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中国の人件費、3年で6割増 アジア新興国で最高:生産拠点から販売市場へと見方を変える企業が成果を得る中国
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/779.html
投稿者 あっしら 日時 2013 年 5 月 14 日 02:42:12: Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: 経済が自壊することはなく、経済は意図的に破壊されるもの 投稿者 あっしら 日時 2013 年 5 月 13 日 18:16:21)

中国の人件費、3年で6割増 アジア新興国で最高
製造業の流出加速も
2013/5/14 2:29

 【香港=川瀬憲司】中国で社会保障費なども含めた人件費が過去3年間で6割以上上昇したことがわかった。1人当たりの人件費はリーマン・ショック直後の2009年から12年の間に、経済成長や通貨高を背景にタイやマレーシアを上回り、アジアの新興国の中で最高水準となった。人件費上昇に伴う消費拡大は中国の内需を狙う企業には追い風だが、生産拠点の優位性は揺らぐ。日本企業が人件費のより低いベトナムやミャンマーなど東南アジアに生産拠点を移す流れが加速しそうだ。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)がアジアに進出している日系企業を対象に集計し、基本給や社会保障、残業代、賞与など工場で働く従業員1人当たりの年間の総合的な人件費の平均値を算出した。日本経済新聞社がこれを基に分析した。

 中国は1人当たりでみると12年で6734ドル(約68万3500円)で、09年の4107ドルから64%上昇した。09年の時点では中国はタイの4449ドル、マレーシアの4197ドルよりも低かったが、逆転した。先進国と見なされる韓国やシンガポール、香港などの2万〜3万ドルに比べると低いが、アジアの新興国のなかでは突出した伸びで最高水準になった。

 中国の急速な人件費の上昇は今後も続く見通しだ。習近平国家主席ら指導部は20年までに1人当たりの国民所得を10年比で倍増させる目標を掲げる。08年施行の労働契約法により実質的な終身雇用制度が導入されたほか、各地で最低賃金の引き上げも相次ぐ。給与のほかに社会保障費の企業負担も拡大する。

 通貨の人民元が08年末から対ドルで約11%上昇、ドル換算での人件費を押し上げた。内陸部など賃金が低い地域もあるが、輸送費や事業の利便性を含めれば奥地への移転はコスト低減につながりにくい。中国の内需を狙う企業を除けば拠点としての魅力は低下した。

 これに対し、ベトナムの人件費は2602ドルと中国の4割弱。バングラデシュやミャンマーはいずれも1千ドル台で、中国の2割前後の水準だ。日本企業は中国から東南アジアへの生産シフトの動きを強めている。

 カジュアル衣料店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは中国での生産比率を75%から60%台に下げる方針。紳士服の青山商事も70%から早期に50%以下に抑える考え。いずれもミャンマーなど東南アジアでの生産を増やす。
 ジェトロの調査でも、今後1〜2年に中国での事業拡大を検討する企業は52.3%と、3年前から9.6ポイント低下。全体平均の57.8%も下回った。これに対し、後発のインドやバングラデシュ、ミャンマーなどへの関心は高まっている。ジェトロの調査で事業拡大に意欲を示した割合はこの3カ国では8割前後だ。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1304X_T10C13A5MM8000/?dg=1


 

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コメント
 
01. 2013年5月14日 11:02:59 : 7OpGsifAXA
いい傾向だ。これによって後進国に資本を流れこませ、インフラや社会環境を整備して、底あげをすることにつながる。進歩とはエネルギーの本質に似て、流動である。

02. 2013年5月17日 21:36:51 : niiL5nr8dQ
資源バブル崩壊後に待ち受ける新興国の運命
[橘玲の日々刻々]
?1980年代からずっと1バレル=15〜25ドルの範囲で推移していた原油価格は、2000年に入ってから上昇に転じ、2005年に1バレル=50ドルの大台を超えると、07年に70ドル、08年には100ドルと急騰した。

?同様に小麦価格は2005年の1トン=150ドルから08年には300ドル超と倍になり、金はもちろん、鉄や銅などの金属も軒並み大幅に上昇した。

?こうしたコモディティ(資源)の高騰については、ふたつの異なる見方がある。

?ひとつは、21世紀に入って中国やインドなど人口大国の高度経済成長が本格化し、世界各地でインフラ整備や住宅建設が一斉に始まったからだ、というものだ。ジム・ロジャーズに代表されるこうした主張は、コモディティ価格は実需によって上昇したとする。

?もうひとつは、中央銀行の金融緩和によって金融市場に投機マネーがあふれ、それが規模の小さなコモディティ市場に向かったため価格が高騰した、という資源バブル説だ。

ゼロ金利政策が資源価格を押し上げた

?バブル崩壊以後、負の遺産の処理に苦しんだ日本経済は、97年のアジア通貨危機を期に、大手金融機関が次々と破綻する深刻な金融危機に襲われた。これを受けて日銀は、それまでの金融政策の常識を覆し「ゼロ金利」という未踏の領域に入っていく。その一方でアメリカ経済は好調を維持し、98年には財政収支が黒字に転じている。

?経済学者の吉本佳生氏は、国際商品指数と米国の財政収支・経常収支の関係から、日銀のゼロ金利政策が円キャリートレードを通じて資源価格を押し上げたと推測している(『日本経済の奇妙な常識』〈講談社現代新書〉)。円キャリートレードとは、ヘッジファンドなどが低金利の円で調達した資金を米ドルなど高金利の通貨で運用する取引だが、この時期、財政収支が黒字に転じた米国ではじゅうぶんな量の新発国債が発行されなかった。そのため行き場を失った投機マネーが米国の株式市場に流入してインターネットバブルを起こし、2000年にそれがはじけると、こんどはコモディティ市場に流れ込んでエネルギーや金属、食糧などの価格を高騰させたのだ。

?どちらの見方が正しいのかは一概に判断できないし、両方の要因が関係しているのだろうが、2008年のリーマンショックで原油価格が1バレル=60ドル台まで4割も急落したように、コモディティ価格が投機によって乱高下していることは間違いない。

?2010年、若者の焼身自殺をきっかけにチュニジアで反政府デモが広がり、独裁政権が打倒された(ジャスミン革命)。この民主化運動はアラブ諸国を巻き込み、エジプトでは民衆デモでムバラク体制が崩壊し、リビアでは内戦の末、反カダフィ派が政権を奪取し「アラブの春」と呼ばれた。

