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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130312-00013228-toyo-bus_all&p=1
東洋経済オンライン 3月12日(火)8時0分配信
好調な米国経済が、95円を前に足踏みをしていたドル円レートを、96円台まで押し上げた。市場には、マーケットは新たなステージに入った、という期待感がある。引き金になったのは、8日の雇用統計の数字だった。非農業部門の雇用者数が前月比23.6万人増と、市場予想の16万人、1月の11.9万人からはほぼ倍増となり、失業率も1月の7.9%から7.7%に低下した。
■ つい最近までは、米ドルも弱い通貨だった
米国経済は2012年の後半から回復が、目に見えて顕著になっている。もともと雇用部門の回復は最後のステージで現れるので、雇用の回復が続けば米国の経済の堅調さも長続きするのではないかと期待が高まっている。
昨年11月15日、ドル円は1ドル81円を完全に上抜けして上昇をはじめ、その後4か月にわたり上昇、ついに96円台を回復した。しかし一方で、ほぼ同期間、ドルは円以外に対しては弱い状況が続いていた。この間にユーロドルは1ユーロ1.26ドルから1.37ドル、1ポンドは1.58ドル台から1.63ドル台へ、オーストラリアドルは1豪ドル1.02台から1.05豪ドル台に上昇しており、ドルは弱い状況が2か月ほど続いていた。
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要するに、昨年11月から2月まではドル安だったが、円はもっと弱く円の独歩安だった。その後はドル高円安と、状況は変化していた。11月15日以降、円安をけん引したのは、主に日本の材料だ。衆議院解散、自民党大勝、安倍内閣成立、さらにアベノミクス浸透の流れの中、日本銀行のさらなる緩和期待が円安の流れを加速させている。特に日本銀行は今回のアベノミクスの中では重要な位置を占めるキープレーヤーになっているために、今後もその動きは要注意だ。
2月以降は、ドルをとりまく状況に変化が起こった。英国のさらなる緩和期待、イタリアの選挙結果での政治の混乱などを材料にポンドやユーロは下落基調となり、ドルは上昇を開始した。つまり、円安でもあるが円以外ではドル高が顕著になった一方、円独歩安の流れが続いている。
■ オプションが相場に与える影響とは?
もし、95〜96円のゾーンを先週のうちに抜けることができなければ、ドルの上昇は押さえられて、90〜95円のレンジ相場を4月の初めぐらいまで続けていた可能性も高い。95〜96円にかけては「バリアー」と呼ばれる、消滅条件付きのオプションの権利行使価格が並んでいた。
通常、このオプションの手前では上昇局面では売りが、下降局面では買いがでてきて相場の上下を押さえ込んでレンジになりやすくなるという影響をマーケットに与える。オプションがマーケットに与える影響が大きくなるのは、そのオプションの規模そのものが大きいか小さいか、そのオプションが終了する期限までの時間がどれぐらいあるかということが重要になる。
特に時間的な要素の場合は、オプションが期日を迎えるまで2週間を切ってくると、その影響度がケタ外れに大きくなる。逆にオプションの期限が2週間以上ある場合は、相対的に影響が小さくなる。今回、この95〜96円に設定されていたオプションバリアーは3月末から4月上旬ぐらいまでに期日が設定されていたため、もし95〜96円のレンジを抜けることなく18日以降になってきた場合、オプションの影響力が大きくなり、ドルの売り需要が大きくなるために、95〜96円をたやすく上抜けすることが難しくなった可能性が高い。
■ 年度末前後の需給要因に注意
3月20日には、日本銀行の新しい正副総裁が誕生する。一方、3月末は日本の年度末に当たり、さまざまな為替の需給要因が交錯する。典型的なのは、年度末に海外に保有する企業の利益を国内に戻すための円買い外貨売りである、いわゆる「レパトリ玉」も出やすくなる。この海外の利益は、一説には20兆円以上あるとも言われている。
また4月3〜4日には、新総裁のもとでの最初の日銀政策決定会合がある。市場では、追加緩和への期待が膨らんでいる。このように、オプションの期日は市場のイベントをカバーできるように設定されていることが多いので、イベントまでには市場の期待感とオプションに絡む需給など、さまざまな要素が影響を与えそうだ。
とはいえ、オプションの影響が高まる前に95〜96円のゾーンを上抜けしたために、100円付近までの上昇が視野に入ってきた。前述のように、例年は3月末の年度末に向けて年度末特有の需給が出やすい時期になってくる。現状では、96円台というドル円のレベルは輸出勢にとってはありがたいレベルだ。一方、輸入勢にとってはありがたくないレベルにいるわけで、どちらかというとドルの売り方は、余裕がある状況になっている。
また4月3〜4日の日銀政策決定会合では、追加緩和期待が高い。とすれば、そこまでは円売りの流れが続く可能性が高い。一部には、新総裁が誕生する3月20日以降に臨時政策決定会合を開催するといった期待もでていた。
ここのところ「口チャック」で静かになってはいるものの、95円〜100円のゾーンは、「リフレ派」と呼ばれていた人たちがターゲットにしていたレベルだ。まさにそのレベルが近づいてきている。90〜95円のレベルで緊急G7声明、G20での声明がでたことを考えると、95円〜100円を超えてくる円安にかんししては、再び各国からのけん制発言がでることも予想される。
ただ、この円安の流れは多少のけん制発言があっても、また多少の調整があっても、流れを変えるほどの材料にはならないだろう。ドル円は、日銀政策決定会合のある4月前半まで94円〜95円を下固めしながら、100円を目指していくことになろう。
(撮影:尾形 文繁)
田代 岳
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