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イギリス国債が35年振りに格下げになって、最上位のトリプルAを失っている。
これは、経済成長がきわめて鈍いこと、債務負担が増加していること、緊縮財政が続いて回復が難しいこと等が理由になっている。これは水面下でずっと続いていたことだ。
本当のことを言うと、この格下げは遅すぎた。
すでにアメリカもフランスも格下げになって最上級を失っている。本来であれば、イギリスも2011年に格下げがあってもおかしくなかったのだが、ギリギリまで格下げが延ばされていたように見える。
イギリスは2011年8月の激しい暴動で死者も出しているが、これは底辺層の人々が格差や差別問題に怒りを爆発させて大暴動になったものだ。
あれから1年半近く経っているが、イギリスの苦境は改善されたわけではない。むしろ、今回の格下げを見ても分かる通り、さらに深化してしまっている。
イギリスは袋小路に追い詰められた。
■貧困層は追い詰められ、一触即発の状態
イギリスの苦境には、人種問題・移民問題・格差問題・差別問題・宗教問題・貧困問題がすべて詰め込まれている。
それが暴力となって噴出したのが2011年の暴動で、これによって全世界の人がイギリスの底辺が危機的状況になっていることに気がついたのだった。
イギリスでは今後も、暴動やデモは何度でも起きる可能性がある。そして、そのたびにイギリスの地盤沈下は世界に認識されることになるだろう。
2011年の大暴動の主となっていたのは、アフリカ系の黒人たちである。それに底辺の白人も混じっていた。
こんな事態になってしまったのは、もちろん2008年9月15日のリーマン・ショックが原因だ。このとき、金融立国を目指していたイギリスは激震に見舞われ、アメリカと一緒に国ごと崩壊する寸前になった。
米英の金融機関が扱っていたサブプライムローンの証券は、莫大な損失を計上した。
これによってイギリスの不動産バブルも一緒に崩壊、対外投資をしていたドバイもまた同時期にバブル崩壊して、イギリスは一気に不況に突入した。
不況になれば、当然失業率も増える。
2011年の暴動が起きた地区に限って言えば、失業率は20%近くもあったと言われている。貧困層は追い詰められ、一触即発の状態にあった。
■2000人近くが逮捕され、250億円もの損失計上
そこに2011年8月6日、ロンドン北部のトッテナムで29歳の黒人男性が警察に射殺された事件が起きて、これによって一気にトッテナムが暴動になった。
そして、いったん暴動に火が付くと、これが燎原の火のように拡大して行き、バーミンガムからリバプールまで、次々と焼き討ちされていった。
これによって最終的には2000人近くが逮捕され、250億円もの損失を出すに至った。
2011年にはこのような事件が起きていて、イギリスはすでに国家として危険な状態にあることを全世界が認識した。だから、イギリス国債の引き下げは、この時点であってもおかしくなかったのだ。
現在、EU諸国やイギリスに襲いかかっている不穏な空気は、実を言えば先進国すべての問題になっている。
リーマン・ショックから経済が好転しないばかりか、むしろどんどん悪くなっているからである。ヨーロッパではギリシャ・イタリア・スペインと、あたかも持ち回りのように破壊的デモや暴動が起きている。
失業率は改善せず、経済は成長せず、国民の不満は極限にまで高まっている。グローバル経済がうまく機能していない。
2011年のイギリスの暴動は、「貧困の増大と社会システムの行き詰まりが必ず暴力を産み出す」というひとつの例になったのだ。
2011年は暴動の年だった。
チュニジア、エジプトの民主化運動、そしてイスラエルの物価高抗議、そしてイギリスの略奪暴動……。
まさに「貧困の増大と社会システムの行き詰まり」が全世界を覆った。そして、それが否が応にも集団的な暴力を産み出してしまう。
■ユーロに残るかどうか、国民投票で決める
同じ病理を抱えている先進国であれば、どこでも暴動が起こりうる。そして、暴動が起きたときに、全世界は問題を認識して、その国に何が起きているのかを鮮烈に知る。
アンネシュ・ブレイビクが2011年に起こしたノルウェー・テロ事件も、あの衝撃的な暴力が全世界にノルウェーの問題を知らしめた。
あの暴力がなければ、誰もノルウェーの問題に注視しなかっただろう。暴力は問題認識のひとつの契機になっていく。
今、ヨーロッパは緊縮財政を取る政府に対して、国民が一斉に反旗を翻しているところであり、イギリスを含め、スペインもイタリアも反緊縮・反政府の勢力が拡大しつつある。
それでも政府が緊縮財政を進めるのであれば、恐らく今後はまた巨大な暴動が連鎖していくことになるだろう。
現在、台風の目になっているのはイタリアである。
イタリアではちょうど総選挙のまっただ中で、あと数時間のうちに選挙の結果が出るが、現在のマリオ・モンティ首相は恐らく当選できないと言われている。
本命は民主党のベルサニ氏だが、ベルサニ氏はモンティ政権の緊縮財政を継承する可能性が高く、ユーロ圏はこの方向を見ている。
しかし、前ベルルスコーニ首相とポピュリスト五つ星運動のグリッロ氏が猛烈に追い上げている。
今晩の選挙で番狂わせが起きると、イタリアのみならず、ユーロ圏そのものが大激震に見舞われることになる。なぜなら、この両氏はこのように言っているからだ。
「もし当選したら、イタリアがユーロに残るかどうか、国民投票で決める」
■ユーロ危機が再燃したら
★アベノミクスは頓挫
国民はそれを支持しているので、もし仮に緊縮財政の継続ということになると、国民は激しい不満を表明して、イタリア国内は一気に荒れることが予測される。
何が起きるのか火を見るよりも明らかだ。巨大な暴動が起きてユーロ圏そのものが一気に危機に陥るのだ。
イタリアの総選挙の行方がどのようになるのかは今のところ誰にも分からない。
しかし、いずれにせよイタリアはすでに政府と国民の方向性が乖離してしまっているので、破滅的な事態は遅かれ早かれ起きるのは間違いない。
イギリスも追い詰められ、イタリアも混乱に入り、フランスもアフリカのテロ戦争で足を取られ、ドイツまでもが経済失速しているのが2013年2月の姿だ。
ユーロ危機は再燃するのか。
何が起きるのかは誰にも何も言えないが、危機が再燃してもおかしくない状況になっているのは間違いない。
これは日本にとっても他人事ではない。ユーロ危機が再燃するということは、すなわち日本の円安の流れがいったん断ち切られる可能性があるということだ。
そうなると円安と連動した株高もまた調整局面に入っていくかもしれない。つまり、ユーロ危機が再燃したら、アベノミクスが早々に頓挫するということになる。
そして、ユーロ圏の激震は、再びグローバル経済の激震につながっていく。ユーロ圏で破滅的な暴動や暴力デモが起きたら、よくよく注視したほうがいい。
事態は一気に流動化して現在の小康状態は吹き飛ぶ。
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