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過去に自民党の「Xデープロジェクト」について採り上げたことがあるが、
その報告書から興味深い指摘があった。以下は東洋経済からの記事である。
◆国債急落「Xデー」研究、自民報告書の中身
(吉崎 達彦が読む、ちょっと先のマーケット with甘利越え)
http://toyokeizai.net/articles/-/13819
(前略)麻生太郎財務相はワシントンで行われたG20会合の後、安倍晋三首相に倣って外交シンクタンクのCSIS(米戦略国際問題研究所)でスピーチを行っている。"What is Abenomics?"というテーマで壇上に立ち、冒頭から「私も帰ってきました」(I will say this. I AM BACK, too.)とかまして笑いを取っている。麻生節はとどまるところを知らず、こんなことも言っている。
Make no mistake. We are pushing Abenomics not only for the sake of economic growth. We are doing that precisely to make Japan your reliable ally and a responsible guardian of peace, prosperity and democracy.
(誤解しないでください。私たちは、経済成長のためだけにアベノミクスを進めているのではありません。日本がみなさんの信頼に足る同盟国となり、平和と繁栄と民主主義の守護者となるためにこそ、アベノミクスを進めているのです)
One thing in common between Shinzo Abe and I is that both of us are true believers in Japan's untapped resources. In that regard, call us "an optimistic duo."
(私と安倍総理に共通しているのは、日本の潜在力を信じていることです。こうしたことから、私たちを「楽天家の2人組」と呼んでください)。
なるほど、それは結構。「国をリードしていくには、皮肉屋よりも、楽天家であるべき」というのもおっしゃる通りである。
■国債急落時を想定した「Xデープロジェクト」
だが、国を支える裏方には、悲観主義者の役回りも重要であろう。経済にフリーランチはない。アベノミクスによるご利益は、何らかのコストを支払うか、リスクを抱えることと引き換えに手に入れたものに違いない。例えば黒田日銀の「異次元の金融緩和策」導入で、このところ国債市場はガタガタしている。これが落ち着くのか、そうでないのか。はたまたこれから先はどうなるのか。
ここでは最も関心の高い点について触れてみたい。アベノミクスが失敗した場合の最大のリスク、すなわち「本当に物価が上昇し、長期金利が上昇する(=国債が暴落する)ようになったら、どうすればいいのか」である。
普通、この問題に対しては答えがない。日本の財政状況は、前人未到の境地であるからだ。せいぜい「だからと言って、このままデフレが続く方がいい、というわけにもいかんでしょう」などと言ってごまかすくらいである。
ほとんど唯一、この問題に正面から取り組んだ研究がある。自民党が野党であった2011年6月1日に発表した「X-dayプロジェクト」(以下、Xデーと表記)と題する報告書である。今でも自民党ホームページの「政策トピックス」欄に掲載されているので、ご関心のある方はPDFファイルをダウンロードして、ご参照願いたい 。
自民党財務金融部会のプロジェクトチームによれば、国債価格が急落した場合は以下のような4つの事態が想定されている。
1.一部金融機関の経営不安や金融システムへの不安
2.企業の資金調達の停滞や過大負債企業の経営困難
3.市中金利の上昇に伴う個人への影響(住宅ローンなど)
4.政府財政の一段の悪化。1%の金利上昇は、1年で1兆円、2年で2.5兆円、3年で4.2兆円の利払い費増加を招く。
■日銀は先にカードを先に切ってしまった?
すなわち、「金融」「企業」「家計」「政府」のすべてにわたって深刻な影響が出る。その場合の対応策として、同報告書は対策本部の設置、財政再建、国債管理政策、金融政策、金融行政などに言及している。「事の性質上、詳細について文章にしていないところもある」との但し書きがついているが、相当な修羅場になることは想像に難くない。
特に金融政策については、以下のような記述がある。
「日銀は......前例に囚われず思い切った潤沢な資金供給を金融市場に対し機動的に行う」「国債の買い切りオペ額の大幅な増額を図らなければならない」
「あわせて、リーマンショック時に米国FRBが講じた一連の非伝統的な措置や量的緩和策を参考に、リスク資産等の購入も思い切って行わなければならない」
これらはすべて、黒田日銀が実施中の政策ではないか。本来であれば、「異次元の金融緩和」とは、Xデーの後にこそ必要な政策であったのではないか。しかるにそのカードはもう切ってしまった。あるいはデフレ脱却を目指す過程で、Xデーの到来をかえって早めてしまう恐れもある。ところがその場合には、既に日銀には打つ手がなくなっているかもしれないのだ。
発病してから治療するよりも、病気そのものを予防する方がはるかに望ましい。ゆえに自民党の報告書も、財政健全化を通してXデーの到来を未然に防ぐべきと結論している。ついでに、「この報告書の最大の目的は民主党政権の財政政策に警鐘を鳴らすこと」というオマケもついている。だったら政権奪回後の自民党が、いきなり補正予算を編成して5兆円の赤字国債を発行したのはありゃ何だ、とツッコミたくなるところだ。
それはさておいて、アベノミクスによるリスクとリターン、もしくはコストとベネフィットの関係が少し明らかになった気がしないだろうか。われわれはとっておきのカードを1枚使ってしまい、それでデフレ脱却への希望をつなぎ、ついでにちょっといい気分になっているというわけだ。
本当にそれでいいのか。とりあえず総理と副総理のお二人は楽観主義者だという。悲観論者は、せいぜいこんな替え歌でも唄うのがお似合いかもしれない。
♪売らんでも 売らんでも 株価うらはら
あなた...... 兜町(しま)が燃える
札が割れても もういいの
くろだと燃える 地を這って
あなたと越えたい 甘利越え♪
(「天城越え」をイメージしつつ、お楽しみください)
(後略)【吉崎達彦 双日総合研究所副所長/東洋経済 2013年4月26日】
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ここでは1点だけ採り上げておこう。
それは黒田日銀の「異次元緩和」が本来Xデー後の対策だったのを、前倒しで行っているという指摘である。
"予防医学"的見地から財政再建の対策として前倒ししている意味が示唆されているが、果たして本当か。切り札を使い切ってしまったという指摘もあるが、
無論そうではない。最後の切り札がある。
これらの指摘をひっくり返すと、浮かび上がってくるものがある。
そう、伝家の宝刀「財産税」の前倒しである!
本質は、借金をチャラにするために国債暴落=国家破産させ、ハイパーインフレを引き起こし、預金封鎖=通貨デノミ=新円切り替え=財産税導入という大筋のシナリオがあるが、「財産税」の前倒しということは、その対策を打たせないことが第一義的な目的である。
そしてそれを実現させるには、二つの布石が考えられる。
一つは、「世界金融恐慌」であり、銀行倒産から国家破産の危機を演出しすることである。(キプロスの日本版であるが、規模は比較にならない)
もう一つは、「有事」あるいは「大災害」である。
日本にミサイルが着弾したり、巨大地震などの大災害により、挙国一致体制が採られ、国家総動員法のごとく一気に「財産税」をかけてくるということだ。(お国のために協力せよ、さもなくば非国民、という戦前戦中のごとき世論が形成されるだろう)
いずれにしても、国民の資産が国外へ逃げ出す前に実行することが「財産税」の前提であることを忘れてはならない・・・。
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