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日銀金融政策委員たちの「変わり身の早さ」 トップ代わった途端「異次元の金融緩和」求める 
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/767.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 5 月 13 日 01:50:00: igsppGRN/E9PQ
 

http://www.j-cast.com/2013/05/12174641.html?p=all
2013/5/12 17:00  J-CASTニュース


「異次元緩和」を決めた2013年4月3〜4日の日銀の金融政策決定会合の議事要旨が連休の谷間の5月2日、公表された。

黒田東彦総裁の就任後、初の会合。9人中、6人のメンバーは白川方明前総裁時代の3月の会合と同じだが、異次元の政策転換に同意する変わり身の早さを印象づけた。ただ、同意はしながらも、金融緩和の副作用への心配も散見され、さすがに一枚岩にまではなれなかった様子も垣間見える。

■9人中6人は前総裁時代から留任

日銀の金融政策決定会合は月に1、2回開かれ、その時々の経済情勢などを確認し、それを踏まえて「政策金利の上げ下げ」のような金融政策を決定する。景気が過熱しインフレ気味なら金利を上げ、逆なら金利を下げるといった具合だ。メンバー(委員)は総裁、副総裁2人、審議委員6人の計9人。今春に任期満了した総裁・副総裁計3人の後任は、安倍晋三首相の肝いりで黒田東彦総裁(アジア開発銀行前総裁、元財務官)と岩田規久男(学習院大教授前教授)、中曽宏(日銀生え抜き)の両副総裁が就任、その他の6人は前総裁時代から留任している。

公表された黒田日銀の初会合によると、9人は「これまでとは次元の違う金融緩和を行う必要がある」との認識を共有。多くの委員が「政策の枠組み自体を見直す必要がある」との見解を示した。

■「現在は見直しの絶好の機会」

委員からは「実体経済や金融市場に株高などの前向きな動きが表れ始めた現在は見直しの絶好の機会」「従来は情報発信が必ずしも効果的でなかったことが政策効果を削いでいた」「必要な政策は全て決定したと市場に受け取られるよう、インパクトのある規模の政策とすることが重要」といった声が相次いだ。前総裁の政策を否定的にとらえる指摘が、新総裁のもとで遠慮なく出されたわけだ。

議論の結果として、金融政策を遂行するための金融市場の操作目標を、前総裁時代の「金利」から、日銀が世の中に直接供給する通貨の量を示す「マネタリーベース」に変更することを決定。具体的には委員の一人が「マーケットに対して最大限のインパクトを与える規模」として挙げた、「長期国債の保有残高を年間50兆円程度増やす」などの案を採用。上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)といったリスクある金融商品も買い増す「量的・質的金融緩和」を進めることになった。銀行が国債のような安全資産から企業融資などに運用先を変更することを促し、経済を活性化させる狙いだ。

■異次元緩和の副作用を心配する声も上がる

ただ、委員からは異次元緩和の副作用を心配する声も上がる。そもそもある委員は「前年度比で物価が2%上昇する」ことを2年程度で達成するとの政策の根幹部分を「不確実性を踏まえるとリスクが高い」と述べた。

また、ある委員は@結果として生じる過度な金利低下は儲けが少ないので金融機関の貸出意欲をかえって減退させる、A国債利回りが低下しすぎて生保や年金の運用を圧迫する――などと指摘。別の委員は「日銀が政府の財政赤字の穴埋めをしていると勘ぐられる」「価格を形成する市場機能を損なう」などと指摘した。実際に国債市場は新政策決定後混乱し、価格が乱高下する場面もあった。委員は大胆な政策に同意しながらも半信半疑だった可能性をうかがわせる議事要旨と言えそうだ。


 

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コメント
 
01. 2013年5月13日 06:37:30 : eDSpB4Kx1M
全く考えの違う総裁が着任した時に、辞表を書いた委員は居なかったのか?
面従腹背の官僚主義の典型だね。
委員はゼロにして、総裁一人だけでもいいんじゃないか?

02. 2013年5月13日 07:34:19 : PFCA8TaQhw
これじゃ何やっても無駄。税金泥棒を飼ってるだけ。

03. 2013年5月15日 15:58:00 : niiL5nr8dQ

2013年05月14日 18:10 経済 テクニカル
「インフレ期待」政策は期待はずれ

「黒田バズーカ」から1ヶ月あまりがたったが、CPIにも予想インフレ率にもほとんど変化はなく、長期金利だけが0.85%まで急上昇するという異変が起きている。これはFeldsteinも予想していたように、理論的には当然だ。フィッシャー方程式

 名目金利=実質金利+予想インフレ率

で予想インフレ率が上がると名目金利は上がるのだから、ニューズウィークでも書いたように、もともと「予想インフレ率を上げて金融緩和する」という黒田総裁の方針が矛盾しているのだ。
それなのに、どういうわけかリフレ派はこの逆に「名目金利が一定で予想インフレ率が上がると実質金利が下がる」と考えている。たとえば浜田宏一氏は「ノーベル経済学者のマンデルは、期待インフレ率が上がるほどには国債の金利が上がらないことを証明した」という。

金融緩和によって名目金利が一定に抑えられている環境では、期待インフレ率が上がると実質金利は下がります。よって、その影響が名目金利に多少ハネ返って来たとしても、結果的に実質金利が下がって、投資し易い環境になることは変わらず、景気が刺激されることになります。

これは意味不明である。金融緩和とは名目金利を下げる政策であって、一定にすることではない。普通の経済学では、実質金利は資本収益率で決まるので短期的には一定で、予想インフレ率(あるいはリスクプレミアム)がそれに上乗せされて名目金利が上がると考える。いま起こっているのも、そういう変化である。

おそらく浜田氏は「名目金利が上がっても日銀が国債を買えば抑えられる」と言いたかったのだろうが、市場の7割も買い占めると、逆に今回のようにクラウディングアウトが起きて機関投資家が逃げ、金利が跳ね上がってしまう。これが機関投資家の「国債離れ」の始まりだとすれば、危険な兆候だ。

ただ一つだけ例外がある。短期金利がゼロに貼りつく流動性の罠によって名目金利が本来より高い水準に固定されている場合だ。この場合はクルーグマンもいったように、予想インフレ率を高めることで実質金利をマイナスにする効果がある。しかし文字どおりゼロになっているのはオーバーナイトの金利だけで、短期国債以上にはプラスの金利がついているので、こっちの金利は上昇するだろう。

つまり実体経済が変化しない中で、今回のような無謀な金融政策で市場を混乱させると、金利上昇が起こって投資が減り、不況が悪化するおそれが強い。アゴラで釣雅雄氏も指摘しているように、マネーストックにも変化がないので、黒田バズーカは実体経済には今のところ悪影響しか及ぼしていない。

まだ政策転換から1ヶ月しかたっていないので、その評価は早すぎるが、黒田氏の主なねらいは「インフレ期待」を生み出すことだったので、期待はもう変わっているはずだ。その唯一の効果が「意図せざる金融引き締め」だとすれば、このままバズーカの暴発が続くと、不測の事態も考えられる。麻生財務相は冷静に見ているようだから、早めに異次元緩和を撤回した方がいい。
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51856035.html


2013年05月12日 17:44 本
日本はグローバル化のトップ・ランナー

きのうの記事でも書いたことだが、グローバル資本主義の暴力的な本質をもっとも的確にとらえていたのはマルクスであり、それは今も変わらない。1848年に書かれた本書の次のような予言は、早すぎたのだ。

