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■ 日銀の大量購入で国債金利が上昇する怪
黒田日銀総裁の異次元緩和は、新発の日本国債の7割に相当する量を日銀が市場から国債を購入するプログラムです。特に残存7年以上の国債を中心に購入する事で、長期金利を下方誘導する事を目的としています。長期金利が下がれば、住宅ローンなどを組む人が増え、又、ローンの借り換えが進む事から消費を後押しする効果が期待されました。
ところが、4月の異次元緩和の発表で、日本国債の金利は一時的に大きく下落しましたが、そお後上昇に転じています。昨日は10年物の金利が一時的に0.8%を超え、黒田緩和発表時の0.5%切りの状況とは一変しています。
短期金利も顕著に上昇してきており、日銀の異次元緩和によって国債金利が上昇するという皮肉な結果となっています。
■ 10年先物市場で再び発動したサーキットブレーカー
国債金利の上昇は、アメリカやイギリス国債などでも発生しています。これらは、緩和マネーによる株高の影響で、リスク選好が進み、金利の低い国債から株式市場に資金移動が発生している事が原因と考えられます。
日本国債の金利上昇の背景には、日本国内の金融機関が、儲けの少ない日本国債から、サルでも儲かる株式市場に資金を移した効果もあるかも知れません。国債は日銀に任せて、金融機関はもっと儲かる市場で金利を確保するのは当然とも言えます。但し、株式は長期的なリスクに曝されるので、多くの資金は米国債で運用されているのでしょう。
財務省の発表した4月の統計では、国内の金融機関の米国債投資は銀行が売りこして、生保や年金が買い越しているので、全体としてはそれ程大幅増とはなっていない様です。
いずれにしても、国内の金融機関が日本国債を売っている状況では日本国債の価格は下落圧力が発生しています。日銀は国内金融機関の不安を払拭する為に、日本国債の購入スケジュールを公開しましたが、これは逆に、日銀の買いオペの隙を突いてヘッジファンドなどが売りを仕掛ける危険性も高まります。
特に先物市場は海外勢力の影響力が大きい意ので、先物市場で売り崩して、現物市場の下落を誘う作戦をヘッジファンドは取っています。昨日も10年先物市場が売り込まれ、サーキットブレーカーが発動しています。一時、10年物の金利は0.8%台に到達しました。
■ 日銀の異次元緩和で、国債発行コストが増えてしまった・・・
日本はGDP比200%という財政赤字を抱える一方で、黒田緩和以前は国債金利は低く安定していました。これは、日銀と国内金融機関の意思疎通が綿密であった結果とも言えます。日本国債市場は儲けも少ないけれど、リスクも少なく確実に利益が出せる市場だったとも言えます。
ところが、黒田緩和によって、国債金利の変動幅が大きくなったので、日本国債市場の安心感が一気に減少してしまいました。運用担当者は、目まぐるしく変動する金利に神経を尖らせている事でしょう。
同時に財務省も頭を痛めているはずです。10年よりも年限の短い国債金利は皆上昇してしまいました。これは国債発行コストを押し上げます。元々の金利が低いので、「それがどうした?」という感じがしなくも無いのですが、10年債金利が1%を超えて上昇する様なことになれば、財務省の中にも緊張が走るでしょう。
■ 一瞬にして崩れ去った安定感
黒田緩和以前から、日本の預金残高の減少が、長期的には国債の需給関係のバランスに悪影響を及ぼすであろうと言われていましたが、株式や不動産市場の上昇で、老人達も資金をリスク運用し始めています。
ある意味、政府と日銀の思惑通りに、株式と不動産の値段が上昇していますが、それは国債市場の安定とトレードオフの関係にあります。
問題は何らかの危機によって日本株が大幅に下落する様な事が発生した時、資金が日本国債に回避して来るかどうかです。国債市場の安定感が損なわれていれば、資金が逆に流出する事も考慮する必要が出て来ます。
■ 異次元緩和は日本全体のリスクオン
結局、黒田日銀の異次元緩和は、円安株高を演出する事で、長い間低迷していた日本国内のリスク運用を活性化させました。一方で、日本国債の金利の変動幅が大きくなるなど、日本全体がリスクオン状態になったとも考えられます。
緩慢な衰退から、一発勝負に出たと言えばカッコイイかも知れませんが、アメリカの景気後退が鮮明になる中で、一度リスクオフに舵が切られれば、賭けに負ける事になるかも知れません。
■ 日本株はまだまだ上がる?
4月までの日本株高を演出していたのは外国人投資家たちです。
山っ気のある個人投資家達も、大分儲けた様ですが、その様子を見て、そろそろ老人達が重い腰を上げている様です。証券会社が老人達に盛んにアプローチしている様です。老人マネーが市場に流入すれば、日経平均は16000円あるいは17000円に向けて上昇して行くでしょう。
そして、海外のヘッジファンドに絶好の売り場を提供するのです。
それがいつ頃か・・・多分、参議院選挙までは自民党と安倍氏が失速する事は無いでしょう。アメリカや金融資本家達は、自民党に衆参両院で過半数を確保させ、一気に日本を改革する予定でしょうから、参議院選挙までは株価は上昇を続けるというのが、大勢の味方でしょう。
面白いのは、再び株に手を出し始めた老人達も「売る気マンマン」で買っている事です。しかし、一端相場が下落し始めたら、個人投資家に売り抜けるチャンスはありません。売りが確定する事も無く、急降下するチャートを呆然と眺めるしか無いのです・・・。
高速トレードの時代に、個人が勝ち残ることは不可能です。
唯一の方法は、ピークの前に売り抜ける事ですが、それが出来たら誰も損はしません。
「サルが買っても儲かる相場」の後には、ぺんぺん草も残らないかも知れません・・・。
まあ、いつもながらの根拠の無い不安で、投資資金を持たない庶民のヒガミだと一蹴していただければ・・・。
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