★阿修羅♪ > 経世済民79 > 257.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
コラム:日本経済「慢心の2年」への危険な兆候=河野龍太郎氏  ロイター
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/257.html
投稿者 ダイナモ 日時 2013 年 2 月 15 日 13:33:46: mY9T/8MdR98ug
 

河野龍太郎 BNPパリバ証券 経済調査本部長(2013年2月4日)

日銀の2%インフレ目標導入が、賛否両論を巻き起こしている。佐藤健裕・木内登英日銀審議委員は、「現状のインフレ率からすれば2%は物価安定と整合的ではなく、また目標を掲げても達成できないのなら、信任を失う」ことなどを理由に反対票を投じたが、筆者も同意見だ。

ゼロ金利制約に直面し、長期金利も相当に低下していることを考えると、積極的な金融政策だけで需要を刺激しデフレから脱却することは難しい。長期金利の落ち着きを見る限り、市場関係者も2%のインフレの早期達成は難しいと判断しているのだろう。

しかし是非はともかく、政策の組み合わせ次第では、デフレ脱却は不可能ではない。中央銀行のファイナンスによって追加財政を続け、名目成長率を引き上げれば、需給ギャップの改善によって、インフレ率を高めることは可能だ。筆者は、マネタイゼーションによってデフレから脱却するシナリオの蓋然性(がいぜんせい)が最も高いと考えている。

この政策の主役は財政政策を担う政府であるが、追加財政で名目成長率が上昇すると、長期金利も上昇を始めるため、それを回避すべく日銀が国債購入を進めることで、事実上の財政ファイナンスが行われる。誉められたデフレ脱却策とは言えない。しかし、必要な増税や歳出削減を選択できず、裁量的な財政・金融政策で名目成長率を高めて問題解決を図ろうとする一連の政策決定を見ると、すでにこのシナリオがスタートした可能性もある。

マネタイゼーション・シナリオについて、詳しく論じよう。本コラムでも繰り返し述べてきたが、日本の潜在成長率は労働力や純資本ストックの減少によってすでに0.25%程度(0―0.5%)まで低下している。低成長が続いているため、日本経済は大きな負の需給ギャップを抱えていると考える人が少なくないが、実はもはや大きなスラック(余剰)は残っていない。実際、東日本大震災後、復興関連予算の執行が遅れているのは、建設業界で人手が不足しているためである。

失業率は現在4.2%まで低下しているが、かつて2%台後半だった摩擦的失業率(雇用のミスマッチなどによって生じる過渡的な失業)は、雇用の流動化などの影響で3.5%程度まで上昇していると考えられる。つまり、現在の日本経済は、インフレ率上昇圧力をもたらす完全雇用状態からそれほど大きくは乖離していない。もちろん、各国同様、若年の高失業問題や正規・非正規雇用の格差問題などを抱えるが、これらは総需要不足が原因というより、ミスマッチなど構造問題が原因で、総需要が増えても容易に解決することはできない 。

高齢化の影響で労働市場からの退出が続くため、0.25%の潜在成長率での成長が続く場合でも、就業者数は年率0.7%程度減少し、失業率は横ばいとなる。以下述べるように、追加財政によって潜在成長率を上回る高い成長が続けば、就業者数が増加しないケースでも失業率は低下し、数年後には完全雇用状況に到達する。

まず、2013年度については、13兆円に及ぶ12年度補正予算や追加的な復興関連予算の設定、消費増税前の駆け込み需要、復興関連予算の積み増しなどによって、成長率は1.5%となり、需給ギャップは1ポイント強改善し、失業率も0.4ポイント低下し、3%台後半となる。さらに、14年4月の消費増税の駆け込みの反動や補正予算の効果剥落による悪影響を相殺すべく、13年度後半にも10兆円程度の追加財政が決定される可能性が高い。中心となるのは国土強靭化計画に基づく公共投資である。その結果、14年度も0.5%の成長が達成され、需給ギャップは0.3ポイント改善、失業率は0.2ポイント低下する。

もちろん、そうした政策は、最終的には公的債務を膨張させるだけで、政策効果が剥落すれば、低成長に舞い戻り、失業率も悪化する。しかし、長期金利さえ落ち着いていれば、その段階では誰も直接的な負担を負うわけではないため、代議制民主主義の下においては、近視眼的な政策が継続される可能性がある。

同様に、15年度についても、10月に予定される第二弾の消費増税や14年度の財政政策の効果剥落による景気への悪影響を吸収すべく、10兆円程度の追加財政が継続される可能性が高い。追加財政を止めれば、大きな痛みが現れるため、政策継続の誘惑から逃れることができない。その結果、15年度も1.1%の成長率が達成され、需給ギャップは0.9ポイント改善、失業率は完全雇用に近い3.5%を割り込んでくるだろう。

追加財政によって名目成長率が上昇すれば、長期金利が上昇しても不思議ではない。実際、1980年代以降、政府の資本コストは概ね名目成長率を上回ってきた。長期金利が大きく上昇することになれば、今や公的債務残高は国内総生産(GDP)の2倍にまで膨れ上がっているため、利払い費は急激に膨らみ、財政は危機的状況に陥る。そうした事態を避けるため、追加財政に伴って発行される国債は、日銀の購入によって吸収される。事実上のマネタイゼーションが進められる。

