http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/251.html
Tweet |
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-8060.html
2013/2/14 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
株式市場をカジノ化している市場主義経済金融至上主義の米欧日の末期資本主義の予測不明な未来
アベノミクスに浮かれるマーケットが“カジノ化”の様相を呈してきた。
週明け1ドル=94円台をつけた為替は、きのう(13日)、G7の「われわれは為替レートを目標にしない」という声明を受けて乱高下。あっという間に1円以上も急騰し、FX取引のネット掲示板には「破産した」「助けて!」といった悲鳴が相次いだ。
この日は株価も117円安の1万1251円と一服したが、それでも市場の熱気は冷めない。「チャンスを逃すな」とばかりに素人が続々と参戦し、マネー誌は最新号が完売するほどのバカ売れぶり。信用取引も急増していて、日本中がひと儲けしてやろうと、大ハシャギしている。
アベノミクス信奉者は「まだまだ行ける」「株価1万8000円は堅い」とイケイケドンドンなのだが、この狂乱相場の正体はマネーゲームだ。強欲資本主義という化け物である。
リーマン・ショック後、先進国が競うように金融緩和したことで、世界中にマネーがあふれた。そうしたマネーがハゲタカのごとく、投資先を探している。米国市場は頭打ちだし、欧州は沈没、新興国市場の成長も鈍化してきたため、「それっ」とばかりにアベノミクスの日本に集中したのだ。もちろん、主役は外国人投資家で、彼らはさっと儲けてさっと売る。刹那的な投資であることを知るべきだ。
経済アナリストの菊池英博氏が言う。
「欧米が安倍政権の円安政策を牽制し始めましたが、外国人マネーが『そろそろ潮時』と引き揚げたら、この株高はあっという間におしまいです。そもそも、株式投資とは企業の期待収益を買うものですが、現状は実体経済がまったく伴っていない。円安で輸出企業が好調といっても、輸出が回復したわけではないし、業績不振の根本的な問題を解決したわけでもない。中身が空っぽなのに、株価だけが上昇しているバブル相場なのです。アベノミクスに踊らされている人は“投資”ではなく、目先の“投機”に走らされていることを理解すべきです」
最初は客に勝たせて気持ちよくカネを突っ込ませ、最後は親が総取りする。これはカジノの鉄則だ。マネーゲームも同じ。「きょうの得は僕のもの、明日の損は君のもの」という発想だ。そこには景気が回復して、みんなが幸福になるという発想はない。その上に立った鉄火場相場なのである。
証券会社は、ここにきて、個人投資家に「今が買い時ですよ」と猛烈な営業をかけ始めているという。「自分たちが安く仕込んだ株を高値で売り抜けるためで、こういう時が相場の天井」(金融筋)という見方もある。
鉄火場相場で最後にやってくるカモが個人だ。大半の一般人は泣く運命にあるのである。
◆外国人や投機筋の草刈り場になるニッポン
こうなると、世間が浮かれているアベノミクスとやらの正体も明確に見えてくる。マネーゲームによるカジノ資本主義を煽(あお)るだけ。狂言回しみたいなものだ。
日銀に円安政策を強要し、物価目標を掲げさせ、無制限の金融緩和をうたって円安、インフレを演出する。財政出動や官民ファンドを通じて、ゾンビ企業に税金をばらまく。投資家は熱狂し、市場は燃え上がり、支持率も上がる。そんな無責任な魂胆だ。
安倍政権ブレーンの竹中平蔵慶大教授は、金融相だった小泉政権時代にも、日銀に銀行の保有株の買い取りをやらせた。お札を刷る中央銀行を使って何でもあり。禁じ手の前科者だが、今度も安倍は竹中や、それ以上のリフレ派を招いて、似たようなことをやる。完全にタガが外れてしまった感じだ。
