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円安のもたらす悲劇1、
日本の真のリスクは円安によるデフレの促進にある。
円安の悲劇1、:今回の円安はデフレを促進するだけである。円安による国内製造企業の復活はない。なぜなら拡大再生産させるだけの消費がないからである。
今回の円安はデフレを促進するだけであり、インフレにはならない。価格が上昇しても、生産コストが増えるだけであり、国内の内需を主体としている企業の付加価値は増えず、内需のみの名目GDPは縮小する。
これに対し外需は円安の影響で増え、還流資金が円安によって、増大し、輸出の実体以上に外需による名目GDPは伸びる。
今回の円安で輸出増が期待されるが、2千3年からリーマンショック前までの欧米や中国への輸出量まで増加することを期待することはできない。しかもこの2、3年の円高で、有力な輸出企業は、海外移転を済ませている。
それでも円安による還流資金が増加し名目GDPに合算されることになる。
そのため統計上、名目GDPは増えるであろう。しかし実体は、国内市場は収縮を続け、輸出企業の還流資金の多くは、国内市場に回る事なく、金融市場や、外資へと流れることになる。せいぜい国内には、外国への輸出用の設備投資用の資金が流れるだけである。
これは小泉政権下で起こった平成のいざ凪を越えたと言われた、経済成長と同じ現象であり、内需関連企業は縮小を続け、外需関連企業は伸びても、デフレは解消されず、円安による名目GDPの見かけの増加になる。
このような円安を再び画策する意図は、財務省のポケットマネーが増えるところにある。円安による輸出企業の生産増、売上増とそれによる還流資金の増加は、税収を増やすからである。
同じようなやり方は、海外のインフラ整備に、我々の税金を使って行う予算を大幅にとって、日本の企業に請け負わせようというのと同じ発想である。
単に財務省の税収が増えるだけであり、デフレの解消には無縁であり、デフレ解消のためにいの一番に使って欲しい税金が、むだに流用されている。その一番分かりやすいのが海外インフラ整備である。
しかしこのやり方は、デフレの解消には全く役立たないものである。このことは平成の好景気で立証されている。既に彼ら財務省の役人や政治家は、日本のデフレ解消をあきらめているのではないか、と思われる節がある。
輸出増と円安による還流資金の増加に対する税収増が、借金返しに使われ、財政赤字の減少に寄与するが、国内のデフレ解消になんら効果がないどころか、円安によりどんどん悪化させられている。
今回の円安による実体市場への影響は極めて大きい。
輸入額の増加は、市場からの大きな資金流出となり、再びデフレが促進されよう。円安が100円を越えることは、消費税を増税されたの同じ効果が現れるだろう。
例えば、円安が進み100円近くになったとしよう、それに好感を持つ輸出企業の株が上がり、日銀の金融市場の買い取りと相俟って、1万5千近くにまで上がるかもしれない。
しかしそれは、実体市場の消費を徐々に減少させ、市場を縮小させていく。人工的に大きくした金融市場と経済的圧力による実体市場の収縮は、大きな乖離を生み出し後は瓦解を待つだけとなろう。
円安による実体市場の不振は、金融市場との大きな乖離を生み出し、再びバブルの崩壊となって、資金が市場からより大きく減少するのである。デフレはこのようなバブルとその破裂を繰り返しながら進行して行く。
デフレは市場の資金が生産量に比べ著しく不足している経済である。今まで述べてきたように、ここで言う市場は、主に実体市場を意味し、金融市場や不動産市場の資金量ではない。
アベノミクスに代表されるような、金融緩和は、金融市場や不動産市場への資金導入であり、実体市場への資金を増やす政策ではない。
よくヘリコプターで空からお金をばらまけと言ってる人達がいるが、やってることは製造業者や金融機関にお金を配っているだけで、消費者には一向に吸収できない方法を取っている。そのためインフレにはならないのである。
現在のようなデフレ市場で、円安が進行すると、輸入される、原材料や資源に支払う金額が自然と増加する。また新興国等から輸入される下級財等の輸入産品への支払いが増加する。
これは私達の実体市場から、資金がさらに流出し、外国へ流れることを意味している。普通でも資金量が少ないデフレ市場から、資金がさらに減少するということだ。それは消費者の懐からあるいは製造業者から、円安で価格が上がった分だけ余計にお金が無くなることを意味する。
我々一般の消費者が、スーパーで物を買う場合、車にガソリンを入れる場合など、確実にお金が奪われていく。
このような時円安による輸出の増加により、還流資金が増加するが、それは直接企業や金融機関に入るため、市場に回らないのである。企業の貯蓄は投資資金であり、国内市場に有効な投資先がない限り資金は回らない。
そのため、主に内需を主体とする企業と、外需を主体とする企業に再び格差が生まれる。
この円安は時間が経てば経つほど効いてくる。貯蓄を使い果たし生活水準を維持することができなくなる所帯が増え始める。企業はより低価格で販売せざるをえなくなってくる。それが付加価値の減少に結び付き名目GDPは減少する。ますますデフレ圧力が増していくのである。
ガソリン価格が150円/リッターぐらいで何カ月も推移すれば、確実に他の商品の売上が落ちるだろう。
デフレ市場はもともと資金量が生産量比べ著しく少なくなっている、その結果、生産物が常に不良在庫として残る、縮小循環経済を繰り返している。
