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欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁にはまだ、市場を動かす力がある。ECBが政策金利を過去最低の0.5%に引き下げ、追加緩和を検討する可能性を示唆したことを受け、ユーロが下落し債券相場が上昇した。だが、ユーロ圏経済を頭の痛い状態から抜け出させようとする取り組みについては、欲求不満を感じていることをECB総裁は認めねばならなかった。資金繰りに行き詰まった企業への融資を促す方法を探っているが、進展がほと …
(以下有料)
◆金融緩和でインフレが起こるというお伽話
http://blogos.com/article/61451/
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大胆な金融緩和によってインフレが起こり、それで日本の景気が良くなるという経済学者やエコノミストがマスコミに登場するようになりました。そして黒田日銀総裁が丁半博打で、半がでるまで半に賭け続ける、掛札はいくらでもつくれるのだ、さあどうだと大芝居を打ったものですから、金融市場の人たちも驚き、これで丁に賭けると危ない、さっさと半に賭けよう、それで一儲けしようとも敏感に反応し、円安、株高の流れが急激に生まれました。 円安になれば、輸出産業、また海外展開をしている企業は実際の売れ行きが変わらなくとも、利益は増えます。だから決算もいい数字にできるので嬉しい限りです。株などで資産運用している人はほくそ笑み、財布の紐も緩んで、高級品が売れ始め、それも景気回復をイメージさせるいい材料になっています。
テレビをつけると、どの局もアベノミクスでインフレが起こり、やがて所得もあがってくるという話なので、アベノミクスはよくわからないけれど、たいそう景気に効く薬なんだなあ、やがて収入も増えると言っているから、やはり自民党がよかった、安倍総理はいいということになります。
しかし残念なことに世の中はそれほど単純ではありません。異次元の金融緩和によって目指しているのは、まずはインフレが起こってくるだろうとみんなが思うことです。それで現金を持つことは損になるので、いまは内部留保として抱えている現金が投資に向かうという話ですが、それは期待薄です。
インフレが起こるのは円安になって輸入物価があがることぐらいです。価格はそれぞれの市場での需給関係で決まりますが、ここで重要なことは、今は売り手よりも、買い手の方がパワーを持った時代だということです。売り手の力のほうが強い高級品は値上げの口実ができれば値をあげることができますが、そういった分野は限られています。
その典型がガソリン価格です。円安の影響で、いったんレギュラーの店頭価格が1リットルで155円を超えるまで高騰したのですが、このところは7週連続で下落してきています。ガソリンの需要不振と給油所間の販売競争によるものです。それだけではありません。小麦価格が上がりましたが、近くのスーパーではあいからわず100円のパンが並んでいます。ガソリン価格7週連続値下がり GWに小幅な値上げも - MSN産経ニュース :
つまり輸入価格は上がり、原材料費はあがったけれど、それを価格に転嫁できないのです。それでどうなると思われますか、利益が圧迫されてきます。値上げするとライバルに客を奪われてしまうので我慢するしかありません。さらに電気料金も値上げされてきます。値上げできないなか、さらにコストが上昇します。利益が減って、給与があがるという方程式は成り立ちません。経営が破綻してしまいます。
異次元の金融緩和という「黒田バズーカ砲」が起こすのは激しい資産移動です。それによって一部の不動産価格は上昇します。不動産投資信託(REIT)も当然加熱してきます。しかし都心部の不動産価格が上昇してもそれは物価とは関係ありません。そもそも物価としてはカウントされていないのですから。
アメリカの場合不動産の賃料が上がれば、それが物価を押し上げます。しかし、賃料があがるのは、人口が増えているからで、借り手がいくらでもいるからです。日本はどうでしょう。都心部でもないかぎり、住宅は余っているのです。働く世代、子供を抱えている世帯が増えるどころか減ってきているので、やはり貸し手と借り手の関係で言えば、借り手のほうが強く、家賃を下手にあげると引越しされてしまいます。
つまり物価が上がる状況にはないのが現実で、だから直近に発表された消費者物価指数ではインフレが起こるどころか、総務省が26日発表した3月の全国消費者物価指数は5カ月連続の下落という結果です。3月の消費者物価は5カ月連続で下落 家電や家庭用品の下げ続く 生鮮食品も値下がり - MSN産経ニュース :
ここでお気づきだと思います。テレビなどにでてくるエコノミストの人や経済学者の人たちがさかんにフリップを使って説明している図式、インフレになるだろうとみんなが思うようになると、それは実質金利がさがることになる、それでお金を借りやすくなるばかりか、株価があがり、また投資が活発になり、それが実って企業の収益が増え、やがて給与もあがって、消費も活発になって日本が成長軌道に乗るという、お伽話の最初からつまづいてしまっているのです。