<1―2年はユーフォリアが続く>

問題は、どの段階まで長期金利の上昇を抑えることができるかである。

拡張的な財政・金融政策によって名目成長率を嵩上げする一方、長期金利が低位で安定している間は、株や不動産などリスク資産の価格上昇が続く。リスク資産の価格上昇に惹きつけられ、ミニ投資ブームが始まる可能性もある。それが永久に続くのなら問題はないが、いずれ調整過程が訪れる。

長期金利上昇の引き金となるのは、やはりインフレ率の上昇だろう。たとえば、1%程度の均衡実質金利を前提に、2%のインフレ率やリスクプレミアムが織り込まれると、長期金利は3%台まで上昇しても不思議ではない。

現在は、インフレ率は上がらない、長期金利は上がらないと皆が信じているから、リスクプレミアムも極端に低く抑えられている。ソブリン危機が発生するまで、ギリシャやポルトガル、スペインの国債金利は低位で安定し、リスクプレミアムも極端に低かった。しかし、危機が始まると、リスクプレミアムは急激な上昇を始めた。日本でもインフレ率が眼前で上昇を始め、それを反映して長期金利が上昇し、いったん損失を被れば、投資家はリスクプレミアムを要求するようになるはずである。

仮に需給ギャップ(失業率)とインフレ率がリニア(線形)な関係にあるのなら、今後、インフレ率はゆっくりと上昇していく。この場合、日銀はインフレ率が1%近くに達すると、アグレッシブな金融緩和の手仕舞いを始め、それに応じて長期金利も緩やかな上昇を始める。ゼロ金利政策を継続するにしても、早い段階で資産買入基金の拡大を停止しなければならないだろう。インフレ率が上昇を始めれば実質金利は低下し、放置すれば金融緩和度合いがさらに強まっていくためである。

しかし、需給ギャップとインフレ率の関係は必ずしもリニアではない。根強いデフレが続いたため、需給ギャップが改善しても、ゼロインフレ状況がしばらく継続するかもしれない。それゆえ、アグレッシブな金融政策への政治的要請は続き、日銀の政策の手仕舞いも遅れる。失業率が3%台半ばを割り込み、臨界点を超えた途端に、インフレ率が一気に上昇を始め2%に近づいていく可能性がある

<長期金利上昇による金融システムの動揺>

物価安定の視点に立てば、日銀は2%を超えるインフレの加速を回避するため、継続的な利上げに乗り出す必要が出てくる。しかし、そのことは長期金利の急激な上昇をもたらし、金融システムの動揺をもたらす恐れがある。

周知の通り、長引く資金需要の低迷から、金融機関は大量の国債を抱え込んだ。急激な長期金利の上昇は、利払い費の膨張によって、財政破綻確率を高めるが、国債価格の下落は金融機関の自己資本を毀損し、金融システムの動揺をもたらす。程度の差はあれ、欧州ソブリン問題と同様の現象が生じる。物価安定の視点から必要な利上げが、金融システム上の要請で、実施できなくなる。2%のインフレ目標の上限が守られないということだが、金融システムの安定性を優先し、物価安定を多少犠牲にせざるを得ないということになるのだろう。

マネタイゼーション・シナリオの帰結をまとめよう。当初は、財政政策による「将来の所得の前借り」効果が強く現れ、潜在成長率を上回る高めの実質成長率、低いインフレ率、やや高めの名目成長率、低い長期金利、リスク資産価格の上昇が観測される。多くの人は潜在成長率が上昇しているのではないかと期待を膨らませ、バブル的様相が強まっていく。実態は、「将来の所得の前借り」によるユーフォリアに過ぎないのだが、リアルタイムではそのことに気が付かない。13―14年は「慢心」の年になるのではないか。

しかしその後は、低い実質成長率、高いインフレ率、高めの名目成長率、高い長期金利、リスク資産価格の下落が訪れる。程度はともかくとして、資産バブル、財政破綻確率の上昇、金融システムの動揺など、マクロ経済・物価の不安定性は急激に増す。本来、マクロ安定化政策の主眼は、経済を安定化させることだが、デフレ問題をアグレッシブな財政・金融政策だけで解消しようとすれば、不安定性が増すのは当然とも言える。これが、筆者の考える13―15年の基本シナリオである。

では、マネタイゼーションよりましなデフレ脱却策はないのだろうか。積極的な金融政策で時間稼ぎをしている間に、財政健全化策を打ち出し、潜在成長率を高めるために規制緩和を進める、という成長戦略シナリオも理論上は考えられる。潜在成長率の引き上げに成功すれば、自然利子率も上昇するため、伝統的な金融政策の有効性も復活する。この政策の組み合わせならば、コストは小さく望ましい。

しかし、成長戦略の果実を得るには、地道な努力と長い時間を要する。デフレ脱却に関し、「できるだけ早期の実現」を掲げる政府・日銀の共同声明は、結果的に、このシナリオを放棄することになるのではないだろうか。