ブルジョア階級は、世界市場の開拓を通して、あらゆる国々の生産と消費を国籍を超えたものとした。反動派の悲嘆を尻目に、ブルジョア階級は、産業の足元から民族的土台を切り崩していった。民族的な伝統産業は破壊され、なお日に日に破壊されている。それらの産業は新しい産業に駆逐され、この新たな産業の導入がすべての文明国民の死活問題となる。(p.19)

この宣言の書かれたころ、世界のGDPに占める貿易額の比率は10%にも満たなかったが、20世紀後半からグローバル化は急速に進展し、今ではその比率は50%を超える。マルクスの時代には欧米の一部とその植民地にあっただけの「世界市場」が、今では全世界をおおっているのだ。それを加速するのがテクノロジーである。

機械がますます労働の差異を消滅させ、賃金をほとんどどこにおいても一様に低い水準に押し下げるために、プロレタリア階級の内部における利害や生活状態はいっそう平均化される。ブルジョア相互の競争の増大と、そこから生じる商業恐慌が、労働者の賃金をますます動揺させる。(p.28)

かつて資本主義が国内で機能していたときは、経済成長とともにプロレタリアートも豊かになったが、国際間ではそういう所得再分配が行なわれないので、中国の賃金が上がったらミャンマーやバングラデシュへ・・・と絶えず低賃金を求めて資本は移動する。生存最低水準で生活している人々は10億人以上いるので、単純労働賃金の低下は今後も数十年は続くだろう。

世界各国の消費者物価指数(総務省調べ)

いま日本で起こっている「デフレ」と呼ばれる現象は、このグローバルな要素価格均等化の始まりに過ぎない。日本は90年代から賃金を下げてそれに対応したが、欧米諸国は20年近く遅れて同じように金融危機を経験し、図のように債務削減と賃下げでdisinflationの局面に入りつつある。単位労働コストが新興国に近づいてユニクロ化する日本は、グローバル資本主義のトップ・ランナーなのだ。

マルクスの予言した通り、これは戦争である。したがってグローバルに闘う企業は日本的経営を捨て、日本的経営を捨てられない企業は国内に逃げるしかない。そして政府がやるべきなのは、この流れに逆らってインフレを起こすことではなく、労働市場を流動化して「年収1億円か100万円か」に2極化する世界の中で生き残れる人材を育成する制度設計である。
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51855781.html

2013年05月11日 11:25 経済
よみがえる恐慌論

岩井克人氏が、アベノミクスを論じている。彼の『貨幣論』は『資本論』の冒頭の価値形態論の焼き直しだが、そこでマルクスはまさに資本主義経済が主観的な「期待」に依存していることを強調しているからだ。ところが岩井氏は、価値形態論からこう飛躍する。

資本主義とは、お金があるがアイデアはない人が、アイデアはあるがお金がない人にお金を貸すことによって、アイデアを現実化していくシステムです。デフレの時は、お金を持っているだけで得する。人々はお金それ自体に投機し、貸し渋りが起こった。インフレの期待は、人々をお金それ自体への投機から、アイデアに対する投機、さらにはモノに対する投資に向かわせるのです。

これはマルクスでいうと資本蓄積論で価値形態論とは別だが、この話には続きがある。人々が「期待」して投機する結果、資本蓄積の過程で貨幣の本質的な不安定性が顕在化する、とマルクスは指摘したのだ。

支払いが相殺される限り、貨幣はただ観念的に計算貨幣として機能するだけである。しかし現実の支払いがなされなければならないときは、物質代謝のただ瞬間的な媒介的な形態として現われるのではなく、社会的労働の個別的な化身、交換価値の独立な定在、絶対的商品として現われるのである。この矛盾は、生産・商業恐慌の中の貨幣恐慌と呼ばれる瞬間に爆発する。(『資本論』第1巻)

つまり人々が期待する貨幣の価値と現実の価値(それと等価な商品の価値)を一致させるメカニズムは資本主義の中にはないため、期待が期待を呼んで貨幣量が膨張するバブルを生み、それが恐慌として定期的に爆発する――というのがマルクスの恐慌論である。

こういう資本主義の不安定性は、ケインズ的な総需要管理政策で回避できたように思われたが、この四半世紀の先進国の事例だけをとっても、日本のバブル、北欧の金融危機、東南アジア危機、アメリカのITバブル、そして2008年の金融危機、ユーロ危機と6回も「恐慌」と呼べるような事態が繰り返されている。途上国ではもっと日常的に、財政・金融破綻やハイパーインフレが起こっている。

19世紀には国内で起こっていた恐慌が20世紀には回避できるように見えたが、実はそれはグローバルに拡大しただけだった。岩井氏の言葉でいえば、「モノではなく、お金を持つのは、使えば他人が受け取ってくれることを期待している。それも投機です。資本主義の不安定性は、金融市場の問題というより、お金の本質から導き出されるのです」。期待はつねに裏切られ、資本主義は崩壊するリスクを含んでいるのだ。

しかし恐慌が爆発してプロレタリアートが武装蜂起で資本主義を倒す、というマルクスの期待した革命は、先進国では起こらなかった。それは中央銀行が通貨の価値を管理し、信用が完全に崩壊することを防いだからだ。政治家は「輪転機をぐるぐる」回して財政をまかなう誘惑に駆られるので、中央銀行の独立性を保証する法律がつくられ、インフレを抑制するためにインフレ目標が導入された。

ところが安倍政権は、1000兆円を超える政府債務という爆弾を抱えた日本で、270兆円ものガソリンをまいてインフレの火をつけようとしている。彼らが日本経済を「焼け跡」にして出直そうとしているのだとすれば、それも一つの戦略だろう。幸か不幸か、日本は歴史上そういう「ガラガラポン」によってしか本質的な改革はできなかったからである。

http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51855565.html


2013年05月04日 14:39 経済 テクニカル
なぜ日本だけデフレになったのか

アベノミクスについて本を書くことになって、その種の本をまとめて読んでみたのだが、一つの共通点に気づいた。最大のコスト要因である賃金の問題を避けているということだ。たとえば日銀の岩田副総裁が先月出した『リフレは正しい』の中身は、これまでの本の繰り返しだが、第1章で「なぜ日本だけがデフレになったのか」と問いかけ、次のような要因をあげる:
1. 不良債権説
2. IT革命などによる生産性向上
3. 生産年齢人口説
4. 中国からの輸入説
5. 日本固有の賃金調整説
このうち1については「もう終わった話」とし、2〜4については「日本だけで起こっているわけではないと斥けるのだが、5についてはこう書いている:
これは、民間のエコノミストが言い出した説です。[・・・]日本企業は雇用を守ろうとして、賃金を引き下げ、雇用者もそれを受け入れるため、デフレになったという説です。しかし、日本では、賃金が下がる前にデフレが始まっています。企業はデフレのために賃金を下げないと雇用を維持できないのです。

ここにはいくつもの嘘が含まれている。岩田氏は「民間のエコノミスト」の話は信用できないといいたいのかもしれないが、名目賃金の低下がデフレの原因だと主張しているのは、東大教授で元日本経済学会会長の吉川洋氏である。

岩田氏は数字を示していないが、国税庁と総務省の統計でくわしくみてみよう。右の表のように変化率を指数であらわすと、平均給与(名目賃金)は1997年から下がり始めているが、デフレが始まったのは1999年からであり、明らかに賃下げが原因でデフレが結果である。この20年足らずの期間に日本の名目賃金はOECD平均より90%以上も下がったのだから、これが日本だけデフレになった原因である。

