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株式日記と経済展望
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TPPに参加しても、世界中で日本にコメを輸出できるのは、アメリカ、中国、
オーストラリアぐらいですが、どこも輸出余力はそれほどありません。
2013年3月26日 火曜日
◆食料問題研究の第一人者が緊急警告「今、世界中で食料の争奪戦が起きている」 3月25日 週プレNEWS
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130325-00000928-playboyz-soci
2025年には世界の人口が80億人を突破すると推計されるが、そのとき今のように日本で手軽に食べ物を入手できるのだろうか。30年以上にわたって食料問題に取り組んできた第一人者である柴田明夫氏が、厳しさを増すグローバル経済と、日本の食料政策の間違いを指摘する。この先、私たちが生き残る道はどこにあるのか?
■海外に頼るのは危険! 転ばぬ先のつえを
食料自給率には、生産額、重量、カロリーの3通りの表し方がありますが、私は生命の維持に直結するカロリーベースが重要だと思います。
1960年までは、日本の食料自給率はカロリーベースで約80%ありましたが、その後20年間で洋食化や外食化が進むなか、生産量が追いつかなくなり低下していった。ただし、これは経済成長に伴う現象なので仕方ない部分もあるでしょう。
ところが、80年以降は食料消費が頭打ちなのに生産力が低下している。食料の輸入が増えて自給率が落ちていき、今では40%を下回っている。アメリカの128%、ドイツの84%など、ほかの先進国と比べても極端に低い数字です。
現在、日本の穀物供給量は年間約4000万トン。そのうち約3000万トンは輸入に頼っています。これまでは安くて良質な食料を海外から調達できるという安心感があったのですが、近年は海外からの輸入が不安になってきました。
海外のコメ、小麦、トウモロコシなど穀物価格を見ると、過去30年間でおよそ3倍です。特に、昨年の夏からは最高水準で推移している。これはもう一時的な高騰ではなく、水準自体の上昇と考えたほうがいい。今や世界中で食料の争奪戦が起きているのです。
本来、日本の農業の潜在能力は非常に高いので、私はこれをフルに生かす方向に切り替えていくべきだと思います。生産性を上げて足りない分を輸入するならまだしも、田んぼを遊ばせておきながら、食料が足りないから海外に頼るという考えは非常に危険です。
国にとって、GDPが増えて農業のウエイトが下がるのは近代化ともいえますが、日本はあまりにも農家の規模が拡大されなかった。その結果、明治以来100年間ほとんど変わらなかった農業就業人口1200万人、農地面積600万ヘクタール、農家戸数600万戸という数字が、ガタガタと崩れたのです。今では、農業就業人口260万人、農地面積460万ヘクタール、農家戸数は第1種と第2種の兼業農家も含め156万戸にまで減ってしまいました。
日本の食料問題にとって分岐点となったのは、基幹産業としてのコメを維持していくことを目的として61年に施行された農業基本法です。農業基本法は、本来は工業部門の賃金上昇と同レベルで米価を上げて、農村と都市を均衡させるという発想でした。
しかし、消費者には安くコメを提供しなければならず、消費者米価が生産者米価よりも安くなり、それを補うための赤字は1兆円近くにまでなってしまった。さらに、80年代に入るとコメの消費量がガクッと減って値段が下がり、生産量を減らしてきた。当然、これでは日本の農業を維持できません。
世界の農業に目を向けると、価格水準が3倍になったことから農業開発ブームが起こっています。かんがい設備などの装置化や農機具の機械化、農薬や肥料を与える化学化、そして遺伝子組み換えなどのバイオテクノロジー。儲かるものを作ろうという農業の商品化、工業化が進んでいる。
ところが、自然の領域に踏み込みすぎて水不足や異常気象などの問題が明らかになり、マーケットは不安定になってきています。だからこそ、日本は国内の生産を見直す必要があるのですが、現状では政府や国民に危機意識がまったく感じられない。