代議制民主主義の下では、人々は、直ちに政策の結果を求めようとするが、潜在成長率の向上に即効薬は存在しない。しかし、待つことを我慢できない我々は、結局、「将来の所得の前借り」である財政政策や「将来の需要の前倒し」である金融政策といった近視眼的な政策に頼ってしまう。こうした政治経済学的な視点から考えれば、マネタイゼーション・シナリオの蓋然性が高く、成長戦略シナリオの蓋然性は低いと言わざるを得ない。

なお、デフレ脱却策には、もう一つ、その是非は別として、アグレッシブな為替介入で円安誘導を図るシナリオがあるが、こちらについては次回以降のコラムで取り上げたい。

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。


http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPTYE91302520130204?sp=true
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2013年2月15日 14:13:14 : xEBOc6ttRg
コラム:アベノミクスのカギ握る「賃上げ」、規制緩和断行を
2013年 02月 15日 09:23 JST 記事を印刷する | ブックマーク | 1ページに表示 [-] 文字サイズ [+]


1 of 1[Full Size]
コラム
コラム:日中摩擦が変えた中国人の「買い物リスト」
コラム:「円安でデフレ脱却」シナリオの落とし穴=河野龍太郎氏
コラム:米アップルの本質は株価にあらず
コラム:米経済成長に向けた4つの処方箋=サマーズ氏
田巻 一彦

[東京 14日 ロイター] 安倍晋三首相が提唱しているアベノミクスが機能する上で注目されている「賃金上昇」が、今年だけでなく来年以降も継続して実行されるには、企業の収益力強化が欠かせない。そのために政府は需要増が見込まれる分野における規制緩和を断行するべきだ。

賃金と物価のバランスのとれた上昇をなしとげるには、財政出動と大胆な金融緩和だけでは不十分だ。国民は日銀の金融政策の効果とともに、経済財政諮問会議における成長戦略の具体化にも厳しい目を向けるべきだ。3本目の矢が不十分なら、今年秋ごろからアベノミクスの失速が表面化するリスクがある。

<アベノミクスのカギ握る賃金動向>

安倍首相は12日、経団連など経済3団体トップとの会合で、業績の回復した企業から賃金を引き上げるよう要請した。安倍首相が賃上げを重視するのは、足元における円安/株高で、企業や個人のマインドはかなり好転したものの、賃上げ─個人の購買力増加─内需の盛り上がり─企業収益の増加─次年度の賃上げという循環が生まれなければ、アベノミクスの推進力が低下する懸念があるためだ。

ただ、政治の要請で無理に賃上げを実行しても、収益力に見合った対応でなければ、次年度以降の賃上げにはつながらない。企業収益が持続的に拡大する見通しが立たなければ、個人部門にとって最悪のケースである物価が上がって賃金は下がるという展開に直面する危険性もある。

政府が指令し、国有企業が従う社会主義経済のモデルでも、賃上げを優先する政策は長続きした例がほとんどない。まして資本主義経済のルールが機能している日本経済で、首相が指示して賃上げが実行されても、持続的な動きにつながる保証はどこにもない。

<日本のデフレと密接な賃金低下の傾向>

また、日本の直面しているデフレと賃金低下には、密接な関係があるとの指摘がエコノミストの一部からも出ている。国税庁の民間給与実態統計調査によると、サラリーマンの平均年収は、1997年の467万円をピークに下がり始め、リーマンショックのあった2008年が430万円。次の09年に406万円へと大幅に落ち込み、11年が409万円とピークの87.5%にとどまっている。

日銀の白川方明総裁は14日の会見で、日本では「賃上げよりも雇用確保」の労働慣行が広く波及し、日本の物価下落要因の1つになっているとの見解を示した。物価目標2%を日銀が達成していく上でも、賃金の上昇が継続的に実施されるかどうかは、大きな要因となるだろう。

だが、企業の競争力の強化と収益拡大のシナリオが描けなければ、着実な賃上げは"画餅"になりかねない。実際、円安が増益に直結している自動車業界では、一時金の大幅な増額要求に応え、経営側が昨年実績比プラスの回答に踏み切る公算が大きくなっているが、業績に差がついている電機業界では、賃上げでも明暗を分けそうだ。

<規制緩和実現へ、求められる安倍首相の指導力>

この日の会見で、白川総裁は企業収益の拡大を図るためには成長が必要であり、需要の拡大が見込める分野での大胆な規制緩和が必要であるとの見方を示した。経済財政諮問会議でも、伊藤元重・東大大学院経済研究科教授ら4人が「今後の検討課題」として、「企業の投資を引き出し、イノベーションを促進するために必要な政策」(産業政策、規制・制度改革、税制改革、官民の役割分担等)などを挙げている。規制緩和は、最も必要性の高い政策対応であると考える。

金融政策の変更を求める対象は日銀に限定されるが、幅広い分野での規制緩和は利害関係が錯綜し、既得権益を確保して規制緩和に反対する主体も多岐にわたる。政治的に規制緩和の実現は、かなり労力を要すると予想され、安倍首相のリーダーシップが最も求められる分野でもあると指摘したい。