図では低下した期間に着色してあるが、給与が6.9%ポイント下がった時期にCPIは2.6%ポイント下がっている。賃金は(産業によってかなり違うが)生産コストの5〜8割を占めるので、ほぼこの賃下げだけでデフレは説明できる。その逆に、価格が3%下がったとき、経営者が「雇用を維持するために」賃金を7%近くも下げることは考えられない。

高橋洋一氏も「OECD諸国で中国からの輸入の対GDP比率はどの国でも上昇しているが、デフレになっているのは日本だけである」と書いているが、これも同じ理由で間違いである。片岡剛士氏の『アベノミクスのゆくえ』に至っては、賃下げがデフレに先行しているデータを示しながら「実物的現象はデフレの原因ではない」と断定して、賃金を無視している。

これはバイアスが強すぎて事実が見えなくなる、認知的不協和である。リフレ派のセントラル・ドグマは「日本だけデフレになっている原因は金融政策にある」という教義だが、上のようにデフレの原因は日銀ではないので、インフレ目標も量的緩和も無意味である。

本質的な問題は、非正社員を増やすことによって賃下げする雇用慣行にある。したがって正社員の特権をなくして非正社員との身分差別を撤廃し、すべての労働者が同じ条件で働ける社会にする「第3の矢」こそ、アベノミクスの中で唯一の意味のある政策である。
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51854480.html


04. 2013年5月15日 16:21:13 : niiL5nr8dQ

「アベノミクスをめぐる混乱」 BY DAVID BECKWORTH
以下は、David Beckworth, “Abenomics Confusion”(Macro and Other Market Musings, May 12, 2013)の訳。

ラルス・クリステンセン(Lars Christensen)がアベノミクスをめぐる混乱を解きほぐしている。

ドル円相場がついに1ドル=100円を突破し、現在の円安傾向が続けば日本からの輸出にポジティブな効果が生じることになるだろう、と広い注目が寄せられている。大半のコメンテーターやエコノミストの見方では、現在日本で進行中の金融緩和は為替レートひいては日本製品の(価格)「競争力」(“competitiveness”)へのインパクトを通じてその効果を発揮すると捉えられているようだ。しかし、そのような見方は完全に間違っていると私は思う。

現在日本銀行が実施している金融政策によって日本経済の名目GDP成長率が大きく引き上げられる可能性が高い−しばらくの間は実質GDPも大きく上昇する可能性が高い−、という点については私も強く同意するところである。しかしながら、経済成長の加速をもたらす主因を輸出の増加に求める見方には疑問である。私が思うに、日銀による金融緩和の結果として国内需要(内需)が刺激される可能性が高く、この内需の増加が経済成長の主たる原動力となると考えられるのである。今後日本の輸出が伸びを見せる可能性が高いのは確かだが、輸出の増加は金融緩和が経済を刺激する上で最も重要な経路であるとは思われないのである。


クリステンセンが語っているストーリーは決して目新しいものではない。1930年代に各国が金本位制から離脱した結果としてそれぞれの国で景気回復が進行することになったが、その原因は通貨切り下げによる輸出の増加にあったのではなく、内需が刺激されたことにあったのである。そもそもすべての国が同時に通貨切り下げに臨めば、いずれの国も輸出で有利な立場に立つことはできない。このことは1930年代に関してだけではなく現在に関してもあてはまるのである。

とは言いつつも、アベノミクスに起因する通貨切り下げ競争がECBに対してさらなる緩和に向けて動き出すよう促すきっかけとなるかもしれない点は見逃せない。特に、ECBが対外的な(貿易上の)競争力を気にかけるとすればそうなる可能性がある。つまりは、ユーロ諸国の製品が海外の製品と比べて(価格の面で)あまりにも高くなり過ぎないようにするために[1] ECBがさらなる金融緩和に乗り出し、その過程でユーロ圏内の内需が拡大する可能性があるわけである。多くの人々が多大な苦難を味わっている[2] にもかかわらずECBは全力で行動するには至っていないわけだが、アベノミクスがその(ECBが全力で行動する)きっかけとなるようなことがあれば何と皮肉なことだろうか。

訳注;ユーロ高を防ぐために [↩]
訳注;ユーロ圏内における失業率が高い水準を記録している [↩]
http://econdays.net/?p=8213

 

「ケインズ経済学をめぐる『7つの神話』」 BY MARK THOMA
以下は、Mark Thoma, “Seven Myths about Keynesian Economics”(The Fiscal Times, May 7, 2013)の訳。

「ケインズは独特な性的嗜好の持ち主であり、さらに子供がいなかった。ケインズが長期的な経済問題に無関心であったのはそのためだ」。つい先日、ハーバード大学の歴史学者である二ーアル・ファーガソン(Niall Ferguson)がこのような趣旨の発言を行い、その後謝罪に追い込まれる格好となった。ケインズの性的嗜好が云々といった話は脇に置いておくとして、「経済が短期的な問題に直面している状況においてはケインジアンはしばしば長期的な問題を無視する」といった見解は広く語られているところである。しかし、ケインジアンは長期的な問題に無関心だとの主張は、ケインズ経済学に関する多くの神話のうちの一つなのである。

【神話その1;ケインジアンは「長期的な」経済問題に十分注意を払わない】

この主張とは正反対に、「ケインズ経済学に反対の立場の保守派の人々は短期的な経済問題−特に失業−に十分注意を払わない」との主張が成り立つだろう。しかしながら、短期的な経済問題の対処に失敗すると長期的な損害がもたらされ得る、という点には注意が必要である。例えば、景気後退が長引くと多くの人々が労働市場からの永続的な退出を余儀なくされ、そのために経済の長期的な成長力(潜在成長率)が損なわれるおそれがある。ケインジアンは長期的な問題にもかなりの注意を払っている。ただ、短期的な経済問題を無視することが長期的な経済問題を解決する上で最善の方法だ、との考えには与しないのである。

【神話その2;ケインジアンは経済成長のことなど興味がない】

ケインジアンも経済成長の便益(あるいは価値)はちゃんと理解している。ただ、ケインジアンは、二酸化炭素の排出をはじめとした外部性を企業が十分考慮に入れるように望み、経済成長の成果がどのように分配されるかにも関心を払うのである。労働者の生産性が上昇しているにもかかわらず経済成長の果実が所得上位層にだけ集中するようであれば−近年そうなっているように−、ケインジアンは疑問を抱くことになる。経済成長は所得の上昇をもたらす上でキーとなる要因である。しかし、経済成長は少数のヨット(お金持ち)だけではなくすべてのボートを引き上げるようなものでなくてはならず、水質の汚染を避けるようなかたちで進められなければならないのだ。

【神話その3;ケインジアンは「大きな政府」の支持者だ】

ケインズ経済学に関する神話の中でもこれがおそらく最もひどく混乱したものであり、また最も広く受け入れられているものである。ケインジアン流の景気安定化政策は次のようなかたちをとる。景気後退に際しては経済を刺激するために政府支出の拡大ないしは減税が実施される一方で、その後に景気が上向くと政府支出の削減ないしは増税が実施されることになる。つまり、ケインジアン流の安定化政策においては政府支出や税金の変更はあくまで一時的なものであり、例えば、景気後退下で政府支出が増大しても景気回復後に政府支出が削減されれば、政府の平均的な規模は時を通じて変わらないままとなるのである。しかし、政治家が(経済を刺激するために政府支出を増大した後に)景気回復後に政府支出を減らすのではなく増税を行う決定をすれば、政府の平均的な規模は拡大することになるだろう。一方で、景気を刺激するために減税を実施し、景気回復後に政府支出を削減する決定がなされれば、政府の平均的な規模は縮小することになるだろう。しかし、政府支出や税金の変更がケインジアンが求めるように真に一時的なものであれば[1] 、政府の平均的な規模は一切変わらないままなのである。