?これらアラブ諸国に共通するのは、小麦の輸入国だということだ(たとえばエジプトの小麦輸入量は世界最大)。小麦からつくられる丸パン(ホブス)はアラブのひとびとの主食で、小麦価格の上昇は家計を直撃する。このことから、アラブの春の原因はSNSなどのインターネットの普及ではなく、国際的な小麦価格の高騰による社会不安だというのが近年の定説になりつつある。貧しい(1人あたりGDPの低い)国はインフレに対する耐性が弱く、先進国ではさしたることのない食糧・エネルギー価格の上昇が社会全体を混乱に陥れるのだ。

?吉本氏は、日銀のゼロ金利政策がコモディティ価格(輸入価格)を押し上げたものの、供給過剰の日本経済はそれを価格に転嫁することができず、その代わり人件費を削ったためにデフレ不況が深刻化していったと指摘する。「日銀の金融緩和がデフレ不況を生み出した」というコペルニクス的転換だが、これが正しいとすると、日本の金融政策はそれと同時に、小麦価格を引き上げることで中東の国々に「アラブの春」をもたらしたことになる(インターネットバブル崩壊と9.11同時多発テロを受けて、グリーンスパンのFRBが大幅に金利を引き下げたことも、サブプライム・バブルだけでなく、資源価格の高騰や新興国株の上昇に大きな影響を与えた)。

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BRICsは、今後有望なのか?

?ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのジム・オニールは2001年、「人口が多く経済的にも有望な国」としてブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国を挙げ、これを「BRICs」と名づけた。その後、オニールの予言どおりにこれらの国は大幅な経済成長を達成し、BRICsは新興国投資の代名詞になった。

?“BRICs"の伝道師”となったオニールは、世界金融危機後も新興国の成長に楽観的だ。2011年に書かれた『次なる経済大国』(ダイヤモンド社)から、この4カ国についての予測を抜粋してみよう。

・ ブラジル:レアル高は大きな問題だが、世界第5位の人口は若くて増加傾向にある。インフレを克服し政治の安定が達成できれば、2050年のGDPは現在の5倍の10兆ドルに達し、ドイツや日本を追い抜くだろう。


・ ロシア:死亡率の高さと少子化が課題だが、それを克服すれば今後も年3%程度の経済成長はじゅうぶん可能。これだけでロシアのGDPは2017年にイタリアを、2020年代にはフランス、イギリスを追い抜き、2030年代にはドイツを上回る経済大国になっているだろう。


・ インド:BRICsのなかではもっとも悲観的。理由は市場が閉鎖的・非効率的で、政治家がグローバル資本主義を受け入れようとしないから。そでも巨大な人口のパワーは圧倒的で、GDPは2020年代にドイツなどヨーロッパの国々を、2030年代には日本を追い抜くだろう。


・ 中国:BRICsのなかではもっとも楽観的。人口構成の高齢化や極端な経済格差、不動産バブルなどさまざまな問題を抱えているものの、中国人の勤勉さと中国政府の賢明な経済運営によってすべて乗り越えることが可能で、2039年までにはGDPで米国を抜いて世界最大の経済大国になるだろう。

?もっとも、誰もがこうした見方に賛成しているわけではない。

ルチル・シャルマはインド出身のエコノミストで、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントで新興国市場の調査を担当している。その近著『ブレイクアウト・ネーションズ』(早川書房)は、ライバルであるゴールドマン・サックスのBRICs礼賛からはかなり距離をとって、新興国の現状と課題を冷静に分析している。

シャルマの主張は、「どの木も空まで伸びるわけではない」という言葉に要約されている。スタート台が低いからといって、すべての国が平等に先進国にキャッチアップできるわけではない。シャルマのBRICsに対する診断は次のようなものだ。

・ ブラジル:通貨も金利もあまりに高いためにインフラなどへの投資ができず、政府は有権者の福利厚生にばかり金を使っている。金もないのに福祉国家を目指すようでは経済成長は無理だろう。


・ ロシア:資源価格の高騰によってモスクワやペテルブルグで大金持ちの酒池肉林が演じられているが、国土の大半は荒地で国民のほとんどは貧しいままだ。有権者を懐柔したいプーチンによって、いまでは年金支払額の割合が実質賃金の40%に達し(アメリカは28%)、12%が政府職員なので、全ロシア人の半分以上が生活を国に依存している。その原資は原油と天然ガスしかないのだから、エネルギー価格が30%下落すれば社会は崩壊するだろう。


・ インド:社会があまりに複雑なため、インド企業ですら国内への投資に二の足を踏み、輸出に活路を見出そうとする。新興国のなかでも1人当たりGDPは下位にあるにもかかわらず、ビリオネア(10億ドル以上の資産保有者)の数はアメリカ、ロシア、ドイツに続いて世界4位。権力者や富裕層の社会的地位は固定化し、与党・国民会議では35歳未満は全員が世襲議員。唯一の利点は、スタート台が低いため、相対的に経済成長が容易なことくらいだ。


・ 中国:経済成長にともなう成熟化(中所得国の罠)によって、経済成長率は6%台まで減速。若年労働者の減少と高齢化、インフレと賃金上昇、過剰投資による負債などによって、改革の果実のほとんどは食べつくされてしまった。2兆5000億ドルの外貨準備高も、地方政府の隠れ債務を考えるとただの幻想。消費者支出も、この30年間、年平均9%近く伸びており、“内需拡大”の余地は大きくない。だが、経済の減速は中国社会を破壊することはないだろう。「痩せて死んだ駱駝でも馬よりは大きい(腐っても鯛)」からだ。

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「コモディティ・ドットコム」が生み出すもの

『ブレイクアウト・ネーションズ』でルチル・シャルマは、2000年以降の資源価格の高騰をドットコム(インターネット)バブルに匹敵する「コモディティ・ドットコム」だと述べる。だが両者には、決定的なちがいがある。

?インターネットバブルは、世界じゅうで興奮を巻き起こした。IT企業のCEOはロックスターのように祭り上げられ、サラリーマンは会社を辞めてデイトレーダーになり、誰もが人類の新しい歴史が始まるのだと信じた。そのほとんどは幻想だったわけだが、光ケーブルなど通信設備への莫大な投資がムダになったわけではない。ICT(情報通信技術)の技術革新の成果はバブル崩壊によって失われることはなく、スマートフォンや電子ブックなどの新製品やグーグル、フェイスブックのような新しいサービスが次々と現われた。