しかも、金利の変化だけで投資が決まるのではなく、そこに需要が見込め、ビジネスに勝算があれば投資が決まるのです。利益が見込めないところに投資する企業も人もいません。さらに今日は事業への投資リスクが高いために、少々の金利が変化したところで投資するかどうかの決定には関係ありません。
そもそも実際のビジネス、実際の市場を無視して描いたお伽話にすぎないのですから、うまくいくわけがありません。あとは投資マネーが、ベンチャーや新規事業に向かうことを期待するだけです。「ユニクロ型デフレ」が国を滅ぼすと書いた経済学者の人がいて、世の中を知らないことに驚かされたことを思い起こします。それなら、日本の流通業よりもはるかに巨大で、小売市場でのシェアも高いディスカウンターのウォルマートを抱えているアメリカのほうがもっと激しいデフレになっていたはずです。
黒田バズーカ砲で、市場を驚かせ、それが刺激となって金融市場を動かす効果はあったのですが、それだけのことです。もうすぐ「正体見たり枯れ尾花」という感じになってくるのではないでしょうか。
だからアベノミクスが成果をあげるためには成長戦略が重要になってきます。
投資しようという意欲をもった、経営の情熱を持った企業が自由にチャレンジできる環境づくり、新たなビジネスチャンスに賭けてみようという起業家が活躍できる環境づくりこそが経済活性化の王道です。日本は網の目のように規制が張り巡らされ、それが障害になっている分野が多いだけに、打つ手は残されているのですから。
いや、むしろ、とつぜん金利が上昇し、それにともなってコントロール出来ないインフレが起こりかねない大博打を打つよりは、成長戦略だけでよかったと感じてなりません。
◆新先進国病に陥りやすい金融マジック
http://blogos.com/article/61434/
もともと日本で始まった金融緩和政策はアメリカ、ヨーロッパに発展的に波及し、その規模は拡大する一方となりました。そして日本も「元祖」金融緩和国として黒田総裁が負けじと金融緩和の規模の拡大で追従しています。
アメリカ経済は2000年初頭のIT業界の成長で大いに盛り上がりましたがそのバトンを受け継ぐ業界はありませんでした。結果として金融緩和がスタートします。それは株と不動産に資金が流入し、金融大国の名前を欲しいがままにしたわけですが、ご承知の通り、リーマ・ショックという副作用があったわけです。ヨーロッパに目を転じればリーマン・ショックのたすきはアイスランドに飛び火し、スペインの不動産バブル崩壊を招きました。
言い換えるならば金融緩和で作り上げたものはバブルであり、実態以上の夢を作り上げた残影ということでしょうか?
一方、企業は低利の社債発行をてこに投資を増やしながらM&Aや業務提携を通じて生き残り策を模索してきました。これはとりもなおさず規模と効率の追求であります。ただ企業が本来主目的とすべき生産活動などの改善、効率化に十分に資金が回っていたかといえば単純な拡大路線やいわゆる「財テク」でおろそかになっていた会社もあったかもしれません。
円安になれば為替を通じて企業の利益は大幅に改善します。これは結構なことなのですが、それが企業の成長ではないということに気がつかねばなりません。つまり、為替は企業の実力とはかけ離れたところの問題であり、企業は為替がどうであろうとも着実に工夫し、成長し、マーケティングを通じて稼ぎ続けなくてはいけないのです。ある意味、為替差益はボーナスぐらいの気持ちであるべきなのです。
アップルやソニーの決算が財務的手法により取り繕われ、きれいに化粧をした決算発表で株主は怒りの矛先を収めてしまってはいけないと思います。むしろ無印良品のようにいつの間にか世界で愛されるブランドとなるような着実な努力をしている企業がどんどん増えてもらいたいものです。
亀井静香氏の中小企業向けのモラトリアム法案がある意味、不評のまま3月末で終了しました。終わった今、改めて考えてみれば、リーマン・ショックで厳しい環境におかれた企業を救う為に政府レベルで救済をするという発想と黒田総裁のもとで行われている金融緩和が同じ着眼点と捉えられなくもない気がしてきました。つまり、デフレ脱却のため、強力な金融緩和を推し進めることにより健全、不健全な企業関係なく、一様に救いの手が伸びるのです。
結果として本来では勝ち残れない企業も為替が味方し、息を吹き返す、ということであれば、純粋な意味での実力があっての企業存続ではない、という言い方も出来ます。
私は何も日本の企業が苦しむべきだ、と言っているわけではありません。ただ、本当に実力のある企業は為替がどんな水準にあろうとも稼ぐ力を持っていることを知るべきだと思います。金融緩和はある意味、企業へのカンフル剤にはなりましたが、金融緩和がここまで長くなると低金利が当たり前ということになり、金利が一般的な水準に戻った際、企業が存続できなくなる、あるいは個人の住宅ローンが払えなくなる、という弱体化の弊害は必ず起きるのです。
90年代、金利を上げるかどうか、という議論があった際、今利上げしたら多くの企業が潰れてしまうとされ、金利引き上げそのものがタブー視されました。最近では利上げの話など全くないわけですからそのようなことを考えもしていないと思いますが、結局のところ、先進国は驚異的な低金利の結果、企業体力は通常時より落ちていると認識することが重要ではないかと思います。
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