【神話その4;ケインジアンは政府債務のことなど気にしない】

特定の状況下では政府債務も問題となり得ることがあり、長期的な政府債務の問題に取り組む必要があるという点についてはケインジアンも理解している。問題は、政府債務がもたらすコストと失業に伴うコストとの適切なトレードオフをいかに図るか、ということである。深刻な景気後退下にあり、また政府債務残高が現在のような水準にとどまっている場合には、失業に伴うコストは財政赤字に伴うコストよりもずっと大きいと考えられる。一方で、経済が回復するにつれてトレードオフのバランスには変化が生じることになり、財政赤字の縮小に伴う便益は景気回復とともにいっそう大きくなることだろう。しかし、今現在に関しては失業こそが最大の関心事であるべきなのだ。

【神話その5;ケインジアンはインフレのことなど気にしない】

ケインジアンは労働者の雇用と所得が高い水準で安定し続けることをまず何よりも重視する。その際にインフレーションが加速する場合には、当然インフレもケインジアンの関心の対象となる。ケインジアンが異議を唱えるのは、経済への政府介入にイデオロギー的に反対する人々がインフレに伴うコストと失業に伴うコストとのトレードオフを歪んで評価することに対してなのである。

【神話その6;ケインジアンは金融政策を信用していない】

金融政策が景気回復を後押しし得ることについてはケインジアンも否定しない。ただ、ケインジアンは、金融政策だけで深刻な景気後退を克服できるとの主張には与しない。財政政策もまた必要だとケインジアンは考えるのである。

【神話その7;ケインジアンは古びて流行遅れな劣った(低級の)モデルに頼っている】

経済が危機に襲われ、現代のマクロ経済モデルの失敗が明らかになったことを受けて、経済学者の多くは政策(あるいは問題理解)の指針を求めてオールドケインジアンのモデルに向かうことになった。オールドケインジアンのモデルは今まさに我々が直面している類の問題に答えることを意図して組み立てられたものであった。現代のモデルの欠陥が修正されるのを待っている時間的な余裕などなく、また、オールドケインジアンのモデルはその長所と短所をきちんとおさえてさえいれば有用であることが判明したのであった。今回の危機の過程でケインジアンは、モデルがいつの時代に作成されたかなど大して気にすることもなく、利用可能なモデルの中から最善だと思われるものを選んでそれに依拠した。現代のモデルが有用であったこともあれば、古いモデルが優れた洞察をもたらしたこともあった。つまりは、重要な疑問に答える上で最善だと思われるあらゆるモデルに頼ったのである。危機の過程で現代の「ニューケインジアン」モデルにも修正が加えられることになったが、修正されたニューケインジアンモデルがオールドケインジアンモデルから引き出される政策処方箋を一般的には支持する傾向にあるのは興味深いことである。

オールドケインジアンモデルならびに修正されたニューケインジアンモデルが勧める政策がもっと積極的に推し進められていたとすれば、長期失業のような問題は今ほどひどいことにはなっていなかった可能性がある。もっと言うと、過去に関してだけではなく現時点においても依然としてもっと積極的に推し進められる必要がある。人類が経験から学ぶ可能性をこれまでずっと個人的に望んできたが、上で触れた7つの神話が失業問題へのより有効な政策対応の前に立ちはだかり続けているのである。

訳注;景気を刺激するために政府支出が拡大される場合にはその後の景気回復期に政府支出が削減される、あるいは、景気を刺激するために減税が実施される場合にはその後の景気回復期に増税が実施される、といったかたちをとるならば [↩]
http://econdays.net/?p=8202

 

「複数均衡におけるアナウンスメントの役割 〜「悪い」均衡から「良い」均衡へ〜」 BY OLIVIER BLANCHARD
以下は、Olivier Blanchard, “Rethinking Macroeconomic Policy”(iMFdirect, April 29, 2013)の一部抜粋訳。

<その6>目視での航海(Navigating by sight) 複数均衡とコミュニケーション(Multiple equilibria and communication)

複数均衡が成り立つ世界では、アナウンスメントは大きな重要性を持ち得る。例えば、ECBがアナウンスしたOMT(Outright Monetary Transaction;国債買い入れプログラム)のケースを考えてみてほしい。このプログラムのアナウンスメントは、ソブリン債市場において複数均衡の発生につながる源泉の一つを取り除く効果を持ったと解釈することができる。つまりは、コンバーティビリティ・リスク−投資家が「ユーロ圏周辺国はユーロから離脱するに違いない」と考えて、それら各国政府が発行する国債の購入に際してプレミアムの上乗せを要求し、その結果としてユーロ圏周辺国が実際にもユーロからの離脱を強いられることになる危険性−の除去に成功したと考えられるのである。それも実際にプログラムを実行に移す必要もなく、プログラムのアナウンスメントを通じてそのような効果が生じたのである。

この観点からすると、つい最近日本銀行が発表したアナウンスメントはなおいっそう興味深い。そのアナウンスによると、今後日本銀行はマネタリーベースを2倍に拡大する予定とのことだが、この政策がインフレに対してどの程度効果を持つかは、(この政策の結果として)家計や企業が抱くインフレ期待がどのように変化するかに大きく依存することだろう。仮にインフレ期待が上昇することになれば、家計や企業による賃金や価格の決定に影響が及び、その結果としてインフレの上昇につながることだろう。インフレの上昇はデフレ下にある日本においては望ましい結果である。一方で、インフレ期待の上昇につながらなければ、インフレが大きく上昇すると考えるに足る理由はないことになろう。

それゆえ、この劇的な金融緩和に向けた動きを支える主たる動機は、心理的なショックを与え、人々の認識と価格決定のダイナミックスにシフトを生じさせることにある、ということになろう。今回の日銀の決定は−日本の政府当局が実施するその他の政策と相伴うことで−うまく機能するだろうか? そうなることを祈ろう。しかし、(仮に日銀の政策が効果を持ったとしても)教科書で説明されているような機械的なかたちで効果を持つわけではないだろう。
http://econdays.net/?p=8196

 

「ウッドフォード・ピリオド 〜迎え酒にバーボンを〜」 BY BILL C
以下は、Bill C, “The ’Woodford Period’: A Bourbon for Bernanke?”(Twenty-Cent Paradigms, February 21, 2013)の訳。

つい先日、セントルイス連銀総裁であるジェームス・ブラード(James Bullard)が「現状の金融政策のスタンス」をテーマに講演を行ったが、その内容を要約したニュースリリースによると、ブラードは講演で次のように語ったとのことである。

彼(ブラード)は今回の講演で次のように述べている。「セントルイス連銀の予測によると、失業率が閾値(threshold)[1] である6.5%に達するのは2014年6月のことになると見込まれている」。しかしながら、彼は次のようにも指摘している。セントルイス連銀が予測する今後の失業率の推移をテイラー・ルール(Taylor(1999))にあてはめるとFF金利は2013年8月の段階で引き上げられるべきとの結果が得られる、と。すなわち、「閾値に達するまではFF金利を(現状のほぼ)ゼロ%に据え置くとのFOMCの決定は、通常であればFOMCがFF金利を引き上げるはずの時点よりも長めにFF金利をゼロ%に据え置くことを意味している。つまり、FOMCによる閾値の決定は「ウッドフォード・ピリオド」(“Woodford period”)の設定を意味するものと見なすことができる。」


