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陰る世界経済と経済学:「国家は破綻する」著者ロゴフ氏らの公的債務研究に誤りの可能性=米研究者ら
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/685.html
投稿者 あっしら 日時 2013 年 5 月 02 日 00:45:02: Mo7ApAlflbQ6s
 


 政府債務がGDP比でどれほどの水準に達したら、経済成長に悪影響を与えたり、国家破産につながったりするのかという問いは、債務の通貨種別(外貨かどうか)及びその通貨の発行権限有無や実体経済における財の供給力によるため、一概には答えられないものだ。

 債務のベースになっている通貨の発行権を保持する国家は、どれほど高い債務水準にあっても、破産(デフォルト)に至る必然はない。ただし、国家運営上、破産で処理したほうが望ましい場合もある。債務履行の継続が悪性インフレにつながるようなときである。その場合は、破産処理の前に、実体経済や国民生活に過大な悪影響を与えないようにする段取りが必要である。(中央銀行に政府債務を集約しておくなど)

 日経新聞のコラムニスト土谷英夫氏は、「国家債務のGDP比が90%どころか200%を超す日本、論文のミス発覚は気休めにもなるまい」と締めくくっているが、経済成長の鈍化ないし国家破綻は、90%なら“実証”されていないが、200%なら“実証”されているとでも言うのだろうか?

 ほとんどが円建て債務で円の発行権を維持している日本でそれらが起きるとしたら、国家運営のドジや意図的な政策によるものであり、経済学的に“実証”できるかたちではない。

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陰る世界経済と経済学


 アベノミクスで楽観ムードの日本にいては気づかないが世界経済は変調気味だ。

 英紙フィナンシャル・タイムズ(24日付)は世界経済に悲観論が増した、と報じる。国際通貨基金(IMF)は2013年の世界全体の成長率予測を1月時点の3.5%から3.3%に下方修正した。とりわけユーロ圏は0.3%のマイナス成長で、欧州中央銀行(ECB)への利下げ圧力が高まっているという。米国、中国も製造業の先行指標がさえず、日本以外の主要経済は、どこもぱっとしない。
 折しも、ベストセラー経済書(邦題「国家は破綻する」)の共著者、米ハーバード大学のカーメン・ラインハート、ケネス・ロゴフ両教授の有名な論文に間違いが発覚。国家債務残高が国内総生産(GDP)比90%を超えると、ガクンと成長率が落ちるという分析が、データ選択や計算ミスによるとわかった。

 両教授の理論に依拠した財政緊縮派には不利な材料で、景気刺激派が勢いづき、欧米の経済論壇が沸いている。
 刺激派の代表格、ポール・クルーグマン米プリンストン大学教授は、米紙ニューヨーク・タイムズのコラムで「エクセル不況」(19日付)「失業のワナ」(22日付)と2連発。「この情報化時代に計算ミスは災害をもたらす」と、いかに2人の理論が影響力を持ち、どう間違えたか詳述。「債務への誇大な恐れがスローモーション破局を起こす」と積極財政を勧める。

 米紙ワシントン・ポスト(22日付)で、ロバート・サミュエルソン同紙コラムニストが論文事件にも触れ、リーマン危機以来、マクロ経済学は信頼をなくしたと論じた。欧州と米国で3800万人の失業者を抱えながら、経済学者らの見解が対立したままで人々を戸惑わせているという。
 もっとも、国家債務のGDP比が90%どころか200%を超す日本、論文のミス発覚は気休めにもなるまい。
(本社コラムニスト 土谷英夫)

[日経新聞4月28日朝刊P.]

「国家は破綻する」著者ロゴフ氏らの公的債務研究に誤りの可能性=米研究者ら[ロイター]
2013年 04月 17日 16:47 JST

 [ニューヨーク 16日 ロイター] 米マサチューセッツ大学アマースト校の研究者らは16日、ハーバード大学の経済学者であるカーメン・ラインハート氏とケネス・ロゴフ氏が2010年に初めて発表した公的債務に関する研究について、集計表におけるコーディングの誤りなどがあった可能性があるとの研究結果を発表した。
 
 共著「国家は破綻する─金融危機の800年」(原題はThis Time Is Different)で知られるラインハート氏とロゴフ氏は、国家債務の対国内総生産(GDP)比率が少なくとも90%に達すれば、GDP伸び率が減速し始めるとの研究を発表。この研究は、公的債務へ取り組みを正当化するため、米国や欧州連合(EU)などの当局者がしばしば言及している。