?それに対してコモディティ・ドットコムは、ごく一部の大金持ちを生み出したほかは、この世界になんの貢献もしていない。バブルがはじけたら、バブル前と変わらない量の金、ダイヤモンド、高級ワインが残されるだけだ。

?エネルギー関連先物取引の2011年の売買高は日量20億バレルで、エネルギーに対する世界の1日あたりの需要量の22倍だ。コモディティは投機によっと支配され、その価格は実態経済から大きく外れている。

?そもそもコモディティ価格は、技術革新(生産性の向上)によって、この200年間、「10年値上がり、20年値下がり」というリズムで趨勢的に下落してきた。価格上昇のスーパーサイクルが長期にわたって続いたことはない。
「コモディティ・ドットコム」の背景に中国の驚異的な経済成長があることは間違いないが、それがさらなる価格高騰を約束するわけではない。価格があまりに高くなると、中国の工場ですら立ち行かなくなるからだ。

?世界の製造業生産高に占める中国のシェアはこの20年間で4%から17%に大幅に増えた。だがその一方で、世界経済に占める製造業のシェアは23%から17%に減っている。中国の製造業の高度成長はアメリカ、日本、ヨーロッパの製造業の凋落の裏返しで、世界経済全体では製造業からサービス業へのシフトが続いている。中国は縮みゆく池のなかで成長を続ける大きな魚で、コモディティの需要が拡大しているわけではない。

?世界じゅうの鉱業会社は、2015年までに鉄鉱石の採掘量が60%増えるという想定で業務を拡大しているが、この水準にこたえるためには中国の需要が同じ期間に2倍になる必要がある。資源の総需要の伸びの大半を中国が占めているため、中国の銅の需要が今後5年間で20%低下したとすると、新興国の残りの国々はそれを埋め合わせるために、これまでの2倍のペースで需要を伸ばさなければならない。

?このように「コモディティ・ドットコム」は、中国の過剰投資によって支えられているだけで、中国経済の減速がはっきりしてきた以上、バブルは早晩はじけるだろう。しかしそれは、悪いことばかりではない。

「コモディティ・ドットコム」は、金持ちになる資格のないひとをゆたかにする一方で、市場の資源配分を大きく歪めた。各国の中央銀行は、景気を回復させてひとびとの生活をよくするために金融を緩和したが、それが資源価格を高騰させて、逆に家計を苦しめている。だが資源バブルが崩壊すれば、資源のない多くの貧しい国だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、日本などの先進国も大きな利益を受けることになるだろう。

?さらに、ブラジルのような資源国にすら価格下落のメリットは及ぶかもしれない。通貨の下落と金利の低下によって、政府や企業が国内のインフラに投資できるようになるからだ。だが石油と天然ガスしか売るものがない中東の国々はもちろん、国家予算が原油1バレル=100ドルを前提にしているロシアも救いようがないだろう。

「コモディティ・ブームのなかで大騒ぎをしていた国々は、残念ながら、平凡な国へ逆戻りという、苛酷な運命にある」とシャルマはいう。「宴の後には、後片付けが待っている」のだ。


『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル 』

作家・橘玲が贈る、生き残りのための資産運用法!
アベノミクスはその端緒となるのか!? 大胆な金融緩和→国債価格の下落で金利上昇→円安とインフレが進行→国家債務の膨張→財政破綻(国家破産)…。そう遠くない未来に起きるかもしれない日本の"最悪のシナリオ"。その時、私たちはどうなってしまうのか? どうやって資産を生活を守っていくべきなのか? 不確実な未来に対処するため、すべての日本人に向けて書かれた全く新しい資産防衛の処方箋。


作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術?究極の資産運用編』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術?至高の銀行・証券編』(以上ダイヤモンド社)などがある。ザイ・オンラインとの共同サイト『橘玲の海外投資の歩き方』にて、お金、投資についての考え方を連載中。
http://diamond.jp/articles/-/36009?page=3


03. 2013年5月17日 23:11:17 : e9xeV93vFQ
地方政府だけで6000万人、肥大化した中国公務員

国民は李克強総理に公務員改革を待望

2013年5月17日(金)  北村 豊

 中国の第11次全国人民代表大会(以下「全人代」)第5回会議は2012年3月5日から14日までの10日間の日程で開催された。3月10日午後に開催された浙江省代表団全体会議に出席した全人代常務委員会委員で全人代法律委員会副主任の“劉錫栄”はその席上で次のように発言したことで一躍、時の人となった。

こんなに多くの役人を養いきれない

 中国の公務員はすでに1000万人を超えている。これでは庶民がどんなに勤勉に働いてもこんなに多くの役人を養いきれない。中華人民共和国は成立から60年以上経過したが、いまなお公務員の定員に関する法律はなく、機構をでたらめに設け、公務員の階級をでたらめに定めており、指導幹部の役職の定員超過と公務員の定員超過は非常に深刻な状況にある。こうした乱れた現象は公務員職の売買に無限の余地を残し、国民に余分な負担を課すと同時に、不正・腐敗に反対し清廉を呼びかける動きに極めて大きな圧力を与えている。

 この発言を聞いた浙江省代表団のメンバーは劉錫栄に賛同して盛大な拍手を送った。また、この発言をメディアの報道で知ったネットユーザーは、こぞって劉錫栄に賛意を表明し、“真話代表(本音を語る人民代表)”とか“良心代表(良心の人民代表)”と称賛する書き込みをした。その数はなんと400万件を超えたのだった。

 ところで、劉錫栄が「公務員の総数は1000万人を超えた」と述べた根拠だが、3月13日に全国紙「法制日報」のインタビューを受けた劉錫栄はその点について次のように述べている。

【1】たしか4年前に公表された全国の公務員数は600万人であり、現在公表されている数字は1000万人である。4年間で400万人の増加だから、毎年100万人増加した計算になる。
私が公務員1000万人という数字の拠り所としたのは、2011年3月に全国政治協商会議常務委員の“趙啓正”(元国務院新聞弁公室主任)が第11次全国政治協商会議第4回会議の記者会見の中で、「中国の公務員総数は1000万人に近づいている」と発言したことである。趙啓正は全国政治協商会議のスポークスマンであり、その彼が根拠のない数字を公式に述べることはあり得ず、必ずどこかに確かな根拠があると考えた。

