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日本の財政破綻はあるか―アベノミクスへの懸念
2013年 4月 16日 09:09 JST
By ANDREW BARY
•量的緩和が日本の財政破綻を招く?
まだ4月にすぎないが、投資家は、今年最良の取引、つまり日本の当局が作り出した円の急落を利用する日本株への投資から得られる最大の利益をもう稼ぎ出してしまったかもしれない。
日本銀行による大規模な量的緩和は金融市場にとってうれしい驚きだったが、政府が巨額の財政赤字を埋め合わせるために頼っている日本の債券市場にとって最終的には危険であることが証明される可能性がある。こうした動きは、ヘイマン・アドバイザーズを率いるカイル・バス氏がずっと予測してきた日本の財政破綻につながるかもしれない。バス氏は金融危機の最中に、サブプライムローン市場の暴落に賭けて大もうけした。バス氏は、金利の大幅な上昇と円安から恩恵を受ける公算が大きい安価なアウトオブザマネーのオプションを通して日本に投資している。
日本の紙幣増刷によって短期的には株価が上昇するとみる向きもある。しかし「アベノミクス」は、失われた過去20年の前任者の努力と同様に、日本経済の活性化には成功しないかもしれない。バンクオブアメリカ・メリルリンチの主任投資ストラテジスト、マイケル・ハートネット氏は、「安倍(abe)は資産バブル経済学(asset bubble economics)の略ではないのか?」と尋ねる。
日本の株式市場は、安倍総裁率いる自由民主党の政権復帰が確実視された昨年11月の安値から約50%上昇した。自民党は金融緩和によって過大評価された円相場を引き下げ、輸出主導の経済成長を加速させるという公約を掲げていたが、紙幣の増刷によってどちらもうまくいった。昨年秋には1ドル=80円を超える円高だった為替レートは100円近くまで下落した。安倍首相が選んだ日銀の黒田新総裁は先ごろ、これを「過度な円高の是正過程」と呼んだ。
•日本株に群がる外国人投資家
日本の株式市場の上昇は外国人投資家による大量の買いが原動力になっている。香港のリオリエント・グループによると、昨年11月以降、外国人投資家は日本株に6兆7000億円(673億ドル)をつぎ込んだという。この中には、4月初めに日銀が60兆円の紙幣増刷を発表した直後の週の8690億円も含まれる。
米投資家は上場投資信託(ETF)、特に大量広告を打った円安をヘッジするウィズダムツリー・ジャパン・ヘッジド・エクイティ・ファンド(DXJ)に大量の資金を流入させた。インデックス・ユニバースによると、昨年10月31日以降に同ETFの資産が49億ドル増の63億ドルに膨らむ中で、価格は11月以降50%あまり上昇した。円安ヘッジをしていないiシェアーズMSCIジャパン・インデックス・ファンド(EWJ)の価格は同時期に約30%上昇した。バス氏は最近シカゴでこれらの外国人投資家を、「円安になったら株は買い」だと単純に考える「マクロ観光客」だと揶揄(やゆ)した。
リオリエントのリサーチディレクター、スティーブ・ワン氏によると、日本の機関投資家は海外に目を向け、外債に投資している。10年債は約0.6%、短期国債はゼロという日本国債の低い利回りを前に、より高いリターンを求め、円建て資産の目減りをヘッジしようとしている。
それでも、日本の債券市場はここ数日間、異例なほど不安定だ。これは日銀が完全にコントロールできない可能性を示している。バス氏は、自らのシナリオの「終わりの始まり」が見えてきたと言う。政府が大量の国債購入を発表した際よりも利回りが上昇しているからだ。
円安は輸出を増やし、日本経済を浮揚させるはずだ。しかしバス氏は、「日本の産業は既に空洞化してしまった」と述べる。ロンバード・ストリート・リサーチを率いるチャールズ・デュマス氏は、長年の非生産的な企業投資によって、日本はかつて支配的だった産業における競争力を失ってしまったと指摘する。海外に生産拠点を移転したので、円安はプラスに働かない。その一方で円安は原材料、特に2011年の福島第一原発事故を受けた原発の停止によって需要が増したエネルギーの輸入コストを押し上げる。
日本政府は2%のインフレ目標を掲げているが、バス氏は、「日本のインフレを期待する向きは気をつけた方がいい」と警告する。インフレ率の上昇は金利の上昇を伴う可能性が高く、これによって巨額の財政赤字を補填(ほてん)するコストも上昇する。
•金利上昇で利払い負担が膨らむ
日本の債務残高は国内総生産(GDP)の2倍あまりに上っている。これに対して米国の場合はGDPとほぼ同額である。日本の10兆ドル余りの債務は、基本的な税収4710億ドルのざっと24倍にあたる。米国の場合は6倍だ。日本の税収は政府支出のわずか半分しか賄えないが、これは年間4000億ドル余りのペースで債務が増えていることを意味する。日本の利払い負担は年間1000億ドル程度だが、財政は金利の上昇の影響を受けやすく、金利が1ポイント上昇すれば、利払い負担はさらに1000億ドル増加する。
バス氏はこうした傾向をみて、日本はいずれアルゼンチンやユーロ圏の危機もかすんでしまうほどの深刻な危機に見舞われると予想する。それがいつになるかは分からないが、現実になれば、「円は1ドル=250円よりも安くなり、金利は2桁に達する可能性がある」と言う。
「それが私の経験で最も明白なシナリオだ。問題はそれがいつ現実になるかだ」とバス氏は語る。
バス氏の見方は少数派だが、2007年にサブプライムローンをショートしたときもそうだった。たとえ日本の債務の爆弾が破裂しなくても、日本のETFに群がる米投資家は、アベノミクスの資産バブルが弾けたり、しぼんでしまったりした場合にどうなるかを考えた方がいいかもしれない。
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