99年、農業基本法に代わる食料・農業・農村基本法が制定されましたが、それでも国内の生産力は衰退する一方です。備蓄についても、民主党政権は「消費者のコメ離れが進んでいるなら、備蓄を減らせ」という発想でしたし、自民党政権も依然としてコメは供給過剰だという見方。
海外市場に大きな変化が生じてきているのだから、もう少し備蓄を増やすなどして、バランスを取っておくべきです。将来の危機を感じ取って、転ばぬ先のつえをつかなければいけないのに、行政からそういった話は出てきません。
■アベノミクス、TPPで起こること
アベノミクスは思い切った金融緩和でインフレ期待を高め、円安株高が加速しました。ただ、企業が成長するには国内に設備投資する必要がありますが、実際は海外に流れるでしょう。それでは国内雇用も賃金も増えない。
今、中国ほか新興国を中心に世界的な工業化が起こっています。人口はBRICS(ブリックス・新興5ヵ国)だけで30億近く。それにアジア、アフリカ諸国が続くわけですから、耐久消費財の生産は膨大な量になる。工業製品はグローバル競争によって価格が抑えられますが、使用される原油などの1次産品は需要が増えて価格が上昇。「資源はインフレになるけれど、製品はデフレになる」という状態です。
日本ではどうか? アベノミクス後の日本でも食料や原油など1次産品は価格が上がり、工業製品は上がらない“部分インフレ”になる可能性が高い。
一方で、安倍政権が進めるTPPに参加しても、私は農水省が試算するような「400万トンが輸入されて日本のコメが壊滅状態」とはならないと思います。世界中で日本にコメを輸出できるのは、アメリカ、中国、オーストラリアぐらいですが、どこも輸出余力はそれほどありません。
アメリカはインディカ米300万トンを南米に輸出していますが、農水省が出しているのはそれがそっくり日本に入ってくるという試算で、実にいいかげんです。オーストラリアは06、07年の干ばつの影響で50万トンほどしかコメは作られておらず、輸出は難しい。中国も国内需要が急拡大しているため、安いコメが日本に入ってくることはまずないでしょう。
こうしたことから10年後の日本の食料事情を予想すると、値段が高くて買えない農産物が出てきます。特に、トウモロコシや大豆は厳しい。中国は1990年代までは大豆はわずかしか輸入していませんでしたが、一気に増えて今では6300万トンを輸入。アメリカ農務省は、将来、中国の大豆輸入量は9000万トンになると見ています。
トウモロコシについても、中国は09年から輸入を始めました。輸入トウモロコシの多くが家畜のエサとなりますが、中国の配合飼料の供給計画では近々4億4000万トンになります。そのうち半分をトウモロコシとして、その10%を輸入で賄うと2000万トンが必要となる。
そうなると、もはや日本はトウモロコシを買えない可能性が出てきて、畜産は大きな影響を受ける。牛の頭数を牧草などの自給飼料で賄えるまでに減らすなど形態をガラリと変え、生態系のバランスに見合った経営が必要になります。
週プレ読者に関していえることは、このままでは牛肉の値段も高騰して、めったに食べられなくなるということ。もちろん、日本の農業の現状を考えれば、「コメだけは食べられる」などと安心してもいられません。
私は“離れる農業”と言っていますが、グローバル経済の進展とともに、食と農業が離れてしまった。輸入先は地球の裏側まで広がり、冷凍など保存技術の発達で生産から口に入るまでの時間も離れる。さらに、加工する場所も遠くなりブラックボックス化してしまった。そうしたなかで、冷凍ギョーザ事件などが起きたわけです。これは、食の安全という意味でも、安定供給という意味でも問題があります。
食料危機に備えて、今すぐできることといえば、“バイ・ジャパン”。国産の食料を買うこと。国レベルでの地産地消です。多少高くても、志のある農家が作ったものを選ぶ。それと食料ロスも大きな問題ですから、当たり前ですが、食べ残さない、捨てない。
週プレ読者世代は、農業体験もやっておくべきではないでしょうか。国がそれを支援して第1次産業を育て、多様な農業経営層を創出していくべきだと思います。
(私のコメント)
農業問題を書くのは久しぶりになりますが、農業問題に関しては中央官庁の数字が意図的なために実態がよく分からない。TPPに参加して関税が撤廃されれば海外から安い米がどっと入ってくるというのは本当なのだろうか? 今でもスーパーではオーストラリア産米が見かけますが、量的には多くない。