1950年代〜60年代にFRB議長を務めたウィリアム・マチェスニー・マーティン(William McChesney Martin)はかつて次のように語った。Fedの仕事は「パーティーが盛り上がっている最中に(お酒の入った)パンチボールを片付けることにある」、と。このマーティン・ルールから派生する(ブラードが語るところの)新しいコロラリー(corollary)は次のようになるだろうか。「Fedの仕事は、景気後退が終わった後もしばらくはゆっくりとバーボンをちびちびとやる暇を与えることにある」、と。「景気後退というのは金融危機に端を発する二日酔いのようなものだ」との意見があるが、仮にそうだとすればそれはおそらく迎え酒[2] のようなものなのだろう[3]。

ニュースリリースの続きはこうなっている。

2013年8月から2014年6月までの期間が「ウッドフォード・ピリオド」(“Woodford period”)−ここで「ウッドフォード」というのはコロンビア大学の経済学者であるマイケル・ウッドフォード(Michael Woodford)を指している−ということになるだろう。ブラードは次のように付け加えている。「経済学界で広く受け入れられている理論によれば、ウッドフォード・ピリオドを設けて通常よりも長めにFF金利をゼロ%に据え置くことは、名目金利がゼロ下限制約に直面している状況において一層大きな景気刺激効果を持つとともに、おそらくは最適な金融政策でもある。」


おっと。「ウッドフォード」というのはInterest and Prices(『利子と物価』)の著者のことであって、バーボンウイスキーであるウッドフォードリザーブのことではないらしい。

しかし、やはりウッドフォードリザーブのことを指すようにした方がよかったかもしれない。というのも、バーボンを購入するためにFedが貨幣を刷ると蒸留所が予想したとしたら、それを見越して(メーカーズマークも含めた各メーカーの蒸留所が)バーボンの蒸留に乗り出す[4] かもしれないからだ。ん〜〜〜。

【訳者による追加】

(出典)James Bullard, “Perspectives on the Current Stance of Monetary Policy(pdf)”(February 21, 2013)のpp.25より再掲

訳注;ゼロ金利解除の基準となる失業率の値。2012年12月に開催されたFOMCで、失業率が6.5%を下回るかインフレ率が2.5%を超えない(+インフレ期待が安定している)限りは政策短期金利であるFF金利を現状のほぼゼロ%に据え置くことが決定された。  [↩]
訳注;二日酔いを解消するためにお酒を飲むこと [↩]
訳注;おそらくこの文章は、景気後退に関する「二日酔い理論」を揶揄したものないし逆手にとったものと思われる。「二日酔い理論」によると、酒の飲み過ぎが悪いのだから(それ以前の浪費が現在の景気後退の原因なのだから)お酒をはじめとした贅沢は控えて堅実な生活を過ごしなさい→民間・政府両者に対する緊縮の勧め、といった結論が引き出されることになるが、ここでは「いや、二日酔いには迎え酒で対処すればいいのでは? ウッドフォード・ピリオドを設けて金融緩和(ゼロ金利)をちょっと長めに継続すればよい」との意味が込められているのだと思われる。景気後退の「二日酔い理論」については、例えば以下を参照のこと。 ポール・クルーグマン(1999)「日本の長引く不況は、バブル期の行きすぎのせいではない」/ Paul Krugman(1998), “The Hangover Theory ;Are recessions the inevitable payback for good times?”  [↩]
訳注;次の記事も参照のこと。「バーボン「メーカーズマーク」、アルコール度数引き下げを撤回−一連の騒動に「心からお詫び」と経営者(タイム)」 [↩]
http://econdays.net/?p=8191

 


「近隣富裕化政策としての世界同時リフレ 〜回復スピードが二極化する世界におけるリフレーションと支出転換〜」 BY MENZIE CHINN
以下は、Menzie Chinn, “Reflation and Expenditure Switching in a Two Speed World”(Econbrowser, March 25, 2013)の訳。

バーナンキがすべてを語ってくれている。

FRB議長であるベン・バーナンキ(Ben Bernanke)が本日(3月25日)LSEで講演を行い、そこで次のように語っている。

大恐慌(Great Depression)に関する現代の研究−その流れを生むきっかけとなったのは、バリー・アイケングリーン(Barry Eichengreen)とジェフリー・サックス(Jeffrey Sachs)が共同で執筆した1985年の記念碑的な論文です(注6)−は、金本位制からの離脱がもたらした効果に関して私たちの従来の考え方に変更を迫る格好となりました。金本位制から離脱し、その結果として為替が減価したことで一時的に貿易上で有利な立場を手にすることになったケースもあることは確かですが、大恐慌に関する現代の研究によると、金本位制からの離脱に伴う主要な便益は次の点にあることが示されています。それは、各国が自ら適切だと思うやり方で自由に金融緩和を実施できるようになったことにある、ということです。1935年ないしは1936年までに実質的にすべての主要各国が金本位制から離脱し、その結果為替レートが市場で自由に決定されるようになると、為替レートの変化を通じて貿易が刺激される効果は限定されることになりました。しかし、主要各国が金本位制から離脱して以降の世界経済全体のパフォーマンスは1931年よりもずっと好調な状況を記録する結果となりました。その理由は、各国が金本位制の拘束衣を脱ぎ去ったことにより、自国内における完全雇用を達成するためにふさわしいやり方で自由に金融政策を実施することができるようになったからでした。さらには、貿易相手国の景気が上向くことにより輸出の増加というかたちで恩恵が生じた点も重要です。要するに、関税引き上げ競争とは対照的に、1930年代に実施された金融政策を通じたリフレーションはポジティブ・サムの結果をもたらすことになったのです。その結果は、為替レートの変更に伴う貿易転換(純輸出の増加)を通じてではなく、主要各国における国内需要の増加を通じてもたらされたのです。

このことが現在の状況に対して持つ教訓は明らかです。目下のところ、先進国経済の大半はこの度の大不況(Great Recession)から緩やかに回復しつつある途上―その程度は国ごとに違いがありますが―にあります。概してインフレが安定していることを受けて、各国の中央銀行は経済の回復を下支えするために金融緩和策に乗り出していますが、このような状況を指して「通貨切り下げ競争」(competitive devaluations)と呼ぶことは適当でしょうか? 「ノー」でしょう。というのも、先進国経済の大多数で金融緩和策が実施されているので、先進国間での為替レートには劇的かつ持続的な変化が生じることはないと予想されるからです。主要な先進国で実施されている金融緩和策がもたらす便益は、為替レートの変化を通じてもたらされるわけではなく、それぞれの国内の総需要の下支えを通じてもたらされると考えられるのです。さらに、各国の景気が上向くことになれば、それに伴って貿易相手国に(輸出の増加というかたちで;訳者挿入)好ましいスピルオーバーがもたらされることにもなるでしょう。つまりは、現在先進各国が同時に実施している金融緩和策は「近隣窮乏化」(”beggar-thy-neighbor”)ではなくポジティブ・サムな「近隣富裕化」(”enrich-thy-neighbor”)をもたらすと考えられるのです。

(注6)Barry Eichengreen and Jeffrey Sachs (1985), “Exchange Rates and Economic Recovery in the 1930s,” (Journal of Economic History, vol. 45 (December), pp. 925-46)を参照のこと。


大恐慌当時において固定為替レート(金本位制)がいかに世界経済に好ましからぬ影響をもたらしたかを思い出してもらうためにも、ここで改めてかの有名なアイケングリーンの図―当時の各国経済のパフォーマンスの違いが一目でわかる図―を掲げることにしよう。

