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政府債務がGDP比でどれほどの水準に達したら、経済成長に悪影響を与えたり、国家破産につながったりするのかという問いは、債務の通貨種別(外貨かどうか)及びその通貨の発行権限有無や実体経済における財の供給力によるため、一概には答えられないものだ。
債務のベースになっている通貨の発行権を保持する国家は、どれほど高い債務水準にあっても、破産(デフォルト)に至る必然はない。ただし、国家運営上、破産で処理したほうが望ましい場合もある。債務履行の継続が悪性インフレにつながるようなときである。その場合は、破産処理の前に、実体経済や国民生活に過大な悪影響を与えないようにする段取りが必要である。(中央銀行に政府債務を集約しておくなど)
日経新聞のコラムニスト土谷英夫氏は、「国家債務のGDP比が90%どころか200%を超す日本、論文のミス発覚は気休めにもなるまい」と締めくくっているが、経済成長の鈍化ないし国家破綻は、90%なら“実証”されていないが、200%なら“実証”されているとでも言うのだろうか?
ほとんどが円建て債務で円の発行権を維持している日本でそれらが起きるとしたら、国家運営のドジや意図的な政策によるものであり、経済学的に“実証”できるかたちではない。
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陰る世界経済と経済学
アベノミクスで楽観ムードの日本にいては気づかないが世界経済は変調気味だ。
英紙フィナンシャル・タイムズ(24日付)は世界経済に悲観論が増した、と報じる。国際通貨基金(IMF)は2013年の世界全体の成長率予測を1月時点の3.5%から3.3%に下方修正した。とりわけユーロ圏は0.3%のマイナス成長で、欧州中央銀行(ECB)への利下げ圧力が高まっているという。米国、中国も製造業の先行指標がさえず、日本以外の主要経済は、どこもぱっとしない。
折しも、ベストセラー経済書(邦題「国家は破綻する」)の共著者、米ハーバード大学のカーメン・ラインハート、ケネス・ロゴフ両教授の有名な論文に間違いが発覚。国家債務残高が国内総生産(GDP)比90%を超えると、ガクンと成長率が落ちるという分析が、データ選択や計算ミスによるとわかった。
両教授の理論に依拠した財政緊縮派には不利な材料で、景気刺激派が勢いづき、欧米の経済論壇が沸いている。
刺激派の代表格、ポール・クルーグマン米プリンストン大学教授は、米紙ニューヨーク・タイムズのコラムで「エクセル不況」(19日付)「失業のワナ」(22日付)と2連発。「この情報化時代に計算ミスは災害をもたらす」と、いかに2人の理論が影響力を持ち、どう間違えたか詳述。「債務への誇大な恐れがスローモーション破局を起こす」と積極財政を勧める。
米紙ワシントン・ポスト(22日付)で、ロバート・サミュエルソン同紙コラムニストが論文事件にも触れ、リーマン危機以来、マクロ経済学は信頼をなくしたと論じた。欧州と米国で3800万人の失業者を抱えながら、経済学者らの見解が対立したままで人々を戸惑わせているという。
もっとも、国家債務のGDP比が90%どころか200%を超す日本、論文のミス発覚は気休めにもなるまい。
(本社コラムニスト 土谷英夫)
[日経新聞4月28日朝刊P.]
「国家は破綻する」著者ロゴフ氏らの公的債務研究に誤りの可能性=米研究者ら[ロイター]
2013年 04月 17日 16:47 JST
[ニューヨーク 16日 ロイター] 米マサチューセッツ大学アマースト校の研究者らは16日、ハーバード大学の経済学者であるカーメン・ラインハート氏とケネス・ロゴフ氏が2010年に初めて発表した公的債務に関する研究について、集計表におけるコーディングの誤りなどがあった可能性があるとの研究結果を発表した。
共著「国家は破綻する─金融危機の800年」(原題はThis Time Is Different)で知られるラインハート氏とロゴフ氏は、国家債務の対国内総生産(GDP)比率が少なくとも90%に達すれば、GDP伸び率が減速し始めるとの研究を発表。この研究は、公的債務へ取り組みを正当化するため、米国や欧州連合(EU)などの当局者がしばしば言及している。
マサチューセッツ大学アマースト校の研究者トーマス・ハーンドン、マイケル・アッシュ、ロバート・ポリンの3氏は論文の中で、公的債務が対GDP比で90%を超えている国家の平均実質成長率は「実際には2.2%であり、ラインハート氏とロゴフ氏が論じているようにマイナス0.1%ではない」と指摘。「コーディングの誤り、入手可能なデータの選択的排除、統計の総括へのウェート付けの方法に起因して、戦後の先進20カ国の公的債務とGDP成長率の関係を不正確に示すという深刻な間違いにつながっている」と論じている。
ラインハート、ロゴフ両氏はこうした指摘について、知ったばかりであるとしつつ、自らの研究成果を擁護。電子メールで共同声明を発表し、「これらの研究でわれわれが明らかにし、利用しているデータは新しいものだが、もちろん一段のより詳細な研究は必要だ」とした上で、「とはいえ、この最新のコメントも含めたこれまでの証拠の重要性については、われわれのデータ解釈と完全に一致しているように見える」と述べた。
両氏は共同声明の中で、債務の対GDP比率が90%を超えた際に成長率が減速するケースをマサチューセッツ大学アマースト校の研究者らは実際に見つけているが、「こうした強い類似性については、これら研究者らはあえて強調していない」と反論した。
ポリン氏はロイターに対し、自身らの研究の目的は公的債務水準が重要ではないことを証明することではないと指摘。ラインハート、ロゴフ両氏の「90%理論」のような、何らかの一般ルールがあるとの考えに反論することだと述べた。
ラインハート、ロゴフ両氏の研究内容はここ数年、緊縮策をめぐる議論で影響力を発揮してきた。成長減速と債務拡大に見舞われた政府の中には歳出削減と増税で対応し、このうちいくつかのケースでは英国のように需要に打撃を受けた国もある。
欧州委員会のレーン委員(経済・通貨問題担当)は2月、債務の対GDP比率が90%を超えれば成長減速に見舞われるとの「重大な学術研究」に触れ、欧州連合(EU)における高水準の債務に懸念を表明。米共和党の副大統領候補だったポール・ライアン下院予算委員長も過去に、この研究に言及したことがある。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK837172720130417
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