【2】昨日(3月12日)国務院のある副部長から電話をもらった。彼が言うには、私が述べた公務員数が1000万人というのは不正確で、彼らの統計によれば、2010年末時点の全国公務員数は689.4万人で、2009年末よりも10.5万人増加した。これに社会団体組織の11.6万人、さらに公務員が管理する事業機関の76.8万人を加えて、合計で777.8万人となるのだと言う。

【3】公務員の数に食い違いがあるのは、いくつかの原因があると考える。すなわち、

(a)777.8万人というのは2010年末の数字であり、1年以上の時間が経過した現在、それはどうなったのか(当然増大している)。

(b)3月10日の浙江省代表団全体会議の席上で述べたように、全国各地で、乱脈な機構の設置や公務員の階級設定が行われ、指導幹部の役職や公務員の定員超過が深刻な状況になっている。これらの状況が生み出した公務員数増大の数字が統計に組み込まれているのではないか。

(c)正直言って、現在の統計方法には混乱があり、同じ事柄を異なる部門が同一でない統計数字を出すのは毎度の事となっている。

 劉錫栄が「1000万人もの公務員をどう養うのか」という重要な問題を提起し、多くの国民がこれを支持したが、結局なにも起こらなかった。ところが、2013年3月に習近平政権が発足すると、これを待っていたかのごとく、5月初旬に改めて公務員数に関する問題が提起されたのである。その発端となったのは、2012年8月に財政部が出版した『2009年地方財政統計資料』であった。この資料には次のような統計データが明記されていた。

行政管理費用も雪だるま式に膨らむ

(1)2009年末時点における、中央を含まない全国の地方財政で扶養する人口は5393万人であった。これらはすべて公務員あるいは事業機関の「体制内人員」で構成される。これ以外に、中国には大量の準財政扶養人員がいる。そこには全国に60万以上ある“村委会(村の党委員会)”および8万以上ある“居民会(住民委員会)”が含まれるが、この両者の合計は2009年末時点で約275万人であった。体制内人員と準財政扶養人員を合算すると、2009年末時点における地方財政の実質的扶養人数は約5700万人となる。これが毎年100万人増えれば、2012年末には6000万人になっているはずである。

(2)上記の「体制内人員」5393万人の内訳は、在職者が3815万人、退職者が1392万人、その他の人員が186万人となっている。退職者<注1>および長期休暇者の人数は急激に増大しており、1998年には629万人だったものが、2009年には1577万人となっている。これは年平均では90万人近い増大を示しており、地方財政による扶養者の増加数の60%以上を占めている。一方、在職者数を見てみると、1998年に3214万人であったものが、2009年には3815万人となっている。これは10年間で約600万人増加したことになり、増加した人数は全体の約16%に相当している。この在職者の増加傾向は2006年を境界線としており、2006年以前の8年間の増加数は150万人に過ぎないのに、2007年以降の3年間で450万人も増大している。

<注1>公務員の退職者は財政扶養の対象とされ、退職前の職場から在職時の等級に応じて恩給が支払われる。

(3)中国の財政総支出に占める行政管理費用の比率は次第に上昇してきた。1980年は5.4%に過ぎなかったが、1985年6.5%、1990年9.83%となり、1996年には13.11%になった。民生証券研究院副院長の“管清友”は、「1995年の行政管理費用は1978年に比べて19倍に増大した。この間に庶民が負担する“科長(課長)”の費用は、毎年20.9%の複利比率で増大した」と述べた。

 上述の『2009年地方財政統計資料』の統計数字から公務員数に言及した中国メディアの記事を読むと、「2012年末時点で地方財政が扶養する人口が6000万人」という事実にとらわれて、あたかも中国の公務員数が6000万人であるかのように誤解して論理を展開しているものが多い。

 しかし、『地方財政統計資料』という名称からも分かるように、6000万人という数字は上記(1)にある通り「中央を含まない全国の地方財政が扶養する人口」であり、この中には中央財政によって扶養される公務員数は含まれていないことになる。それでは、その中央財政によって扶養される公務員数はいくらなのかということになるが、残念ながらその数字は中国語ネットの検索を繰り返しても見つからない。中国の学界では、中国の公務員数は7000万人と言われている由なので、上記の6000万人に加えて、中央財政によって扶養される公務員数は1000万人ということなのかもしれない。

膨大な行政人員が国家のカネを食べ尽くす

 さて、前置きが長くなったが、本題はこれからである。上記(3)で述べたように、行政管理費用が毎年20.9%の複利比率で増大したとすれば、2012年時点で庶民が負担する科長の費用は相当大きな金額となり、行政管理費用が財政総支出に占める比率も大幅に増大していることが予想される。こうした状況を知ったあるネットユーザーはネットの掲示板に次のように書き込んだ。

・『2009年地方財政統計資料」のデータを見て、開いた口がふさがらない。6000万人が“皇糧(国家支給のカネや物質)”を食べる。6000万人は「準大国」の人口に匹敵する。

・当該データを見て、驚いて顔色が瞬時に「赤、橙、黄、緑、青、藍、紫」と七色に変化した。ちょっと前までは“皇糧”を食べる部隊は3000万人を超えてもいなかったはず。

・当該データを見て、かつて“郷党委(農村の行政単位“郷”の共産党委員会)”書記であった“李昌平”がその著書『“我向総理説実話(総理に本当の話をする)”』<注2>の中で「負担は泰山のごとく、幹部はイナゴのごとし」と述べたことが思い出される。さらには、元総理の“朱鎔基”が「このように肥大した機構と数が膨大な行政人員が国家のカネを食べ尽くす」と嘆いた言葉が思い浮かぶ。

<注2>中国で2002年1月に出版、日本語版は『中国農村崩壊』(NHK出版、2004年)

 ところで、中国の公務員数が6000万人だとして、2012年末の総人口13億5404万人で計算すると国民22.6人で1人の公務員を養っていることになる。また、15〜59歳までの労働人口は9億3727万人であるから、これを公務員6000万人で計算すると、1人の公務員を15.6人で養っていることになる。