 マサチューセッツ大学アマースト校の研究者トーマス・ハーンドン、マイケル・アッシュ、ロバート・ポリンの3氏は論文の中で、公的債務が対GDP比で90%を超えている国家の平均実質成長率は「実際には2.2%であり、ラインハート氏とロゴフ氏が論じているようにマイナス0.1%ではない」と指摘。「コーディングの誤り、入手可能なデータの選択的排除、統計の総括へのウェート付けの方法に起因して、戦後の先進20カ国の公的債務とGDP成長率の関係を不正確に示すという深刻な間違いにつながっている」と論じている。

 ラインハート、ロゴフ両氏はこうした指摘について、知ったばかりであるとしつつ、自らの研究成果を擁護。電子メールで共同声明を発表し、「これらの研究でわれわれが明らかにし、利用しているデータは新しいものだが、もちろん一段のより詳細な研究は必要だ」とした上で、「とはいえ、この最新のコメントも含めたこれまでの証拠の重要性については、われわれのデータ解釈と完全に一致しているように見える」と述べた。

 両氏は共同声明の中で、債務の対GDP比率が90%を超えた際に成長率が減速するケースをマサチューセッツ大学アマースト校の研究者らは実際に見つけているが、「こうした強い類似性については、これら研究者らはあえて強調していない」と反論した。
 ポリン氏はロイターに対し、自身らの研究の目的は公的債務水準が重要ではないことを証明することではないと指摘。ラインハート、ロゴフ両氏の「90%理論」のような、何らかの一般ルールがあるとの考えに反論することだと述べた。

 ラインハート、ロゴフ両氏の研究内容はここ数年、緊縮策をめぐる議論で影響力を発揮してきた。成長減速と債務拡大に見舞われた政府の中には歳出削減と増税で対応し、このうちいくつかのケースでは英国のように需要に打撃を受けた国もある。

 欧州委員会のレーン委員(経済・通貨問題担当)は2月、債務の対GDP比率が90%を超えれば成長減速に見舞われるとの「重大な学術研究」に触れ、欧州連合(EU)における高水準の債務に懸念を表明。米共和党の副大統領候補だったポール・ライアン下院予算委員長も過去に、この研究に言及したことがある。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK837172720130417


 

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コメント
 
01. 2013年5月02日 00:58:20 : mHY843J0vA

大分前の記事ですね

90%に不連続な閾値が存在するという仮説は、どうも疑わしいようですが、
債務がGDP比で増加するほど、成長率が低下していく点では変わりませんし

ある時点で財政破たん(財政支出の不連続的な減少)が発生しようがしまいが、
名目成長率が低下していけば、確実に、国民全体の生活水準は低下していきますから、
本質的な結論は変わらないということでしょう


02. 2013年5月02日 21:14:53 : EkBBVAC7uM
遅ッそー。あっしらってこんなこと今まで知らなかったのかね?

03. 2013年5月03日 08:57:06 : niiL5nr8dQ
 

http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2013/05/02/018918.php
三橋貴明 第202回 「国家は破綻する」論文のウソ(1/3)
2013/04/30 (火) 12:01
 4月16日、昨今の世界を席巻している「緊縮財政至上主義」を主導していた、ハーバード大学の経済学者カーメン・ラインハート氏とケネス・ロゴフ氏の論文について、驚くべき事実が明らかにされた。マサチューセッツ大学アマースト校の研究者らが、両氏が2010年に発表した公的債務に関する研究について、明らかな「データ操作」があることを発表したのである。
 ラインハート氏とケネス氏の論文の主旨は、
「公的債務(政府の負債)の対国内総生産(GDP)比率が少なくとも90%に達すれば、GDP伸び率が減速し始める」
「公的債務対GDP比率が90%を超えている国家の平均実質成長率はマイナス1%」
というものであった。本論文は日本でも「国家は破綻する――金融危機の800年」というタイトルで、日経BP社から2011年3月に出版されている。
 ラインハート氏とケネス氏の「説」は世界中に拡散し、各国の緊縮財政派を後押ししてきた。何しろ、公的債務が増えれば増えるほど、経済成長率が(両氏の説によると)落ちるのだ。逆に言えば、公的債務を減らせば、経済成長率が高まるはずなのである。
 公的債務が減れば、経済成長率が高まる。あるいは逆に、公的債務が増えれば、経済成長率が低迷する。これは果たして、いかなる理屈によるのだろうか。簡単に解説すると、
「公的債務が多い国は金利が上がり、企業の投資が減り、経済成長率が低迷する」
 という、いわゆるクラウディングアウト理論が前提になっているのである。
【図202−1 インフレギャップとデフレギャップ】

