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2013/5/13 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
◆円1ドル100円 株価高騰、国中が浮かれた20年前の同じ悲劇の繰り返しが始まっている
円が1ドル=101円台まで急落し、つられて株価もぐんぐん高騰している。先週の4営業日だけで一気に900円以上もハネ上がり、週末の終値は5年4カ月ぶりに1万4600円を超えた。けさ(13日)は外為市場で102円を付けている。株高の流れもさらに加速しそうだ。
この活況に日本中が浮かれているが、ハッキリしていることがある。これは政府によってつくられた“バブル”ということだ。この円安、株高は異次元金融緩和によって引き起こされた。ただでさえダブついている市場に、さらにマネーが追加されているのだ。資産バブルになるのは当然である。
資産がない庶民は大慌てだ。インフレ懸念から「値上がりする前に買っておけ」と、借金してでも株や車、マンションの購入を急ぐ。テレビCMでは「今でしょ!」なんてセリフが流行しているし、メディアも盛んに煽る。政府は、そうやって国中が余ったマネーに群がり、カネを借りて物を買い、投資に突っ込むのを意図的に狙っているのだ。まさに20年前の繰り返しである。
バブルを知らない世代は、「おいしい思いをした先輩がうらやましい」「オレたちもバブルを経験したい」なんて言う。いい気なものだ。バブルの本質を分かっていない。ディスコのお立ち台やランバダみたいな“狂乱の宴”しか見ていないのだ。金融ジャーナリストの小林佳樹氏が言う。
「当時は日本中が熱病に浮かされた状態でした。バブル前には見向きもされなかった、猫の額のような土地にもペンシルビルが乱立したし、使い道のない土地がゴルフ場になっていった。銀行がいくらでもカネを貸してくれたからです。
当時の銀行は不動産の売り手さえ見つけてくれば、いくらでも儲かった。売買時にそれぞれ手数料3%が入るし、土地を売った代金を預けてもらえる。買い手にはカネを貸せる。1粒で4回もおいしかったのです。売買の際は、土地の売り手と買い手に加え、中間に入るブローカー3〜4人を同じ席に呼び、その場で売買契約させた。書類を回しただけで土地の値段は2倍にも3倍にもなりました」
◆最後のババは弱者がつかまされる
人間の欲は恐ろしいもので、みんなが借金で資産を増やすと「借金をしないことが損」みたいに思ってしまう。バブル前、銀行の貸付額は担保評価の7掛けだったが、バブル期は120〜150%になっていた。担保なんて後付けだから、崖のような資産価値のない土地でも担保になり、カネを借りることができた。それで株を買えば何倍にも膨らんだし、土地を転がし、濡れ手で粟のボロ儲けをしたバブル紳士も台頭して、日本中が投機に走ったのだ。
しかし、膨らんだバブルは当然、はじける。もともと、ロクな物件ではない不動産は二束三文になり、借金を返せなくなった持ち主は次々と破綻。銀行は大量の不良債権を抱え、最後は、税金で尻ぬぐいをさせられたのである。
ジャーナリストの須田慎一郎氏は言う。
「当時のバブルは、土地や絵画、ゴルフ会員権のような生活必需品以外のものが投機対象となり、どんどん高騰しました。しかし、その恩恵を受けたのは一部の人間で、まじめに働き、普通の暮らしをしていた庶民にはほとんどメリットがなかった。一時的にボーナスや就職口は増えたが、一生の夢であるマイホームも通勤に片道2時間かかるような物件しか買えなくなり、生活や家庭を破壊された人も多かった。にもかかわらず、バブルが崩壊すると、その余波は弱者に襲いかかりました。借りられたはずのカネを借りられなくなり、いきなり借金返済を迫られたり、リストラや給料、ボーナスカットに苦しめられた。バブルの最大の罪です」
最後はババの押し付け合いになり、そのババは確実に国民がつかまされる。それが20年前の教訓なのである。
◆バブルとともにまじめに働く日本人の社会・経済基盤も崩壊
バブル崩壊後の日本経済がどうなったのかも、いま一度、振り返って確認する必要がある。
巨額の不良債権を抱えた金融機関は、生き残りのために貸し渋りや貸し剥がしを横行させた。中小・零細企業はバタバタと倒産し、庶民は借金苦やリストラ、賃下げ、住宅ローン地獄にあえいだ。内需は冷え込み、大企業は生産と販売の拠点を海外に移し、空洞化が加速していった。日本経済の足腰はガタガタになっていったのだ。
それだけじゃない。
「大企業はバブル時代、楽して金儲けすることに慣れてしまいました。企業で最も重要視されたのは本業以外の取引で、実際、金融収支は莫大な金額になっていた。モノ作りの技術より“財テク”に長けた社員がもてはやされたのです。これでは、まじめに働くことがバカらしくなる。企業は地道な技術開発を怠り、銀行もプロジェクトの見極めができなくなった。これが今の電機業界などの惨状につながっているのです」(小林佳樹氏=前出)
バブルだけは絶対に繰り返してはいけない。あの時、国民はそう誓ったはずなのに、今の市況はどうか。
専門家の多くが「20年前の悲劇の繰り返しが始まっている」と口をそろえるのである。
◆株価暴落後にやってくる最悪のシナリオ
前出の須田慎一郎氏はこう言った。
「株価や不動産が上がっていますが、実体経済の成長が伴っていません。このままいけば間違いなくバブルになる。すでに、その入り口に立っていると思います」
筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)もこう指摘する。
「今の日本経済はすでにバブルに突入していて、1年後には崩壊しているだろうと思います。今回のバブルは、参院選と消費増税のためだけにつくられた人為的なもの。今の株高を引っ張っている外国人や機関投資家もそれは百も承知だから、引き揚げるときは速いですよ。夏の参院選までに浮かれムードは最高潮に達し、選挙が終われば、しょぼしょぼになっていく。トドメは来年4月の消費税8%で、増税後は消費の先食いも終わり、景気は一気に冷え込む。そこでバブルは終わりです。倒産企業を再び税金で救済するケースも出てきかねない。最後にババをつかまされるのは結局、国民なのです」
経済評論家の広瀬嘉夫氏が危惧する、バブル崩壊の“最悪のシナリオ”にはゾッとする。
「政府と日銀が掲げるインフレ目標2%を達成するか、それが確実な情勢になれば、株価は暴落するでしょう。いつまでも異次元緩和を続けるわけにはいかないから、金融政策の大転換が予想される。おそらく、日銀は毎月7兆円の国債購入をやめるか、購入金額を減らすことになる。そうなれば、国債価格も維持できなくなり、こちらも暴落です。770兆円の国債を抱える金融機関には破綻するところも出てくるでしょう。一方、国債の金利はハネ上がるから、財政危機も来る。日本はギリシャやスペインになりかねません」
バブルなんてロクなことにならない。よくよく冷静になった方がいい。
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