2012年度補正予算のような財政の大盤振る舞いは、何回も実施できないほど日本の財政事情は悪化している。この時に大規模な財政出動を伴うことなく、かなりの経済的な効果を期待できる規制緩和の実行は、今の日本政府にとって有効に使うべき政策ツールと言えるだろう。3本目の矢である「成長戦略」を実のある中身にするには、大胆な規制緩和は必須のメニューだ。

<成長戦略・規制緩和不十分なら、アベノミクスに失速リスク>

政府に厳しい対応を迫るには、国民の監視の目が適切に機能していることが欠かせない。規制緩和を骨抜きにするような動きがあれば、批判の声を上げることが、回り回って賃金上げの継続を獲得する道につながると考える。その意味で経済財政諮問会議での成長戦略や規制緩和をめぐる議論の行方に、多くの人々が関心を持つことが重要である。

仮にこうした部分がおざなりになった文書が、今年6月以降に「骨太方針」として出てくるようなら、マーケットの失望を招く可能性が高いと指摘したい。先の日米欧7カ国(G7)為替声明の発表で、これまでのような急速で大幅な円安の進展が望めなくなった可能性が高く、円安の進展を起点にした株高のペースは鈍る可能性がある。2本の矢だけでは、今年後半にアベノミクスが失速しかねないというのは、そういう構図で見れば明らかではないか。

大胆な規制緩和や中身の濃い成長戦略の作成に向け、政府が真摯に対応することを望みたい。
 

関連ニュース

首相、産業界に賃上げ要請へ 2013年2月5日
雇用・所得増大へ政府・産業界・労働界が一致協力して課題解決必要=安倍首相 2013年2月5日
今週も円売り地合い継続、期待と現実とのかい離には警戒も 2013年2月4日
円売り地合い継続、期待と現実とのかい離には警戒も=今週の外為市場 2013年2月4日


02. 2013年2月15日 14:18:11 : xEBOc6ttRg

 
日銀総裁人事は最終局面、武藤氏を中心に絞り込み進む=関係筋
2013年 02月 15日 13:34

現在の為替水準、超円高が是正されている局面=豊田自工会会長
一部の米ファンド、第4四半期に米アップル株を全て売却
アメリカンとUSエアが110億ドル規模の合併、世界最大の航空会社に
バークシャーとPEが米ハインツ買収へ、米食品業界買収で最大規模

[東京 15日 ロイター] 複数の関係筋によると、政府は、最終調整している次期日銀総裁人事について、武藤敏郎・大和総研理事長を中心に一段と絞りこみを進めているとみられる。

政府は3月19日に退任する白川方明総裁と、2人の副総裁の後任の人事案を月内にも与野党に提示する方針だ。これまで武藤氏のほか、黒田東彦・アジア開発銀行(ADB)総裁や岩田一政元日銀副総裁、岩田規久男・学習院大教授、竹中平蔵・慶応大教授らが総裁候補にとりざたされてきた。

大胆な金融政策を望む首相周辺では、新たな発想で金融政策に取り組むことができる候補を推す声もあった。ただ急激な円安に対する国際的な批判が高まり、日米欧7か国(G7)が12日に緊急共同声明を出すなど、外債購入など急激な円安誘導になりかねない過度に大胆な金融政策は打ち出しにくい国際環境になりつつある。また、政府内では、「学者がいきなり組織の長をやるのは大変」(麻生太郎財務相)との声があるほか、ここにきて、一部関係筋からは民間出身の候補者の起用はあり得ないとの指摘も出ている。

安倍晋三首相は次期日銀総裁について「デフレ脱却に向けた金融政策に関する私の考え方を理解し、確固たる決意と能力でその課題に取り組む人を選びたい」としてきた。出身母体については問わないとし、「財務省出身の人が全部だめという論理はおかしい」と明言。さらに「国際社会に発信できる能力が極めて重要」とも発言している。

政府はさらに人選を進め、月内にも同意人事を提示する方針。菅官房長官は14日、「事前報道ルールの見直しが正式に同意された時点で、私たちの考え方を申し上げたい」と話している。
 

国会同意人事で民主受け取り拒否、日銀総裁人事への影響懸念 2013年2月8日
インタビュー:日銀総裁人事、武藤氏なら「同意せず」=渡辺・みんなの党代表 2013年1月23日
日銀総裁候補、武藤元次官など財務省出身者が望ましい=飯島内閣官房参与 2013年1月22日
「武藤日銀総裁」狙う財務省、安倍側近では意見割れる 2012年12月26日