図202−1の左側を見て欲しいわけだが、インフレギャップがある国は、「需要過多、供給能力過小」になっている。名目GDPが潜在GDPを上回っているわけだ。 
 インフレギャップがある国にとってのソリューション(解決策)は、
「政府の需要を抑制し、潜在GDPを引きあげるために企業投資を促進する」
 になる。
2013/05/01 (水) 12:04
 この場合、政府が歳出や公的債務を減らし、国債発行を抑制すると、「需要抑制」と「潜在GDP拡大」が同時に達成できる。なぜ潜在GDPが拡大するかといえば、政府が国債発行を抑制し、財政健全化を目指すことで「金利」が下がり、企業がおカネを借り入れ、設備投資に乗り出しやすくなるためである(そういう理屈になっている)。
 上記に加え、「増税」「規制緩和」「民営化」「自由貿易」などの政策をパッケージとして行い、需要を抑制しつつ潜在GDPを引き上げ、インフレ率抑制と経済成長を目指すのが、新古典派経済学に基づく新自由主義、あるいはレーガノミクスである。新古典派経済学の世界では、国民経済は基本的にインフレであるため、政府の公的債務残高や金利水準が経済成長率に影響を与える可能性がある。
 カーメン・ラインハート教授、ケネス・ロゴス教授の論文では、
「公的債務が対GDP比で90%を超えている国家の平均実質成長率は、マイナス0.1%に低迷する」
 ことを「証明」したことになっている。すなわち、インフレ期、デフレ期とは無関係に、公的債務拡大が「経済成長率は低迷させる」という結論になっているわけだ。本連載の読者であればピンとくるだろうが、インフレ期とデフレ期に「同じ経済現象」が発生することは、まずありえない。何しろ、インフレ期とデフレ期では「環境」が真逆になっているのだ。
確かに、インフレ期には政府の公的債務縮小や財政健全化への努力が金利水準を引き下げ、経済成長に結びつくかも知れない。とはいえ、これはあくまでインフレギャップがある国において「そうかも知れない」という話だ。
デフレの国は、いずれにせよ「公的債務の削減=経済成長率アップ」にはならない。何しろ、デフレの国は潜在GDPが名目GDPを上回っており、供給能力はインフレ期とは逆に余っているのだ。
デフレの国にとって必要なのは、潜在GDPではなく需要(名目GDP)の拡大になる。そして、政府の公的債務削減は「イコール需要縮小」になってしまう。
しかも、デフレの国は長期金利が下がっていく。政策金利については、中央銀行がゼロに近づける。とはいえ、どれだけ金利が下がっても、企業が設備投資に乗り出さないのがデフレ期なのだ。理由は単純に、儲からないためである。
ラインハート・ロゴフ論文は、インフレとデフレの区別をしていない時点で「周回遅れの議論」だった。さらに、ラインハート・ロゴフ論文は政府の負債(公的債務)の「通貨」について区別していない。
「公的債務が対GDP比で90%を超えている国家の平均実質成長率は低迷する」
という仮説があったとする。この場合、政府債務の「通貨」が何なのかにより、話がまるで変わってくるはずだ。
自国で発行できない通貨(外貨、共通通貨)で政府の負債を膨らませるパターンをA、自国通貨建てをBとしよう。
Aタイプの場合、政府の負債が対GDP比で90%を超えると(というか、それ以前に)、国際金融市場における長期金利が上がっていくことになる。金利上昇は企業の新たな借り入れや設備投資を困難にし、経済成長率が低迷する可能性が高い。経済成長率が低迷すると、税収が減り、財政はさらに悪化していく。
2013/05/02 (木) 12:04
それに対し、Bタイプの場合、政府の負債対GDP比が90%を超え、長期金利が上昇を始めた場合、中央銀行の国債買取により金利を抑制することができる。もちろん、インフレ率は上昇するが、物価上昇と金利低下は企業の投資効率を高め、銀行融資や設備投資を増やすため、必ずしも成長のボトルネック(制約条件)にはならないわけだ 
さらに、Bタイプの国がデフレだった場合をCタイプとよう。「正しいデフレ」に陥っているCタイプの場合は、どうなるだろうか。ここで言う正しいデフレとは、単なる物価下落ではなく、「物価下落、所得縮小、資金需要低迷、自国通貨建て国債の金利低迷」とうパッケージとしてのデフレ現象を意味している。(外貨建てバブルを崩壊させたギリシャの物価下落は、「正しいデフレ」ではない)
そもそも、デフレの国では企業は金利が「ゼロ」であったとしても、借入や投資を増やさない。理由は、投資効率が悪すぎ、儲からないためだ。儲からない環境で投資する経営者は、むしろ経営者失格である。
すなわち、Cタイプの国は財政状況がどうであろうとも、公的債務対GDP比率が何パーセントであろうとも、いずれにしても成長しないのである。正しいデフレに陥っているCタイプの場合、政府の負債は自国通貨建てであるため、現象としては、