(出典)Eichengreen(1992)(pdf)の図5

個人的には支出転換効果[1] をもう少し強調したいところだが、現在先進各国で同時に実施されている非伝統的な金融政策はポジティブ・サムの結果をもたらす可能性が高い、というバーナンキの見立てには私も同意である。私の個人的な見解では、各国の中央銀行が為替の減価を歓迎したとしても[2] 、最終的には好ましい結果がもたらされることになると思われる。それも(少なくとも先進各国間での)名目為替レートにはほとんど変化が生じないとしてもそうなることだろう。リフレーションは物価の上昇をもたらすことになると思われるが、ジェフリー・フリーデン(Jeffry Frieden)やジョシュア・アイゼンマン(Joshua Aizenman)との共同研究を通じてこれまで私自身指摘してきたように、リフレを通じた物価の上昇は大規模な産出ギャップを長らく抱え続けている経済に対して(例えば、債務の実質的な負担を軽くしたり、信用制約を和らげるなどの経路を通じて)好ましい効果を持つことだろう。実際のところ、ここにきてインフレ期待は(ポール・ライアンが恐れるような水準にまでは達していないとしても)わずかながらも上昇しているようである。以下にドイツ銀行の調査結果を掲げておこう。


(出典)Hooper, Mayer, and Spencer, “Staying the Course on a Sea of Central Bank Liquidity,” World Outlook (Deutsche Bank, 22 March 2013) [not online].

以前にも指摘したことだが、あらゆる国でインフレが加速する必要はないだろう。というのも、現在世界経済においては景気回復のスピードの面で二極化が生じており(新興国では急速なスピードで景気回復が進行している一方で、先進国では景気回復のスピードが鈍かったり、あるいは景気回復がまったく生じていないケースもある)、それゆえインフレに伴う便益は地域ごとに違いがあるからである。具体的には、アメリカやユーロ圏、そして特に日本ではインフレの上昇が必要とされていると言えるだろう。さらに、為替レートに関する私の指摘もあらゆる国にあてはまるわけではない。景気回復のスピードの面で二極化が生じていることを考えると、新興国の通貨は増価の方向に、先進国の通貨は減価の方向にそれぞれ向かうのが望ましいと言えるだろう。以下の図にあるように、実際にもある程度そのような方向に向かいつつあるようである(ただし、ユーロに関しては間違った方向に向かいつつあるようだが)。

Figure 1: BISのデータ(Broadベース)をもとに算出した実質実効為替レート(対数値、2010年の実質実効為替レートを0とする);アメリカ(青)、イギリス(赤)、ユーロ(緑)、日本(紫)、中国(オレンジ)

このエントリーでも論じたように、日本の為替レート(円)はここのところ大きく下落している。また、イギリスの為替レート(ポンド)も最近になって下落傾向を見せているが、「拡張的な財政緊縮」とやらの効果がまったく生じていないことを考えると、この動きは好ましいことだと言えるだろう。対照的に、中国の為替レート(元)はここのところかなりの増価を見せているが、それにもかかわらず、特に新興国の通貨に対してさらなる調整が依然として必要だと考えられる。

<まとめ>

エントリーの冒頭でも示唆しておいたように、バーナンキが講演の結論で語っていることに私が付け加えるべきことは何もない。

本日の話をまとめるとこういうことになります。目下のところ、先進各国では、自国の景気回復を促し、物価の安定を保つために、適切にも金融緩和策が実施されている最中です。大恐慌に関する現代の研究が明らかにしているように、そのような政策は世界経済全体に(ネットで見て)便益をもたらすことでしょう。先進各国で同時に実施されている金融緩和策をゼロ・サムないしはネガティブ・サムな貿易転換政策と同一視すべきではありません。実のところ、先進各国で同時に実施されている金融緩和策は互いに補強し合う可能性があり、その結果として関係するすべての国に便益をもたらし得るのです。


あえて何か付け加えるとすれば、先進国経済において(中でもユーロ圏において)、金融緩和に向けた行動が今よりももっとずっと積極的に推し進められるべきだ、ということくらいである。

訳注;訳注;貿易収支を改善する効果=純輸出を増加させる効果 [↩]
訳注;金融緩和を通じて為替の減価を意図的に引き起こそうと試みたとしても [↩]
http://econdays.net/?p=8177


05. 2013年5月15日 16:56:46 : niiL5nr8dQ

日経平均が1万5000円回復、輸出関連が相場けん引−円安、リスク志向 (15:44) 東京株式相場は大幅反発し、日経平均株価は5年超ぶりに1万5000円を回復。欧米の株高で海外勢を中心に投資家のリスク許容度が高まる中、円安による収益上積みへの期待が広がった。東証1部33業種では自動車を含む輸送用機器、電機が上昇率1、2位となるなど輸出関連株が相場全体をけん引した。
ドルは対ユーロで5週ぶり高値圏、米景気見通し改善−円は下落幅縮小 (14:00)
ドイツ:1−3月の成長率、市場予想を下回る−辛うじて景気後退回避 (15:50)
債券は上昇に転じる、買い入れ結果や異例の日銀供給オペを好感 (14:21)
日銀国債買い入れ、応札倍率「1年以下」は低下−「10年超」上昇 (13:24)

ドル102円前半、円債市場の混乱でアベノミクスの行方に警戒感も
2013年 05月 15日 16:09 JST
[東京 15日 ロイター] 東京外為市場午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ若干ドル安/円高の102円前半。日経平均株価は5年4カ月ぶりに1万5000円を回復したものの、ドル/円の動きは鈍く、目立った方向感は出なかった。

円債市場では流動性低下によるボラティリティの高まりで、きょうも10年債利回りが乱高下した。金利の急上昇は「アベノミクス」に影を落としかねないだけに、外為市場参加者の間でも警戒感が強まっている。

<金利上昇に対する警戒感も>

午後3時までのドル/円は102円前半で取引された。朝方に102.37円の高値を付けた後、輸出企業による散発的な売りや、投信のヘッジ玉とみられる売りに押されて102.04円付近まで軟化。下値では短期筋の押し目買いが入ったものの、輸入企業は総じて様子見で、「手が出ない状況が続いている」(邦銀)という。

こうした中、円債市場では日銀の大量国債買い入れで流動性が低下した結果、ボラティリティが高まっており、きょうも10年債利回りが乱高下した。

一時0.920%と1年1カ月ぶりの水準まで上昇したが、日銀が「やや長めの金利の急激な上昇に対応するため」(金融市場局)に1年物の資金供給オペを2兆円通告したことから、ひとまず安心感が広がり、0.820%まで低下。その後、再び上昇するなど、荒っぽい動きとなっている。

円債市場では、イールドカーブ全般を押し下げるという目標を達成できていない黒田日銀に対する不満もくすぶっており、「今後もボラティリティは高止まりする可能性が高い」(外銀)との見方が根強い。

今のところ、外為市場に目立った影響は出ていないが、過度な金利上昇は「アベノミクス」の行方に影響を及ぼしかねないだけに、外為市場参加者は円債市場の動向に警戒を強めている。

東海東京証券チーフエコノミスト、斎藤満氏は「為替が円安に振れたり、外的ショックが与えられたりすると、これまで以上に金利が上がりやすくなっており、そこで相場下落が大きくなると、リスク管理面からまた新たな売りがあぶりだされる」と指摘。「長期金利が大きく上昇すると、金融緩和は行き詰まる」と警戒感を示した。金融緩和が行き詰まれば、緩和を頼みとする投機筋の円売りが変調をきたす可能性も否定できない。