日本株一段安、日銀人事で武藤氏中心絞り込み報道も−円高も

  2月15日(ブルームバーグ):午後の東京株式相場は先物主導で一段安、日経平均株価の下げ幅は200円を超えた。為替の円高推移、20カ国・地域(G20)会議への警戒が続く中、日本銀行の次期総裁人事に関連し、元財務事務次官で、元副総裁でもある武藤敏郎・大和総研理事長を中心に政府内の絞り込みが進んでいる、との一部報道もあった。
午後1時28分時点のTOPIX は前日比23.32ポイント(2.4%)安の931.56、日経平均株価 は213円97銭(1.9%)安の1万1093円31銭。
岡三証券の塩川克史投資戦略部長は、次期日銀総裁が仮に武藤氏に決まれば、「期待されていたほど大胆な追加金融緩和策は打たれないとの見方から、円高・株安の動きにつながっている」と見る。
ロイター通信はきょう正午すぎ、政府が最終調整している次期日銀総裁人事で、武藤氏を中心に一段と絞り込みが進んでいるとみられる、と複数の関係筋の話を基に伝えた。
武藤氏をめぐっては、みんなの党の渡辺喜美代表が14日、国会内でブルームバーグの取材に対し、財務省出身者の起用には反対する考えを示している。みんなの党は、与野党のねじれが続く参院で会派12人を擁し、野党内では民主党に続く勢力。
午後の為替市場では、正午すぎから円高方向への動きが強まり、一時1ドル=92円37銭、1ユーロ=123円39銭まであった。午前は93円10銭台、124円30銭台の場面もあった。
円高進行への懸念も重なり、東証1部33業種では輸送用機器など輸出関連株のほか、非鉄金属や鉄鋼など素材関連株、銀行や証券など金融株、海運株の下げも目立ち、電気・ガスを除く32業種が安い。売買代金上位ではトヨタ自動車、ソニー、ホンダ、東芝が売られ、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループの3大金融グループもそろって安い。
15−16日にモスクワで、G20財務相・中央銀行総裁会議が開かれる。ブルームバーグ・ニュースが入手した会議後に発表される声明の草稿では、「通貨の競争的な切り下げ回避」を再確認すると同時に、「金融政策がもたらし得る波及効果」を監視する姿勢を示す、とした。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 河野敏 skawano1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Nick Gentle ngentle2@bloomberg.net
更新日時: 2013/02/15 13:33 JST

 


債券先物は上げ幅拡大、次期日銀総裁に武藤氏有力との見方 
  2月15日(ブルームバーグ):債券先物相場は上げ幅拡大。次期日本銀行総裁に武藤敏郎・大和総研理事長が有力との観測が出ており、買いが優勢になっている。
東京先物市場で中心限月の3月物は、午後の取引開始後に水準を切り上げ、一時は前日比33銭高の144円37銭まで上昇。午前高値の144円32銭を上回った。
現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の327回債利回りは同1.5ベーシスポイント(bp)低下の0.75%で開始。午前は0.745−0.75%で推移したが、午後に入ると0.74%に低下。5年物の107回債利回りは1bp低い0.135%と、2日ぶりに過去最低に並んだ。20年物の141回債利回りは1.5bp低い1.74%と1月24日以来の低水準。30年物の37回債利回りは1bp低い1.94%と昨年12月25日以来の低水準。
政府が最終調整している次期日銀総裁人事は、武藤氏を中心に一段と絞り込みが進んでいるとみられる、とロイターが報じた。
JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は、債券相場について、米金利低下に加えて、円債市場にフレンドリーな印象の武藤氏中心に絞り込みという報道で「買いが加速している」と説明した。
14日の米国債相場は上昇。米10年国債利回り は前日比3bp低下の2.0%程度。米30年債の入札(発行額160億ドル)では、投資家からの需要が過去の平均値を上回るなど順調だった。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 山中英典 h.y@bloomberg.net;東京 池田祐美 yikeda4@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Rocky Swift rswift5@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2013/02/15 13:37 JST


 

円が上下に振れる、G20警戒も日銀総裁人事にらみで買い限定 
  2月15日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では、午後の取引で円が急伸。日本銀行の次期総裁人事をめぐって、元財務事務次官の武藤敏郎氏起用の可能性が一部で報じられ、円買いが活発となった。
ドル・円相場は午後の取引で一時1ドル=92円28銭と、1週間ぶりの水準まで円高が進行。また、ユーロ・円相場も一時1ユーロ=123円20銭と、1月31日以来の円高値を付けている。
ウエストパック銀のシニア通貨ストラテジスト、ショーン・キャロー氏(シドニー在勤)は、武藤氏が白川方明総裁の後任に就く可能性があるとの報道が本日の主要テーマになっていると指摘。その上で、「武藤氏は、他の総裁候補と比べてハト派色が弱いと見られていることから、ドル・円の下押しにつながった」と説明している。  
ロイター通信が複数関係者の話を基に伝えたところによると、政府は日銀の次期総裁人事で、武藤氏を中心に一段と絞り込みが進んでいるもよう。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 三浦和美 kmiura1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Rocky Swift rswift5@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2013/02/15 13:51 JST


 