そもそも、リーマン・ショックで世界中が金融=カジノ資本主義の恐ろしさを目の当たりにし、反省したのではなかったか。それがいつの間にか、日本で息を吹き返し、日本市場がハゲタカファンドの“清算所”みたいになっている。ふざけた話だ。
金融ジャーナリストの小林佳樹氏は「日本はこれから外国人や投機筋の草刈り場になる」と、こう言った。
「安倍政権が来年1月にスタートさせる『少額投資非課税制度』(日本版ISA)は、株式や投信への優遇措置です。日本人のタンス預金を吐き出させ、リスク資産に振り向けさせるのが狙いで、国内だけでなく海外の株式や債券への投資も対象になる。日本の個人金融資産は総額1500兆円ですから、外資系証券は目の色を変えて、海外向け商品をつくっています。小泉・竹中時代にも、郵政民営化で郵貯マネー330兆円が海外に流れるといわれましたが、当時よりもさらにひどい事態が起こるでしょう。資産フライトで、結局、個人投資家は損を被ることになりかねない。円安を背景に、日本の優良企業を買収する動きも出ています。円安ならば、安値で買いたたけるためで、投資ファンドが準備を始めている。資本家や外国人はアベノミクスに舌なめずりしていますよ」
庶民は気がつけば虎の子のタンス預金まで奪われ、スッテンテン。そうなりゃ、日本は丸裸だ。
◆アベノミクスの正体は格差の固定化だ
問題はそれだけじゃない。安倍政権の政策といえば、金融、財政出動、成長戦略の「3本の矢」ばかりが注目されているが、その裏では恐ろしい庶民イジメが進んでいる。
それが8月からの生活保護費カットだ。衣食などの日常生活に充てる「生活扶助費」の基準額が全体として7・3%引き下げられる。最も打撃を受ける子育て世帯は10%近いカットになる。生活保護世帯の子供はますます追い込まれ、成長しても生活保護から抜け出せない「貧困の連鎖」が懸念されている。
「自分は生活保護なんてカンケーない」と思っている大多数の国民も人ごとではない。弁護士の尾藤廣喜氏が雑誌「世界」(3月号)で、こう警鐘を鳴らしている。
〈最低賃金は生活保護基準との『整合性に配慮』することになっている。このため、生活保護基準が『引き下げ』られれば、最低賃金の額は、その分上げる必要がなくなる〉〈生活保護基準は住民税の非課税基準、国民健康保険の保険料や窓口負担の減免、介護保険料の軽減基準、保育料徴収基準など多くの負担や料金の基準となっている〉
つまり、生活保護費カットは、あらゆる社会保障のセーフティーネットに波及する。「貧困層」全体に対する攻撃になるのだ。
それなのに、自分たちが高給取りの大メディアは、自民党の尻馬に乗って、不正受給問題を大きく取り上げ、騒いでいる。そのため、ワーキングプアや年金受給者の間にも「生活保護世帯はとんでもないヤツらだ」という声がある。
ホント、いやな時代になったものだ。江戸時代のお上は、「上見て暮らすな、下見て暮らせ」と言ったものだ。そうやって、弱者同士の対立を煽ったが、今も同じ構図ではないか。金持ちはババを押し付け合うバブルに踊り、庶民は貧困層が足の引っ張り合いである。
筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)が言う。
「ほとんどの生活保護世帯は、ギリギリの生活を余儀なくされています。1割もカットされたら、どうやって暮らしていけばいいのか。生活保護基準はサラリーマンの賃金や待遇にもかかわってきます。首相は口では賃金を上げろと言っていますが、本音ではその気はないのでしょう。それでなくても、インフレ、円安政策で燃料代や食料品など、あらゆる物価がハネ上がり、そこに消費増税がのしかかる。アベノミクスで投機的に大金をつかむ資本家がいる一方、貧困層はますます生活苦から抜け出せなくなる。アベノミクスが格差を固定させるのです」
この政権で日本が豊かになることだけは絶対にない。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。