 これに関連して、中国の各メディアが伝えたところを整理すると次のようになる。

【1】ある学者によれば、1人の公務員を養う国民の人数を比較すると、上述のように中国は22.6人であるのに対して、米国は14人、日本は24.4人、ドイツは18.4人である。ところが、2009年のデータを基に計算したGDP100万ドル当たりの財政扶養人口は、中国が10.8人であるのに対して、米国1.56人、日本0.95人、ドイツ1.33人、英国2.8人になるという。これは、中国の財政扶養の負担と規模が日本の10倍以上、米国の7倍、ドイツの8倍、英国の4倍であることを示しており、6000万人の公務員を扶養する財政負担が日・米・独・英の4カ国に比べて格段に大きいことを意味する。

【2】米国のニューヨーク市(以下「NY」)は、人口1800万人、GDP2兆6000億ドルの規模だが、市の上層部は、市長1人、副市長3人、議会の議長1人と副議長1人の計6人で構成される。一方、日本の東京都は、人口1300万人、GDP1兆1000億ドルの規模で、都の上層部は都知事1人、副知事1人、議会の議長1人と副議長1人の4人で構成されている。<注3>これに対して、中国では以下のようになっている。

<注3>東京都の副知事の数などは不正確だが、原文のままとした

(a)遼寧省鉄嶺市:人口300万人(東京の1/4以下、NYの1/6)、GDP46億ドル(東京の0.42%、NYの0.18%)。市の指導部は総勢41人。その内訳は、[市党委員会] 書記1人、副書記4人、常務委員11人、[市政府] 市長1人、副市長9人、市長補佐官3人、[市人民代表大会] 主任1人、副主任7人、[市政治協商会議] 主席1人、副主席8人。これ以外に市政府には部長級の秘書長が20人おり、市長・副市長には各々2人の秘書長が付く。

(b)河南省新郷市:人口565万人(東京の1/2以下、NYの1/3)、GDP100億ドル(東京の0.9%、NYの0.4%)。市の指導部は総勢43人。その内訳は、[市党委員会] 書記1人、副書記4人、常務委員11人、[市政府] 市長1人、副市長8人、市長補佐官4人、[市人民代表大会] 主任1人、副主任8人、[市政治協商会議] 主席1人、副主席9人。これ以外に市政府には部長級の秘書長が16人。

 日・米両国と中国では政治や社会の体制が異なるため、単純比較はできないと思うが、鉄嶺市と新郷市の規模と実力から考えて市の指導部の数が極端に肥大していることは間違いない。この現象は決して市の指導部だけに限定されるわけではなく、市の公務員全体に及んでいる。上述した李昌平は、1983年1月から2000年9月まで湖北省“監利県棋盤郷”の党委員会書記を務めたが、“郷”の幹部たちが親せき縁者を勝手に公務員として採用し、総じて仕事をせずにタダ飯を食っている実情に義憤を感じて、時の総理である朱鎔基にその実情を訴える手紙を出したことで知られている。

 この点を中国のあるメディアは次のように総括した。「日本と中国では、1人の公務員を養う国民の人数は、24.4人と22.6人とほぼ同数だが、その性質は全く異なっている。すなわち、日本では24.4人の金持ちが1人の公務員を養っているが、中国では22.6人の貧乏人が1人の公務員を養っている。日本で養われている公務員の職責は大衆に奉仕することだが、中国で養われている公務員の職責は大衆を飼育することだ」。

朱鎔基も果たし得なかった“精兵簡政”

 “鉄面宰相”と呼ばれた朱鎔基総理は、肥大化した官僚組織を抜本から改革して“精兵簡政(人員を減らして機構を簡素すること)”を実現すると公言し、その決意を示すために「私の分も含めて100基の棺桶を準備しよう」と言明して、率先して国務院から大規模な組織改革を開始した。しかしながら、いかな辣腕の朱鎔基でさえも強大な抵抗勢力によって阻止され、“精兵簡政”は中途半端で終わらざるを得なかった。中国国民は、朱鎔基が提起した“精兵簡政”を貫徹することによって、国民に奉仕する有能な公務員を育成し、人件費の節約と浪費や無駄を省くことを望んでいる。

 習近平政権下でその“精兵簡政”の任務は李克強総理に委ねられることとなる。5月になって公務員数の問題が新たに提起されたのは、そうした国民の声の反映であるように思われる。李克強総理はどこまでこうした国民の要望に応えることが出来るのか。かつて朱鎔基が“精兵簡政”を標榜した際に、庶民は歓呼の声を上げた。その時と同じ気持ちで、中国国民は李克強が確固たる決意で“精兵簡政”に着手することを待望している。


世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20130515/248137/?ST=print


04. 2013年5月24日 12:03:38 : nJF6kGWndY
【第126回】 2013年5月24日 姫田小夏 [ジャーナリスト]
温州経済の不動産バブルは破綻
中国全土に飛び火する可能性も
 温州人といえば、中国では「不動産転がし」(正確にはマンション転がし)の代名詞だ。彼ら投機集団が地方都市に出現すると、その街は決まって不動産価格が値上がりするという神話も生まれたほどで、上海のマンション価格を異常に吊り上げた元凶として、方々から恨みを買った悪名高い存在でもある。

 結束力の強い温州人は、独自の調達法で資金を集め、中国各地でフロア買い、一棟買い、果ては「小区買い」(日本でいうならばひとつの団地群を買う、というニュアンス)まで現れた。

 温州人たちは、上海においても「買い占めては転売」を繰り返し、しこたま儲けた。2000年代、個人も企業も不動産投資に狂奔したが、温州人が火を点けたお陰で裕福になった人々も数多い。世界経済において中国が力を強めたプロセスと、温州人たちの「不動産転がし」は、決して無縁ではない。

改革開放経済の黎明期をリード
温州は中国の発展モデルだった

 浙江省温州市は、実はかなり不便なところにある。そこそこ知名度がある都市にもかかわらず、上海からは列車で6時間もかかる。そんな辺鄙な温州では、改革開放が始まったばかりの1980年代にはすでに私有企業が誕生し、中国の改革開放政策のモデルともなった。

 90年代初期には、黎明期の中国の不動産市場において早くも投資活動に乗り出すなど、温州経済は「一歩先を行く存在」として、中国経済を牽引してきた。また、温州は軽工業が盛んな街でもあり、日常生活に使われるような衣類や靴、メガネなどの生産を得意とし、対外輸出でいち早く巨万の富を得ることに成功した。

