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2013年5月24日 植草一秀の『知られざる真実』
ジェットコースターのような市場変動が生まれている。
日経平均株価は5月23日、前日比1143円安の大暴落を演じた。下落率は7.32%で2年2ヵ月ぶり、下落幅は13年ぶりの大きさとなった。
前日の5月22日、日経平均株価終値は15,627円と、5年ぶりの高値をつけていた。
5月23日は、取引開始1時間後の午前10時に前日比315円高の15942円にまで上昇したが、その後じわじわと値を下げて、前引け間近に前日比マイナスに転じると、後場に入って急落商状を示した。
結局、前日比1143円安の14483円で安値引けしたが、ザラ場高値からの下落幅は、1459円に達した。
5月24日の市場では、結局、前日比128円高の14612円で引けたが、日中変動はこの日も激しかった。
寄り付き後の9時15分には前日比524円高の15007円まで反発したが、その後は伸び悩み、後場に入ると急落。一時、前日比502円安の13981円まで値を下げた。
大引けにかけては反発し、前日比128円高まで値を戻した。日中安値からは630円の反発になった。
5月23日のザラ場高値15942円から5月24日のザラ場安値13981円までの下落幅は1961円となり、これは、高値15942円の12.3%に該当する。
まさに、ジェットコースターさながらの激しい展開になった。
今後の展望については、『金利・為替・株価特報』2013年5月27日号に記述したので、関心のある方には参照いただきたいが、二つのポイントを指摘できる。
http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html
ひとつは、日本の株価上昇のスピードが速かったことだ。
私は、上記の『金利・為替・株価特報』の昨年10月29日号に、円安・株高トレンド発生の可能性を指摘し、2012年年末には、2013年央にかけて、日経平均株価が16000円台に上昇する十分な根拠があることを指摘した。
その予測通りの株価上昇が生じているので、これまでの株価上昇は順当なものだと判断しているが、相場の特性として、急ピッチの上昇が続いた後では、市場の自律的な動きによって、ある程度の調整を演じることが普通である。
スピードが速すぎることに対して、調整が生じることを「スピード調整」と呼ぶが、今回の調整は、基本的にはこの種の調整である可能性が高い。
ただ、手放しの楽観は許されないと判断する。
その理由は、アベノミクスの第一の矢であるとされる金融緩和政策を実施しているにもかかわらず、長期金利がまったく低下していないことにある。
低下していないどころか、逆に上昇の傾向を示し始めているのだ。
これは、安倍政権が唱えてきたストーリーとは明らかに食い違う。
安倍晋三氏は、強烈な「異次元」金融緩和政策を断行することにより、金利低下を誘導し、その結果として経済を回復させ、株価上昇、インフレ率上昇を誘導するとしてきた。
ところが、金融緩和にもかかわらず、長期金利が低下しないと、すべてのシナリオの原点が狂ってしまう。
金利上昇が進めば、景気にはマイナスの影響が広がるし、為替レートにも円安ではなく円高圧力がかかってしまうだろう。
この場合、株価に対しても下落圧力がかかってくると予想される。
目にはさやかに見えねども、アベノミクスの歯車がずれ始めていることがはっきりし始めている。
また、米国では、経済指標が景気の堅調さを示すようになっており、いわゆる量的金融緩和政策の縮小が取り沙汰され始めている。
米国の株高を支えてきた最大の要因は量的な金融緩和政策であると理解されており、米国の金融緩和が縮小の方向に歩を進めるなら、米国株式市場には、少なからぬショックが走ると思われる。
メディアはアベノミクス絶賛を続けているが、アベノミクスの層の薄さは鮮明である。
金融政策、財政政策、成長政策の三つを、それぞれ、第一の矢、第二の矢、第三の矢と言うらしいが、普通に金融政策、財政政策、成長政策と表現するのと違いは何もない。
しかも、財政政策は13兆円規模の2012年度補正予算編成でほぼ出尽くしている。
しかも、その内容も旧態依然の公共事業と利権支出のオンパレードだ。
成長政策はいつものように会議を開いて検討しているとされているが、即効性のある具体策はほとんど何も示されていない。
となると、アベノミクスの大きな化粧箱の入っているのは、干からびた金融緩和のカードだけである。
しかも、これが「バズーカ」とか「異次元」ともてはやされた割には、実効性が乏しく、長期金利は下がらずに、上がってしまっているのだ。
株価は割安だった部分が剥げ落ちる形で上昇しているが、アベノミクスの中味が、効果が疑わしい金融緩和政策だけだとなると、さまざまな「幻想」=「期待」が剥げ落ちる展開に陥りかねないと思われる。
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