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2013/5/27 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
国民は株価の乱高下に気を取られているが、それどころじゃないのが国債だ。10年物国債の金利は23日に年1%まで急上昇(価格は下落)、狂乱市況の引き金となった。
この事態に実は青ざめているのがアベクロだ。就任以来、アベノミクスを自画自賛してきた安倍首相は、株暴落を受けたコメントを求められてダンマリ。その後の会合でも「株式市場についてはコメントしないことになっている」と逃げの一手だ。上がっている時は聞きもしないのに、「世の中明るくなった」と大威張りだったくせに、ホント、勝手だ。
イケイケドンドンだった日銀・黒田総裁もすっかり弱気になっている。24日の講演後に株や国債の乱高下を聞かれると、「日々の変動についてコメントすることは避けたい」と、こちらもノーコメント。「長期国債の市場は安定的に推移することが極めて望ましい」と一般論にすり替えたが、国債市場は生き馬の目を抜くプロの戦場だ。黒田の狼狽(ろうばい)と焦り。しかし、有効な手立てはもちろん、気の利いたコメントすら出せない無策は完全に見透かされている。 先週の政策決定会合後の会見がいい例だ。黒田は国債金利の上昇について、「実体経済への影響はない」と強がったが、さっそく、英紙フィナンシャル・タイムズに〈この黒田発言後の1時間で国債金利が0・9%を突破した〉と書かれた。黒田の無策を見て、市場は安心して国債を売ったのである。
経済アナリストの菊池英博氏が言う。
「このところ1カ月物の短期国債の札割れが頻発しています。24日時点で11回連続という異常事態です。金利を下げたい日銀が市場で高値で買おうとしても、そもそも、市場に国債が出てこない。これでは金利を下げることができません。長期国債に比べて、リスクが低い短期国債でさえ札割れするのはよほどのことです。市場は完全に弱気で、株高にも懐疑的になっている。これは株暴落の前兆といってもいい。株価が急落すれば、帳尻合わせのために、国債市場まで投機筋に荒らされ、さらなる大混乱に陥る恐れがある。今のうちに沈静化しないと、取り返しのつかないことになりますよ」
◆金利上昇たたけば株価暴落のジレンマ
こりゃ、いよいよ八方ふさがりだ。黒田日銀のもくろみは、国債を大量に買い上げる→長期金利が下落→企業は設備投資をしやすくなる――と、こんなシナリオだった。しかし、フタを開ければ国債金利は下がらず、企業の資金需要も増えなかった。揚げ句が、国債マーケットの大混乱と、それに連動した株価の急落なのである。
確かに、異次元緩和で市場にあふれたマネーは一時的に株価を急激に押し上げた。しかし、国債マーケットはプレーヤーが日銀ひとりという異様でグロテスクなものになった。これじゃあ、みんなが「ヤバイ!」となって逃げ出すわけだ。国債価格はどんどん下がり、下落に歯止めが利かなくなってしまった。それが長期金利を引き上げ、企業の設備投資意欲をさらにそいでいるのだから、世話はない。
「予想外の金利急上昇に慌てふためいているのが黒田日銀です。金融機関の担当幹部を呼んで『1年以下』『1年超5年以下』の国債を27日に総額8100億円で買い入れると通知した。これも極めて異例なことです。しかし、日銀が国債価格を維持しようとすれば、国債から株に向かっていたマネーを止めてしまう。株価が大暴落したのはそのためです。あっちを立てれば、こっちが立たずで、異次元緩和は失敗だったことが露呈されつつあります」(市場関係者)
それじゃあ、何のための日銀の緩和なのか。黒田に聞いてみたいものである。
その間にも円安は進行し、輸入品の価格が高騰している。食用油、ツナ缶、マヨネーズ、トイレットペーパーといった生活必需品が次々に値上がりしているだけでなく、燃料高騰に悲鳴を上げる全日本トラック協会は、政府・与党に補助金の創設などの対策を求めることを決めた。この先、各業界から怒りの声が噴出するのは必至だ。
経済ジャーナリストの荻原博子氏が言う。
「政府は4月から小麦の売り渡し価格を9・7%値上げしました。在庫がある間は店頭価格はそれほど変わらないが、そのうち値段にハネ返ってくるでしょう。1割の値上げは企業努力でどうにかできるレベルではない。あらゆるモノの値段が上がる一方、サラリーマンの給料は増えないのですから、実質的な賃下げです。景気回復を信じていない企業は、設備投資にも人件費にもお金を使わない。円安で輸出が伸びているといっても、日本自動車工業会のデータでは、自動車の輸出は9カ月連続前年割れなのです。結局、アベノミクスで明るいのはムードだけ。すべてがマヤカシだったのです」
国民ダマシの詐欺的手法による欺瞞政治。これがアベノミクスの正体で、それが誰の目にも明らかになってきた。
◆専門家に広がる「トリプル安」悲観論
問題は、日本経済がこの先どうなるのか、だ。まず、国債価格が安定するのは厳しい。どう転んでも暴落する。そんな見立てが多い。
「ハイブリッド・バブル」の著者で慶大大学院准教授の小幡績氏は、本紙のインタビューでこう指摘した。
「日銀がもくろみ通り、2%の物価目標を達成すれば、インフレになっているわけですから、今度は金融を引き締めなくてはならない。つまり、今度は国債を売る側に回る。その瞬間、国債価格は暴落します。(中略)2%に届かなければ、日銀はさらなる緩和メニューを出さざるを得なくなる。景気が回復しなければ、財政出動も必要になってくる。そうなると、日銀の大量国債買い入れは財政ファイナンスであると見られてしまう。このシナリオでも国債暴落につながります」
円安、株安、債券安のトリプル安を懸念する声も高まるばかりだ。当然、そうなりゃ、国民生活はシッチャカメッチャカになってしまう。
金融ジャーナリストの小林佳樹氏が言う。
「国債が暴落すると、日本売りで円安が一気に進みます。それ以前に株価が大暴落です。トリプル安になれば、金利の上昇で企業は借金を返せなくなるし、株価急落で減損会計を余儀なくされて、バタバタ倒産するでしょう。巷には失業者があふれかえり、個人の住宅ローン破産も相次ぐことになる。急激な円安で輸入価格はますます高騰し、不況下の物価高、スタグフレーションも襲いかかります。まさに地獄絵図ですが、この金利上昇を受けて、専門家の間では悲観論がどんどん強まっています」
国民は「株が上がればいいじゃないか」とアベノミクスにダマされているが、安倍だって、この辺の危うさは百も承知だ。7月の参院選までごまかせればいい。その後、消費増税断行を決めればいい。あとは野となれ山となれ。そんな魂胆が透けて見える。
その先、庶民に待っているのは物価高騰、賃下げ、消費増税のトリプル負担増だ。ますます格差は拡大し、負け組は一生はい上がれない世の中になってしまう。
日本経済はいま、大きな岐路に立たされている。いつまで黒田にデタラメ金融政策を続けさせるのか。早く軌道修正しないと、奈落の底へ真っ逆さまだ。
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