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Herdとは牛や馬の群れのことで、投資の世界でHerdingといえば群衆心理で非合理な行動をとることをいいます。投資技術が高度化し、機関投資家だけでなくセミプロ投資家の間にもシステム売買が浸透したことで群集行動が増幅され、相場が一方向に極端に動きやすくなってきたようです。
そうであれば、異常気象が常態化しての爆弾低気圧や夏の巨大台風が毎年来るようになったように、投資においても従来より高い頻度で大荒れ相場が来ることを想定しておく必要がありそうです。
■金相場の暴落は、株回帰への号砲か群衆行動か
4月12日の業者間金価格の下落率は−5.28%で23年ぶり、15日の下落率はもっと大きく−8.5%で33年ぶりの大きな変化となりました。2日間連続の下落率でみると−13.3%で、こちらも30年ぶりという大きなものでした(出所:ロイター)。
30年前といえば第2次オイルショック後の景気後退から米国経済がようやく抜け出し、急騰していた金から資金が株式に向かった時期です。このため、今回の金価格の急落を「株高時代の幕開け」とはやす声もあります。
この観点から見るなら、今回の金暴落は利息を生まない金から株式や債券への回帰で、アメリカで金ETFの換金売りが増えたこととも整合性があります。ちなみに、某米国系ヘッジファンドの知人が最近、「アジアの個人投資家の金地金信仰が理解できない。インフレヘッジなら各国の不動産、株式、通貨に分散すればよい」とも言っていました。
しかしながら、今回の金急落では日本の個人投資家は金地金の購入を増やしたようですし、eワラントでも金価格急落直後から逆張りの金コールの取引が急増しました。また、5000年の歴史を持つ中国やインドで金地金への需要が根強いことは、国家や通貨への伝統的な不信感に根付いたものといえるでしょうし、GDPの2倍もの公的債務を抱え、有効な少子高齢化対策が採られていない日本に住む投資家が、金地金を重視する理由も合理性があると考えられます。
一方、今回の金価格の過激な値動きは、「巨大なファンドの登場やシステム売買の普及によって投資家の行動パターンが似てきたことで容易に説明できる」という見方もあります。投資家の均質化が進むと、その投資判断の相場全体への影響度が高まります。
また、「一定の損失が出たら機械的に売る」あるいは「下落トレンドが発生したら便乗してショートする」という投資手法が一般的になるにつれ、それを実践するプロ、セミプロや投資プログラムが多くなり、一旦大きく下がるとその後ますます売りが増えるようになっています。
サッカーの試合に喩えるなら、プレーヤーの数が減ってフットサルになっただけでなく、全プレーヤーがボールに群がる団子状態になったといえます。ブラックマンデーからアベノミクス相場まで、裏に群集行動あり
1987年のブラックマンデーと呼ばれる米国株の急落は、株価が上がったらポジションを増やし、下がったらポジションを減らし、一定水準で売り切るという同一のロジックで動く売買プログラムの普及が原因とされています。また、2000年のITバブル、2007年に崩壊したサププライムバブルだけでなく、直近のアベノミクス相場で吹き上がったバイオ関連株やIT関連株の一部にも、人間の感情に基づくものと機械的な取引ルールに基づく売買が混在した群衆行動があったように思われます。
個人のインターネット取引や機関投資家のダイレクト・マーケット・アクセスといわれる取引の広がりに加えて、各種ニュースの内容を自動的に解析して行動するシステム売買も多く利用されて、瞬時に投資行動が伝播するようになっています。これに、他のシステムの行動ロジックを逆用して誤作動するように注文をコントロールしたり、ニュースソースをハッキングして偽情報を流布したりする動きまであって、値動きが瞬時に拡大され、それが修正される時にも激しいゆり戻しが見られるようになったようです。
一方、プロ・アマ含め投資家の大部分が同じ行動ロジックで動くようになったとすれば、冷静な投資家にとっては大きな投資機会ともいえます。すべての投資家を救う万能の投資手法がないことの裏返しで、大多数の投資家が利用する手法の逆を行けば良いのです。例えば、今回の金相場の急落では、冷静に金地金を買いに回った投資家はその後のゆっくりとした戻しで大きな利益を出しているでしょうし、バブル崩壊では大底近辺での投資リターンは絶大です。
■投資に活かすには
今回の金暴落に限らず、今後も株式、通貨、原油などのさまざまな資産で同様な極端な短期的な反応がますます大きくなっていくと考えられます。その際には、「過剰反応は当たり前」「合理的な理由がないことが多い」「行き過ぎは時間をかけて修正される」ということを念頭に置いて、流されないことが必要です。
その上で、「逆張りポジションのレバレッジは少なめに」「反転までの期間は十分に見積もる」「本当の理由を探す努力は怠らない」という慎重な投資スタンスで・・・(土居 雅紹)
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