http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/473.html
Tweet |
http://zai.diamond.jp/articles/-/144392
■日銀黒田総裁の異次元の政策が市場に衝撃
「小出しの日銀」といったイメージの修正は、昨日(4月4日)の日銀政策発表で完全に白(川)黒(田)ついた。
着任早々、総力的かつ徹底的な緩和策を打ち出した黒田総裁の手腕に、日銀や世界金融に精通したプロでさえ驚きの表情を隠せず、また、いわゆるリフレ派の最右翼の発想さえ超えた政策の中身は、市場関係者に大変な衝撃を与えている。
もう サプライズを超えた次元となるから、異次元と言う以外に適切な言葉が見つからないほどだ。
ゆえに、マーケットの反応は激しい。執筆中の現時点で、 米ドル/円は97円の大台をいったんブレイクし、高値更新。
ユーロ/円、英ポンド/円も軒並み高騰、1日の値幅(上昇)にして、共に2012年11月にアベノミクスが発表されたとき以来の最大記録を達成している。
豪ドル/円に関しては、筆者が常に指摘してきたように、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)通貨ペアをリードし、101円の大台というメインターゲットを達成している。今回のコラムでは日銀政策の中身に関する詳細な記述は省くが、要するに前代未聞、あるいは日銀において未曽有の総力緩和となっており、 現時点で日銀が切れるカードを1回ですべて切ったといった感じだ。
■大胆な政策は、市場センチメントの修正も目的
ここまでやってしまうのか、安倍首相の想定さえ超えたのではないか、と言われるほど過激な政策で、日銀は壮大な実験をスタートした印象が強い。その上、「デフレを退治するためにあらゆる措置を取る」という黒田総裁の決意に改めて感心する一方で、どこか悲壮感さえうかがえる。
考えてみれば、2年以内に2%のインフレターゲットを達成するには、政策自体はもちろん重要であるが、 市場センチメントの修正もかなり重要である。
言い換えれば、為政者ほどマーケット心理の重要性を理解しており、マーケットの疑心暗鬼を打ち消して、 デフレマインドからインフレマインドに持っていくことがいかに大事かということをわかっている。
何しろ、景気の「気」は、市場マインドに依存する部分も大きい。黒田新政の狙い目もそこにあると思われる。
ということは、ここまで総力的な緩和政策を打ち出すことは、マーケットにサプライズを与えるというよりも、むしろ、 マーケットを震撼させること(悪い言い方をすれば、マーケットに脅威を与えることに近い)を目的にしているように見える。
★「日銀は有言実行し、目標を何としても達成していくから、国策に逆らう者は皆破産するぞ」と言わんばかりのスタンスが透けて見える。 したがって、昨日(4月4日)の円全面安は、 市場関係者が歓喜よりも恐怖感に襲われて行動した結果ではないかと思う。
■米ドル/円は夏場までは100円台に乗らないのではないか
では、肝心の米ドル/円はどこまで上昇するだろうか。
難しい問題となるが、結論から申し上げると、 前回のコラムで指摘したとおり、黒田新政にもかかわらず、筆者はやはり97〜98円台をもっていったん頭打ちするのではないかと思う。
100円の大台の達成は、少なくとも夏場までないとみる。
4月5日(金)朝の高値から100円の大台までたった3円しかない。4月4日(木)1日の値幅は4円近いものだったし、100円の大台は目前だ。マーケット関係者が恐怖におびえて誰も円買いなどしないなら、達成しない方がおかしいように見えるかもしれない。
正直、筆者も迷い、確信を持てないが、あえて言うなら、 値動きは材料の先に行くものだから、予想よりはるかに過激な黒田新政といった材料でも、今の値段に織り込まれている公算が大きい。
昨日(4月4日)のように、1日3円以上の値幅を継続させていくのは、いささか無理がある。
■米ドル/円の次なるターゲットは98円台半ばと予想
一方、97円の大台はすでに達成されているから、 次は98円台半ばが照準となると思う。根拠は以下のとおり。
まず、あの「2.26事件」が与える示唆だ。
チャートを見てみよう。
「2.26事件」(チャート上の日付は25日)当日の大陰線は、かなり重要な示唆を与えている。
日銀会合前、米ドル/円は一時93円の節目まで迫っていたが、これは「2.26事件」の安値にはほど遠かった。そして、昨日(4月4日)、「2.26事件」当日の高値である94.71円をブレイクしたから、あの大陰線が持つ指示力が証左されることとなった。
この場合、上値のターゲットは98.56円前後と計算される。これが目先のターゲットとして浮上してこよう。
■時間切れで100円の大台達成はおあずけか
1つ大きな問題を挙げてみれば、それはほかならぬ、 時間切れという問題だ。
要するに、米ドル/円の上昇トレンドがかなり続いてきたから、そろそろ時間切れで、一服しやすい時期にある、ということだ。
それがどれぐらい差し迫ったことかというと、実は本日4月5日(金)か、来週(4月8日〜)前半あたりしか時間は残されておらず、こういった時間的な制限からして、やはり 98円台の達成をもって一服してくるのが筋ではないかとみる。
米ドル/円 日足(再掲載)
このあたりの説明はややこしいから、また次回に譲るが、100円の大台は98円台のターゲットと大した距離がないものの、やはり心理的な大台の意味は大きいと思う。
ゆえに、100円の大台は一気に達成されるより、後にずれ込むことになるのではないかと思う節があるのだ。このあたりの話も次回説明したいと思う。
■クロス円はいったん高値を更新してくるだろう
ところで、豪ドル/円が先に高値更新を果たしている状況で、そのほかのクロス円はどうなるかというと、筆者はやはり他の主要なクロス円通貨ペアも追随して高値をいったん更新するのではないかと思う。
根拠は 前々回コラムの記事と同じく、ドルインデックスの頭打ちの可能性にある。
ドルインデックスの頭打ちを最も証左できるのは、ユーロ/米ドルの底打ちであろう。
■やはり目先は「国策に売りなし」!
昨日(4月4日)のドラギECB(欧州中央銀行)総裁の話がもっとも重要なシグナルを示しているとみる。
総裁が暗い景気見通ししか述べていないにもかかわらず、ユーロの底打ちが鮮明になってきたのは他ならぬ、ECB総裁のこの一言だった。
ドラギ総裁曰く、「キプロス問題はあったが、マーケットは EU(欧州連合)の政治的判断および決心を軽視すべきではない」と。
では、なぜこの一言が効いてきたかというと、黒田総裁の「量、質とも大幅緩和」と実は同じことを言っているようなものだからだ。
要するに いかなる問題でも、中央銀行が責任をもって処理するから、お任せあれという意味合いだ。
どこまでお任せしていいかはわからないが、少なくとも目先は、やはり 「国策に売りなし」の一言に尽きる!(抜粋)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。