安倍政権のおかげ、ウィズダムツリー日本株ETFの資金急増 
  2月15日(ブルームバーグ):安倍晋三政権の誕生は、ヘッジファンド運用者から上場投資信託(ETF)会社幹部に転じたマイケル・スタインハート氏に思いがけない収入をもたらしている。
スタインハート氏が筆頭株主で会長も務める米投資会社ウィズダムツリー・インベストメンツ では、「ジャパン・ヘッジド・エクイティ・ファンド 」の資産が35億9000万ドル(約3330億円)と、今年に入って3倍に増えた。経済再生に向けた安倍首相の姿勢を踏まえ、投資家が円安を回避しながら日本株の上昇で恩恵を得られる方法を探ったためだ。同ファンドには今年、1本を除くどの米ETFよりも多くの資金が流入。ウィズダムツリーの株価は年初来で46%上昇している。
インデックスユニバースのETFスペシャリスト、ウゴ・エグブナイク氏は電話インタビューで、「偶然にこうしたファンドがうまくいくことはあり得る」と述べた。
投資会社ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏をはじめとする運用者は日本政府が円安を誘導する措置を講じることで日本株が上昇すると指摘している。円安はトヨタ自動車など輸出企業にとって追い風だ。総選挙前の11月30日以降で日本株は20%上昇し、円は対ドルで11%下落している。安倍首相はデフレ脱却と経済再生に向けた積極的なアプローチを掲げて12月の総選挙で勝利した。
ウィズダムツリーは、2006年にETF事業に参入した際に日本株ファンドを設定。その後、調査ディレクターのジェレミー・シュワルツ氏が円と日本株は逆方向に動くことが多いことに気づき、10年に為替の変動による影響を中和するようにファンドに手を加えた。
シュワルツ氏は今週の電話インタビューで、「われわれはいずれ円が安くなり、それが大手輸出企業を中心に株式にプラスに働くと考えた」と語った。昨年11月には、国内経済への依存度が高い銘柄よりグローバル企業に重点を置く形にファンドを再び微調整していた。
原題:Abe Election Is Steinhardt Win as WisdomTree Japan ETFTriples(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ボストン Charles Stein cstein4@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Christian Baumgaertel cbaumgaertel@bloomberg.net
更新日時: 2013/02/15 13:05 JST


 
ソロス・ファンドの運用担当者、円安・日本株高への賭け成功で脚光
ソロス・ファンドの最高投資責任者のスコット・ベセント氏は何とか上司を満足させているようだ。
円安に大きく賭けた米ヘッジファンド、ソロス氏は10億ドル近い利益
アジア通貨下落、円安受け投資家が売りに動く
バフェット氏の投資先企業の商品で食事を作れば、献立はこうなる


03. 2013年2月15日 14:20:39 : xEBOc6ttRg
ブログ:物価上昇と国民の「幸福度」
2013年 02月 14日 10:41 JST
寺脇 麻理

大胆な金融政策や機動的な財政政策などを柱とする「アベノミクス」。日銀が消費者物価2%上昇を目指す物価目標を導入する中で、昨秋からの株高・円安の流れを背景にマーケットの雰囲気は明るさを増している。

日本経済研究センターが12日に発表したESPフォーキャスト調査(民間エコノミストによる日本経済予測の集計調査)によると、消費者物価は2013年7─9月からプラスに転じる見通し。2013年度はプラス0.17%、消費税率の引き上げが見込まれる2014年度はプラス2.45%の見通しで、前月調査からいずれも上ぶれた。

もっとも、生活に直結する「雇用・賃金」は物価動向に遅行するだけに、物価上昇見通しは手放しでは喜べない。景気回復がある程度長く続かなければ、経営者は業績が向上しても賃上げには消極的で、むしろ内部留保などを優先する傾向がある。

ローソン(2651.T)は20代後半から40代の社員の年収を、平均で3%引き上げると先日発表し世間を驚かせたが、そうした企業が今後数多く出現しなければ「アベノミクス」の恩恵は世の中に広がらないだろう。

東短リサーチ・チーフエコノミストの加藤出氏は「2%の物価上昇を実現するには、賃金と物価の適度なスパイラルが必要。金融や財政政策は基本的には一時的なカンフル剤であり、民間の活力や成長戦略が持続的な景気回復には不可欠だ」と指摘する。

ガソリン価格の値上がりなど、円安に伴う原材料価格上昇の影響はすでに出始めている。消費税増税などの制度変更や為替変動が単に物価を押し上げても、景気は回復しない。デフレが治れば万事うまくいくわけでもない。物価上昇で国民はハッピーになれるのか。みなさんはどう考えますか。

(東京 14日 ロイター)

 

焦点:欧州株、ユーロ高による企業業績悪化の打撃受ける懸念
2013年 02月 15日 13:19 JST
[ロンドン 14日 ロイター] 通貨ユーロはドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が昨年7月にあらゆる手を尽くして救済すると表明してから対ドルで12%も上昇した。そして、ユーロ圏の株式市場はユーロ高の痛みを感じ始めている。特に自動車、ハイテク、高級品ブランドメーカーなどの銘柄が大きな打撃を受けそうだ。

ユーロ高は輸入価格の低下を通じて一部の業界には恩恵をもたらすが、ユーロ建て収入の減少や輸出競争力の低下で打撃を受ける企業が数で上回る。

モルガン・スタンレーとクレディ・スイスのアナリストによると、ユーロが主要貿易相手国の通貨バスケットに対して10%上昇するとユーロ圏の域内総生産は年0.5─0.7%押し下げられ、企業利益の合計は3─4%減少するという。

BTIGの欧州株ストラテジー部門のヘッド、ニック・サンダーズ氏は「ユーロ上昇は信頼感に基づいており、信頼感がユーロ株にプラスなのは明白だ。しかしユーロは欧州企業の業績にとって重しとなり始める水準に達したと思う」と話す。