「自国通貨建て国債の金利が超低迷し、政策金利がゼロでも投資が増えない」
というものになる(まさしく現在の日本である)。
結局のところ、Cタイプの国においては、「公的債務対GDP比」と「経済成長率」を結び付けようとしている時点で、ナンセンスということになる。Cタイプの国は、政府の債務がどうであろうとも、いずれにせよ成長しない。
以上の通り、ラインハート、ロゴフ両教授の「公的債務対GDP比率が高い国は成長しない」という仮説には、元々複数の「穴」があるように思えていたわけだ。ところが、実は両教授の仮説を説明した論文には、「穴」どころではなく、複数の「ウソ」が含まれていることが判明したのだ。信じがたい話だが、両教授は自説にとって「好ましい結果」を得るために、複数のデータ操作をしていたのである。
【Researchers Finally Replicated Reinhart-Rogoff, and There Are Serious Problems.】
http://www.nextnewdeal.net/rortybomb/researchers-finally-replicated-reinhart-rogoff-and-there-are-serious-problems
ルーズベルト研究所フェローのマイク・コンツァル氏の寄稿から、ラインハート氏とロゴフ氏がやった「データ操作」を具体的に詳しく見てみよう。両教授は、主に三つの「操作」を行っている。
『They find that three main issues stand out. First, Reinhart and Rogoff selectively exclude years of high debt and average growth. Second, they use a debatable method to weight the countries. Third, there also appears to be a coding error that excludes high-debt and average-growth countries. All three bias in favor of their result, and without them you don't get their controversial result.』
『彼らは3つのことを発見した。
一つ目、ラインハートとロゴフは「大きな政府債務と平均的な成長」の年のデータを選択的に除いた。
二つ目、各国のデータについて、「議論のある」重みつけをした。
三つ目、「大きな政府債務と平均的な成長をしている国々」を除くようなコーディングエラーをしたようにみえる。
彼らの「好ましい」結果における三つのバイアス、これら無しで疑問の多いこの結果を得ることはできない。』
何というか、筆者個人としては完全に詐欺的手法にしか思えないデータ操作である。上記の「手法」に寄らず、普通にデータを分析すると、
「公的債務対GDP比率が90%を超えている国家の平均実質成長率は2.2%」
というのが真実だったのだ。
上記のデータ操作について指摘された両氏は「誤りは偶発的なものだった」と釈明しているが、それでも「中心的なメッセージは有効だ」と強弁している。両氏は「中心的なメッセージを有効に見せる」ために、明らかに恣意的にデータ操作を行ったにも関わらず、である。
本論文におけるデータ操作は、極めて重大な問題だ。何しろ、昨今のアメリカやイギリス、欧州連合(EU)などにおいて、緊縮財政を志向する政治家は、頻繁にラインハート、ロゴフ両氏の研究を持ち出し、
「緊縮財政こそが、経済成長をもたらす」
 という自説の裏付けのために活用していたのだ。
現実には、日本にせよアメリカにせよ、イギリスにせよギリシャにせよ、公的債務対GDP比率の上昇に「煽られ」、政府が緊縮財政政策を採った結果、GDPがマイナス成長になり、税収が減り、財政が却って悪化している。公的債務を削減するための緊縮財政は、成長率を高めるどころか「マイナス成長と財政悪化」を引き起こしているのだ。
 それにしても、情報を操作し、自己に都合が良い結論を導こうとするのは、何も日本のマスコミに限った話ではないわけだ。ラインハート、ケネス両氏の情報操作は「誤った情報を流し、間違った解決策を導く」という点で、やっていることが国内マスコミと同じだ。しかも、情報操作が「世界規模に影響を与えた」という点で、極めて罪深いと断ぜざるを得ないのである。


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