在的な次の収益源」として日本の国債市場をヘッジファンドがターゲットにし始めているとジョウンズ氏が言ったのは、まさにこのことだ。
黒田総裁も安倍総理も「市場との対話をしていく」「市場関係者との意見交換をしていく」と繰り返しているが、ヘッジファンドや海外投機筋と会話し意見交換することなどできるわけはないのだから、すでに無策に陥ったと同然だ。
■ 関連記事
日本の国債市場の混乱は、もっと激しくなる (5月17日 東洋経済)
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/805.html
■ 関連記事:拙稿
S&P:「日本国債の格下げは3分の1以上の可能性」 ムーディーズ:「アベノミクスの活況は一時的なもの」(2013年5月9日)
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/735.html
クレディ・スイス:円安による輸出増は限定的=「円安で貿易赤字は拡大へ」「赤字構造が定着した貿易収支」(2013年5月6日)
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/721.html
「安倍総裁は『借金爆弾』大爆発の引き金を引く」−と国債暴落の仕掛け人カイル・バスが予告(2012年12月1日)
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/699.html
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