安倍晋三首相は午前の参議院予算委員会で、足元の円債市場の動きについて「一般論として、量的・質的緩和の下で日銀が多額の国債買い入れを行うことで債券市場に大きな影響が生じ得ることは確かだ」と述べた。その上で「国債の安定消化などの観点から債券市場の動向を注視していく」との姿勢を示した。

<米金利上昇はそろそろ一服か>

米国では金融緩和の「出口」観測から、金利に上昇圧力がかかっているが、市場では「米連邦準備理事会(FRB)はいま緩和を止めるような状況ではない。投機筋のロングポジションもかなり解消されてるので、そろそろ金利上昇は一服ではないか」(国内証券)との見方も出ている。

この関係者は、米金利上昇の主因は投機筋のポジションの偏りにあったと分析。「米10年債先物ポジションをみると、5月7日時点のロングポジションは4月30日から10万枚くらい減少しているので、上昇圧力は和らぐ可能性が高い」とした上で、ドル/円のラリーも「いずれ止まるだろう」との見方を示した。

ドル/円JPY=    ユーロ/ドルEUR=  ユーロ/円EURJPY=

午後3時現在   102.20/22  1.2924/28  132.09/13

正午現在     102.20/22  1.2926/30  132.11/15

午前9時現在   102.18/20  1.2934/38  132.17/21

NY午後5時   102.37/39  1.2921/25  132.26/30

(ロイターニュース 志田義寧)

株価上昇「バブルでない」、円安は当面の輸入物価上昇要因=日銀総裁
2013年 05月 15日 15:43 JST
[東京 15日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は15日午後の参院予算委員会で、最近の株価の上昇について、「現時点ではバブルと考えていない」との認識を示した。

また、為替円安が当面の輸入物価の上昇要因に働くとの見解を示したが、雇用や賃金の拡大などを含めたバランスのとれた物価上昇が重要と語った。桜井充委員(民主)の質問に答えた。

黒田総裁は、日銀が目標に掲げる2%の物価上昇率の実現経路について、マクロ的な需給バランスの改善や予想物価上昇率の上昇、輸入物価の上昇の3つを挙げた。このうち輸入物価については「為替相場の動きが当面の上昇要因として働く」とし、「為替相場が円安に振れたことが輸入物価の上昇を通じて物価上昇の一部を形成していく」と語った。

もっとも、物価目標は持続的に達成すべきとし、「エネルギー価格の上昇などで一時的に上昇していくことをめざしているわけではない」と強調。物価目標達成には「経済の持続的な成長で、企業収益、雇用、賃金の増加を伴いながら、バランスのとれたかたちで物価上昇率が徐々に高まっていく好循環を作り出すことが大切だ」と語った。

また、インフレ期待の高まりによって、耐久消費財や住宅などを中心に「消費の前倒し効果が緩やかに出てくる」との見方を示した。

(ロイターニュース 伊藤純夫 編集 宮崎大)

「金融相場の宴」たけなわ、日本株に流れ込むグローバルマネー
2013年 05月 15日 14:55 JST
[東京 15日 ロイター] 「金融相場の宴」がたけなわだ。リスクオンの材料が特段出なかったにもかかわらず、欧米株高に円安も加わり、日経平均は約5年4カ月ぶりに1万5000円の大台に乗せた。

世界的な金融緩和によって膨張したグローバルマネーの流入が止まらないという。一方、日米金利が急上昇するなど資金流出の動きも激しい。足取りの重い世界経済を横目に、マネーの移動スピードは一段と速くなっている。

<材料なき世界株高>

海外市場で特にリスクオンの材料が出たわけではない。予想を上回る欧州企業の決算発表などはあったが、マクロ指標では5月の独ZEW景気期待指数が市場予想を下回るなどネガティブ材料も目立った。しかし、マーケットはリスク選好の度合いを高め、欧州の主要株価指数の終値は5年ぶりの高値を更新。米ダウ.DJIとS&P500.SPXも終値で過去最高値を更新するなど、欧米の株価は一段高となった。

世界的な株高加速の原動力は、金融緩和によって生み出された過剰流動性だ。景気回復が鈍いことはネガティブ要因でもあるが、金融緩和環境がしばらく継続するという安心感にもつながる。物価が落ち着いていることも緩和継続予想を補強しており、グローバルマネーの勢いを加速させている。

特に日本株には海外投資家のマネー流入がけん著だ。前日は米系証券の先物買いが話題になっていたが、15日前場の市場でも海外勢が好む主力大型株が相場をけん引。円安の後押しもあって、トヨタ自動車(7203.T)は年初来高値更新、ソニー(6758.T)は約1年10カ月ぶりに2000円大台を回復した。TOPIXコア30の上昇率は3.1%とミッド400の1.64%、スモールのマイナス0.52%を大きく上回っている。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが14日発表した5月のファンドマネジャー調査では、中国の景気見通しへの不安から、株式全体のオーバーウエート比率はネットで41%と、4月の47%から低下した一方、日本株への配分は7カ月連続で増加。ネットで31%のオーバーウエートと、7年ぶりの高水準となった。

「日本株は上昇率が高く、組み入れなければパフォーマンス競争で負けてしまうため、ゴールデンウィーク明けから再び海外勢の買いが強まっている」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は指摘する。過熱感は日増しに強くなっているが、日経225オプション市場では1万6000円のコールに大口買いが断続的に入るなど、一段の株価上昇を視野に入れた取引も増え始めている。

<マネーの「暴走」に警戒も>

ただ、この流動性相場も金融緩和の「総本山」たる米FRB(連邦準備理事会)が金融緩和策の転換、いわゆる「出口」を本格的に視野に入れ始めたと市場が感じれば、ムードが変わる可能性がある。米経済は給与税減税の廃止など緊縮財政の影響が出ているが、一方で株価や不動産の価格上昇で資産効果が出始めている。「出口」はまだ見えないまでも少しずつ近づいているのは確かだ。

FRBが「出口」に向かう時は失業率が低下し、米経済の足腰も強固になっていると予想されるため、マーケットが一気にリスクオフに向かう可能性は大きいわけではない。ただ、グローバルマネーが野放図に膨張し、それが縮小することになれば、一時的な混乱が生じる可能性もある。米FRBのバランスシートは約3.5兆ドル(約350兆円)とリーマンショック前の3倍以上に増加しており、生み出された過剰流動性も大きく膨らんでいる。

みずほ証券シニアマーケットアナリストの青山昌氏は「為替市場のテーマは、これまでは日銀の金融緩和だったが、最近は米国の金融引き締め・景気動向に移ってきている」と指摘する。FXプライム取締役の上田眞理人氏は「ドル高相場が定着するか否かは、米国の景気回復の盤石性、特に雇用情勢にかかっている」と話す。

このまま世界経済が回復するかはまだ不透明感が強く、金融緩和環境を背景とした「金融相場」はしばらく続く可能性もある。しかし逆に言えば、金融緩和緩和が続くのは世界経済が弱いからだ。グローバルマネーが暴走し、ファンダメンタルズを超えてまで株価を押し上げれば、その後の反動は大きくなる。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 宮崎亜巳)


日銀が資金供給2兆円追加、「シグナルオペ」に市場安ど
2013年 05月 15日 14:51 JST
[東京 15日 ロイター] 日銀は2営業日先となる17日付で総額2.8兆円を市場に資金供給すると発表した。共通担保方式で4月16日以来1カ月ぶりに供給額を2兆円追加し、急ピッチな国債利回りの上昇に対応する狙い。