既に株式市場はユーロ高に反応している。ユーロと欧州株はユーロ圏の景況感改善を受けて歩調を合わせて上昇し、ユーロ/ドル相場とユーロSTOXX50.STOXX50Eの30日移動平均の相関性は昨年半ばには0.93と6年ぶりの高水準となったが、それ以降は低下している。

域内の銀行は2011年と12年に受けた長期資金供給の返済を進め、ECBが事実上の金融引き締めを行っているに対して他の中央銀行は景気刺激策を採っており、ユーロ高は長引く見通しだ。最新のロイター調査によると、ユーロは向こう3カ月は現行水準で推移するとみられている。

ロイズTSBプライベート・バンキングの投資ヘッドのアシシ・ミスラ氏は「今のユーロ高が長引けば、第1・四半期決算に影響が出るのは間違いなく、アナリスト予想も下方修正される。ガイダンスに対する警戒感が強まるだろう」と述べた。

企業は為替変動リスクをヘッジしており、ユーロ高の影響顕在化には時間が掛かる。しかしドイツのダイムラー(DAIGn.DE)やフランスのLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)(LVMH.PA)は既に業績悪化を警告している。

またトムソン・ロイター・スターマインのまとめによると、アナリストがハイテク、エネルギー、医療、などで過去30日間に業績見通しを大幅に引き下げており、こうしたセクターに対して慎重な見方が広まっている。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは、ユーロ高を受けて投資戦略を修正、米国の工業株や日本の自動車株を買い、こうしたセクターの欧州株を手放した。モルガン・スタンレーも日本株に比べた欧州株の評価を引き下げた。

モルガン・スタンレーは、利益をどの地域で上げているか、過去のユーロ高で業績がどうなったかなどに基づき、ハイテクと自動車の業績が悪化する可能性が大きいとみている。一方、海外市場への依存が低く、ユーロ域内の景況感との連動性が高い公益、小売り、不動産、食品、建設は銀行とともに勝ち組になるとしている。

最近は域内の需要が低迷し、海外で利益を上げている企業の人気が高かったことから、ユーロ高の悪影響が増幅される恐れがある。こうした銘柄は株価が割高で既に利益確定売りが出始めており、新たな買い手が見つからない。投資が殺到していたということは、大量の資金が逃げ出す可能性があるということでもある。

(Toni Vorobyova記者)


04. 2013年2月15日 14:26:09 : mL5knPKMCU
愛です

そもそも 2%のインフレのためには、7%のマネーを供給しないと達成できない
金額にして 70兆円 2年で 150兆円もの金をつぎ込まねばならないわけだ

それはかなり難しいことで、 アベノミクスでも解決できない 10兆円位の
注入では 達成不可能だろう
仮に アベノミクス それだけやれば 一発で国債のパンクを心配する必要がある

====

要は 金の使い方に問題があるわけで 聞くところによると 10兆円使って
たったの 10万人しか雇用が増えないということだから、 一人頭 一兆円も
かかることになる <== こういう使い方では ダメでしょうね〜

使い方を改めて 一人頭 100万円 直接国民に配れば 1000万人が 景気が
よくなるわけで 今すぐにでも 景気は沸騰するのだがね〜〜

アベノミソクソは どうして まどろっこしい事するのだろうね〜〜〜


05. 2013年2月15日 14:30:46 : sekAj4S9tQ
「デフレ脱却」という妄執から脱却出来ていませんな。

06. 2013年2月15日 20:37:09 : 6lTebFtDqY
円高になれば、石油代があがり、
プリウスやノートが売れる。
景気刺激策としてもいいじゃないか。

07. 2013年2月15日 22:54:24 : mb0UXcp1ss
コラム:G7為替声明にみるG20での落としどころ=山下えつ子氏
2013年 02月 15日 19:56 JST

アングル:電力改革が促す火力の高度化、原発位置づけは難題に
アングル:日産自の成長戦略、日米などでの巻き返しがカギに
コラム:緩和期待一服でも、年内「ドル100円」視野=亀岡裕次氏
来週の外為市場、ドル/円はG20声明を注視

山下えつ子 三井住友銀行 チーフ・エコノミスト(2013年2月15日)

ロシアのモスクワで20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が15―16日に開催される。中国など新興国が加わるG20会議で為替相場について合意を形成することは困難だとの見方も多かった。このため、円安のトレンドは今週も不変との予想が多かっただろう。

しかし、12日に日米欧7カ国(G7)が為替相場に関する緊急声明を発表したことで、G20でも為替相場が議題の一部になる見込みとなった。こうした動きを受けて、小幅ながら円高への巻き戻しが出ている。

G7声明は円や日本を名指しして批判しているわけではない。G20声明もその点は同じだろう。だが、昨年11月半ばの衆院解散決定時からみて、ドル円とユーロ円はそれぞれ約20%と約25%の円安となっている。こうした短期間での「円安・自国通貨高」が警戒視もされずに、無風に通過する方が不思議だ。声明には円とも日本とも書かれていないが、念頭にあったのは主として円・日本であったはずだ。

<G7声明の本当の役割>

一般論としては、通貨安が批判されるべきケースは、為替介入のほか、金融政策による通貨安誘導といった人為的な対応であり、かつ、その誘導された水準がファンダメンタルズから乖離した通貨安と判断される場合である。

