05. 2013年5月07日 12:55:20
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ウォン高で現代自動車“失速” 圧倒的シェア誇る韓国でも「逆転現象」 産経新聞 5月7日(火)9時30分配信 4月に中国で開催された「上海モータショー」で人気を集めた現代自動車のブース(写真:産経新聞) 韓国の自動車最大手、現代自動車が“失速”している。通貨高(ウォン高)で海外販売に急ブレーキがかかり、韓国国内ではトヨタ自動車など輸入車が存在感を増し始め、その牙城が揺らぐ。販売面以外でも、米国では燃費表示の水増しが発覚したほか、大規模リコール(無償回収・修理)を実施。サムスン電子と並び韓国経済を代表する現代自動車だが、ウォン高が進むにつれて糊塗(こと)された実力以上の販売力、技術力がはげ落ちかけている。 【上海モーターショー】彩り添えたコンパニオン…肌露出は? 「日本から撤退したこともあり、大阪でソナタを見かけることは本当に少ないですね」。関西で働く自動車メーカーの40代社員はこう話す。ソナタとは韓国・現代自動車の主力セダンのことで、同社は約3年前に日本の乗用車市場から撤退している。日本では2001年の参入以来、苦戦続きの現代自動車だったが、欧米など海外ではウォン安を背景に08年頃から快進撃を続けてきた。もちろん、韓国国内では傘下の起亜自動車とあわせシェア7割と断トツの強さをみせる。 ところが昨夏以降、その成長に陰りが見え始めているのだ。米調査会社オートデータによると、3月の米新車販売台数は前年同月比3・4%増の145万2946台と、6年ぶりの高水準を記録。米ゼネラル・モーターズ(GM)、米フォード・モーター、トヨタ自動車など大手6社が前年同月比を上回る中、現代自動車は7・7%減(起亜自動車を含む)。2月に2年半ぶりのマイナスに転じ、2カ月連続のマイナスと不振ぶりが際立った。 圧倒的なシェアを誇る自国の韓国でも異変が生じている。今年の韓国カー・オブ・ザ・イヤーに、トヨタの人気セダン「カムリ」が輸入車として初めて選ばれたほか、独BMWの高級セダンなどが現代自動車の同車種よりも売れるなど、クラス・価格帯によっては輸入車が韓国車の販売台数を上回る「逆転現象」が起きつつあるのだ。 韓国の聯合ニュースによると、現代自動車が4月25日に発表した2013年1〜3月期連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比10・7%減の1兆8685億ウォン(約1667億円)、最終利益が14・9%減の2兆878億ウォンと2けた減益に落ち込んだ。「米国など海外販売の減少と、韓国での状況は分けて考える必要がある」。ある関係者は前置きした上で、現代自動車の失速をこう解説する。「海外では新車投入が一巡したことなどが販売鈍化の理由とされるが、何といっても最大の要因はウォン高だろう」。 韓国政府は公式に認めていないものの、家電や自動車など輸出産業を後押しするため、同国が為替介入を続け、ウォン相場に安値に誘導してきた。サムスン電子も、LG電子も、そして現代自動車もウォン安を武器に、世界中で他国のライバル企業よりも“安値”の家電、自動車を売りまくってシェアを高めてきた。 しかし、昨夏以降、ウォン安が修正され、相場が高騰すると、価格競争力は低下。1〜3月はウォン高・ドル安が一服したが、対円については高止まりしており、“為替マジック”の効力がなくなるとともに、現代自動車の販売台数はじわじわと減りつつある。 「ソナタなど現代自動車のデザイン力は評価されているが、技術力はトヨタなど日本の自動車メーカーに大きく劣る」(証券アナリスト)。そもそも韓国の企業は現代自動車もサムスンも「技術」に関する競争力はきわめて低い。それをカバーしていたのがウォン安というわけで、ここにきて技術力の低さが相次ぎ露呈している。 昨年11月、米環境保護局は現代自動車と起亜自動車が米国で販売した自動車約90万台について、実際よりも高く燃費性能を表示していたとする調査結果を発表した。いわゆる燃費性能の水増しで、それは最大でガソリン1ガロン当たり6マイル(1リットル当たり約2・6キロ)に達していた。この問題は消費者の苦情で判明したもので、これほど大規模な誤表示は米国で初めてという。 また、4月5日には米国で販売した乗用車など計約187万台をリコールすると米道路交通安全局に届け出た。ブレーキを踏んでもブレーキランプが点灯しないほか、事故時にエアバッグが作動した際に、車の天井の一部が落下する恐れがあるという欠陥が見つかったためだ。 「ウォン安だから売れているわけではない」。韓国企業の経営者は、常にこう言い続けてきた。だが、韓国製品を買った消費者の大半は、性能以上に、ウォン安による低価格が購入の大きな決め手となったのは間違いない。ウォン高が進み、成長神話に陰りが出てきた現代自動車。ウォン相場に価格が左右されず、低価格という武器が通用しない自国の韓国では、トヨタやBMWが売れ始め、すでに現代自動車の“メッキ”ははがれつつあるのかもしれない。ウォン相場とは関係なく、現代自動車が再び走り始める日は来るのか…。(島田耕) 【関連記事】 ヤンマーはフェラーリになれるか 「かっこいい」ブランド大作戦 なぜ日本車は米国で浸透したのか 「最高品質」を造ろうというプライド メイドカフェなぜ儲からないの? アキバでは10年間で半分以上が閉店 「日本企業に足向けられない」 巨人サムスンの“強み”と“弱み” 激動の自動車業界…50年後も生き残ってる企業は? 最終更新:5月7日(火)11時33分 |