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強いニッポンが帰ってきた 第1部 世界が見た「奇跡のアベクロ・バブル」40人の証言
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35378
2013年04月08日(月)週刊現代 :現代ビジネス
「失われた20年」と呼ばれた長いトンネルを抜けて、ようやく日本経済に光が見えてきた。安倍首相と黒田新日銀総裁が繰り出すアベクロ・バブルを、世界の人々はどう見ているのか。各界40人に緊急調査した。
■ジム・ロジャーズの考え
「私は安倍氏が首相になると分かった段階で、日本株を買い増した。安倍氏は1万円紙幣を印刷しまくると明言しており、そのことで株価は上昇するに違いないからだ。私の長い投資の経験から言って、中央銀行が紙幣を刷りまくって、株価が上がらなかったことは一度もない」
本誌に自信を持ってこう語るのは、「伝説の投資家」ジム・ロジャーズ氏だ。
70歳を迎えたロジャーズ氏は、1973年にジョージ・ソロス氏とともに「クォンタム・ファンド」を設立。以後、7年間でリターン率3365%という驚異の稼ぎを見せ、一躍時代の寵児になった。'80年にソロス氏と袂を分かち、'07年以降はシンガポールに拠点を移して、投資活動を続けている。
そんなロジャーズ氏は、いまやすっかりアベノミクスに肩入れしているのだ。
ロジャーズ氏は3月5日、東京港区の大和インベストメント・コンファレンス東京で講演会を開いた。この日、約350社の日本企業が、国内外の800人の太規模投資家に向けて、株式投資を訴えるセミナーを開いたのだった。ロジャーズ氏が、
「日本はアベノミクスによって、景気の拡大基調が、数年は続くだろう。数年後にはバブルがやって来るかもしれない。日本株はいまが買いだ!」
と煽ると、会場は割れんばかりの拍手となった。
3月下旬にはロジャーズ氏に続き、大物経済学者が来日した。ノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・ステグリッツ米コロンビア大学教授だ。スティグリッツ教授は、3月21日に首相官邸を訪れ、安倍首相に対して次のようにお墨付きを与えたのだった。
「あなたが現在推進している果敢な金融緩和と財政出動、いわゆるアベノミクスは、まさにいまの日本が必要としている政策です。アベノミクスは短期的な景気浮揚にとどまらず、日本の長期的な課題解決にもつながるはずです。
日本にいま必要なのは、デフレからの脱却です。デフレから脱却できれば、経済成長が進み、経済成長が進めば1000兆円近い国と地方の債務を大きく減らせるのです。その意味でも、デフレからの脱却を最優先させるアベノミクスは正しい」
世界の権威の話に聴き入っていた安倍首相の口元は、終始緩みっぱなしだったという。
このスティグリッツ教授の訪日をサポートしたのは、エール大名誉教授の浜田宏一内閣官房参与だった。浜田教授は安倍首相に対して、大胆な金融緩和と黒田東彦ADB(アジア開発銀行)総裁の日銀総裁就任を推薦した「アベクロ・バブル」の仕掛け人だ。
アジア経済について積極的に発言を続ける、もう一人のノーベル経済学賞受賞者が、ポール・クルーグマン米プリンストン大教授だ。クルーグマン教授も『NYタイムズ』に定期連載しているコラムで、「日本は踏み出す」(1月13日付)というタイトルで、安倍首相にエールを送っている。
〈過去3年にわたって、先進国の経済政策が次々に空中分解する中で、あるメジャーな国がブレイクした。それは日本だ。安倍晋三が恐竜のように復活し、インフレ政策を取り始めたのだ。これは非常によい政策で、素晴らしい結果をもたらすだろう〉
アベノミクスが、じわじわと世界にも浸透し始めた。NYウォール街で長年活動を続ける経済ジャーナリストのジェームズ・ジェニングス氏が語る。
「こちらNYでは、これまで日本円が高すぎたので、1ドル=100円くらいまでは行くだろうという見方が大勢です。『輸出倍増計画』を公約にしているオバマ政権が円安ドル高を容認しているのは、日本のTPP参加と、日米で交換条件にしたのだろうという見方が広がっているのです。
株価に関しては、NY市場は連日、史上最高値を更新し、イケイケです。それに較べれば日本の株はまだ史上最高値にはほど遠いので、年内に1万5000円くらいまで行くと見られています。日米欧で同時に金融緩和が進んでいるので、世界同時カネ余り状態から、株式投資は活発化するでしょう」
アベノミクスへの注目度が高まっているのは、キプロス危機に陥ったEUも同様だ。
英『フィナンシャル・タイムズ』(3月4日付)は「安倍首相の再登板で、何かが動き出した」という長文の記事を掲載した。
〈「日本は戻ってきた」という安倍首相がオバマ大統領に発したメッセージは、シンプルだが大胆不敵なメッセージだった。「日本は二流国家ではないし、これからもそうではない」。少し前までは、日本の首相がそんなことを述べれば失笑を買ったものだ。日本は過去15年で11人も首相を取り替え、5度も景気後退期を経験したからだ。だが、安倍首相が再び政権に就いてからは、何かが動き出している〉
ロンドンの金融街シティで活動するジャーナリストのケン・メイヤー氏が語る。
「シティでは、安倍政権はこれまでの民主党政権に較べて、何かドラマチックなことをやろうとしているという雰囲気が伝わってきます。インフレ・ターゲットは2%に設定しましたが、今年中に少しでもインフレ効果が現れれば、国民の消費マインドを刺激し、タンス預金をしている高齢者もカネを使い始めるのではないでしょうか」
■中国も文句は言えない