円安は、普段から資金量が不足し消費が過小なデフレ市場からさらなる資金を枯渇させ、消費を減退させるため、不良在庫がさらに大きくなり、経済が大幅に縮小するのである。
これは、正常な経済であれば、失われる資金量と減少する生産量はほぼ等量であるが、デフレ下では、わずかな資金量が減少しても、それ以上に大きく生産量が減少することによる。価格弾力性が非常に高いからである。(所得線の角度が45度線以下の角度になっているから。)
逆にわずかでも実体市場に資金が増えれば急速に生産量が伸びることをも示している。
一部の競争力のある原油価格や、石油関連商品などが値上がりするが、市場の資金量が変わらないため、それ以外の商品価格が下がることになる。
このような円安による資金の減少は、消費者にとっては、原油価格の上昇による石油関連商品の値上がり、輸入品物価の上昇という形で現れ、所得が変わらない状況下での物価上昇は、消費者のさらなる低価格商品への訴求、ローン返済の破綻、生活保護所帯への転落という形で表れていく。生活苦の所帯が増大する。
デフレのような貯蓄より借金が多い市場では、資金が貯蓄から市場に流れ出ないため、一部の製品の高騰は、他の製品の低下か、付加価値の減少を意味する。
(念のため、企業や銀行が有する、莫大な預貯金は、経済学では企業の投資資金であり、消費者が消費を補うのに使う預貯金ではない。)
そのため円安により輸入品の価格が高騰するからといって、価格が継続的に上昇するインフレになることはありえない。単なるコストプッシュになるだけである。
現在の日銀の低金利政策や、国債、株式市場の価格維持策では、実体市場でのインフレは不可能である。
アベノミクスで唯一可能性のあるのは、賃金引き上げの要請が広く行われ、大幅に賃金が上昇した場合である。しかしこの円安は、その目論みの目を容易く摘み取るだろう。
なぜなら既に足元から物価高による消費の落ち込みが明らかになり、付加価値減からさらなるリストラをしなければならなくなるからだ。賃上げをした企業の方がより大きくリストラをしなければならなくなるような皮肉な結果をもたらすかもしれない。。
本来、金融市場や不動産市場のインフレは、実体市場すなわち国民所得を構成する市場から、金融市場や不動産市場への資金が湧出することによって起こるものである。
実体市場の活況が、貯蓄を増やしそれが金融市場に流れて行くのが通常なのである。
しかしアベノミクスはこの逆をやっている。
金融市場へお金を投入し、日銀が株や公社債を大幅に購入することを公言している。このことは早晩株や公社債の下落はないこと保証しているのと同じことだ。
それは逆に実体市場から金融市場へ流れるお金が増えて行くだろう。実体市場から資金が金融市場へ流れていくことになる。それは市場から資金を奪っているのだ。
(FX取引のミセス渡辺さんのようなことを言っている。個人の資金が実体市場の消費に流れず、逆に金融市場に流れる。)
デフレのような減退しつつある市場では、有効な儲け先がほとんど無く、預貯金金利も低金利政策で何の利益も出ない状態である。本来なら実体市場で使われるはずであった資金が、金融市場へ流れ出ていくのである。
それにより金融市場はさらに上昇を続けるだろう。しかしながら実体市場は、さらに資金が不足していく。それはますます低価格化に拍車を掛け、より安い輸入品が市場を占有し、ますます日本の企業を苦しませることになる。
金融市場の拡大から実体市場へ流れる資金がどの程度あるか分からない。現在の株高を容認する人達は、百貨店での高額商品の売れ行きを喧伝し、景気が拡大しつつあるかのように広報している。
しかしデフレでは低所得者の方が多く、物価高で困る人が多いの現実である。多くの消費者の消費減退の方が大きいのではないか。
それが企業の売上が伸びない状態での株高を招く。それがバブルである。実体の伴わない株高である。
バブルはいずれつぶれ崩壊するものである。恐いのは阿部政権がいつまでも自分たちの失敗を認めず、株を買い支えることである。
円安は、確実に実体市場を縮小させる。株価の上昇とは相いれないものである。継続的に物価が上昇するインフレにはならない。単なるコストプッシュであり、付加価値は減少し、内需関連の名目GDPはさらに縮小するだろう。
(円安では、外需関連の名目GDPは大幅に伸びるため、合計すればプラスになることもある。2千6、7年頃はそうであった。しかしそれは財務省が喜ぶ税収増を意味し、デフレの解消とは関係が無い。)
この実体市場と、金融市場のギャップがバブルの崩壊を招き資金がさらに市場からなくなる。
その結果デフレがさらに進み、多くの中小零細企業が淘汰され、日本での製造態勢が根本的に崩壊に至るだろう。
一刻も早くこれに気づき、円安の悲劇を早くくい止めるべきだ。
一言主
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou
現在の政策では、人々の賃金がもっと安くなり、新興国と競争できる状態まで、経済が減退を続け、非常に貧しい、国に落ちぶれるまでデフレは続くのである。
このようなデフレから逃れるためには、円安下で、消費を拡大させる必要がある。それは簡単である。ここでは船中8策だけを読んで参照していただきたい。
特に今現在できることは、ガソリン税の軽減などによるガソリン価格の低減であり、それは消費を回復させるのに非常に有効である。つとに進める
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