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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130217-00000127-playboyz-soci
週プレNEWS 2月17日(日)6時10分配信
エコエネルギー振興の切り札として、大阪でEV(電気自動車)タクシーが導入されたのは2011年2月のこと。
「新エネルギー関連産業を育てようと、府が日産自動車、タクシー会社約30社の協力を得て50台のEVタクシー(日産のリーフ)を導入しました。1台につき府から100万円、国から78万円の補助金が出るため、タクシー会社は1台のEVタクシーを割安価格の200万円で導入できました」(大阪府・新エネルギー産業課)
タクシー業界の期待も大だった。
「何しろ運転していて疲れない。揺れ、ノッキングがなく、滑るように走る。電気代もガソリン代よりはるかに安くて済むし、故障も少ない。将来はEVタクシーが主流となるのは間違いない」(大阪市内のあるタクシー会社)
そんな評判を聞きつけてか、JR大阪駅に隣接するデパート脇に設けられたEVタクシー専用乗り場には、乗客が連日、行列をつくったものだった。
あれから丸2年。福島第一原発での事故もあって、新エネルギーへの期待はますます高まっている。このEVタクシーの人気もさらに沸騰しているはずと思っていたら……あれれ? 乗り場が閑散としている。以前なら20台以上のEVタクシーが列をつくっていたのに、今はポツリと1台きり。順番待ちの客はゼロだ。
いったい、どういうこと? 1台きりのEVタクシーに乗り込み、運転手にワケを聞いてみた。
「あきまへん。さっぱりですわ。売り上げも普通のタクシーの半分以下。とてもじゃないけど、EVタクシーは商売になりません」
なんと、鳴り物入りでデビューしたのに、わずか2年でEVタクシーの評価はガタ落ちしていたのだ。その運転手が続ける。
「とにかく電池の劣化が激しい。新車時は1回の充電で100km以上走行できたのに、2年後の今はわずか50kmほど。そのため長距離の客は断らざるを得ない。これでは売り上げが上がりません」
省エネ仕様のガソリン車だと、リッター当たり25kmくらいは走る。ということは、このEVタクシーは2リットルしか入らないガソリン車と同じってこと? それじゃ、まともな営業ができるはずがない。
電池劣化とともに、急速充電にかかる時間も増えた。電池容量半分の充電で約15分から約40分と、倍以上になってしまったとか。
「しかも、頼りの急速充電スタンドは大阪市内に8ヵ所しかない。そこまでの所要時間を足すと、充電に1時間以上もかかってしまう。充電は一日に6、7回は必要なので、それだけで計7時間近い時間がロスとなる。やってられませんよ」(運転手)
その車内を見渡すと、運転席周辺に使い捨てカイロがゴロゴロ。
「ヒーターを入れると、電力が消費され、ただでさえ短い走行距離が一気に20kmも短くなってしまうんです。だから、ガマン。使い捨てカイロで暖をとっているんです。車内に毛布を持ち込んでいる運転手もいますよ」(運転手)
いっそ廃車にしてしまえば?
そんな記者のつぶやきに、あるタクシー会社の幹部はこう言って首を振る。
「補助金をもらう条件は最低でも3年間、EVタクシーを運行するというもの。だから、どんなに売り上げが上がらなくても、もう1年間はこのままEVタクシーを走らせるしかないんです」
一日の走行距離が50km以内で済むような一般ユーザーならまだしも、年間10万km走行もざらのタクシーにEVを投入すること自体、無謀だったのかも。
前出の運転手がため息をつく。
「実はこの2月でタクシー運転手を辞めるつもりです。EVタクシーでは生活できませんから」
導入から3年後の来年2月、EVタクシーは大阪の街から姿を消してしまいそうな雲行きだ。
(取材/ボールルーム)
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