市場では、前日14日の経済閣僚らによる「金利上昇容認」の発言を受けて動揺が広がっていたが、これらをけん制する政策当局の姿勢が伝わり、安心感から長期金利の指標10年物利回りは低下に転じた。

15日午後の金融調節で日銀が市場参加者に通知した。通知したのは6月19日までの1カ月物8000億円と、来年5月16日までの1年物2兆円の計2.8兆円。2営業日先の資金は、全店経由の共通担保方式で8000億円程度を供給するのが一般的だが、長めの資金を2兆円追加し、市場の沈静化を図る狙いからだ。

1カ月物への応募は2080億円にとどまったが、1年物には2兆3174億円の応札があり、日銀は2兆0012億円を落札した。この結果、実際の資金供給額は2.2兆円余りとなった。資金の大量供給に踏み切った理由について、日銀金融市場局では「やや長めの金利の急激な上昇に対応するため」としている。

国債市場をめぐっては、14日の閣議後会見で麻生太郎財務相が金利上昇を容認したことをきっかけに地方銀行などから国債を売る動きが強まった影響で、指標10年債利回りが急上昇。財務省がこの日実施した1年物の国庫短期証券の落札水準は、最高利回りが節目の0.1%台に乗せるなどの動揺が走っていた。

市場では、こうしたオペを過度な金利上昇を容認しない「シグナルオペ」と呼んでおり、実際、通告後は、東京証券取引所の長期国債先物が一転してプラス圏に浮上。朝方、前日終値より96銭安い141円15銭まで下落していた中心限月6月限は、オペ通告後は一時、前日より37銭高い142円48銭まで買われた。

一方、長期金利の指標10年物も朝方の0.920%から0.820%と、逆に前日より0.035%低下し、市場では「日銀の姿勢がひとまずの安心感につながった」(東短リサーチの寺田寿明研究員)との声が出ている。

(ロイターニュース 山口貴也:編集 内田慎一)


日銀は物価安定に責任果たしてもらいたい、雇用拡大は政府が努力=首相
2013年 05月 15日 15:49 JST
[東京 15日 ロイター] 安倍晋三首相は15日午後の参議院予算委員会で、雇用を拡大する責任の所在に関連して「日銀は物価安定目標に向けてしっかり責任を果たしてもらいたい」との考えを改めて示した上で、「それを達成する中で、(国民経済の健全な発展に資するという)理念の中で、雇用も念頭にやっていただきたいというのが考え方だが、責任という意味では、政府が雇用を拡充するための努力をしたい」と語った。

桜井充委員(民主)の質問に答えた。

安倍首相はさらに雇用に関して「責任をどこでとるかというと、選挙で国民に信を問い、そこで責任をただされるということになる。その時の経済水準や経済指標で判断される」との考えを示した。またインフレ期待が上がる中で経済が活況を呈し、企業収益が上がる中で、なるべく早い時期に賃金が上がる状況にもっていきたい、との考えを示した。

(ロイターニュース 石田仁志;編集 宮崎大)


安倍首相「債券市場の動向注視」、日銀の適切な対応期待
2013年 05月 15日 09:58 JST
[東京 15日 ロイター] 安倍晋三首相は15日、午前の参議院予算委員会で、国債の安定消化などの観点から債券市場の動向を注視すると述べた。また、日銀は市場参加者と密接な意見交換の場を設けており、適切に対応されることを期待すると語った。

小川敏夫委員(民主)の質問への答弁。

足元の債券市場の動きに関連して安倍首相は「一般論として、量的・質的緩和の下で日銀が多額の国債買い入れを行うことで債券市場に大きな影響が生じ得ることは確かだ」と指摘。そのうえで「こうした観点から、日銀は市場参加者との間で金融市場調節や市場取引全般に関し、これまで以上に密接な意見交換を行う場を設けている。適切に対応されることを期待している」と語った。

また「政府としては、国債の安定消化などの観点から債券市場の動向を注視していく考えだ」とした。

金融緩和のリスクが発現しているのではないかとの質問に安倍首相は「リスクも含めて政府と日銀の間で共同声明を出し、政府と日銀で共有している。だからこそ日銀も市場との対話をしっかりと重視していくということになる」とした。

また、金融機関が多額の債券を保有しており、金利が上昇すると金融機関の財務体質が劣化し、日本の金融システムに影響を与えるとの指摘には「金融機関は多くの国債を所有しているが、同時に株も所有している。国債の動向については、指摘されたようなリスクも含めて注視しながらも、同時に金融機関や一般企業は株を所有しており、株の上昇はプラスになっているということも見ておく必要がある」と語った。

(ロイターニュース 石田仁志;編集 内田慎一)


第1四半期独GDPは前期比+0.1%、辛うじてリセッション回避
2013年 05月 15日 16:40 JST
[ベルリン 15日 ロイター] 第1・四半期のドイツ経済は個人消費に支えられ辛うじてプラス成長を達成し、リセッションは回避した。

ドイツ連邦統計庁が発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)速報値(季節調整済み)は、前期比0.1%増。予想の0.3%増を下回った。

前年比では1.4%減となった。

2012年第4・四半期は、前期比0.7%減、前年比横ばいに下方改定された。

統計庁は声明で「ドイツ経済の回復は緩慢」とし、寒波が第1・四半期のGDPに悪影響を与えたと指摘した。

*カテゴリーを追加し、写真を付けて再送します。

みずほ当期利益予想は前期比‐10%、市場部門を保守的に見込む
2013年 05月 15日 16:35 JST
[東京 15日 ロイター] - みずほフィナンシャルグループ(8411.T)は15日、2014年3月期の連結当期利益が前期比10%減の5000億円になるとの見通しを発表した。

前年度好調だった市場部門の業績を保守的に見ているほか、次期システムに関連したコストなどで経費も増加を見込んでいる。

トムソン・ロイター・エスティメーツによると、主要アナリスト12人が過去90日間に出した当期利益予測の平均値は4785億円で、会社予想はこれを上回った。

連結業務純益は、前年度比1021億円減少の8100億円を見込む。会見した佐藤康博社長は、「ワンバンク化」にともなうシナジー効果や海外の増強で顧客部門は増益を見込むと説明した一方、「市場収益にとっては(業績への貢献度が大きかった)昨年度のようなことはない」との見通しを述べた。次期システム関連コストなど経費増も見込んでおり、減益の予想となった。

与信関係費用は、ほぼ横ばいの1100億円を見込む。保有株式は引き続き削減する方針。株式等関係損益はゼロを見込むが、足元では市場の活況が続いており、相場動向次第では当期利益予想の上振れ要因となる可能性がある。

13年3月期の連結当期利益は前年比15%増の5605億円だった。アナリスト12人の予測平均値は5433億円だった。株式・国債の売買などで市場部門がけん引した。グループ企業ではみずほ証券が3期ぶりに黒字化し、佐藤社長は「株式市況の好調さが現れた」と指摘。増益での着地となったのは「みずほ証券の復活がけん引の一つ」と述べた。

連結与信関係費用は前年比1395億円減少の1118億円。貸出金の利回りは国内が右肩下がりの傾向だが、海外は「引き続き高い水準」(佐藤社長)だとした。

新銀行規制「バーゼル3」で求められる「普通株式等Tier1」は、強制転換権付き優先株を加えれば完全実施時ベースで8.29%となった。佐藤社長は「目標とする8%台を大きく上回った。資本は相当充実した」と述べた。

中期経営計画については、政策保有株について1兆円の削減目標を掲げていたが実績は8000億円にとどまり未達だった。この上で、連結業務純益や当期利益など「その他の項目はすべて達成した」と強調した。


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