http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/672.html
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http://markethack.net/archives/51873153.html (図解あり)
リーマンショックの後、米国連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長はQEを繰り出しました。いわゆる「ヘリコプター・ベン」です。
また欧州財政危機がヤバくなったとき、欧州中央銀行(ECB)のドラギ議長はLTRO(三年物流動性供給オペ)を発表しました。これはわかりやすくいえば「ドラギ質屋」の開業です。「担保になるものなら、なんでもECBに持ち込みなさい。それをカタに、お金をどんどん貸すから」というわけです。
黒田バズーカの号砲は、確かに世界に轟いたわけだけど、僕に言わせれば(はて? この映画、何時かも見たな……)という既視感に襲われるのです。
QEとかLTROが最初に発表された瞬間は「やってくれましたっ!」と手を叩いて喜んだわけだけど、暫くすると(なんとなく……効き目がイマイチだよね)ということで「スンマセンが、もうイッパツお願いシマス」というおねだりに変わる……。
モルヒネ注射で、気分が良くなったので、日本の市場関係者は「100年に一度の買い場だっ!」とか調子の良い事を言い始めている。で、僕などそれを見ながらニヤニヤしてしまうわけです。
“Alcohol is like love,” he said.
“The first kiss is magic, the second is intimate, the third is routine. After that you take the girl’s clothes off.”
“Is that bad?” I asked him.
The Long Goodbye Raymond Chandler
アメリカだって一回のQEだけじゃなく、QE2、QE3と何度も失速しかかった景気に対してモルヒネ注射を繰り返して、ようやく現状のところまで景気が戻ってきているわけです。
欧州もLTROだけじゃ効かず、(まだ実施には移されてないけれど)OMTが発表されました。
このゲームの怖いところは、それが常習性を帯びる点にあるわけです。僕はそれを「看護婦さんプレイ」と呼んでいる(笑)
「こら、このくそオヤジ! 欲しいか? 欲しいなら、欲しいと言ってみろ!」
「ほ、欲しいです。あ、その小さい針じゃなくて、太いのをブスッと、お願えします!」
冗談はともかくとして、なぜこんな下品な喩えをするかといえば、市場関係者の間にこのゲームがいかにsickか?という認識が希薄すぎるからです。
日本はリーマンショック以降、先進各国の中でアイルランドとギリシャを除いて、最も急速に負債を膨らませてきました。
日本の税収は、弱いです。
一方、支出の方は税収の伸びより速いペースで増えています。
今は未だ、日本の国債への信用は揺らいではいません。
でも若しこれがグラグラしはじめたら(こっそりイチ抜けた方が賢いかな?)と考える金融機関が出てきても、おかしくありません。
実際、サブプライム問題がぼんやりと意識され始めた時、いち早く全て売り切ったJPモルガンは無傷で金融危機を切り抜けました。
また途中で君子豹変し、激しく売り方に回ったゴールドマン・サックスも、難を逃れました。
でもウスノロなベア・スターンズやリーマン・ブラザーズは、消滅したのです。
日本国債を誰が持っているか? と言えば、下のようになっています。
もちろん、銀行は日本政府の手前、あからさまに「イチ抜けた」をすると睨まれるので、ある程度、操を立てると思います。国債が値下がりすることに対する資本バッファーも、欧州の金融機関に比べれば、ある。
JGBの金利上昇がどれだけ損を発生させ、それが銀行の自己資本比率に影響を与えるかをまとめたのが下の表です。先ず都銀。次が地銀。
これらの試算の出所は日銀なので、まあ当り障りの無い予想になっているわけですが(笑)日本株が「100年に一度の買い場」になるためには欧州財政危機や米国の長期ソブリン格付けAAA剥奪といったような危ない場面を招かないようにする必要があるわけです。
日本はまだまだこれからも国債を売り捌いてゆかねばなりません。
そのためには財政健全化の面で「ちゃんと頑張ってます」という事を示さないといけない。これは遠い道のりです。
そのためには経済がガンガン成長し、企業も儲かって、法人税がたんまり国庫に転がり込むことも必要でしょう。以前、国民も当事者意識を持つべきだと僕が書いたのは、そのためです。
それに加えて、向き合いたくない嫌な問題にも取り組む必要があります。それは消費税の増税です。
こういう事がちゃんと出来て、はじめて日本株は「100年に一度の買い場」になるわけであって、この綱渡りに失敗すれば日本政府は安易な方法で債務を軽減する方向へ走ると思います。それはわざとインフレを起こす誘惑です。
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