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2013/3/27 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
リフレは全てを解決する特効薬なのか。
日銀の黒田新総裁は26日の衆院財務金融委で、2%のインフレを達成するまで「大胆な金融緩和」を推進すると明言。国債の保有高を紙幣の総量以内に抑える「日銀券ルール」についても、「撤廃を含めて検討課題になる」と言っていた。とにかく、ジャブジャブにすれば、デフレから脱却できて景気も良くなり、万事OKとイケイケだ。
米FRBのバーナンキ議長も、米国経済の回復のために緩和を続けると言っている。今は世界的に、先進国の中央銀行が緩和策に傾斜している状態だ。
そうなると、素朴な疑問が湧いてくる。世界中でジャブジャブになったカネは、どこへ行くのかということだ。
「現状では、株と不動産以外に行き場がない。実需がないからです。これまでも、日銀は十分に緩和をしてきました。すでにお金は有り余っていて、大企業は約260兆円もの内部留保をため込んでいる。タンス預金で眠っているお金も膨大にある。これ以上の金融緩和をしたところで、死蔵されれば何の意味もありません。日銀の準備預金が積み上がっていくだけです。資金需要がないのに、一方的に資金を供給し続ければ、余ったお金は、投機に向かうしかない。だから、実体経済は変わっていないのに、投機マネーが舞う株式市場だけが過熱しているのです」(経済評論家・広瀬嘉夫氏)
株や不動産価格が上がれば、持っている連中は大喜びだろう。しかし、そんなのは資産バブルに過ぎない。普通に考えれば、永遠に続くはずがないことは素人にだって分かる。それでも、みな熱に浮かされたようにリフレを支持している。通貨の番人として、冷静さと慎重さを保つべき日銀の総裁が、率先してリフレに突き進むと宣言し、高揚しているのだから、これは異様な光景というほかない。
株が上がればそれでいい、それでデフレ脱却を演出できて、今さえよければいいというケセラセラ。リフレ派の本質は、こういう一時的な刹那主義なのである。
◆バブルが膨らむほど副作用も大きくなる
リフレ論者は、デフレは貨幣現象だと言う。だから、札を刷りまくれば、景気が良くなると主張する。
「安倍首相や黒田総裁は、金融をオモチャみたいに扱っていますね。リフレ派のマネタリストというのは伝染病みたいなもので、ジャブジャブにすれば、万事うまくいくという妄想に取りつかれている。そんな魔法みたいな話、あるわけがないでしょう。金融政策だけでデフレ脱却できないことは、すでに実証済みです。金融緩和をしたところで、投資したくなるような成長産業がないから、資金の貸し出し需要もなく、カネが市中に回らないという状態が続いてきた。デフレは金融緩和で解決する問題ではないのに、もっとたくさん札を刷ればいいと思っている。そうやって強引にインフレを起こそうとするのは、イビツで危険な発想です」(経済アナリスト・菊池英博氏)
戦時中、軍事費捻出のために日銀が際限なく国債を引き取り、ハイパーインフレを招いた教訓もある。黒田日銀がやろうとしていることも本質的には同じだ。物価が上がるまで国債を買い続ける。しかし出口戦略がない。だとすると、バブルが膨らみ、インフレが暴走してしまう。これがアベノミクスの真相だ。個人が自己責任でバブルに踊るならいいが、政府が“あとは野となれ山となれ”では困るのだ。
加えて、実態を伴わないバブルの副作用を挙げていけばキリがない。そもそも、バブルは、いつか必ずはじける。日本人はバブルの恐ろしさを学習したはずなのに、また同じことを繰り返そうとしている。
「今回は、前回の土地バブルの時よりもタチが悪い。当時は日本人も不動産を買ったし、土地や建物という“現物”があった。今度のバブルはそうした実体がなく、米国のヘッジファンドが大儲けしているのです。だいたい、安倍首相も黒田総裁も、まだ実際には何もやっていない。口先だけ、期待値だけで相場が過熱している。信用取引みたいなもので、借金でバブルを演出しているに等しい。こんなバカげたことは、早くやめなければいけません。そんなに“ジャブジャブ”が好きなら、頭から水をジャブジャブかけて、少し頭を冷やしてもらいたいくらいです」(菊池英博氏=前出)
◆日銀が不良債権の塊になる恐怖シナリオ
安倍バブルがあと何年続くか知らないが、はじけてしまえば、日本経済は10年不況、20年不況では済まないかもしれない。黒田総裁は、長期国債だけでなく、REIT(不動産投信)やETF(上場投信)などのリスク資産まで買いまくってでもマネー供給量を増やすと言っている。それでバブルがはじければ、日銀は不良債権の塊のようになる。バランスシートが恐ろしく悪化し、円の信用が毀損する。日銀と一緒になって国債を買い漁っている市中銀行も同じ運命だ。日本の金融・経済はメチャクチャになってしまう。
「そうなった時、誰が損失の補填をするのか。国の財政にそんな余力はない。結局、国民の資産や税金で補填するしかないのです。土地バブルの時も、銀行救済のために税金が使われました。株価下落で損をするのも一般の個人投資家。デフレでもインフレでも、尻拭いをさせられるのは、いつだって庶民なのです」(広瀬嘉夫氏=前出)
借金でつくったバブルは、将来世代へのツケ回しでしかない。「何とかなるさ」のリフレ楽観論に乗っかって浮かれているのは、つかの間の花見酒みたいなものだ。
ほどほどにしておかないと、凄まじい悪酔いにいつまでも苦しむことになる。
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