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http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MI6YIX6K50YO01.html
2月14日(ブルームバーグ):彼らを「何でもあり」のセントラルバンカーと呼ぼう。
先進各国で失業率が高止まりし、経済成長は危機前の半分にとどまる中、各国政府は発言からみて前任者よりも積極的な金融政策立案者を頼りにし始めている。実際の行動にも期待している。
2011年11月のドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の就任に始まった世界の中銀の変革がここにきて加速している。カナダ銀行(中銀)のカーニー総裁はイングランド銀行(英中銀)の総裁に就任することになり、日銀は新総裁を迎える。こうした流れが今後さらに進み、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の後任に、より大胆な行動を取る人物が起用される可能性もある。
中銀トップの交代は、まひ状態の財政政策を埋め合わせる必要性と金融政策がなお強力な力を持っているとの見方を反映している。一方で、投資家は量的緩和のコストと効果をさらに深く熟考しながら、中銀への行き過ぎた期待を示唆している。
バーナンキ議長の元顧問で現在はシティグループの国際経済担当グローバル責任者を務めるネイサン・シーツ氏は、行動派の指名には「経済が依然として確かな回復を維持しにくい状況にあり、一層の景気刺激を求める政界からの圧力があること」が反映されていると指摘。
★「中銀には方策があるが、大部分はまだ試されていないもので、望ましくない副作用をもたらす恐れがある」と付け加えた。
****市場への影響
中銀の実際の積極性や期待される積極性は、既に市場に影響している。ユーロはドラギECB総裁が7月26日にユーロ防衛を誓って以来、ドルに対して9.5%上昇。10年物スペイン国債利回りは7月24日以来2ポイント余り低下し5.2%。
安倍晋三氏が首相に就任すればデフレ克服のため日銀の政策に再び焦点を合わせるとの期待が広がった11月半ば以降、円は対ドルで約15%下落している。カーニー氏が物価を押し上げるとの見方から英国のインフレ期待は11年4月以来の高水準近くにある。
スタンダード・ライフ・インベストメンツの世界戦略責任者、アンドルー・ミリガン氏は、景気刺激策を支持する政策当局者の昇格は債券から株などの高リスク資産への最近のシフトを促していると述べ、長期的な物価圧力に対して、インフレ連動債や不動産で資産防衛策を講じることを投資家に考えさせる契機となっていると分析した。
****役割を再定義
ミリガン氏はさらに、「セントラルバンカーたちは自らの役割を再定義し始めており、インフレ目標から離れ、金融システムの健全性の維持に向かいつつある」と指摘。
★「新しい政策当局者は新たなツールを導入する可能性があり、世界の投資家はそれを素早く理解する必要が出てくるだろう」と語った。
世界の中銀でトップ交代が相次ぐ見通しだ。カーニー氏が英中銀総裁に就任すると、カナダ中銀総裁が空席となる。オーストラリア準備銀行(中銀)のスティーブンス総裁の任期は9月に終了する。
主要新興国では、ロシア中銀のイグナチェフ総裁が6月で退任し、インド中銀のスバラオ総裁は9月で任期満了となる。中国は人民銀行(中銀)の周小川総裁を早ければ来月にも交代させる方針を示唆している。
◆激化する通貨安戦争 日本参戦で世界中から非難 現実味帯びる金本位制復活
http://biz-journal.jp/2013/02/post_1509.html
基軸通貨米ドルの下落は、いまや「世界の通貨安戦争」の様相を呈し始めている。
1月26日、スイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラム(ダボス会議)に出席した甘利明経済再生担当相は、針のむしろに座らされたような心持ちだったろう。
ドイツのメルケル首相は、安倍政権が日本銀行に2%のインフレターゲットを含む大胆な金融緩和をのませたことに対し、「為替操作」として「日本に対する懸念が出ている。
政治が中央銀行に圧力をかけるべきではない」と批判した。甘利氏は「2%の物価上昇率目標は世界標準」と理解を求めたが、キング英中銀総裁や韓国政府からも通貨安競争への懸念が示され、日本は四面楚歌の状態。
唯一、助けの手を差し伸べたのは、カナダ銀行のカーニー総裁だけだった。カナダドルと日本円は、自国通貨高に苦しむ「似た者同士」のようなものだ。
「通貨戦争は最大の危機と言っていい」ヘッジファンドの重鎮、ジョージ・ソロス氏は、世界的に進む通貨安競争を「危機」と表現した。
1930年代、世界恐慌で疲弊した各国は、関税引き下げとブロック経済化を推し進めた。だが、その先に待っていたのは第二次世界大戦という悲惨な結末。現在の「通貨安競争」は、この「関税引き下げ競争」が形を変えたようなものとの指摘だ。
その通貨戦争に、ついに日本が参戦した。日本銀行は2%のインフレターゲット導入を決め、期間無制限の金融緩和に踏み込む。
「かたくななまでに政治介入を阻んできた日銀が、安倍政権の前に落城したことは驚き」と市場関係者は語る。「正副総裁人事を人質にとられ、譲歩に譲歩を重ねたようなもの」(先の市場関係者)と受け止められている。
■注目を集める金
こうした世界的な「通貨安戦争」から、再び注目され始めているのが「金」であり、「金本位制」への復帰である。
2月に入り、ドイツ連邦銀行(中央銀行)は、パリとニューヨークの保管庫にある金674トンを2020年までに本国に移す方針を表明した。
ドイツ連銀の文書によると、「この新たな保管計画で、ドイツ連銀は金準備の2つの主要な機能に重点を置いている。
それは、国内での信頼と自信の構築、そして国外の金取引拠点で短期間のうちに金を外貨と交換する能力だ」と説明している。
ドイツの金準備に対する国民の信頼回復に狙いがあるというわけだ。
世界的な「通貨安戦争」により、各国の通貨に対する国民の信頼が揺らいでいる。その信頼を担保するのは、やはり金にほかならない。
昨年秋の米大統領選挙において、共和党は金本位制への復帰を公約に掲げた。それは基軸通貨米ドルへの信頼の揺らぎを反映している。
金市場の動向については、2003年から「金ETF(上場投資信託)」がスタート。金の現物のみならず、金融商品としても売買されるようになった。これに伴い金は、個人投資家の小口資金の受け皿となっており、流動性が高く、手数料が安いことで価格も急騰した。また、年金基金が「金ETF」を代替投資商品としてポートフォリオに組み入れる動きも活発化している。
一方、インド、中国を中心にした新興国では金装飾品需要が根強く、この面からも金価格が上昇しやすい地合いが続いている。
そして、極めつきは各国政府による外貨準備の多様化の一環としての金保有である。ドル基軸通貨から「多極的な通貨バスケット」への思惑が働いている。フランス、ドイツは外貨準備の6〜7割を金で保有していると言われる。
ニクソンショック(1971年8月15日)から40年、金本位制への復帰を示唆する動きは米国をはじめ、先進国で共通して見られる。元FRB議長のグリーンスパン氏は論文で金本位を提唱したほどだ。
世界的な「通貨安戦争」の末路は、再び「金本位制」への復帰となる可能性も皆無ではない。(森岡英樹)
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