確かにアメリカやオーストラリアや中国は農地は広大ですが水は少ない。タイのように水さえあれば米は年に四期作も出来ますが、タイは洪水騒ぎが起きるほど水が豊富だからだ。それに対してアメリカやオーストラリアや中国は、毎年のように旱魃騒ぎで乾燥化が進んで山火事騒ぎが起きています。
数年前の世界的な穀物高騰した時も、米輸出国だったところが相次いで米の輸出を停止しました。日本の米農家が騒ぐほど、世界的に米が安くて国内にどっと入ってくることは輸出余力からして少ないのではないかと思う。問題なのはトウモロコシや大豆などの飼料用作物ですが、穀物価格は三倍に値上がりして世界中で穀物の争奪戦が行なわれている。
それに対して日本国内では耕作放棄地が拡大してきて埼玉県に匹敵するほどの田畑が耕作放棄されている。日本の農政に問題があるからですが、世界的な農産物価格の上昇で国内の農業の見直しを進めなければならない。米にしても品質の高いものは国内産米と大して変わりが無く、円安が進めば価格差はさらに縮まる。
日本の農地はトウモロコシや大豆や小麦には向きませんが、水が豊富だから米の生産性は悪くは無い。品質を勘案すれば中国などにも輸出の可能性が出てきている。確かに飼料用などの穀物は海外から輸入に頼っていますが、新興国の肉の需要の拡大で飼料用作物の争奪戦が行なわれている。金さえ出せばいくらでも買える時代ではなくなっている。
国内産業資本は、もはや日本に投資する分野が無いよとよく言いますが、工業分野に関してはそうですが農業分野には近代化投資しなければならない膨大な投資需要がある。野菜や果物に関しては国際競争力がありますが、穀物に関しては耕地面積の狭さからどうにもならない。生産性の高い米にしても飼料用や米粉を使ったパンや麺類などの普及が進んできましたが、米の生産も改善の余地があるだろう。
農産物の輸入でも、柴田氏は「こうしたことから10年後の日本の食料事情を予想すると、値段が高くて買えない農産物が出てきます。特に、トウモロコシや大豆は厳しい。中国は1990年代までは大豆はわずかしか輸入していませんでしたが、一気に増えて今では6300万トンを輸入。アメリカ農務省は、将来、中国の大豆輸入量は9000万トンになると見ています。」と言う事であり、10年先を読んだ投資が求められます。
酪農にしても飼料用作物が入らなくなれば、国内で自給しなければなりませんが、「特に、トウモロコシや大豆は厳しい。中国は1990年代までは大豆はわずかしか輸入していませんでしたが、一気に増えて今では6300万トンを輸入。アメリカ農務省は、将来、中国の大豆輸入量は9000万トンになると見ています。」と言うように人口大国の肉食化で世界的に飼料作物が不足する。
TPPで問題になるのは、遺伝子組み換え作物が入ってくることであり、牛肉にしても成長ホルモン入りの牛肉では、アメリカ人のような肥満する副作用が出て危険だ。和牛が高くても輸出商品になっているのもアメリカ産牛肉がアメリカ人にも信用されていなくて、貧乏人のジャンクフードとなっているからだ。
しかしどうしたら日本の農業競争力が付くのだろうか? 減反政策は補助金のばら撒きであり、政治家や農協には利権となりましたが、農業の近代化は遅れてしまって、第二種兼業農家や自給的な「農家」がほとんどになってしまった。これらが「農家」と名乗っていれば補助金がもらえて、休耕田は将来の宅地として売ればいい。
農家の世代交代が進まず高齢化が進んでいるのも、農業補助金がもらえるからであり、70歳過ぎても息子に家督を譲らず、譲れば補助金がもらえなくなる。本来の農業はハードワークの肉体労働であり、現在では耕作会社に耕作を任せて補助金をもらっている。これでは農家の世代交代が進まず専業化も進まない。多くがサラリーマンが本業であり、定年退職しても「農家」なら国からの補助金で生活が出来る。
日本の水田は米を作る所ではなく、補助金をもらうための手段であり、減反政策に協力して耕作を放棄すれば国から金がもらえる。地方が老人ばかりになってしまうのも家督を息子に譲らず息子を都会に追いやってしまうからだ。しかし自分が90歳になって家督を譲っても息子も60歳では農業の技術伝承は行なわれず耕作地の放棄が起きている。明らかに日本の農政が間違っているからだ。
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