これに照らして今回の円安はどうか。まず、日本は為替介入をしていない。一方、金融政策は緩和的に運営され、今後も積極的に運営される予定であり、現在の円安がこれを材料としている点は否めない。

次に水準については、現在の円の水準がファンダメンタルズから乖離しているとの判断は聞こえない。ドル円は95円程度が適正水準かという声が一般的であろう。

つまり、今回問題とされるとすれば、日本の金融政策が通貨安を誘導することを目的にしているのか、という点のみである。12日のG7声明は「財政・金融政策が為替相場を目標にはしないことを再確認する」としている。ここが、今回の円安の白黒を分けるポイントだ。

日本は、G7声明を受けて「日本のデフレ脱却対応は為替操作のためではない」と表明する機会を得た。日銀の金融政策決定会合後の総裁記者会見でも「金融政策は通貨安を目標としていない」との発言があった。円安水準がこれ以上進んだ場合には、あらためて問題とされる可能性はあるが、今回は円安が進行したがゆえに日本が財政・金融政策の路線変更を余儀なくされる、といったことは免れた。

G7の声明がなぜ出されたのか、舞台裏は明かされない。だが、日本が長期の景気低迷から脱却するために立ち上がったことは、海外から支持されているのだろうと思える。

<欧州のジレンマ>

ただし、G7声明は日本が立場を表明するための「お膳立て」とばかりも言えない。特にユーロ圏はリセッションの中でユーロ高が進行しているため、為替相場に敏感になっている。たとえば、ドイツは外需型の経済のため、このところの世界景気の底打ちは好材料ながら、ユーロ高は好ましくない。フランスは内需型だが、内需が低迷するなか、外需も低迷すれば立ち行かない。

ユーロ圏の12年10―12月の実質経済成長率は前期比マイナス0.6%で、減速の程度は7―9月のマイナス0.1%よりも強まった。景気回復をいまだ明瞭に展望できない現状で、為替相場への言及をせずにG20会議などの国際会議を通過するわけにはいかないだろう。G7声明は、日本以外の国にとっては為替相場を気にしていることを、それぞれの国内に向かってアピールする役割を果たしたと考えられる。

<G7・G20声明の金融政策への影響>

今週末のG20会議でも、類似の声明が出される見込みである。ただ、為替相場を気にしていることのアピールのためには有効だが、今後の各国の行動を自ら縛ることにもなるだろう。たとえば、ユーロ圏はもともと為替介入を嫌うため、介入はなかろうが、リセッションであっても金融政策を動かすことが少々難しくなった。その思惑はマーケットの利下げ観測も後退させ、ユーロの下落を抑制してしまう。

また、G20メンバーの新興国には為替レートをにらんで金融政策を運営している国もあろう。G20声明においてもG7声明と類似の文言が入る場合には、その後の各国の金融政策に対する外からの目が厳しくなる。G20声明にどこまで書き込めるのかも興味深いところである。

それにしても、金融政策にとって為替相場は、ある時は所与の外部条件であるが、ある時は金融政策の波及経路の一部となる。各国が抱えるそれぞれの事情の中で、金融政策はどうあるべきなのか。G7声明で改めてそう感じた。

*山下えつ子氏は、三井住友銀行のチーフ・エコノミスト。東京大学経済学部卒。1990−2000年ロンドン駐在エコノミスト、2003年より現職。

円が対ドル・ユーロで上昇、G7声明めぐる当局者発言で 2013年2月13日
為替に関するG7声明:識者はこうみる 2013年2月13日
カナダ中銀総裁「G20で日本の緩和策が議題に」、政策は支持 2013年2月13日
G7声明、日本当局者の発言に懸念示唆=高官 2013年2月13日

UPDATE1: G7諸国が為替声明を順守し、「無規律な発言」を慎むことを期待=米財務次官
2013年 02月 15日 20:15 JST 記事を印刷する | ブックマーク [-] 文字サイズ [+]

 [モスクワ 15日 ロイター] ブレイナード米財務次官は、G7諸国が今週公表された為替声明を順守することを期待している、と述べた。また、ユーロ圏の中でもより体力のある国は、需要喚起のため一段の努力をすべきだとの認識を示した。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の合間に開催された銀行関連の会合で述べた。

 同次官は「G20諸国はともに成長し、下方スパイラルや近隣窮乏化政策(beggar-thy-neighbor policies)を回避できるよう、為替レートの枠組みを調和させる必要がある」と指摘した。

 G7は12日に為替に関する緊急共同声明を発表し、「長年にわたりコミットしている、為替レートは市場において決定されるべきこと」を再確認した。しかし、日本に批判的な非公式の発言が相次ぎ、G7の団結力にひびが入っている。

 ブレイナード次官はCNBCに対しても、G7のすべての諸国が声明を順守すると述べるとともに、「為替に関する無規律な発言」は慎むべきだと述べた。


08. 2013年2月16日 03:23:11 : TEz5BZ5L8s
あの中曽根バブルでさえ1.8%だそうだ そんな数字達成出来る?

夢でも見てるのかと言いたい所だがそれを信じる人が居る事自体 イカレテル


  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民79掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民79掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