 10年前の2003年、筆者は温州出身の若手メガネ工場経営者と面会したことがあるが、「食事をご馳走しよう」と連れて行かれたレストランで彼は、豪快な飲み食いを繰り広げた。最後の精算時に分厚い肩掛けバッグから、100元札を鷲づかみにして取り出す姿は今でも忘れられない。桁外れに儲けた彼らには、もはやポケットに入るような小さい財布など必要ないのである。筆者の中で「温州商人=超金持ち」は、これで証明されたも同然だった。

 さて、そんな彼らは今も笑いが止まらないのだろうか。

 結論から言えば答えはノーだ。温州経済は今、低迷の憂き目にある。経営者の自殺や失踪は、もはや目新しい話題ではない。中央政府も温州経済再建に乗り出した。つまり、温州不動産バブルは弾けたのである。経済が過度に拡大した後に起こる、資産価格の大幅下落をはじめとする経済問題の数々の噴出が「バブル崩壊現象」であるならば、まさしく温州は、バブル崩壊後の経済再建に直面しているといえるのだ。

温州経済がおかしくなるまで
――きっかけは2010年の不動産投資調整策

 そもそも、温州経済の歯車が狂い始めたのは2010年にさかのぼる。

 09年、中国では狂乱の不動産市場を呈した後、中央政府は翌年、「史上最も厳しい政策」と言われたマクロ調整策『新国十条』を導入した。国務院は商業銀行に対し「3戸目の購入」に対する住宅ローンを停止するよう要求していたこともあり、中国の不動産市場は急速に冷え込んだ。見た目は、不動産価格が落ち着きを取り戻したかのようだった。

 しかし、温州では「まだまだ不動産価格は上昇する」という見方が優勢で、旺盛な資金需要が発生していた。中国中央銀行が金利を引き上げる、という噂も立っていた。事実、2010年10月には1年の預金金利と貸出金利はそれぞれ0.25%引き上げられている。

 温州では多くの個人や中小企業が、銀行から融資を引き出した。また、このとき多くの温州の中小企業は、借りた金を本業の製造業ではなく、不動産投資につぎ込んだ。

 そして2011年の後半、様相は一転する。8月には上海に匹敵する高値をつけていた温州のマンション価格(平米単価2万元、4万元、果ては10万元など)は、10月に入り冷え込み、現地紙は「一夜にして客がいなくなった」と報道した。当時、導入された「限購令」も、温州の不動産市場に大きく影響していた。

 この頃、温州の中小企業は、前年の借入金の返済期限を迎えようとしていた。にもかかわらず、不動産価格は4割近く下落しており、高値で購入した不動産の転売は行き詰まった。もはや売るに売れず、中小企業は銀行への返済のために、民間金融に手を出した。

「貸さない銀行」を背景に発達した
民間金融、その実態は高利貸し

 温州では早くから、日本の「講」や「無尽」に類するような、個人が個人に金を貸す、という独自の資金調達ルートが出来上がっていた。中国では「個人的貸し借り」をもとにした、個人の資金を重層的に吸い上げてまとめ、貸し付ける組織があちこちに存在する。

 中国の大手国有銀行が、足元の中小企業の事業に対してほとんど融資を行わない状況にある中で、中小企業経営者にとって民間金融は重要な資金調達の手段だった。前記の仕組みが発展したのは、こうした背景があると言われている。

 民間金融で調達した資金の使途は、それ以外にもある。中外合資の投資銀行である中金公司がまとめた『2011民間貸借規模及び銀行の潜在リスク調査分析』は、その使途を民間融資35%、不動産市場への投資20%、銀行融資の借り換え20%、民間融資の仲介的融資20%、その他5%としている。民間融資から借りて又貸しするという用途も多いことから、温州市全体にこうした「金貸し」文化が広く浸透していることがわかる。ちなみに、温州市では9割の家庭や個人、6割の企業がこの民間金融を利用しているという。

 他方、2011年には4回にわたる利上げが繰り返された。同時にこの間、民間金融はさらにその組織を肥大化させた。前出の調査によれば、2011年上半期の社会融資総量中、「その他の融資」は2033億元であり、前年同期比67.7%も上昇している。「その他の融資」には、この民間金融も含まれている。

 返済期の迫る中小企業だが、「借りたら最後」はまさに現実のものとなっていた。当初は相互救済のために存在した民間金融も “実態は高利貸し”と化していた。当時、中小企業経営者らは月利10%、年利にして120%という高利での借り入れを余儀なくされ、それをやむなく銀行への返済に充てた。しかし、結果は火を見るよりも明らかで、多くの企業経営者は破滅的状態に陥った。

 そこで中央政府が救済策に出る。「中央政府はまず中小企業に無利子で金を融資し、その資金で銀行からの借金を帳消しにさせた。その後、中小企業に再び民間金融から借り入れさせ、それを中国政府への返済に充てさせた。民間金融に対しては月利10%を大幅に縮小させる形での指導を行った」と政府筋は明かしている。

 他方、温州経済が破綻に陥ったのは民間金融のせいばかりではない。デベロッパーもまた問題だった。デベロッパーが不動産を仕入れるには一定の資本を有することが求められているが、それら必要条件をクリアするどころか、十分な資金もないまま「不動産開発に乗り出す」という愚挙に出るデベロッパーが多かった。

 中国では不動産物件の青田売り(日本では竣工前の物件を指すが、中国では着工する以前の青図の状態で販売する)が当たり前だが、青田売りをした資金をそのまま別の土地を仕入れる資金に流用して肝心の住宅を建てない、という状態は珍しくなく、購入者とのトラブルは枚挙に暇がない。

温州経済の再建計画も
現実には多くの難問

 温州市の、2013年第一四半期の宅地価格は、昨年に比べて半減した。新築住宅の価格も大幅に落ち込み、その落ち込み度は全国最大を記録した。そんな温州では、再建計画が進んでいる。その1つが民間金融の整備である。

 中央政府は、このグレーゾーンでビジネスを行う民間金融に一定の規範を与えることを、かねて目標にもしていた。今回の民間金融がもたらした中小企業の経営破綻を機に、2012年、「民間貸借サービスセンター」を温州市内の鹿城、蒼南、平陽、楽清、瑞安、永嘉、文成の7ヵ所に開設した。

