http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/272.html
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http://biz-journal.jp/2013/02/post_1520_2.html
今の日本人には、自ら戦わなければ成果は得られないと思い知ることが大事なのかもしれない。労働者がストライキもしないで、賃上げなど、実現できっこないのだ。労働側者が戦わなければ、賃上げができないばかりか、ブラック企業はますますはびこる。
1月29日である。「アベノミクス」(大胆な金融緩和、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略)の一環で、景気てこ入れへ積極的に財政出動する2013年度予算案が決まり、経団連の米倉弘昌会長と連合の古賀伸明会長も会談、春闘という“茶番劇”が事実上始まった。
●安倍首相、賃上げ要請という茶番
そして、2月12日、首相官邸で「デフレ脱却に向けた経済界との意見交換会」が開催され、安倍晋三首相が経団連の米倉会長、経済同友会の長谷川閑史代表幹事、日本商工会議所の岡村正会頭の経済3団体トップに「業績が改善している企業は報酬の引き上げをぜひ検討してほしい」と要請した。経済界の協力で、従業員の賃上げという、目に見える形で「アベノミクス」の効果を国民全体に浸透させるのが狙いだが、これも“茶番劇”以外の何ものでもない。
首相が大胆な金融緩和策を訴え出した昨年11月中旬以降、マーケットはといえば、2月12日に円相場が約2年9カ月ぶりに1ドル=94円台まで下げている。株価のほうも2月1日に日経平均株価が1万1191円と約2年9カ月ぶりの高値を付け、週間ベースで12週連続の上げ相場となった。翌週末(2月8日)はマイナスだったものの、「岩戸景気」の時の1958年12月〜59年4月の17週連続に次ぐ2番目の長さだった。
この円安、株高に、新聞はじめマスコミも浮かれ気味になっている。
●景気回復でも給料は下がり続けた
だが、ほんの5年前までのことを思い出してほしい。実感に乏しかったとはいえ、日本は02年1月から景気回復過程に入り、期間は07年10月まで戦後最長の69カ月(5年9カ月)に及んだという事実だ。高度成長期の「いざなぎ景気」(1965年11月から4年9カ月)を上回った。
この間の円相場は1ドル=100〜130円台で推移し、株価も06年末の日経平均で1万7000円台だった。浮かれるのは時期尚早なのだ。それだけではない。69カ月の回復過程を経てもデフレを抜け出せなかった。サラリーマンの給料が下がり続けたからだ。
国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、02年に448万円だったサラリーマンの平均年収は07年には437万円に減った。11年は409万円で、ピークの1997年より58万円も減っている。
とにかく、この年収を底上げしない限り、デフレからの脱却は難しいのだ。だから、安倍首相も国民に賃上げに動いていると見せる必要があるのだが、肝心の労働者側が動かなければ、絵に描いた餅にすぎない。
サラリーマンは憲法第28条で、団結権、団体交渉権、争議権(ストライキ権)の労働基本権を保障されている。しかし、この四半世紀、日本の労働組合はストライキ権をほとんど行使していないと言っても過言ではない。
今春闘で連合は定期昇給を最低限の課題とし、非正規社員も含めた給与総額の1%増を目指している。対する経団連側は円安で業績上方修正が相次いでいるにもかかわらず、定期昇給すら延期や凍結もあるという立場で、マスコミは「交渉難航は必至」と口を揃える。
●ストをしない連合は“労働貴族”
連合が本気で賃上げを目指す気があるなら、ストライキ権という「伝家の宝刀」を使わない手はないはずだ。しかし、今春闘でもストライキはないだろう。
なぜか?
一定額以上の所得を得ている者には、なだらかなデフレは心地よい面がある。経営者はもちろん、連合首脳陣はじめ大労組幹部の “労働貴族”もそうした所得階層の人間だ。連合は組合員に最大限の努力をしたと見せれば事足りる。経営者側と同じ穴の貉なのだ。だから、サラリーマンの賃金がダラダラ減り続ける。
連合の怠慢は賃金問題だけではない。65歳までの雇用を義務付けた改正高年齢者雇用安定法の4月施行を控え、名だたる大企業で“追い出し部屋”を作って自主退職を迫る動きが目立ち、ブラック企業並みのサービス残業が横行しているという。
間違っても、安倍首相に期待などしてはいけない。首相にとって大事なのは、今年夏の参議院議員選挙で自民党が勝利することであり、経済3団体のトップに賃上げを要請した、という証拠になるパフォーマンスが必要なのだ。実現しようがしまいが、どうでもよいのだ。3団体のトップもその辺を見透かしており、賃上げの言質を与えていない。
緊張感のない労使関係は企業を堕落させる。それが20年以上も続けば、企業の力は衰える。責任の一端は労働者側にもある。20〜40歳代前半までのサラリーマンの多くにとってストライキは外国の出来事で、自分たちがその武器を持っていることすら知らないのではないか? 今春闘で連合がストライキもせず、経営者側に歩み寄るならば、首脳陣は総退陣すべきだ。(大塚将司)
(関連参考記事:)
★追い出し部屋、外資型解雇は増えるのか
http://president.jp/articles/-/8584
「追い出し部屋」が話題になっている。企業側が解雇対象者を「追い出し部屋」という部署に集め、職場に居場所がないことを伝え、出向先を探させたりしているというのだ。朝日新聞が昨年暮れに報じ、厚生労働省が実態調査に乗り出した。
かつて旧国鉄が余剰人員を人材活用センターに集め、仕事を与えず解雇に追い込んで国会で問題化したことがあり、類似の手段は過去にも使われてきたが、労働問題に詳しい弁護士は「最近の余剰人員整理には相対評価による解雇といった米国流のドライなものが目立つ」と話す。
相対評価による解雇とは、会社側が全社員を評価し、相対的に評価が低い下位の一定割合の社員を退職させるもの。リーマンショック後、日本の外資系企業で目立ち始めた。「たとえば1000人の企業だと下位1割の100人を退職させるといったやり方です」(同前)。
これまでの日本の企業では、仕事をさぼったり、誰が見ても著しく能力が低い社員に研修や教育を施し、それでも改善されない場合、解雇もやむをえないというのが普通だった。つまり絶対評価による解雇である。
「ところがここ数年は、外資系企業を中心に、相対評価の低い一定割合の社員を問答無用で退職させる企業が出てきた。相対評価の低い社員に“業績改善が必要だ”としてPIP(業績改善プログラム)を受けさせた揚げ句、改善の見通しがないという理由で退職に追い込むのです。ただ、過去の判例(セガ・エンタープライゼス裁判)では、解雇が正当なのは社員の能力が“平均的な水準に達していないというだけでは不十分で、著しく労働能力が劣り向上の見込みがない場合に限られる”とされています」(先の弁護士)
PIPを課された後、解雇された元社員が解雇を不当として裁判で争うケースもいくつか起きている。米通信社ブルームバーグは、同社東京支局の記者にPIPに取り組むように命じ、記事本数の少なさや質の低さといった「能力不足」を理由に解雇した。だが昨年10月の東京地裁判決は「解雇理由に客観的な合理性はない」として解雇無効を言い渡した。
また昨年10月、日本IBMを解雇された元社員が同様の訴訟を起こした。同社では昨年9月だけで200人が退職したとされる。世界的な不況の中、日本でもPIPと相対評価による解雇の増加が危惧されそうだ。
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