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http://ameblo.jp/englandyy/entry-11506998624.html
黒田日銀が異次元の緩和に乗り出したらしい。まあ、詳細はここのブログで書いて解説してもしかたないことだ。マネタリーベースがその政策目標になるというから、昔懐かしいミルトンフリードマンの理論が今度はインフレを引き起こすために使われるとしたらなんとも皮肉なものだ。
ちなみに、マネタリーベースを増やしてところで実体経済にお金が出て行くとは限らない。マネタリーベースの増加と市中に出回る貨幣量(マネーサプライ)の割合は常に変わる。フリードマンの理論を実践したFRB(アメリカの中央銀行)は結果として失敗した。
まあ、それはおいておこう。またインフレになれば経済がよくなるのかという議論はいつもしている通りなのでそれもおいておく。
先週の金曜日にアメリカでは3月の雇用統計が発表された。雇用者数ののびはわずかに8.8万人で過去9ヶ月で最低。市場が予想していた約20万人にも届かなかった。アメリカでは最近悪い経済指標が続いている。
今年こそは回復と期待された、欧州経済も悪化の一途をたどっていて改善の兆しが見えない。新興国経済も停滞気味で、商品価格も下落傾向が続いている。昨年9月のFRBのQE3に始まった「金融緩和→景気回復→インフレ上昇」というシナリオは崩れつつある。多くのFRBの関係者もQE3の効果は限定的だと認めている。これまで半年程度続いた世界的な「リスク資産買い」の流れがどうも変化しつつある可能性がある。
だから今回の日銀の決定というのはいかにも間が悪いときになされたと思うのは僕だけではないだろう。
日銀の決定の翌日の日本の国債市場では10年金利が0.20%以上乱高下した。普通は一日に0.05%も動いたらすごい動きなのにだ。
欧州市場ではなぜか突然フランス国債が0.20%も買われた。イタリア国債なども買われた。一見するといいことのようだが、その裏側で株式市場は大きく下落した。問題のある国の国債が買われる一方で株が売られる。これまでとは全く違う動きで、何かがおかしくなってきている。
おそらく今後、日本の国債市場は日銀が大量に日本国債を購入することで流動性がますます薄いマーケットになっていくだろう。市場参加者は限定的となる。日本の投資家は海外への投資意欲を強めるだろう。まあ、それこそがまさに黒田日銀の目的かもしれないが手薄になった日本国債市場はちょっとしたショックに耐えられなるし外国人が先物を通して値動きをより支配するようになるかもしれない。
日本のCPIはバブル期も含めて非常に安定していた。これを2年で2%にするというのだから、全うな感覚の人間にしてみたら相当大胆なことを行うという風にしか考えられない。おそらく国債を買うだけでは不十分だろう。それはFRBによる米国債の購入を見てもわかる。黒田という人間はどうも頭のどこかがいかれていて本気で2年でCPIを2%にしたいと思っているらしいと感じた市場参加者(特に外国人)は多いはずだ。海外では今回の日銀の決定に懸念を示すものが徐々に見られ始めている。
いずれにしても2年でCPI2%のためにはさらに株を買うとかREITを買うとか。社債を買うなどの政策が行われることが予測される。そして今回の小出しでない大胆な施策はそのことを意識させる。あるいは、安倍内閣はさらに公共事業などで景気を刺激する可能性が高いと認識すると、脆弱になった国債市場で金利の急騰が起こる可能性が出てきた。
安倍首相や黒田総裁は「市場の期待」というものが容易にコントロールできるものだと思っているらしい。が、日本が長くデフレに陥り、欧州が債務危機から一向に脱することができず、米国経済もかつての力強さを取り戻すには程遠いという卑近な例を見てもわかるように市場の期待をコントロールするなどということは容易ではない。そしてひとたび悪い方向に動き出すとそれをとめるのはもっと難しい。今回の決定と同時に見られ始めた海外の経済状態の落ち込みはひょっとしたら悪い円高・悪い金利上昇を巻き起こす可能性があると僕は感じる。
勿論、すぐに日本が破綻する可能性は少ない。これまでどおり、日銀が何をやってもインフレ率は上がらない・・・。世界的にもインフレ低下・金利低下の傾向は変わらない。これが基本シナリオだろうけど。
そもそも今回のこの株式市場の急騰はあまりにお粗末だった民主党政権が終わったこと。そして海外市場のセンチメントが好転したことによるところが多い。金融緩和で日本が本当によくなると思っているのは全うな投資家には少ないだろう。だが、市場のことなどよくわかっていない政治家と黒田君はおそらく俺たちの政策が認められている。これからもっとガンガンやるぞと本気で思っているかもしれない・・・。
まあ確実に破壊的な何かが起こるリスクは高まり、タイミングが早まっていると僕は思う。日本の財政がこのままで最終的に大丈夫だと思う人は少ないだろうから。海外の格付け機関による格下げかそれとも自民党政権がさらにばら撒きを始めると本当に危ないかもしれない。「期待」という正体不明な魔物をコントロールしようという政策の行く末がどうなるのか非常に楽しみである。
◆ゆうちょ銀行の憂鬱 日本国債で利益が出ない・・イルカの群れは米西海岸を目指す!