 これは、富裕層がここに金を預け、センターを経由し中小企業に貸し付けるモデルであり、利率を大幅に引き下げ、民間金融の規範整備に貢献することが期待された。しかしながら、現実には多くの問題に直面している。

 筆者は金を預ける側の「富裕層」である郭さん(仮名)に上海で面会することができた。

「私は、顔の見えない相手に金を貸したくない。今までは相手の人となりを観察し、本人の家まで確認して金を貸したが、センター経由ではそれができず、大きなリスクだ」と語る。実際、センターも開業して1年経つが、その融資額は伸び悩んでいる。

 他方、こうした民間金融は広東省や湖南省、内モンゴル自治区でも顕著だが、実際、それぞれの都市で破綻している。内モンゴルのオルドス市では一時期、不動産投資が盛んで、「1人当たり平均10戸保有」など恐るべき数字が伝えられた。そのオルドス市でも「すでに不動産バブルが崩壊した」と言われて久しい。崩壊した主な原因は「流動人口がなかったため」と分析されている。

 実際に、中国経済は悪化の一途をたどっている。今年第1四半期の中国商業銀行の不良債権は前年同期比336億元増え、5265億元となった。20%の大幅増である。2011年第4四半期以来、連続して上昇するなかでも最多となった。

 中国では不動産バブルがあちこちでまだら模様に弾けている、ということだ。しかし、これを「バブル崩壊」としないのは、どうやら、バブル崩壊の“定義”が日本とは異なるためのようだ。

 中央政府の役人のひとりは、「崩壊というのは、 “政府のコントロール”が効かなくなったときを想定しており、温州などはまだ制御可能な状態にあるので、バブル崩壊とは言えないのだ」としている。

 すべてにコントロール(つじつまを合わせることができる、というのが適当かもしれない)を効かせることができる一党独裁国家の中国においては、たとえ破綻であっても破綻だという認識にはならない、というわけか。

 上海をはじめとする各地の不動産価格の上昇をもたらしたのは、温州人らによる投機と転売であり、その資金源はこの「民間金融」でもあった。そして“温州マネー”は上海以外の大都市にも――すなわち全国各所に拡散しているわけであり、その影響は決して楽観できるものではない。

 同時に、中国経済を牽引してきた温州モデルの破綻は、今後、「全国的モデル」に発展する可能性もある。中国経済、先行きは決して楽観できない。しかしながら、メディアコントロールが強いのか、今のところ「暗いムード」が漂っていない点は、かつての日本との大きな違いのひとつである。


05. 2013年5月24日 17:08:59 : nJF6kGWndY
TPPという「中国除外クラブ」の創設
2013年05月24日(Fri) Financial Times
(2013年5月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 ニュージーランド、ベトナム、ペルー、日本、米国には、共通点が2つある。まず、これらの国は皆、環太平洋経済連携協定(TPP)に参加したいと考えている。TPPは新たな貿易協定で、世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)が頓挫して以来、自由貿易の世界で最大規模を誇る枠組みだ。第2に、どの国も中国ではない。

 2つの共通点は密接に関係している。口に出す人はいないが、TPPの暗黙の狙いは、世界第2位の経済大国である中国を排除した「ハイレベル」な貿易協定を築くことだ。

 現在参加を望んでいる12カ国(上記の5カ国のほか、カナダ、メキシコ、チリ、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、オーストラリア)は世界の国内総生産(GDP)の4割、国際貿易のおよそ3分の1を占めている。これは中国が参加を禁じられることになる大きなクラブだ。

TPPの背景にある2つの動機

 TPPには2つの動機が働いている。1つ目は、2001年に中国がWTOに加盟する前まで時計の針を巻き戻すことだ。政治家、労働組合、企業の多くは今、中国が加盟を許された日を悔やんでいる。中国は国際市場へのアクセスを手に入れることで、莫大な利益を得た。だが、こうした向きに言わせると、加盟するために支払った代償は小さかったという。

 中国はWTOに加盟しても、為替を「操作」することをやめず、入札手続きを不正操作することもやめなかった。低利融資を国営の大企業に回すこともやめなかったし、組織的に知的財産の規則を破ることもやめなかった。

 中国はたかり屋であり、イカサマ師だという見方は、英国や米国、日本を含めた今日の先進国も皆、離陸段階ではかなり重商主義的な政策を追求したという事実を無視しているが、彼らの見るところ、そういう話になっている。

 TPPの2つ目の動機は、1つ目の動機の正反対に見える。非常に強力で魅力的な貿易圏を築き、中国が、参加するためには誤った態度を正すしかないと感じるようにすることだ。この目標を推進するために、TPPの規則は一部の分野で中国にペナルティーを科す。その一例が原産地規則だ。

 TPPの規則の下では、例えばベトナムで生産され、米国に出荷される衣料品の関税はゼロになる。これは既に大規模なベトナムの衣料産業にとって極めて大きな追い風となる可能性がある。

 ただし、ゼロ関税が適用されるためには、綿などの生地はTPP加盟国、十中八九は米国から調達しなければならない。言うまでもなく、現時点では、ベトナムの巨大な衣料産業向けの綿の大半は中国から来ている。

 では、中国を排除するが、ベトナムのような国を受け入れるクラブは一体どうやって設計すればいいのか? 何しろベトナムも、巨大な国営企業が存在し、規制が不透明で、知的財産に極めて無関心な計画経済だ。TPPは本来、こうした罪をすべて押さえつけることになっているはずだ。

中国はダメだが、ベトナムはOK?