EU経済を支えるドイツを代表する新聞『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』で、かつて東京特派員を務めたピーター・オードリッチ記者も語る。
「こちらドイツでは、円安政策による通貨戦争≠警戒する声も一部にありますが、逆に日本経済の動向に期待している経済関係者も多いです。というのも、キプロス危機などで、EU経済の先行きは相変わらず不透明なので、アジア向け輸出がEU景気回復への牽引役となるからです。その意味で、アベノミクスへの期待感があるのです。
日本の株価も、私が東京特派員をしていた'90年代は、日経平均が3万6000円台でした。いまのアベノミクスの勢いが続けば、年内に1万7000円台くらいまで回復するのではないでしょうか」
同じくドイツ人で、経営コンサルティング会社「アヴェンタ」のクリスチャン・シュミット社長も語る。
「いまの日本の楽観的なムードは非常によい傾向です。今後は環境や省エネ、ITやバイオ産業など、将来性のある分野への集中的投資が必要で、それによって日本はまだまだ立ち直ります」
アジアにも目を向けてみよう。
まずは中国だが、中国では習近平主席がアフリカ3ヵ国を歴訪中の3月25日、人民元の米ドルレートが、初めて6・21を突破したことがトップニュースとなった。日本円との換算で言えば、1元=15・00円のラインを突破したことになる。その3ヵ月前は13・61円だったので、わずか3ヵ月で10%も変動するという急激な円安元高の局面となっているのだ。
中国はこうした影響をどう受けとめているのか。中国を代表する経済紙『経済観察報』の丁力編集委員が語る。
「日本の円安政策によって中国の輸出産業がたちまち大打撃を受けたという話は聞きません。むしろ日本からの輸入品は安くなるので、潤っている中国企業もあります。しかし、中長期的にこのような状態が続けば、中国政府は黙っていないと思います」
尖閣問題で角突き合わせる中国だが、まずは様子見というわけだ。
「いまは中日関係がよくないので、元安円高によって両国間の貿易が増加するかと言えば、必ずしもそうではありません。ただ今後、アベノミクスに反発して新興国が一段と自国通貨を安くしていくという傾向が出るかもしれません」(陳言・日本企業研究院執行院長)
同じく中国の代表的な経済紙『第一財経日報』の楊晶記者は、「あくまでも個人的な意見」としながら、次のように解説する。
「日本が過去20年も不況に喘いでいることを鑑みれば、『アベノミクスのお手並み拝見』というのが、中国人のホンネでしょう。ただし、日本の債務はGDPの200%を超えており、過度の円安誘導政策は、日本の国債暴落につながりかねないリスクを孕んでいることも、日本人は知っておくべきです。
また、中国が通貨切り下げ競争に参戦しないのは、参戦したら国内の物価上昇に歯止めがかからなくなってしまうからです。とはいえ、両国の関係悪化によって貿易量が減り、中国に大きな悪影響が出ていないのは皮肉なことです」
■日本が世界経済を引っぱる
実際に日中ビジネスに関わっている中国人にも聞いてみた。
まず、日本製品の輸入業者は、当然ながらホクホク顔だ。日本製エアコンの輸入販売業者である托普蘭克国際貿易有限公司の陳延紅総経理(社長)が語る。
「円安は大歓迎です。円安は日本経済が活力を取り戻す最後の手段であり、円安なくして日本経済は復活しません」
日本製ベッドの輸入販売業者である索葉羅(上海)国際貿易有限公司の安彬総経理も同意見だ。
「これまでが異常な円高だっただけで、正常に戻ったということでしょう。その意味で、アベノミクスは正しい」
隣の韓国でも、5人の著名なエコノミストや証券アナリストに話を聞いた。
まずは、サムスン経済研究所の鄭鎬成首席研究員の解説を聞こう。
「ウォン高円安で、韓国メディアは日本叩きの要素を探すのに血眼になっているようですが、経済的にはウォン高円安による輸出減少効果は微少です。なぜなら、韓国企業はすでに、海外直接生産を増加させており、電機電子産業の競争力は、そのような微少な影響では揺るがないからです」
韓国大手の東部証券の申東立剿{部長も同様の意見だ。
「ウォン高円安が韓国経済に与える影響は大きくありません。それよりも、昨年6月以降、韓国政府が混乱し、民間企業の正常な経済活動が滞っていることの方が問題です。朴槿恵新政権の新たな景気浮揚策が期待されます」
一方、駐日経験10年以上というシンガポール『聯合早報』の符祝慧東京特派員は、次のように語る。
「アベノミクスで大事なのは3本目の矢、すなわち民間投資を喚起する成長戦略です。なぜなら第1の矢(金融政策)と第2の矢(財政出動)は、旧態依然とした自民党的手法の張り直しにすぎないからです。iPS細胞を応用した薬品開発、世界最先端の環境保護技術の輸出といった第3の矢によって、アベノミクスは初めて開花するのです。
ただしそのためには、日本企業が、アベノミクスに頼るのではなく、もっと内部の変革が必要です。加えて、日本が再度アジアで台頭したいのならば、もっとアジア人の人心を掴む努力が必要です」
下の表を見ればお分かりのように、アベノミクスに対しては、批判的な意見や否定的な意見もある。
だが、日本経済が復活すれば、アジアの経済も好景気になる。そしてアジアの景気がよくなれば、世界の景気もよくなるのだ。
海外のプロはアベノミクスをこう見ている【欧米・ロシア編】
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海外のプロはアベノミクスをこう見ている【アジア・オセアニア編】
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「週刊現代」2013年4月13日号より
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