http://green.ap.teacup.com/pekepon/1090.html
■長期金利の低下 = イールドカーブのフラット化
先日の黒田日銀総裁の大規模緩和の発表では、
日銀は平均残存年数7年までの国債を大量に購入すると発表しています。
今までが平均残存年数3年だったので、長期国債を大量に購入できることになります。
日銀によって長期国債の需要が強引に増えたので(7割程度を日銀が購入?)
需要の増加に伴って、中古市場での長期国債の金利が急激に低下しています。
現在の金利が低くても将来金利が高くなる可能性がある場合、
イールドカーブは右肩上がりになります。(順イールド)
逆に、何らかの不安で短期金利が急上昇すると長短金利が逆転します。(逆イールド)
景気の転換点で将来予測が難しい時には、イールドカーブは平坦になります。(フラット化)
日本のイールドカーブの推移が下のサイトで動画で見れます。
http://d.hatena.ne.jp/teramonagi/20111110/1320936164
今回の日銀の緩和政策は、長期金利を強引に押し下げたので
イールドカーブが強引にフラット化されました。
国債市場に正常な市場原理が働いている時は、
イールドカーブはある程度、景気の将来動向を反映したものになります。
ところが、日銀が過度に市場に介入する事で、
イールドカーブがフラット化し、長期的な金利上昇リスクを低下させました。
長期金利の低下は日銀の長期国債の大量買入れに対する市場の正常な反応です。
しかし、イールドカーブを投資の指標にしている様な場合、
人為的なイールドカーブの操作は、市場参加者に混乱を招きます。
出口戦略とも絡むのですが、緩和政策の終了に伴い、
イールドカーブが急激に変化します。
この人為的なリスクを、市場がどうヘッジするかが問題となるでしょう。
■「長期国債の金利が下がる」=「ゆうちょ銀行の利益が無くなる」
長期金利が強引に押し下げられた事で発生する問題がもう一つあります。
それは「ゆうちょ銀行」や「年金」、「生命保険」など、
長期国債を満期保有して安定した金利収益を確保する機関の収益が悪化する事です。
将来的に約束している金利よりも、運用金利が低下すれば、
これらの機関は経営が苦しくなります。
そこで、日本国債と同様に安定していて、
金利が確実に得られる投資先を探す事になります。
それは、ズバリ、米国債です。
円安が加速すれば、実質金利も高くなるので、
日本国内からの米国債投資は急増するはずです。
これらの機関が将来的に長期の米国債を買う事を予測して、
日銀の追加緩和直後から10年物、30年物の米国債の価格が上昇しています。
■あれあれ、日銀によるアメリカへの迂回融資じゃないか
「市場は日銀によるイールドカーブのフラット化で・・・」なんて御託を並べていますが、
結局、日本の金融機関から長期国債を日銀が買い上げて、
或いは、長期の日本国債投資への機会を奪う事で、
間接的に日本の資金を米国債購入へと向わせています。
これって、日銀によるアメリカへの迂回融資みたいば物ではありませんか。
郵貯だけでも146兆円の資金の多くが、米国債に向うとすれば、
その影響力は少なくありません。
日本人はTPPのISD条項によって「ゆうちょ銀行」が狙われると騒いでいますが、
そんな回りくどい方法を取らずとも、金利差を利用して
「ゆうちょマネー」や「年金マネー」がアメリカへと流出しています。
まあ、米国債がきちんと償還されれば問題はありませんが、
ドル安が進んだりすれば、これらの投資は為替差損を発生させます。
日銀がイールドカーブに働き掛ける目的の一つに、
将来的な円安を約束する事で、為替リスクを低減する事にあるのでしょうが、
はたして、アメリカの経済は復活するでしょうか?
ジャブジャブ供給されるジャパンマネーが
アメリカのバブルをさらに拡大した場合、
それが崩壊した時の破壊力は、金融システム自身をも破壊するかも知れません。
悲観論かも知れませんが、
今後の「ゆうちょ銀行」の米国債の保有残高の推移が楽しみでもあります。
しかし、日銀って誰の味方なのでしょうか?(抜粋)
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