 TPP交渉に詳しいベトナムの関係筋は、ベトナム政府に圧力をかけ、国営セクターの徹底改革に踏み切らせることが狙いだと話している。これはひいき目に見ても希望的観測であり、最悪の場合、不誠実だ。いざとなれば、ベトナムその他数カ国の加盟候補を受け入れるか否かという決断は、経済よりもむしろ政治に絡む判断になる。

 というのも、TPPそのものが、少なくとも部分的には政治的なプロジェクトだからだ。日本にとっては、TPPが「中国除外クラブ」であるという事実が決定的に重要だ。国家主義的な安倍晋三首相は日本のTPP加盟を、大国と同じテーブルに着くチャンスと見なしている。

 安倍首相は最近、TPP参加への意思を表明した時に、TPPは日本の「安全保障」の助けになると述べ――安全保障はTPPの領域ではない――、TPPに加盟する国々が共有する「自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった価値」について語った。

 この表現はあからさまに中国を排除したが、どういうわけか、ベトナム(権威主義の共産主義国)とブルネイ(イスラム教の君主国)を受け入れるものだった。

 これほど多様な国々を受け入れる必要があることを考えると、TPP交渉が長引いたのも無理はない。今週、ペルーのリマで第17回TPP交渉会合が行われている。妥結の期限は1年以上ずれ込んでおり、早くても2014年上半期まで交渉の妥結は見込めそうにない。

 有効な自由貿易協定がすべてそうであるように、TPPにも当然、かなりの保護主義と特別利益団体への迎合が盛り込まれる。日本はコメを対象から外し、米国は砂糖を対象から外すだろうし、カナダとニュージーランドは間違いなく、国内の酪農家を守ろうとするだろう。

 米国の製造業者を満足させるために、「為替操作」に関する慎重な言い回しも必要になる。ここで難しいのは、対ドルでの為替相場が8年間で40%上昇した中国を除外する一方で、8カ月足らずのうちに通貨が25%下落した日本を受け入れることだ。

 これほど巧妙な「柔軟性」が必要なことは、最終合意には過度に厳しい条項が盛り込まれないことを示唆している。だが、TPPのプロセスに反対する向きは、TPPは大企業に乗っ取られ、交渉が秘密裏に行われていると主張する。

 反対派いわく、TPPの規則は国内法を侵害することで、労働基準から国民皆保険に至るまで、あらゆるものを危険にさらす恐れがある。特許権保護に関する規則はジェネリック医薬品の利用を困難にし、衛生基準に関する規則は食の安全を危うくする。著作権保護の厳格な順守はインターネットの自由に害を及ぼす恐れがある。ほかにも懸念はまだある。

時計の針は巻き戻せない

 こうした懸念の結果、TPPが署名される望み、ましてや関係各国の議会で批准される望みを少しでも残すためには、TPPの内容を薄めざるを得なくなるだろう。

 骨抜きにされたTPPでさえ、ベトナムに優先的な市場アクセスを与えたり、日本に産業・農業改革を促したりして、これらの国の役に立つかもしれない。だが、時計の針を巻き戻すことはできない。中国に関する秘密はとっくに漏れてしまっているのだ。

By David Pilling


06. 2013年5月27日 14:06:28 : e9xeV93vFQ
焦点:明るい見通し失せる中国経済、今年7.5%目標達成危ぶむ声も
2013年 05月 27日 12:23 JST

トップニュース
ドル101円付近、きょうも日経平均に連動
日経平均反落、不安心理収まらず一時580円超安
人民元、40年までにドルに代わる国際通貨に=人民銀金融政策委員
株価下落は調整段階、資本市場の動向を注視=官房長官

[北京 24日 ロイター] - 中国経済の勢いが失速していることを示すさまざまな兆候が出る中、アナリストの中国経済に対する見方もここ5カ月で変化している。これまでの緩やかな回復見通しから様変わりし、今や7.5%という今年の成長率目標の達成を危ぶむ声も出始めた。

中国の景気に対する悲観的見方は、23日に発表されたした5月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)をきっかけに表面化した。PMI速報値は49.6と、7カ月ぶり低水準を記録した。

BNPパリバのエコノミスト、ケン・ペン氏は「7.5%という成長目標は危うくなっている。中国には景気後退(リセッション)はないが、回復もない」と指摘する。

中国の成長エンジンにゆらつきが見られた場合に政府が大規模介入を行ったこれまで数年と今回は状況が異なる、とエコノミストはみている。2008─09年の金融危機を受けた4兆元規模の景気刺激が講じられることはなく、指導部は、政府支援を必要としない、ゆっくりとしたペースの質の高い成長に中国経済を調整していく方針のようだ、とエコノミストは指摘する。

関係筋がロイターに明らかにしたところによると、中国政府が進める都市化プロジェクトをめぐり、地方政府の債務を拡大させ、不動産バブルを加速させるとの懸念が指導部の間で広がっており、都市化計画に遅れが出る可能性がある。

政府の措置なしでどの程度成長が鈍化するかを見極めるのは難しいが、相次いで発表されるさえない経済指標を受け、2013年の成長率が7%を割り込むとの最悪シナリオを予想する向きもある。

タオ・ワン氏は「投資家は、7%近くにまで成長率が鈍化するほど中国の現在の状況は悪いかどうかを心配している」と指摘。同氏は2013年の成長率予想を8%から7.7%に下方修正している。

<相次ぐ成長率予想の引き下げ>

2012年に7.8%と13年ぶり低成長を記録した経済が、2013年には8%に小幅回復すると予想されていたが、今や、成長率は、政府目標の7.5%は上回るが、8%には達しないとの見方が中心となっている。

前回中国の成長率が7.5%を下回ったのは、わずか3.9%の伸びを記録した1990年。

5月の中国PMIが23日に発表される前からも多くの金融機関は既に 2013年の成長率予想を引き下げており、今後も下方修正が続く見通し。

バンクオブ・アメリカ・メリルリンチは今月、成長率予想を8%から 7.6%に下方修正した。スタンダード・チャータード(スタンチャート)銀行は 8.3%から7.7%に、INGは9%から7.8%に引き下げた。

BNPパリバ、クレディ・スイス、ソシエテ・ジェネラルは成長率予想の見直しを行っている。

成長鈍化の要因について、アナリストの間には様々な見方があり、状況を複雑にしている。

5年ぶり低水準で推移する賃金の伸びが消費を圧迫しているとの声もあれば、無駄な公共投資を抑制する政府の取り組みが小売り売上高に影響しているとの指摘もある。

米経済に回復の兆しがみられるものの、世界的に需要低迷が続いており、 ユーロ圏のリセッションは長期化している。

エコノミストの間での数少ない合意点は、政府が沈静化を目指す業界のひとつ不動産セクターは皮肉ながらも回復しているとの見方だ。また、2桁成長の時代は終わり、内需を投資に代わる成長のエンジンにするための経済構造改革が必要、との点でもエコノミストの見解は一致している。

IHSのエコノミスト、アリスター・ソーントン氏は「中国の成長モデルは既に 使い果たされてしまい新たな成長モデルが必要だ、ということがここ数カ月で明かになった」と述べた。

(Koh Gui Qing記者;翻訳 伊藤恭子 ;編集 吉瀬邦彦)

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