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ブラック企業から身を守る法知識
http://gendai.net/articles/view/syakai/142567
2013年5月27日 日刊ゲンダイ
長時間労働に、使い捨て……最近よく聞く「ブラック企業」の実態を描いたドキュメンタリー「ブラック企業にご用心!」が注目されている。
居酒屋チェーン入社2カ月後に過酷労働で自殺した女性、コンビニで“名ばかり管理職”としてうつになった男性――。ブラック企業をモチーフにした企業研修の寸劇を盛り込みながら、劣悪な労働実態を浮き彫りにした。
監督の土屋トカチ氏が言う。
「一部の企業は、『労働法を守っていたら企業活動できない』と平気で言います。『今の憲法ができる前から店やってるんだから、そんな法律に縛られないよ』なんて開き直るケースもある。長時間労働は日本企業なら当たり前でした。かつても同じように法律違反をしていたのです。でも、頑張った分だけ昇給できたので救われていた。今は、そうじゃない。働きに見合う報酬は得られなくなっているだけに悲惨なのです」
<退職後2年は残業代請求可>
では、どうすれば自分の身を守れるのか。土屋氏は「労働法を知っておくこと」という。
「1日の労働時間は8時間以内が基本(労働法32条)で、それ以上になれば残業代が発生する。タイムカードは詐称する企業があるため、出退社の時間はメモも取りましょう。親が残したメモも証拠になります。同居のわが子が、毎晩遅くにヘトヘトになって帰ってくるのであれば、書き留めておくといい。時給を15分、30分単位で計算する会社がありますが、実は1分ごとに計算できます(24条)。また、会社を辞めた後でも、過去2年分は残業代や未払い賃金を請求できます(115条)」
上司に暴言を吐かれた場合にも、内容と日時を記録しておけばパワハラで訴える際の証拠となるという。
弁護士の長谷川裕雅氏のアドバイスはこうだ。
「まず、残業代についての36条です。時間外労働させた場合、基本給の割り増しが必要になります。時間外は25%増し、休日労働は35%増し。これはキチッと請求すべきです。39条の有給休暇は、1年目で10日以上が保証されている。1年ごとに取れる休暇日は増え、最大で20日。要件を満たせば、アルバイトでも取れます。民法627条の労働契約の解除もよく問題になります。ブラック企業では、『忙しいから辞めるな』と脅されたりすることもある。でも、法律上は2週間前に言えば辞めることができます」
最も有効なのは、ブラック企業に入らないこと。見分け方も知っておきたい。
「離職率や研修内容、過労死を出しているかといった情報は、ネットや過去の記事で簡単に知ることができます。アットホームを売りにしているのも怪しい。土日集合でボランティアを強制なんて例もあります。『年俸制』とうたいモチベーションを上げさせる企業もありますが、新鮮な言葉には注意が必要です」(土屋トカチ氏)
信じられるのは自分だけなのだ。
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